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第1章 ここが異世界
第47話 バレる前にバラす!
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「ふぅ~おいしかったよ。ごちそうさま」
「いえ、ご満足頂けたようでよかったです。デザートにわ「ちょっと!」た……セシルさん。またですか」
「ええ、またですよ! それにヒロ様もなんですか! 私とのお約束をお忘れじゃないでしょうね!」
「セシル」
「はい、なんでしょう!」
「うるさいよ」
「は? 今、うるさいと仰いましたか?」
「うん。食べたばかりなんだから、ちょっと静かにしようか」
「ぐっ……ですが、そのユリアの振る舞いは看過することは出来ません!」
「分かるけど、領主様の前でしょ。俺に礼儀作法を教える人がそういうことをしていいの? なんな「いえ、分かりました。くっ……」ら……そう、じゃあデザートを頼んでいいかな?」
「分かりました。少々お待ち下さい」
「私の……私の役目なのに……」
食事を済ませ、給仕をしてくれたメイドさんにお礼を言ったところで、セシルがまたメイドさんに対し敵対心を見せる。だけど、今は食後でまだ領主も、そのご家族も離席していない状態だ。そんな場所で火花を散らせている場合じゃないだろとセシルを宥めるが、どこか納得していない様でなにか呪詛の様に呟いている。ちょっと怖いので放置してメイドさんにデザートを頼む。
「で、ヒロ殿。其方はお酒の類はどうなのかな?」
「はい、たしなむ程度には」
「そうか。では、デザートを食べた後でいいから、私の部屋まで来てもらえるかな」
「あ、はい。分かりました」
「うむ、では後ほど」
「はい」
俺に何か話したいことがあるのか、領主は後から部屋に来るようにと言い席を立つ。ご家族も一緒に席を立つのかと思ったが、食後のデザートが楽しみなのだろう。セツをジッと見詰めながらも離れようとしない。そのセツもお子様達から少しずつ食事を与えられる度にプルプルと体を揺らせて喜びを表現するものだから、その度にお子様達は「きゃぁ!」と歓喜の声を上げ、誰がセツに食事を与えるかでケンカしそうになったところで、セツが三体に分かれれば、それぞれのお子様達の前で触手を振って挨拶する。
本体はもちろん俺の元に戻って来ている。
お子様達はセツが分体したことで、目をキラッと輝かせるとさっと手を伸ばし抱き寄せる。そして「私(僕)の!」だからもう返さないとばかりに俺を睨み付ける。
俺は分体だけどセツなのだから、返してほしいと思いセツをジッと見るとまるで「気にするな」と言った風に触手を振っている。
だから、俺も「ま、いっか。飽きれば返してくれるだろ」と安易に考え、余計な抵抗はしないことにした。
それからしばらくしてデザートのショートケーキが目の前に置かれたので、俺はセツと一緒にそれを堪能する。もちろんお子様達もそれぞれの分体と一緒に堪能しているようだ。一番下の男の子はセツ三(セツの分体の三番目)に上げようか葛藤していた。多分、自分で全部食べたかったのだろうが、セツ三が「あ~ん」って感じで体の中心を広げると、その様子に負けてしまったのか少しだけカットしたショートケーキをそこへ放り込むのだった。
だが、葛藤した様子はそこまででセツ三が体を揺らすのを見て顔が綻び気が付けば半分ほどを与えてしまっていた様で「あ……」と哀しそうな顔になっていたので俺はそっとショートケーキを渡す。
「え? あれ? どうして?」
「いらない?」
「あ……ありがとう」
「どういたしまして。ん? 君達も欲しい?」
「はい!」
「うん!」
「じゃ、はい」
「「ありがとう!」」
お子様達は急に目の前に出されたショートケーキに驚いていたが、それよりも「欲しい」気持ちが勝ったようで素直にお礼を言って俺から受け取る。
だが、そんな見るからに微笑ましい光景なのに「見逃しませんから」とでも言いたげに奥さんとセシル、それにオジーとユリアさんもギョッとした目で俺を見ていた。
ま、俺にはショートケーキ一皿しか渡していないのに、お子様達三人の前に一皿ずつ出せば、そりゃ気付くってもんだ。
タネ明かしをするならば、目の前に置かれた瞬間にインベントリに収納し、複製を行った後に元の位置に戻しただけだ。これからケーキはいつでも食べられるねと喜んでいたのだが、末っ子の悲しそうな顔を見て思わず出してしまった。
結果的に俺の能力っぽいことがバレた形にはなるが、まだ領主家族の身内だけだからどうにか出来るだろうという目算もあったが、奥さんの視線が気になる。
お子様達も落ち着いたので、俺もセツを右肩に乗せ席を立つとオジーがご案内しますと先を歩く。セシルも着いて来そうだったので「悪いけど領主と二人にして欲しい」と言えば「まさか!」と言うのでパシッと軽く頭を叩いて「んな訳ないでしょ」と言えば「だって私にも手を出さないからてっきり、そうなのかと」と言い出す。
「あのね……まあいい。俺がイヤになったならいつでも切ってくれればいいから」
「あ! 違います! 例え、ヒロ様が両刀であっても私は気にしませんから!」
「だから、そういうことを言わないの!」
「分かりました。二人だけの秘密ですね。きゃっ! また二人だけの秘密が増えました!」
「……」
「え? ヒロ様?」
「少しは回りを見なよ」
「え? 回りですか?」
セシルは俺に言われるとグル~ッと回りを見渡せば、その場には領主の奥さんもいるし、オジーも後ろを振り返って俺達の様子を見ているし、ユリアさんも口に手を当てておかしそうにしている。そして「これなら私にも」とか言っていた気がするけど、何も聞こえなかった。だよね、セツ。
『ピィ!』
「いえ、ご満足頂けたようでよかったです。デザートにわ「ちょっと!」た……セシルさん。またですか」
「ええ、またですよ! それにヒロ様もなんですか! 私とのお約束をお忘れじゃないでしょうね!」
「セシル」
「はい、なんでしょう!」
「うるさいよ」
「は? 今、うるさいと仰いましたか?」
「うん。食べたばかりなんだから、ちょっと静かにしようか」
「ぐっ……ですが、そのユリアの振る舞いは看過することは出来ません!」
「分かるけど、領主様の前でしょ。俺に礼儀作法を教える人がそういうことをしていいの? なんな「いえ、分かりました。くっ……」ら……そう、じゃあデザートを頼んでいいかな?」
「分かりました。少々お待ち下さい」
「私の……私の役目なのに……」
食事を済ませ、給仕をしてくれたメイドさんにお礼を言ったところで、セシルがまたメイドさんに対し敵対心を見せる。だけど、今は食後でまだ領主も、そのご家族も離席していない状態だ。そんな場所で火花を散らせている場合じゃないだろとセシルを宥めるが、どこか納得していない様でなにか呪詛の様に呟いている。ちょっと怖いので放置してメイドさんにデザートを頼む。
「で、ヒロ殿。其方はお酒の類はどうなのかな?」
「はい、たしなむ程度には」
「そうか。では、デザートを食べた後でいいから、私の部屋まで来てもらえるかな」
「あ、はい。分かりました」
「うむ、では後ほど」
「はい」
俺に何か話したいことがあるのか、領主は後から部屋に来るようにと言い席を立つ。ご家族も一緒に席を立つのかと思ったが、食後のデザートが楽しみなのだろう。セツをジッと見詰めながらも離れようとしない。そのセツもお子様達から少しずつ食事を与えられる度にプルプルと体を揺らせて喜びを表現するものだから、その度にお子様達は「きゃぁ!」と歓喜の声を上げ、誰がセツに食事を与えるかでケンカしそうになったところで、セツが三体に分かれれば、それぞれのお子様達の前で触手を振って挨拶する。
本体はもちろん俺の元に戻って来ている。
お子様達はセツが分体したことで、目をキラッと輝かせるとさっと手を伸ばし抱き寄せる。そして「私(僕)の!」だからもう返さないとばかりに俺を睨み付ける。
俺は分体だけどセツなのだから、返してほしいと思いセツをジッと見るとまるで「気にするな」と言った風に触手を振っている。
だから、俺も「ま、いっか。飽きれば返してくれるだろ」と安易に考え、余計な抵抗はしないことにした。
それからしばらくしてデザートのショートケーキが目の前に置かれたので、俺はセツと一緒にそれを堪能する。もちろんお子様達もそれぞれの分体と一緒に堪能しているようだ。一番下の男の子はセツ三(セツの分体の三番目)に上げようか葛藤していた。多分、自分で全部食べたかったのだろうが、セツ三が「あ~ん」って感じで体の中心を広げると、その様子に負けてしまったのか少しだけカットしたショートケーキをそこへ放り込むのだった。
だが、葛藤した様子はそこまででセツ三が体を揺らすのを見て顔が綻び気が付けば半分ほどを与えてしまっていた様で「あ……」と哀しそうな顔になっていたので俺はそっとショートケーキを渡す。
「え? あれ? どうして?」
「いらない?」
「あ……ありがとう」
「どういたしまして。ん? 君達も欲しい?」
「はい!」
「うん!」
「じゃ、はい」
「「ありがとう!」」
お子様達は急に目の前に出されたショートケーキに驚いていたが、それよりも「欲しい」気持ちが勝ったようで素直にお礼を言って俺から受け取る。
だが、そんな見るからに微笑ましい光景なのに「見逃しませんから」とでも言いたげに奥さんとセシル、それにオジーとユリアさんもギョッとした目で俺を見ていた。
ま、俺にはショートケーキ一皿しか渡していないのに、お子様達三人の前に一皿ずつ出せば、そりゃ気付くってもんだ。
タネ明かしをするならば、目の前に置かれた瞬間にインベントリに収納し、複製を行った後に元の位置に戻しただけだ。これからケーキはいつでも食べられるねと喜んでいたのだが、末っ子の悲しそうな顔を見て思わず出してしまった。
結果的に俺の能力っぽいことがバレた形にはなるが、まだ領主家族の身内だけだからどうにか出来るだろうという目算もあったが、奥さんの視線が気になる。
お子様達も落ち着いたので、俺もセツを右肩に乗せ席を立つとオジーがご案内しますと先を歩く。セシルも着いて来そうだったので「悪いけど領主と二人にして欲しい」と言えば「まさか!」と言うのでパシッと軽く頭を叩いて「んな訳ないでしょ」と言えば「だって私にも手を出さないからてっきり、そうなのかと」と言い出す。
「あのね……まあいい。俺がイヤになったならいつでも切ってくれればいいから」
「あ! 違います! 例え、ヒロ様が両刀であっても私は気にしませんから!」
「だから、そういうことを言わないの!」
「分かりました。二人だけの秘密ですね。きゃっ! また二人だけの秘密が増えました!」
「……」
「え? ヒロ様?」
「少しは回りを見なよ」
「え? 回りですか?」
セシルは俺に言われるとグル~ッと回りを見渡せば、その場には領主の奥さんもいるし、オジーも後ろを振り返って俺達の様子を見ているし、ユリアさんも口に手を当てておかしそうにしている。そして「これなら私にも」とか言っていた気がするけど、何も聞こえなかった。だよね、セツ。
『ピィ!』
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