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第1章 ここが異世界
第37話 『据え膳食わぬは男の恥』とは言うけどさ
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俺の問い掛けに女性はまさかのまさかと返してくる。
「えっと、それはどういう意味なのかな?」
「では、初めに申しておきますが私がこういう対応をするのは客様が初めてです」
「それはどうも……」
「そして、私が命じられたのは客様の世話はもちろんですが……その……」
「ん?」
女性は俺の問いに対しこういった対応をするのは初めてだと言う。その割りには慣れた様に感じるが、今は何も言わない方がいいだろうと思い軽く対応する。だが、その後のことに対しなんだか口調が改まるのを不思議に思う。
「もし、言いづらいことならムリすることはないし。なんなら、俺から領主にモノ言ってもいいし」
「違うんです! そういう訳ではないんです」
「ん?」
「その……客様から見て私のことどう思いますか?」
「へ?」
「ですから、私の全てを見てどう思うのかということです。どうですか? 私なりにはそれなりかと思うのですが……」
「え?」
「ダメですか?」
「ちょ、ちょっと待って!」
女性が自慢するかのように胸を両手で持ち上げ、どうでしょうかと主張して来たことでなんとなくお世話の意味が分かってしまった。
「やはり、ダメですか? 好色と言われる客様が手を出さないというのはそういうことですよね。ハァ~これでも自分の体には多少なりとも自信があったのですが……残念です」
「あ……ごめん……」
「いえ、客様が謝ることではありません。ですが、私ももう年が年なのでしょうがありません。どうかお気になさらないでください。代りの者がすぐに来るとは思いますが、どうかよろしくお願いします」
「あ~だから、そうじゃなくて……」
「分かっていますから、旦那様には私の方から報告しておきますので、ご心配なく」
「だから!」
「え?」
俺は女性が自分を卑下していることにガマン出来ずに思わず女性の両肩をガッシリと掴むと「聞いて!」と口から出ていた。
「あの……」
「あ、ゴメン。痛かったよね」
「いえ、そうではないのですが……どうかしましたか?」
「えっと……」
思わず両肩を掴んでしまったことで、思いっ切り正面から向き合うことになり所在なさげに浮かんでいる双丘も目にすることになってしまい焦ってしまうが、今は女性をなんとか宥めるのが先だと「そうじゃないから!」と口走ってしまう。
「え?」
「だから、俺が女性に手を出さないことを問題視しているみたいだけど、そうじゃないから!」
「でも……」
「だから、俺と女性はさっき会ったばかりの名も知らぬ初対面同士でしょ。それなのに襲われること前提と言うのは……なんと言うか、絶対に間違っている!」
「あ! そうでした。遅くなりましたが私の名はセシルと言います」
「あ、ども……俺はヒロと言います」
「じゃ、お互い名乗ったということでどうぞ」
「だから、違ぁ~う!」
「え?」
俺は確かに互いに名乗っていなかったことから、名前も知らない人を襲うことはないと言えば、女性は名前を名乗った後にどうぞと四肢を広げるが、違うから!
「えっと、まだ何かありましたか?」
「違うから! そりゃ『据え膳食わぬは男の恥』とはあるけど、俺にもそれなりの矜持はあるから! なんでもいいって訳じゃないから!」
「え? ですが、客様には願ってもない状況だと思いますけど?」
「いやいやいや、そうだけどそうじゃないから!」
「むぅ~難しいですね」
「だから、確かに名前も知ることは出来たけど、分かったのはそれだけでしょ、お互いの年も知らなければ、趣味嗜好も知らないしまともに話したこともない男女がそういう風になるのはおかしいからね」
「でも、客様は「違うから!」……え?」
「そりゃ、今までの客はそうだったかも知れないけど、俺は違うから!」
「ですが……」
「だからぁ!」
女性はどこか焦燥感を漂わせながら俺が襲わないことに対し不満というよりは不安になっているように思える。
でも、俺としてはさっき名前を知ったばかりの女性がいくら目の前に全裸でカモ~ンと言ってきたとしても食指はピクリとも動かない。
女性の容姿は女性が言うように『かなりのもの』だと言うのは見て納得だ。だからと言って、即手を出すかと言われれば、まだ日本の道徳心が頑張っている。
そんな俺の態度に話に聞いていた客の様子と違うということに気づき始めた女性だが、それはそれで女性自身が困ったことになるという感じで焦燥感が表に出てくる。
なので俺は正直に話す。お金で済ませる場所であれば、正直文句なしに野獣に変わるが、人から命令され「襲われろ」と言われた女性に対しそれは出来ないと話す。
「そうですか……」
「なあ、何をそんなに焦っているの?」
「えっと、それはどういう意味なのかな?」
「では、初めに申しておきますが私がこういう対応をするのは客様が初めてです」
「それはどうも……」
「そして、私が命じられたのは客様の世話はもちろんですが……その……」
「ん?」
女性は俺の問いに対しこういった対応をするのは初めてだと言う。その割りには慣れた様に感じるが、今は何も言わない方がいいだろうと思い軽く対応する。だが、その後のことに対しなんだか口調が改まるのを不思議に思う。
「もし、言いづらいことならムリすることはないし。なんなら、俺から領主にモノ言ってもいいし」
「違うんです! そういう訳ではないんです」
「ん?」
「その……客様から見て私のことどう思いますか?」
「へ?」
「ですから、私の全てを見てどう思うのかということです。どうですか? 私なりにはそれなりかと思うのですが……」
「え?」
「ダメですか?」
「ちょ、ちょっと待って!」
女性が自慢するかのように胸を両手で持ち上げ、どうでしょうかと主張して来たことでなんとなくお世話の意味が分かってしまった。
「やはり、ダメですか? 好色と言われる客様が手を出さないというのはそういうことですよね。ハァ~これでも自分の体には多少なりとも自信があったのですが……残念です」
「あ……ごめん……」
「いえ、客様が謝ることではありません。ですが、私ももう年が年なのでしょうがありません。どうかお気になさらないでください。代りの者がすぐに来るとは思いますが、どうかよろしくお願いします」
「あ~だから、そうじゃなくて……」
「分かっていますから、旦那様には私の方から報告しておきますので、ご心配なく」
「だから!」
「え?」
俺は女性が自分を卑下していることにガマン出来ずに思わず女性の両肩をガッシリと掴むと「聞いて!」と口から出ていた。
「あの……」
「あ、ゴメン。痛かったよね」
「いえ、そうではないのですが……どうかしましたか?」
「えっと……」
思わず両肩を掴んでしまったことで、思いっ切り正面から向き合うことになり所在なさげに浮かんでいる双丘も目にすることになってしまい焦ってしまうが、今は女性をなんとか宥めるのが先だと「そうじゃないから!」と口走ってしまう。
「え?」
「だから、俺が女性に手を出さないことを問題視しているみたいだけど、そうじゃないから!」
「でも……」
「だから、俺と女性はさっき会ったばかりの名も知らぬ初対面同士でしょ。それなのに襲われること前提と言うのは……なんと言うか、絶対に間違っている!」
「あ! そうでした。遅くなりましたが私の名はセシルと言います」
「あ、ども……俺はヒロと言います」
「じゃ、お互い名乗ったということでどうぞ」
「だから、違ぁ~う!」
「え?」
俺は確かに互いに名乗っていなかったことから、名前も知らない人を襲うことはないと言えば、女性は名前を名乗った後にどうぞと四肢を広げるが、違うから!
「えっと、まだ何かありましたか?」
「違うから! そりゃ『据え膳食わぬは男の恥』とはあるけど、俺にもそれなりの矜持はあるから! なんでもいいって訳じゃないから!」
「え? ですが、客様には願ってもない状況だと思いますけど?」
「いやいやいや、そうだけどそうじゃないから!」
「むぅ~難しいですね」
「だから、確かに名前も知ることは出来たけど、分かったのはそれだけでしょ、お互いの年も知らなければ、趣味嗜好も知らないしまともに話したこともない男女がそういう風になるのはおかしいからね」
「でも、客様は「違うから!」……え?」
「そりゃ、今までの客はそうだったかも知れないけど、俺は違うから!」
「ですが……」
「だからぁ!」
女性はどこか焦燥感を漂わせながら俺が襲わないことに対し不満というよりは不安になっているように思える。
でも、俺としてはさっき名前を知ったばかりの女性がいくら目の前に全裸でカモ~ンと言ってきたとしても食指はピクリとも動かない。
女性の容姿は女性が言うように『かなりのもの』だと言うのは見て納得だ。だからと言って、即手を出すかと言われれば、まだ日本の道徳心が頑張っている。
そんな俺の態度に話に聞いていた客の様子と違うということに気づき始めた女性だが、それはそれで女性自身が困ったことになるという感じで焦燥感が表に出てくる。
なので俺は正直に話す。お金で済ませる場所であれば、正直文句なしに野獣に変わるが、人から命令され「襲われろ」と言われた女性に対しそれは出来ないと話す。
「そうですか……」
「なあ、何をそんなに焦っているの?」
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