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第1章 ここが異世界
第36話 先人の罪
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「なんだか調子が狂うなぁ……」
「さ、こちらへどうぞ」
「はぁ」
「あの、タオルは……」
「勘弁してください。頼みます」
「ふふふ、分かりました」
「ホント、勘弁して……」
全裸でシャワーヘッドを持ちながら湯温を調整していた女性から近寄る様に言われたので不本意ながらも俺は言われるままに近寄れば局部を隠していたタオルを取る様に言われるが流石に全裸を晒すのは恥ずかしいので勘弁して貰う。相手の女性は全裸で対応しているというのに何を恥ずかしがっているんだという話だがホントに勘弁して欲しい。
俺が女性の側に近付くと「失礼します」と言ってシャワーを使って足下から胸元までゆっくりとお湯を掛ける。
「熱くはないですか?」
「……はい、大丈夫です」
「では、頭に掛けますね」
「はい、お願いします」
もう、ここまで来たら下手に抵抗するよりは女性に任せてしまおうとある意味開き直って為すがままだが、股間のタオルだけは取れない様にしっかりと抑えていた。
また、シャワーを浴びせられながらというのもあり、顔は自然と下を向くことになる為、女性を直視することはないが、イヤでも下半身が目に入り「あ! やっぱり金髪なんだな」とか考えていたのがダメだった。
やはり健康な成人男性だから、意識してもしなくても一部分が元気になる。俺は女性にバレない様に更に力を込めて股間を押さえていると「終わりましたよ」と声を掛けられたので女性にお礼を言うと湯舟に向かって飛び込む。
「あ、タオルはダメですよ!」
「……はい」
女性からの指摘を受け、俺は湯舟に浸かってから隠していたタオルを取り、湯舟の縁に置くと女性を背にするように湯舟の端まで移動する。
「それにしても無駄に広いよな~でも、落ち着く……」
『ピィ!』
「セツ、いたのなら助けてくれよぉ~」
『ピ?』
「失礼します」
「え?」
「あら、ダメでした?」
「いや、ダメと言うか……これだけ広いんだから、何も横に来なくても」
「いいじゃないですか。お嫌なら離れますけど?」
「イヤじゃないけど……いいの?」
「どういう意味でしょうか?」
「どういう意味って……だから、初対面の俺と風呂に入ることに抵抗がないのかということなんだけど」
「あぁ~そういうことですか。ふふふ」
「なんか軽いね」
こんなに広い湯舟なのに女性は俺の近くに寄ってきた。だから、俺は照れくささから驚いたんだけど、女性は何も気にする様子がないから「なんで平気なの?」と聞けば、特段気にしていることはないみたいだった。それはそれで男として見ていられないとも言える訳で少しだけ胸がチクッとする。
女性は湯舟の中で自分の体のあちこちをマッサージするかのように撫で回した後で俺の方を見て「慣れましたから」と言う。
「え?」
「ですから、私達女性メイドはお客様の様な殿方をサポートするのは珍しいことではありません。なので、慣れてしまいました」
「そうなの?」
「はい。意外ですか?」
「あ、いや。そうじゃなくて……」
「軽蔑されますか?」
「ん~そうじゃないんだよ」
「では、同情でしょうか?」
「それもちょっと違うかな」
「ふぅ~客様と聞いていましたが、私が話に聞いていたのと少々異なる様ですね」
「あっ俺のこと聞いてるんだ」
「はい。旦那様からは失礼の無いようにと……それと……」
「ん?」
「出来るだけ、願いは聞いてやれとも……決して悪いようにはしないからと」
「へ?」
女性は領主から俺の願いをなるべく断らないようにと言付けられていると聞き、なんのことだろうと不思議に思うが、女性が聞いていた客と違うと言われたことの方が気になったので、どういう風に伝わっているのかを聞いてみた。
「そうですね、私が聞いていた話ではとにかく好色であること。それは男性だけでなく女性の場合でも同じだと聞いています」
「えぇ、ちょっとそれは……」
「はい。お客様はどちらかというと……ムッツリですよね。ですが、私が聞いていたのは男性であればどうにかしてハーレムを築こうと頑張ってみた結果、女性に逃げられても諦められずに奴隷を購入しセクハラで訴えられ投獄されたとか。女性の場合にはイケメンばかりを侍らせて多くの女性から嫌悪感を持たれハブられたとか……そういうところでしょうか」
「へぇ~いや、なんとなく気持ちが分からないでもないかな」
「もしかしてハーレム願望がおありですか?」
「いやいやいや、そんな……ちょっとはあるかな……」
「ふふふ、まあ男性であればそう願う気持ちは理解出来ますが、いくら奴隷でも無理強いは罰せられますから注意してくださいね」
「奴隷……」
「はい。奴隷制度はまだ根強く残っています。客様達の世界にはほぼない制度だと聞いています。嫌悪感はあるかと思いますが、あまり関与することはお勧め出来ません」
「あ~まあ、そうだよね」
ふと気になり先人の客が何をしでかして、どういう先入観を持たれているのかを知ることは出来たが、俺の感想としては「なにやってんの?」だ。
まあ、確かに異世界と言えば、『俺TUEEEEE』に『ハーレム』を夢みるのは分からないでもない。でも、この世界の理を無視してまで叶えたいとか叶えようとは思わない。
それに流れで奴隷を購入してホニャララと言うのもありがちな話だが、俺にはセツ以外の面倒を見る余裕は今のところない。そしてもう一つ気になったことを女性に聞いてみる。
「領主から言われている俺の願いを断るなってのは具体的にどういうことなの? 単純に俺の身の回りの世話だと思っておけばいいのかな?」
「ふふふ、まさか」
「え?」
「さ、こちらへどうぞ」
「はぁ」
「あの、タオルは……」
「勘弁してください。頼みます」
「ふふふ、分かりました」
「ホント、勘弁して……」
全裸でシャワーヘッドを持ちながら湯温を調整していた女性から近寄る様に言われたので不本意ながらも俺は言われるままに近寄れば局部を隠していたタオルを取る様に言われるが流石に全裸を晒すのは恥ずかしいので勘弁して貰う。相手の女性は全裸で対応しているというのに何を恥ずかしがっているんだという話だがホントに勘弁して欲しい。
俺が女性の側に近付くと「失礼します」と言ってシャワーを使って足下から胸元までゆっくりとお湯を掛ける。
「熱くはないですか?」
「……はい、大丈夫です」
「では、頭に掛けますね」
「はい、お願いします」
もう、ここまで来たら下手に抵抗するよりは女性に任せてしまおうとある意味開き直って為すがままだが、股間のタオルだけは取れない様にしっかりと抑えていた。
また、シャワーを浴びせられながらというのもあり、顔は自然と下を向くことになる為、女性を直視することはないが、イヤでも下半身が目に入り「あ! やっぱり金髪なんだな」とか考えていたのがダメだった。
やはり健康な成人男性だから、意識してもしなくても一部分が元気になる。俺は女性にバレない様に更に力を込めて股間を押さえていると「終わりましたよ」と声を掛けられたので女性にお礼を言うと湯舟に向かって飛び込む。
「あ、タオルはダメですよ!」
「……はい」
女性からの指摘を受け、俺は湯舟に浸かってから隠していたタオルを取り、湯舟の縁に置くと女性を背にするように湯舟の端まで移動する。
「それにしても無駄に広いよな~でも、落ち着く……」
『ピィ!』
「セツ、いたのなら助けてくれよぉ~」
『ピ?』
「失礼します」
「え?」
「あら、ダメでした?」
「いや、ダメと言うか……これだけ広いんだから、何も横に来なくても」
「いいじゃないですか。お嫌なら離れますけど?」
「イヤじゃないけど……いいの?」
「どういう意味でしょうか?」
「どういう意味って……だから、初対面の俺と風呂に入ることに抵抗がないのかということなんだけど」
「あぁ~そういうことですか。ふふふ」
「なんか軽いね」
こんなに広い湯舟なのに女性は俺の近くに寄ってきた。だから、俺は照れくささから驚いたんだけど、女性は何も気にする様子がないから「なんで平気なの?」と聞けば、特段気にしていることはないみたいだった。それはそれで男として見ていられないとも言える訳で少しだけ胸がチクッとする。
女性は湯舟の中で自分の体のあちこちをマッサージするかのように撫で回した後で俺の方を見て「慣れましたから」と言う。
「え?」
「ですから、私達女性メイドはお客様の様な殿方をサポートするのは珍しいことではありません。なので、慣れてしまいました」
「そうなの?」
「はい。意外ですか?」
「あ、いや。そうじゃなくて……」
「軽蔑されますか?」
「ん~そうじゃないんだよ」
「では、同情でしょうか?」
「それもちょっと違うかな」
「ふぅ~客様と聞いていましたが、私が話に聞いていたのと少々異なる様ですね」
「あっ俺のこと聞いてるんだ」
「はい。旦那様からは失礼の無いようにと……それと……」
「ん?」
「出来るだけ、願いは聞いてやれとも……決して悪いようにはしないからと」
「へ?」
女性は領主から俺の願いをなるべく断らないようにと言付けられていると聞き、なんのことだろうと不思議に思うが、女性が聞いていた客と違うと言われたことの方が気になったので、どういう風に伝わっているのかを聞いてみた。
「そうですね、私が聞いていた話ではとにかく好色であること。それは男性だけでなく女性の場合でも同じだと聞いています」
「えぇ、ちょっとそれは……」
「はい。お客様はどちらかというと……ムッツリですよね。ですが、私が聞いていたのは男性であればどうにかしてハーレムを築こうと頑張ってみた結果、女性に逃げられても諦められずに奴隷を購入しセクハラで訴えられ投獄されたとか。女性の場合にはイケメンばかりを侍らせて多くの女性から嫌悪感を持たれハブられたとか……そういうところでしょうか」
「へぇ~いや、なんとなく気持ちが分からないでもないかな」
「もしかしてハーレム願望がおありですか?」
「いやいやいや、そんな……ちょっとはあるかな……」
「ふふふ、まあ男性であればそう願う気持ちは理解出来ますが、いくら奴隷でも無理強いは罰せられますから注意してくださいね」
「奴隷……」
「はい。奴隷制度はまだ根強く残っています。客様達の世界にはほぼない制度だと聞いています。嫌悪感はあるかと思いますが、あまり関与することはお勧め出来ません」
「あ~まあ、そうだよね」
ふと気になり先人の客が何をしでかして、どういう先入観を持たれているのかを知ることは出来たが、俺の感想としては「なにやってんの?」だ。
まあ、確かに異世界と言えば、『俺TUEEEEE』に『ハーレム』を夢みるのは分からないでもない。でも、この世界の理を無視してまで叶えたいとか叶えようとは思わない。
それに流れで奴隷を購入してホニャララと言うのもありがちな話だが、俺にはセツ以外の面倒を見る余裕は今のところない。そしてもう一つ気になったことを女性に聞いてみる。
「領主から言われている俺の願いを断るなってのは具体的にどういうことなの? 単純に俺の身の回りの世話だと思っておけばいいのかな?」
「ふふふ、まさか」
「え?」
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