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第34話 お祝いは討伐で
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恒は明良達と別行動となり、数日経つが今日も依頼を求めてギルドへとやってくる。
「やっぱり、いいのはないね」
「旦那様よ。もう、昼近くになるのじゃ。ちと、ゆっくりしすぎなのじゃ」
「そうかな。でもさ、『残り物には福がある』って言うでしょ」
「聞いたことないのじゃ」
「小夜って、ホントどこから来たの?」
「妾に聞かれてもそれは分からないのじゃ」
「ふ~ん、俺達みたいに喚ばれたと思ったけど違うのかな」
恒はそんなことよりもと依頼書が張られている掲示板を黙って見ている。
「あ、ワタルさん。よかった、まだ依頼は受けてないですよね」
そう言って恒を呼び止めたのは、犬耳の受付のお姉さん。名前はリズだ。
「リズさん。何かありました?」
「いえ、いつものオークの買い取りがまだあればお願いしたいと言われてまして。それとランクアップのことについてギルマスが部屋まで来て欲しいそうです」
「……じゃあ、先に解体倉庫に行ってから部屋に行くって言っといて下さい」
「分かりました。では、お願いします」
恒は一度、ギルドを出ると解体倉庫に入り挨拶する。
「こんにちは~来ましたよ~」
「おう、来たな坊主! 今日は十体出してくれ」
「はい。分かりました」
いつも通りに慣れた手つきでオークを見せかけのマジックバッグから十体取り出し、適当に頭を揃えて床に並べる。
「う~ん、いつもの通り。切り口もキレイだし、体に余計な傷もない。しかも今仕留めたばかりのようにまだ温かい。やっぱり、坊主のは特上だな。ほれ、持ってけ!」
「いつも、ありがとうございます!」
「おう! また、頼むな」
解体職人のパリーさんから伝票を受け取ると解体倉庫から出る。
また、ギルドに入るとリズさんに伝票を渡し処理を頼むとギルマスの部屋へ向かう。
「こんにちは」
「遅い!」
ギルマスの執務室に入るなり、そう言われてしまう。
「遅いって言いますけど、別に約束してないでしょ」
「それでもだ!」
「横暴じゃな」
「それで、用事はなんですか? ランクアップとか聞きましたけど」
「おう、そうだ。ジェネラル・オークの討伐もあったし、さすがにFランクのままにはしておけないとなってな。とりあえずDランクだな。Cランクに上げるには試験もあるしな。だから、ここまでが俺に出来る精一杯だ。ほれ、カードをよこせ」
恒はマジックバッグからカードを取り出すとギルマスへと渡す。
ギルマスはそれを受け取ると、新しい冒険者ライセンスカードを二枚恒に渡す。
「へぇ~これがDランクのカードなんだ。もう一枚は?」
「そっちの嬢ちゃんのだ。あった方がいいだろ」
「妾のか? どれ。むっ! なんじゃEランクじゃと。これは間違いなのじゃ!」
「ああ、それで合ってるぞ。嬢ちゃんはワタルの所有武器だろ。それなら、同ランクはおかしかろうと思ってな」
「まあ、そういうことならしょうがないのじゃ」
文句を言いながらも小夜は自分の冒険者ライセンスカードを嬉しそうに眺めている。
「それとこれが、ランクアップした祝いだ。ほれ」
「お祝いなんていいのに……って」
「どうしたのじゃ? お主、これはお祝いとは言わんぞ」
恒はギルマスから渡された一枚の紙。依頼書に目を通す。そして、同じ様に依頼書に目を通した小夜がギルマスに文句を言う。
「そうか? Cランクの依頼だし。報酬もそれなりだろ?」
「でも、これって……盗賊団の討伐でしょ?」
「ああ。で、それを成功させたら晴れてCランクの仲間入りだ」
「やっぱり、いいのはないね」
「旦那様よ。もう、昼近くになるのじゃ。ちと、ゆっくりしすぎなのじゃ」
「そうかな。でもさ、『残り物には福がある』って言うでしょ」
「聞いたことないのじゃ」
「小夜って、ホントどこから来たの?」
「妾に聞かれてもそれは分からないのじゃ」
「ふ~ん、俺達みたいに喚ばれたと思ったけど違うのかな」
恒はそんなことよりもと依頼書が張られている掲示板を黙って見ている。
「あ、ワタルさん。よかった、まだ依頼は受けてないですよね」
そう言って恒を呼び止めたのは、犬耳の受付のお姉さん。名前はリズだ。
「リズさん。何かありました?」
「いえ、いつものオークの買い取りがまだあればお願いしたいと言われてまして。それとランクアップのことについてギルマスが部屋まで来て欲しいそうです」
「……じゃあ、先に解体倉庫に行ってから部屋に行くって言っといて下さい」
「分かりました。では、お願いします」
恒は一度、ギルドを出ると解体倉庫に入り挨拶する。
「こんにちは~来ましたよ~」
「おう、来たな坊主! 今日は十体出してくれ」
「はい。分かりました」
いつも通りに慣れた手つきでオークを見せかけのマジックバッグから十体取り出し、適当に頭を揃えて床に並べる。
「う~ん、いつもの通り。切り口もキレイだし、体に余計な傷もない。しかも今仕留めたばかりのようにまだ温かい。やっぱり、坊主のは特上だな。ほれ、持ってけ!」
「いつも、ありがとうございます!」
「おう! また、頼むな」
解体職人のパリーさんから伝票を受け取ると解体倉庫から出る。
また、ギルドに入るとリズさんに伝票を渡し処理を頼むとギルマスの部屋へ向かう。
「こんにちは」
「遅い!」
ギルマスの執務室に入るなり、そう言われてしまう。
「遅いって言いますけど、別に約束してないでしょ」
「それでもだ!」
「横暴じゃな」
「それで、用事はなんですか? ランクアップとか聞きましたけど」
「おう、そうだ。ジェネラル・オークの討伐もあったし、さすがにFランクのままにはしておけないとなってな。とりあえずDランクだな。Cランクに上げるには試験もあるしな。だから、ここまでが俺に出来る精一杯だ。ほれ、カードをよこせ」
恒はマジックバッグからカードを取り出すとギルマスへと渡す。
ギルマスはそれを受け取ると、新しい冒険者ライセンスカードを二枚恒に渡す。
「へぇ~これがDランクのカードなんだ。もう一枚は?」
「そっちの嬢ちゃんのだ。あった方がいいだろ」
「妾のか? どれ。むっ! なんじゃEランクじゃと。これは間違いなのじゃ!」
「ああ、それで合ってるぞ。嬢ちゃんはワタルの所有武器だろ。それなら、同ランクはおかしかろうと思ってな」
「まあ、そういうことならしょうがないのじゃ」
文句を言いながらも小夜は自分の冒険者ライセンスカードを嬉しそうに眺めている。
「それとこれが、ランクアップした祝いだ。ほれ」
「お祝いなんていいのに……って」
「どうしたのじゃ? お主、これはお祝いとは言わんぞ」
恒はギルマスから渡された一枚の紙。依頼書に目を通す。そして、同じ様に依頼書に目を通した小夜がギルマスに文句を言う。
「そうか? Cランクの依頼だし。報酬もそれなりだろ?」
「でも、これって……盗賊団の討伐でしょ?」
「ああ。で、それを成功させたら晴れてCランクの仲間入りだ」
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