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第32話 貨幣価値
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金貨の入った革袋を受付でもらった恒だが、この金貨十枚の貨幣価値がよく分からない。ミモネに聞こうと思ったが、知っているとは思えない。
「ま、いいか。あいつらの様子を見てからにしよう」
恒はギルド横に併設されている訓練場に向かうと、ドリーと撃ち合っている明良が目に入る。
「へ~頑張ってるんだ。由香は……魔法制御の練習ね。じゃあ、久美は……何、やってるんだアレは?」
明良はドリーと剣術の稽古、由香は魔法制御を訓練中、久美はと言えば、知らない誰かに打ち込まれていた。
「あれ? 久美には届いてない?」
「あれは女子が障壁を張っているのじゃ」
「へぇ~障壁ね。支援系にも色々あるんだな」
「なあ、旦那様よ。査定が終わったら来てくれと言っていたが、それまで暇じゃ」
「暇って言われても、もうすぐ日暮れだぞ。だから、ギルドに寄るのは明日だよ」
「そうは言われても暇な物は暇なのじゃ!」
「あ~もう、面倒だ! 『解除』」
『な、何をするのじゃ!』
その場で妖刀に戻った小夜を腰に差すとギルドの訓練場を後にする。
「おかえり~ワタル!」
「ただいま、ミリー」
宿に戻った恒は出迎えてくれたミリーの頭をくしゃくしゃにする。
「やめろよ~ワタル~」
「ちょっと、ウチのミリーに乱暴……って、ワタルじゃない。お帰り。今日は初依頼だったんだろ。どうだった?」
「うん、上手くいったよ。あ、そうだ。女将さん。ちょっと、聞きたいんだけどいい?」
「なんだい? 面倒なことなら勘弁だよ」
女将に言われた恒は、そんな難しいことじゃないからと金貨の入った革袋を取り出すと、その中から金貨を一枚取り出し、女将に見せる。
「へぇ~初依頼で金貨をもらえたのかい。随分、羽振りがいいね。で、聞きたいことってのは?」
「うん、そのね。俺はこの国に来たばかりだから、この金貨の貨幣価値が分からないんだ。申し訳ないけど、この金貨を細かいのに両替して教えて欲しい」
「あ~そういうことかい。まあ、こういうのはドリーじゃ分からないだろうね。いいよ。ちょっと、用意してくるから待ってな」
女将に言われた恒はミリーと一緒に食堂のテーブルに大人しく待つ。
しばらくして、女将がトレイの上に革袋をいくつか載せて戻ってくる。
「はいよ。お待たせ」
恒の待つテーブルの上に重そうなトレイをドスッと載せる。
「じゃあ、説明するよ。いいかい?」
「うん。お願い」
「いいかい? これが恒から預かった金貨。これと同じ価値が銀貨百枚。そして、その銀貨一枚と同じ価値が銅貨十枚、その銅貨一枚と同じ価値が鉄貨十枚。そしてその鉄貨一枚と同じ価値が銭貨十枚になり、銭貨一枚が一番小さい貨幣だよ」
そう説明すると、恒に銀貨九十九枚、銅貨九枚、鉄貨九枚、銭貨十枚を金貨一枚の両替分として渡す。
「本当なら、手数料も取るところだけど、今回はサービスね。ちゃんと他の子達にも教えておくんだよ。それと、宿代はちゃんと稼げるようになってからでいいからね」
「ちなみに宿代は?」
「そうさね、ドリーの分を除いて、あんた達四人分で二部屋に朝晩の二食で一泊銀貨二十枚ってとこだね」
「なら、一週間分で銀貨百四十枚なら、金貨一枚と銀貨四十枚か。ってことは一月四週間として、銀貨五百六十枚だから金貨五枚と銀貨六十枚だね」
恒はそう言うと革袋の中から金貨五枚を取り出し、まだトレイの上に乗っていた銀貨六十枚を女将に渡す。
「え?」
「ワタル、すご~い!」
「とりあえず、四週間分ね。確かめて」
「いいのかい? そりゃ、私は助かるけど……」
「まずは寝泊まりするところとご飯は大事なので。それでお願い」
「分かったよ。じゃあ、有り難くちょうだいするよ」
女将がほくほくとしたいい笑顔で奧に引っ込んだところで明良達が訓練から戻って来た。
「恒、もう帰っていたのか」
「どうだったの。初依頼は?」
「バッサバッサのグッチャグチャ?」
「聞きたい?」
「「「聞きたい!」」」
「じゃあ、ご飯が出てくるまでの暇潰しに話すよ」
「「「うん!」」」
「はい、今日の夕食だよ。ん? おにいちゃんたちどうしたの?」
「ミリー、ありがとう。明良達はもう少ししたら食べるから大丈夫だよ」
「そう?」
ミリーは明良達を心配そうに見ていたが、恒の言葉を信じ厨房に戻る。
「なんて話を聞かせるんだよ……うぷっ」
「そうよ! ご飯前に聞かせる話じゃないでしょ! うっ!」
「本当にグチャグチャの話だった……で、おかずがハンバーグ……おっ!」
「そっちが聞きたいて言うから話したのに」
どこか納得出来ない恒だった。
「ま、いいか。あいつらの様子を見てからにしよう」
恒はギルド横に併設されている訓練場に向かうと、ドリーと撃ち合っている明良が目に入る。
「へ~頑張ってるんだ。由香は……魔法制御の練習ね。じゃあ、久美は……何、やってるんだアレは?」
明良はドリーと剣術の稽古、由香は魔法制御を訓練中、久美はと言えば、知らない誰かに打ち込まれていた。
「あれ? 久美には届いてない?」
「あれは女子が障壁を張っているのじゃ」
「へぇ~障壁ね。支援系にも色々あるんだな」
「なあ、旦那様よ。査定が終わったら来てくれと言っていたが、それまで暇じゃ」
「暇って言われても、もうすぐ日暮れだぞ。だから、ギルドに寄るのは明日だよ」
「そうは言われても暇な物は暇なのじゃ!」
「あ~もう、面倒だ! 『解除』」
『な、何をするのじゃ!』
その場で妖刀に戻った小夜を腰に差すとギルドの訓練場を後にする。
「おかえり~ワタル!」
「ただいま、ミリー」
宿に戻った恒は出迎えてくれたミリーの頭をくしゃくしゃにする。
「やめろよ~ワタル~」
「ちょっと、ウチのミリーに乱暴……って、ワタルじゃない。お帰り。今日は初依頼だったんだろ。どうだった?」
「うん、上手くいったよ。あ、そうだ。女将さん。ちょっと、聞きたいんだけどいい?」
「なんだい? 面倒なことなら勘弁だよ」
女将に言われた恒は、そんな難しいことじゃないからと金貨の入った革袋を取り出すと、その中から金貨を一枚取り出し、女将に見せる。
「へぇ~初依頼で金貨をもらえたのかい。随分、羽振りがいいね。で、聞きたいことってのは?」
「うん、そのね。俺はこの国に来たばかりだから、この金貨の貨幣価値が分からないんだ。申し訳ないけど、この金貨を細かいのに両替して教えて欲しい」
「あ~そういうことかい。まあ、こういうのはドリーじゃ分からないだろうね。いいよ。ちょっと、用意してくるから待ってな」
女将に言われた恒はミリーと一緒に食堂のテーブルに大人しく待つ。
しばらくして、女将がトレイの上に革袋をいくつか載せて戻ってくる。
「はいよ。お待たせ」
恒の待つテーブルの上に重そうなトレイをドスッと載せる。
「じゃあ、説明するよ。いいかい?」
「うん。お願い」
「いいかい? これが恒から預かった金貨。これと同じ価値が銀貨百枚。そして、その銀貨一枚と同じ価値が銅貨十枚、その銅貨一枚と同じ価値が鉄貨十枚。そしてその鉄貨一枚と同じ価値が銭貨十枚になり、銭貨一枚が一番小さい貨幣だよ」
そう説明すると、恒に銀貨九十九枚、銅貨九枚、鉄貨九枚、銭貨十枚を金貨一枚の両替分として渡す。
「本当なら、手数料も取るところだけど、今回はサービスね。ちゃんと他の子達にも教えておくんだよ。それと、宿代はちゃんと稼げるようになってからでいいからね」
「ちなみに宿代は?」
「そうさね、ドリーの分を除いて、あんた達四人分で二部屋に朝晩の二食で一泊銀貨二十枚ってとこだね」
「なら、一週間分で銀貨百四十枚なら、金貨一枚と銀貨四十枚か。ってことは一月四週間として、銀貨五百六十枚だから金貨五枚と銀貨六十枚だね」
恒はそう言うと革袋の中から金貨五枚を取り出し、まだトレイの上に乗っていた銀貨六十枚を女将に渡す。
「え?」
「ワタル、すご~い!」
「とりあえず、四週間分ね。確かめて」
「いいのかい? そりゃ、私は助かるけど……」
「まずは寝泊まりするところとご飯は大事なので。それでお願い」
「分かったよ。じゃあ、有り難くちょうだいするよ」
女将がほくほくとしたいい笑顔で奧に引っ込んだところで明良達が訓練から戻って来た。
「恒、もう帰っていたのか」
「どうだったの。初依頼は?」
「バッサバッサのグッチャグチャ?」
「聞きたい?」
「「「聞きたい!」」」
「じゃあ、ご飯が出てくるまでの暇潰しに話すよ」
「「「うん!」」」
「はい、今日の夕食だよ。ん? おにいちゃんたちどうしたの?」
「ミリー、ありがとう。明良達はもう少ししたら食べるから大丈夫だよ」
「そう?」
ミリーは明良達を心配そうに見ていたが、恒の言葉を信じ厨房に戻る。
「なんて話を聞かせるんだよ……うぷっ」
「そうよ! ご飯前に聞かせる話じゃないでしょ! うっ!」
「本当にグチャグチャの話だった……で、おかずがハンバーグ……おっ!」
「そっちが聞きたいて言うから話したのに」
どこか納得出来ない恒だった。
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