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第11話 もげるがいい!
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ケイン君達との話を終えた僕はお腹いっぱいになるくらいの山盛りの課題を抱えたまま家に帰り「ただいま」と声を掛ければ「おかえりなさ~い」「なさい」と走り寄ってくる娘とまだよちよち歩きの息子が出迎えてくれた。
「お帰りなさい。今日は早かったのね」
「ちょっとね……」
「随分、疲れた顔してるわね。先にお風呂に入ってスッキリしちゃえば?」
「うん、そうするよ」
「ほら、あなた達も」
「「は~い!」」
「おい……」
「大丈夫! 子供達に癒されなさい」
「ハァ~分かったよ。おいで」
「うん、いくよ」
「まって~」
レニは僕の顔を見るなり、思うことがあったのかお風呂を勧めてくるが序でとばかりに子供達も一緒に入れてねと頼んできた。
最初はなんで疲れているのにと断ろうと思ったけど、レニの言う通り子供達に癒されるのも悪くないと思った。
それにしても、ついこの前まではお風呂に入るなんて習慣はなかったのにドワーフタウンに越して来てからは最低でも一日一回は入らないと、一日が終わらないし身体がスッキリしないのもなんとなく気持ちが悪い。
聞けば、これもケイン君からの提案で父さんは工房に大きなお風呂を作ったくらいだ。
そしてお湯が張られた湯舟に浸かる前にケイン君から預かったお風呂グッズを子供達の前に並べてみる。
「おとしゃん、これなに?」
「なに?」
「さて、なんだろね」
実のところ、僕もよく分かっていなかったけど、その中の黄色くて嘴が赤いヒヨコみたいな物を持って湯舟に浸かるとそれをお湯の上に浮かべる。
「「きゃはは!」」
お風呂に浸かった子供達もゆらゆらと揺れているヒヨコを面白そうに眺めていた。
他の動物っぽい人形をお湯に入れると「あぁ!」とメムスが大きな声をだして驚くので「どうしたの?」と聞けば「色が変わったの!」と人形を指す。
メムスに言われて気が付いた。確かに色が変わってしまった。
持った時は灰色だったのに、今は赤くなっている。
「でも、なんで?」
「ふしぎなの~」
「なの~」
「赤くなったね。なんでかな」と子供達に聞くとメムスが「おゆにつかってあたたまったから?」と言うのでなるほどと思い、それならばとカランから冷たい水を出して人形に掛ければ、瞬く間に元の色に戻った。
「「「おぉ~」」」と父子で妙な声が出る。
家族なんだなぁと思いながらもケイン君が作った玩具に感心すると共に、こういう遊び方もあるんだなと更に感心する。
ただ、玩具で遊んでばかりと言う訳にもいかず、子供達や僕の体を洗い、後は頭を洗ってもう一度温まれば終わりなんだけど、子供達は頭を洗われるのが苦手だ。
シャンプーが目に入るといたいからと言うが、それは目を開けるからだよと言っても「だって、ムリなんだもん!」と謎理論を言う。
そこで僕はケイン君から「是非、試して感想を聞かせてね」と言われた物を思い出し、メムスにそれを被って貰う。
「おとしゃん?」
「もう、目が痛くなることはないからね」
「ホント?」
「ああ、ホントだよ。ほら、今洗っているのに平気でしょ」
「うん! へいき!」
ケイン君を疑った訳ではないけど、メムスのシャンプー嫌いがこれで少しはマシになるだろうと期待する。
そしてコムスはそんな姉の様子を指を咥えて見ていたが、「ぼくもする!」と手を挙げてきた。
「そうか、じゃあ……コムスにはこれだな。はい! うん、カッコいいぞ」
「カッコいい?」
メムスにはシャンプーハットをコムスにはシャンプー仮面を着けてあんなに嫌がって暴れていた洗髪が直ぐに終わった。
その後はゆっくり浸かり温まったところで、レニに声を掛ければ「ホントに終わったの? ちょっと早すぎだよ」と言われ、ちゃんと頭も洗ったのかと疑われたが、子供達の頭の臭いを嗅ぎ「え、ウソ! ちゃんと洗ってる!」と僕の顔をジッと見る。
「何をしたの?」
「かぶったのぉ!」
「へんしんしたのぉ!」
「え? 何? ちょっと何言ってるの? サンガン、笑ってないで教えなさいよ!」
「ははは、ごめんごめん。後でちゃんと話すけど、父さんとケイン君のせいかな」
「え? もっと訳わかんない……」
先ずは子供達に風邪を引かせる訳にはいかないと二人でゴシゴシと拭いてから着替えまですませると「ご飯出来てるわよ。ちゃんと説明してね」とだけ言って洗面所から出て行く。
「さて、どう説明したものか……まさか、反対したりしないよね」
浴室内の玩具の水を切り、シャンプーハット、シャンプー仮面を吊してから自分の体を拭き食堂へと向かう。
「レニ……あのさ」
「はい。今はご飯が先。さっきの話なら、この子達が寝てからゆっくり聞かせてもらうからね」
「ああ、分かったよ。じゃ、いただきます」
「「「いただきます!」」」
「寝たの?」とレニが風呂上がりのいい匂いを漂わせ隣に座る。
「うん、ついさっきね」
「ふ~ん。で、あの子達が手に持っているのと何か関係があるの?」
「……ああ、そうだね」
レニは子供達が大事そうにしっかりと抱え込んでいるぬいぐるみを目ざとく見付けると、僕に聞いてくる。
一度、ふぅ~と深呼吸してから「あのね」と今日あったことを正直に話すとレニはくくくと笑いながら「お義父さんは相変わらずなのね」と言う。
「そうだね」
「で、するんでしょ?」
「いいの?」
「ふふふ、いいも悪いもあなた、全然悪いと思ってないでしょ」
「え、いや……そんなことは……」
「ねえ、あなたも気付いているんでしょ。やっぱり親子よね。あなた、お義父さんそっくりの顔をしているわよ」
「えぇ!」
「それにあの子達のあんな嬉しそうな顔を見て反対出来る訳ないじゃない」
「レニ!」
「ちょっと!」
物分かりがよく僕達のことを理解してくれたレニに思わず抱き着こうとしたところでレニから制された。
「えぇ……そんなぁ~」
「ちゃんと軌道に乗るまでは忙しいんでしょ。なら……ね」
「そんなぁ~」
「それに上手く行けば、もっと大きな家に住めるかもしれないじゃない。そうなれば、何人増えても大丈夫なんじゃないかなぁ。頑張ってよ、パパ」
「レニぁ~」
「だから、それまでガマンしてね」
「ケイン君、恨むからね……ケイン君なんかもげてしまえばいいんだ!」
「お帰りなさい。今日は早かったのね」
「ちょっとね……」
「随分、疲れた顔してるわね。先にお風呂に入ってスッキリしちゃえば?」
「うん、そうするよ」
「ほら、あなた達も」
「「は~い!」」
「おい……」
「大丈夫! 子供達に癒されなさい」
「ハァ~分かったよ。おいで」
「うん、いくよ」
「まって~」
レニは僕の顔を見るなり、思うことがあったのかお風呂を勧めてくるが序でとばかりに子供達も一緒に入れてねと頼んできた。
最初はなんで疲れているのにと断ろうと思ったけど、レニの言う通り子供達に癒されるのも悪くないと思った。
それにしても、ついこの前まではお風呂に入るなんて習慣はなかったのにドワーフタウンに越して来てからは最低でも一日一回は入らないと、一日が終わらないし身体がスッキリしないのもなんとなく気持ちが悪い。
聞けば、これもケイン君からの提案で父さんは工房に大きなお風呂を作ったくらいだ。
そしてお湯が張られた湯舟に浸かる前にケイン君から預かったお風呂グッズを子供達の前に並べてみる。
「おとしゃん、これなに?」
「なに?」
「さて、なんだろね」
実のところ、僕もよく分かっていなかったけど、その中の黄色くて嘴が赤いヒヨコみたいな物を持って湯舟に浸かるとそれをお湯の上に浮かべる。
「「きゃはは!」」
お風呂に浸かった子供達もゆらゆらと揺れているヒヨコを面白そうに眺めていた。
他の動物っぽい人形をお湯に入れると「あぁ!」とメムスが大きな声をだして驚くので「どうしたの?」と聞けば「色が変わったの!」と人形を指す。
メムスに言われて気が付いた。確かに色が変わってしまった。
持った時は灰色だったのに、今は赤くなっている。
「でも、なんで?」
「ふしぎなの~」
「なの~」
「赤くなったね。なんでかな」と子供達に聞くとメムスが「おゆにつかってあたたまったから?」と言うのでなるほどと思い、それならばとカランから冷たい水を出して人形に掛ければ、瞬く間に元の色に戻った。
「「「おぉ~」」」と父子で妙な声が出る。
家族なんだなぁと思いながらもケイン君が作った玩具に感心すると共に、こういう遊び方もあるんだなと更に感心する。
ただ、玩具で遊んでばかりと言う訳にもいかず、子供達や僕の体を洗い、後は頭を洗ってもう一度温まれば終わりなんだけど、子供達は頭を洗われるのが苦手だ。
シャンプーが目に入るといたいからと言うが、それは目を開けるからだよと言っても「だって、ムリなんだもん!」と謎理論を言う。
そこで僕はケイン君から「是非、試して感想を聞かせてね」と言われた物を思い出し、メムスにそれを被って貰う。
「おとしゃん?」
「もう、目が痛くなることはないからね」
「ホント?」
「ああ、ホントだよ。ほら、今洗っているのに平気でしょ」
「うん! へいき!」
ケイン君を疑った訳ではないけど、メムスのシャンプー嫌いがこれで少しはマシになるだろうと期待する。
そしてコムスはそんな姉の様子を指を咥えて見ていたが、「ぼくもする!」と手を挙げてきた。
「そうか、じゃあ……コムスにはこれだな。はい! うん、カッコいいぞ」
「カッコいい?」
メムスにはシャンプーハットをコムスにはシャンプー仮面を着けてあんなに嫌がって暴れていた洗髪が直ぐに終わった。
その後はゆっくり浸かり温まったところで、レニに声を掛ければ「ホントに終わったの? ちょっと早すぎだよ」と言われ、ちゃんと頭も洗ったのかと疑われたが、子供達の頭の臭いを嗅ぎ「え、ウソ! ちゃんと洗ってる!」と僕の顔をジッと見る。
「何をしたの?」
「かぶったのぉ!」
「へんしんしたのぉ!」
「え? 何? ちょっと何言ってるの? サンガン、笑ってないで教えなさいよ!」
「ははは、ごめんごめん。後でちゃんと話すけど、父さんとケイン君のせいかな」
「え? もっと訳わかんない……」
先ずは子供達に風邪を引かせる訳にはいかないと二人でゴシゴシと拭いてから着替えまですませると「ご飯出来てるわよ。ちゃんと説明してね」とだけ言って洗面所から出て行く。
「さて、どう説明したものか……まさか、反対したりしないよね」
浴室内の玩具の水を切り、シャンプーハット、シャンプー仮面を吊してから自分の体を拭き食堂へと向かう。
「レニ……あのさ」
「はい。今はご飯が先。さっきの話なら、この子達が寝てからゆっくり聞かせてもらうからね」
「ああ、分かったよ。じゃ、いただきます」
「「「いただきます!」」」
「寝たの?」とレニが風呂上がりのいい匂いを漂わせ隣に座る。
「うん、ついさっきね」
「ふ~ん。で、あの子達が手に持っているのと何か関係があるの?」
「……ああ、そうだね」
レニは子供達が大事そうにしっかりと抱え込んでいるぬいぐるみを目ざとく見付けると、僕に聞いてくる。
一度、ふぅ~と深呼吸してから「あのね」と今日あったことを正直に話すとレニはくくくと笑いながら「お義父さんは相変わらずなのね」と言う。
「そうだね」
「で、するんでしょ?」
「いいの?」
「ふふふ、いいも悪いもあなた、全然悪いと思ってないでしょ」
「え、いや……そんなことは……」
「ねえ、あなたも気付いているんでしょ。やっぱり親子よね。あなた、お義父さんそっくりの顔をしているわよ」
「えぇ!」
「それにあの子達のあんな嬉しそうな顔を見て反対出来る訳ないじゃない」
「レニ!」
「ちょっと!」
物分かりがよく僕達のことを理解してくれたレニに思わず抱き着こうとしたところでレニから制された。
「えぇ……そんなぁ~」
「ちゃんと軌道に乗るまでは忙しいんでしょ。なら……ね」
「そんなぁ~」
「それに上手く行けば、もっと大きな家に住めるかもしれないじゃない。そうなれば、何人増えても大丈夫なんじゃないかなぁ。頑張ってよ、パパ」
「レニぁ~」
「だから、それまでガマンしてね」
「ケイン君、恨むからね……ケイン君なんかもげてしまえばいいんだ!」
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