猫と暮らす日々

ももがぶ

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いつもの定位置

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子猫も大きくなると自分の定位置という物を持つ。
例えば、ソファでの並び順、例えば、私達の膝の上、例えば、冷蔵庫の上など。

ベッドで寝る時にも必ず顔が見えるところに位置取り、腕枕を要求する猫もいた。
私が寝返りをうって反対側の方に顔を向けると、その猫はわざわざベッドから降りて、反対側の位置に上がり私の顔を見ながら寝るのが、その猫に取っての日常だった。

だけど、たまに仰向けになって寝ていると、その猫は私の鼻に前足の爪を引っ掛けて鼻フックの要領で私の顔を自分の方へと向かせることもあった。

そんな猫が腕枕ではなく、少しズレた位置でこちらにお尻を向けて寝ていたので、呼んでみても不機嫌そうに尻尾をパタンパタンと打ちつけるのみで、顔すらこちらに向けない。そして無理矢理こちらを向かせると手を噛んでくる。時には鼻を噛まれたり、顔に猫パンチを受けることもあった。なぜ、期限が悪いのかは分からないが、いつもの定位置に決まった猫がいないのは寂しいので、例えこちらにお尻を向けられても、ついつい構ってしまう。
その度に遠慮なく噛まれたり、猫キックを受けたりするから、流血は避けられなかった。

そして、この猫は寒くなれば、私の布団に入ろうと前足で私の肩をガシガシと引っ掻き、中に入れろと要求する。
そして、中に入ると今度は他の猫の侵入を許さずに、入ってこようとする猫に『パコン』と音がするくらい強烈な猫パンチを放つ。
これもこの猫の独占欲なのか、それとも単にその猫が嫌いだからなのかと思っていたが、後日その理由が判明する。
単にその猫が嫌いだからだった。その証拠に他の猫が入ろうとしても猫パンチを放つことなく、すんなりと受け入れていた。
考えてみれば、派閥のボス同士だから仲が悪いのは分かるが、同じ玉無しなのだからと譲り合うことはないようだ。

そんな寒がりの猫だが、別に毛が薄いとかはなく普通の毛並みだったと思う。
でも、冬になると座っている私の膝に乗り、パーカーの胸元の隙間に前足を入れ、中に入れろとリクエストしてくる。
しょうがないなとファスナーを下げれば、六キロ近くある体を器用にパーカーの中へと滑り込ませ、体をくねらせながら自分の寝心地を確認しつつ体の位置を決め、『ふぅ』と強めの鼻息を出すと、寝に入る。
やっと落ち着いたかと思い、私が目の前の仕事へと取り掛かると、パーカーの中から、前足を出して爪を口に掛けるとこちらを向きなさいと言わんばかりにグイッと力を入れてくる。

この妙な甘え方にメロメロになり、相手をしようと手を伸ばせば、その手を四肢を使ってガッチリとホールドすると噛みつき、引っ掻き、猫キックとフルコースを受けることになる。

普通に痛いのだが、なぜかこの猫にだけは許してしまうから不思議だ。
やっぱり、抱き枕代わりの猫だからなのだろうか。
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