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面通し
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家には先住猫がいる。
私が連れてきた子猫の鳴き声にほとんどの先住猫が好奇心を見せるが、オス猫とメス猫で反応が違うのが面白い。
メス猫は子猫の声を聞きつけ、そばには来るのだが子猫を見た瞬間に『シャー』と威嚇するのと同時に『ゲッゲッ』と空気砲を放つ。
対して、オス猫はというとそばに見には来るがまるで『新入りですか?』くらいで、すぐに興味をなくす。
まあ、これもいつものことなので、こちらは気にすることもなく子猫の排泄の準備を行う。
手元にはティッシュ箱、ボウルにぬるま湯、そしてゴミ箱に新聞紙を広げる。
これで準備が出来たので、寝ている子猫を掴む。すると捕まれた子猫は『ミィミィ』と鳴いて体を捩って逃げようとするが、そろそろ排泄を促しとかないと、カエルっ腹のままなんだからと少しだけ、掴み方を変えてぬるま湯で湿らせたティッシュでお尻をトントンと軽く叩く。
すると、刺激を受けた場所から『シャー』と排泄される。まだ、固形物は出ないみたいだ。
次から次へと排泄の手伝いを行った後は、借りの住まいとなる高さ30センチメートルほどの段ボール箱に新聞紙を敷き詰め、タオルを敷くと子猫達の仮住まいとなる。
排泄して、スッキリした子猫達をまた掴み上げると、一匹ずつ段ボールハウスへと引っ越しさせる。
この段ボールハウスを飛び越えて外に出てくるようになるまでは、この中で過ごしてもらう。
これで、引越し完了だなと思っていると、あるオス猫がダンボールハウスの中に飛び込む。
いきなりの侵入者に子猫達は段ボールハウスの隅っこで固まって、空気砲を放つがオス猫はそんなことを気にすることもなく、子猫達の頭、体を優しく舐めていく。
子猫達も次第にとろーんとした顔つきになり、踏ん張ることも出来ないためにオス猫が顔を舐めるたびによろけてしまう。
そんなオス猫の行動に母性を感じたのかどうかは知らないが、子猫達がオス猫のお腹に顔を突っ込み、乳首を探し出す。
お腹を弄られているオス猫は嫌がるそぶりも見せずに子猫達にされるがまま横になっている。
しばらく経つと、オス猫のお腹からは『チュッチュッ』と乳首を一生懸命に吸う音が聞こえてきたので、少しだけと段ボールハウスの様子を覗いてみたら、保父猫が子猫のお尻を舐めて、排泄させていた。
これで、子猫達はこのオス猫に任せておけば大丈夫だろう。
なんせ、このオス猫は今まで歴代の子猫達を育て上げてきた保父さんなのだから。
そして、ここでひとつの疑問が湧き上がる。どういうわけか、この家の先住猫のメス猫は子猫の世話を嫌がる。興味はあるのか、段ボールハウスを覗きにと自分から近付いて中を覗き込み『シャー』と吠えて? 戻っていく。
反対にオス猫は積極的に子育てに介入したいのか『子猫が潰れちゃう!』『段ボールハウスが壊れる!』と言うくらいに体の大きいのが段ボールハウスの中に次から次へと入っていく。
その様子を初めて見た時には『子猫が潰されてしまう』と慌てて、保父以外のオス猫を段ボールハウスから出すことで無事だったが、油断ならないと思った出来事だった。
そんな調子で保父のオス猫に手伝ってもらいながら、順調に子猫達は育っていき、顔のほぼ真横にあった耳が頭頂部の方に近づき、青かった目が段々と透明度を増していくと、段ボールハウスからの脱走を試みる回数も増えてくる。
最初は、ただ上を見上げて鳴くばかりだったのが、最初の一匹が段ボールハウスの壁に飛びついて爪をかけるのを見ると、他の子猫達もそれに倣って、段ボールハウスの壁に取り付くようになった。
だが、問題はここからで、両方の前足で張り付くことは出来たが、どうやってもそこから上には上がれない。
また、助けを求めて壁にへばり付いたまま、鳴いているうちに体力が尽きて下へと落ちる。
そんな風に脱走を試みていたのが、ある日偶然に段ボールハウスからの脱走に成功した子猫がいたので「残念ですが、お帰りを」と首の後ろを摘んで段ボールハウスへ戻す。
そして、この日を境に脱出に成功する子猫が増えたが、しばらく外で気がすむまで遊んだ後には、今度は逆に段ボールハウスへと入りたがるので首の後ろを摘み段ボールハウスの中へと運ぶ。
これで子猫達は自分の意志で段ボールハウスを出入りすることができるようになる。そうなると目を離せないし、トイレトレーニングも始めないといけない。毎度のことながら、この時期だけはめげそうになり、もうどこでもしてくれとも言いたくなる。
だが、そういう訳にもいかず、子猫達が起きている間は本当に目が離せない。
そう思っていたら、一匹が部屋の隅っこで遊んでいたかと思うと、頻りに足元の匂いを嗅ぎ、前足で砂をかく動作を始めると、少しだけ腰を浮かし踏ん張り始めた。
「あ! これはやばいやつ!」と、慌てて子猫を掴むと片手を子猫の下に置いて、床に散らさないようにしつつ子猫を猫用トイレへと放り込む。
猫用トイレの中では子猫が猫砂をカシカシと前足で掻くと、さっきの続きを始めたので、これで一安心だ。
これを後、二、三回繰り返せば覚えてくれるかなと淡い期待を抱きつつ、他の子猫の監視へと移る。
私が連れてきた子猫の鳴き声にほとんどの先住猫が好奇心を見せるが、オス猫とメス猫で反応が違うのが面白い。
メス猫は子猫の声を聞きつけ、そばには来るのだが子猫を見た瞬間に『シャー』と威嚇するのと同時に『ゲッゲッ』と空気砲を放つ。
対して、オス猫はというとそばに見には来るがまるで『新入りですか?』くらいで、すぐに興味をなくす。
まあ、これもいつものことなので、こちらは気にすることもなく子猫の排泄の準備を行う。
手元にはティッシュ箱、ボウルにぬるま湯、そしてゴミ箱に新聞紙を広げる。
これで準備が出来たので、寝ている子猫を掴む。すると捕まれた子猫は『ミィミィ』と鳴いて体を捩って逃げようとするが、そろそろ排泄を促しとかないと、カエルっ腹のままなんだからと少しだけ、掴み方を変えてぬるま湯で湿らせたティッシュでお尻をトントンと軽く叩く。
すると、刺激を受けた場所から『シャー』と排泄される。まだ、固形物は出ないみたいだ。
次から次へと排泄の手伝いを行った後は、借りの住まいとなる高さ30センチメートルほどの段ボール箱に新聞紙を敷き詰め、タオルを敷くと子猫達の仮住まいとなる。
排泄して、スッキリした子猫達をまた掴み上げると、一匹ずつ段ボールハウスへと引っ越しさせる。
この段ボールハウスを飛び越えて外に出てくるようになるまでは、この中で過ごしてもらう。
これで、引越し完了だなと思っていると、あるオス猫がダンボールハウスの中に飛び込む。
いきなりの侵入者に子猫達は段ボールハウスの隅っこで固まって、空気砲を放つがオス猫はそんなことを気にすることもなく、子猫達の頭、体を優しく舐めていく。
子猫達も次第にとろーんとした顔つきになり、踏ん張ることも出来ないためにオス猫が顔を舐めるたびによろけてしまう。
そんなオス猫の行動に母性を感じたのかどうかは知らないが、子猫達がオス猫のお腹に顔を突っ込み、乳首を探し出す。
お腹を弄られているオス猫は嫌がるそぶりも見せずに子猫達にされるがまま横になっている。
しばらく経つと、オス猫のお腹からは『チュッチュッ』と乳首を一生懸命に吸う音が聞こえてきたので、少しだけと段ボールハウスの様子を覗いてみたら、保父猫が子猫のお尻を舐めて、排泄させていた。
これで、子猫達はこのオス猫に任せておけば大丈夫だろう。
なんせ、このオス猫は今まで歴代の子猫達を育て上げてきた保父さんなのだから。
そして、ここでひとつの疑問が湧き上がる。どういうわけか、この家の先住猫のメス猫は子猫の世話を嫌がる。興味はあるのか、段ボールハウスを覗きにと自分から近付いて中を覗き込み『シャー』と吠えて? 戻っていく。
反対にオス猫は積極的に子育てに介入したいのか『子猫が潰れちゃう!』『段ボールハウスが壊れる!』と言うくらいに体の大きいのが段ボールハウスの中に次から次へと入っていく。
その様子を初めて見た時には『子猫が潰されてしまう』と慌てて、保父以外のオス猫を段ボールハウスから出すことで無事だったが、油断ならないと思った出来事だった。
そんな調子で保父のオス猫に手伝ってもらいながら、順調に子猫達は育っていき、顔のほぼ真横にあった耳が頭頂部の方に近づき、青かった目が段々と透明度を増していくと、段ボールハウスからの脱走を試みる回数も増えてくる。
最初は、ただ上を見上げて鳴くばかりだったのが、最初の一匹が段ボールハウスの壁に飛びついて爪をかけるのを見ると、他の子猫達もそれに倣って、段ボールハウスの壁に取り付くようになった。
だが、問題はここからで、両方の前足で張り付くことは出来たが、どうやってもそこから上には上がれない。
また、助けを求めて壁にへばり付いたまま、鳴いているうちに体力が尽きて下へと落ちる。
そんな風に脱走を試みていたのが、ある日偶然に段ボールハウスからの脱走に成功した子猫がいたので「残念ですが、お帰りを」と首の後ろを摘んで段ボールハウスへ戻す。
そして、この日を境に脱出に成功する子猫が増えたが、しばらく外で気がすむまで遊んだ後には、今度は逆に段ボールハウスへと入りたがるので首の後ろを摘み段ボールハウスの中へと運ぶ。
これで子猫達は自分の意志で段ボールハウスを出入りすることができるようになる。そうなると目を離せないし、トイレトレーニングも始めないといけない。毎度のことながら、この時期だけはめげそうになり、もうどこでもしてくれとも言いたくなる。
だが、そういう訳にもいかず、子猫達が起きている間は本当に目が離せない。
そう思っていたら、一匹が部屋の隅っこで遊んでいたかと思うと、頻りに足元の匂いを嗅ぎ、前足で砂をかく動作を始めると、少しだけ腰を浮かし踏ん張り始めた。
「あ! これはやばいやつ!」と、慌てて子猫を掴むと片手を子猫の下に置いて、床に散らさないようにしつつ子猫を猫用トイレへと放り込む。
猫用トイレの中では子猫が猫砂をカシカシと前足で掻くと、さっきの続きを始めたので、これで一安心だ。
これを後、二、三回繰り返せば覚えてくれるかなと淡い期待を抱きつつ、他の子猫の監視へと移る。
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