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第一章 ようこそ異世界へ
第十三話 説明してもいいけど
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「もういいです」
「なんかすみません」
「それで?」
「え?」
「だから、それでって聞いているの!」
「はい?」
「だから、まだ 何か言ってないことがあるわよね?」
「あの……」
「何?」
「さっきから、気になっていたんだけど……」
「だから、何?」
「だから、その言葉づかいなんだけど……」
「え? あ、あ~やっちゃった……」
「もしかして、そっちが素なのかな」
「言い付ける?」
「どうしよっかなぁ~」
「お願い! ねえ、この通り!」
「いいよ」
「え?」
「だから、別にそのくらいなら、いいって言ったの」
「え? ホントに?」
「もしかして、言い付けられた方がよかった?」
「ううん、そうじゃないけど……だって、貴族の人にこんな言葉づかいしたら……」
「ああ、そういうこと。別にいいよ。だって、僕の先生なんでしょ。なら、いいじゃない。それより、何か言いたいことがあったんじゃないの?」
「う~」
キリは急に乱暴な言葉づかいになってしまったことに気付き、ラフィがナッフィに言い付けでもしたらと、恐る恐るラフィに対しナッフィに言い付けるのかを確認してみるが、ラフィは特に気にしていないようで、言い付けるようなことはしないと言う。そして、キリに対し何か確認したいことがあったのではと聞かれ、キリも自分が気になっていたことを思い出しラフィに確認する。
「では、お伺いします」
「いいよ。今さら取り繕わなくても。他の人がいないなら、さっきの調子で構わないから」
「そう……じゃあ、聞くけどさ。なんで私の魔法より威力が強いの?」
「え?」
「だから、私が放った水球は岩の表面を少し削ったくらいだけど、あなたのは粉砕したわよね。込められた魔力量もそれほど多くはなさそうだったわ。いえ、むしろ私より少ないくらいだったわね。さあ、説明出来るのならしてちょうだい!」
「え?」
「もう、私の言っていることが分からないの?」
「いや、分かるけど……」
「じゃあ、ほら早く!」
「分かったよ。でも、理解出来ないからってしつこくするのは止めてよ」
「はん! お子様が何言ってるの! いいから、早く」
「じゃあ……」
ラフィはキリの探究心に感心しながらも、ちょっと面倒臭い人だなと思いつつ自分がどういう風に魔法を放ったかを説明する。
「え? どういうこと? ちょっと待って! なんでそれで威力が高まるの? なんで? どうして?」
「お子様の言っていることくらい簡単じゃなかったの?」
「……分からない。降参するから、教えてよ」
「え~どうしよっかなぁ」
ラフィはさっきのキリの態度に怒っている訳ではないが、なんとなくイタズラ心が働いてしまい、キリのことを少しだけ揶揄いたくなったのだが、当のキリはと言えば、なかなか素直に教えてくれないラフィに対し、少しだけイライラを募らせる。
するとラフィはそろそろ限界かなと思いキリに対し、もう一度説明を始めるが、今度は地面にしゃがみ込み図解付きで説明する。
「ん~分からない! なんで、それで威力が高まるの! どうしてなのよ!」
「もう何回目? いい加減飽きたんだけど……」
「説明の仕方が悪いんじゃないの?」
「そう? じゃあ、もうやめるね」
「あぁ~うそうそ、理解出来ない私が悪かったわ。だから、もう一度だけ! ね、お願い!」
「ふ~じゃあ、聞くけどどこが分からないの?」
「……」
「だから、どこが分からないの?」
「……全部」
「へ?」
「だから、全部が理解出来ないの!」
「え~」
キリの告白を聞き、ラフィも思わず嘆息してしまうが、この世界では物理的な解釈なんか誰も気にしていないんだろうなと思い、キリに対し貫通力を上げる為に回転させたことを説明する。
「どう?」
「だから、なんで回すと貫通力が上がるの? 回転させるのなら、別に横じゃなくても縦でもいいんじゃないの?」
「だからね、それはこういうことなの。見ててね」
「うん!」
ラフィは二人の間に水球を浮かべると、実演してみせる。
「先ずは回転させない場合ね」
『パシュッ!』
「また、無詠唱……」
「見てた?」
「あ、うん。それが私……というか一般的な水球よね」
「そうだね。威力はそれほどないでしょ」
「そうよ。だって、ぶつける程度だもの」
キリが言うようにラフィが放った水球は岩の表面に当たると弾けた。
「じゃ、次に縦回転ね。水球」
『バシュッ!』
今度のは岩の表面に当たったと思った瞬間に少し上に上がった程度だった。
「あまり、変わらないわね」
「うん、でも今度のは違うと思うよ。だから、よく見ててね」
「うん、お願い」
キリの言葉に確か魔法の教師として呼ばれたんだよねと思い出すが、今はいいかと水球に横回転を与えた状態で放てば、『ドシュッ!』という音と共に岩は見事に粉砕される。
「ハァ~やっぱり分からないわ」
「なんかすみません」
「それで?」
「え?」
「だから、それでって聞いているの!」
「はい?」
「だから、まだ 何か言ってないことがあるわよね?」
「あの……」
「何?」
「さっきから、気になっていたんだけど……」
「だから、何?」
「だから、その言葉づかいなんだけど……」
「え? あ、あ~やっちゃった……」
「もしかして、そっちが素なのかな」
「言い付ける?」
「どうしよっかなぁ~」
「お願い! ねえ、この通り!」
「いいよ」
「え?」
「だから、別にそのくらいなら、いいって言ったの」
「え? ホントに?」
「もしかして、言い付けられた方がよかった?」
「ううん、そうじゃないけど……だって、貴族の人にこんな言葉づかいしたら……」
「ああ、そういうこと。別にいいよ。だって、僕の先生なんでしょ。なら、いいじゃない。それより、何か言いたいことがあったんじゃないの?」
「う~」
キリは急に乱暴な言葉づかいになってしまったことに気付き、ラフィがナッフィに言い付けでもしたらと、恐る恐るラフィに対しナッフィに言い付けるのかを確認してみるが、ラフィは特に気にしていないようで、言い付けるようなことはしないと言う。そして、キリに対し何か確認したいことがあったのではと聞かれ、キリも自分が気になっていたことを思い出しラフィに確認する。
「では、お伺いします」
「いいよ。今さら取り繕わなくても。他の人がいないなら、さっきの調子で構わないから」
「そう……じゃあ、聞くけどさ。なんで私の魔法より威力が強いの?」
「え?」
「だから、私が放った水球は岩の表面を少し削ったくらいだけど、あなたのは粉砕したわよね。込められた魔力量もそれほど多くはなさそうだったわ。いえ、むしろ私より少ないくらいだったわね。さあ、説明出来るのならしてちょうだい!」
「え?」
「もう、私の言っていることが分からないの?」
「いや、分かるけど……」
「じゃあ、ほら早く!」
「分かったよ。でも、理解出来ないからってしつこくするのは止めてよ」
「はん! お子様が何言ってるの! いいから、早く」
「じゃあ……」
ラフィはキリの探究心に感心しながらも、ちょっと面倒臭い人だなと思いつつ自分がどういう風に魔法を放ったかを説明する。
「え? どういうこと? ちょっと待って! なんでそれで威力が高まるの? なんで? どうして?」
「お子様の言っていることくらい簡単じゃなかったの?」
「……分からない。降参するから、教えてよ」
「え~どうしよっかなぁ」
ラフィはさっきのキリの態度に怒っている訳ではないが、なんとなくイタズラ心が働いてしまい、キリのことを少しだけ揶揄いたくなったのだが、当のキリはと言えば、なかなか素直に教えてくれないラフィに対し、少しだけイライラを募らせる。
するとラフィはそろそろ限界かなと思いキリに対し、もう一度説明を始めるが、今度は地面にしゃがみ込み図解付きで説明する。
「ん~分からない! なんで、それで威力が高まるの! どうしてなのよ!」
「もう何回目? いい加減飽きたんだけど……」
「説明の仕方が悪いんじゃないの?」
「そう? じゃあ、もうやめるね」
「あぁ~うそうそ、理解出来ない私が悪かったわ。だから、もう一度だけ! ね、お願い!」
「ふ~じゃあ、聞くけどどこが分からないの?」
「……」
「だから、どこが分からないの?」
「……全部」
「へ?」
「だから、全部が理解出来ないの!」
「え~」
キリの告白を聞き、ラフィも思わず嘆息してしまうが、この世界では物理的な解釈なんか誰も気にしていないんだろうなと思い、キリに対し貫通力を上げる為に回転させたことを説明する。
「どう?」
「だから、なんで回すと貫通力が上がるの? 回転させるのなら、別に横じゃなくても縦でもいいんじゃないの?」
「だからね、それはこういうことなの。見ててね」
「うん!」
ラフィは二人の間に水球を浮かべると、実演してみせる。
「先ずは回転させない場合ね」
『パシュッ!』
「また、無詠唱……」
「見てた?」
「あ、うん。それが私……というか一般的な水球よね」
「そうだね。威力はそれほどないでしょ」
「そうよ。だって、ぶつける程度だもの」
キリが言うようにラフィが放った水球は岩の表面に当たると弾けた。
「じゃ、次に縦回転ね。水球」
『バシュッ!』
今度のは岩の表面に当たったと思った瞬間に少し上に上がった程度だった。
「あまり、変わらないわね」
「うん、でも今度のは違うと思うよ。だから、よく見ててね」
「うん、お願い」
キリの言葉に確か魔法の教師として呼ばれたんだよねと思い出すが、今はいいかと水球に横回転を与えた状態で放てば、『ドシュッ!』という音と共に岩は見事に粉砕される。
「ハァ~やっぱり分からないわ」
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