78 / 130
第三章 旅の始まり
第五話 コワいしオモい
しおりを挟む
俺もタロとアオイを追って食堂へ行こうとすると「どこへ行く」とエミリーさんに引き留められる。
「どこって、食堂でしょ?」
「私みたいな立場の者が食堂に行ってみろ。どうなると思う?」
「どうなるって……あ~そういうことか。面倒な」
「分かったか。だから、お前の分もここに用意してやるから、話の続きを聞かせてくれ」
「はいはい、分かりました。ふぅ~」
エミリーさんの言うように会社の社員食堂に突然、社長が現れたら緊張して食事どころじゃなくなるだろう。だから、エミリーさんは食堂に向かうことはしないで、ここで済ませているらしい。
「ちょっと、待ってろ」
「はい」
エミリーさんは部屋の扉を開けると、近くにいた職員の人にお昼を二人分用意するように伝えると、ソファへと戻ってくる。
そして、座る時に前に垂れてきた髪を掻き上げ耳の後ろへと回す。会った時も髪を掻き上げていて、その時に思ったんだけど耳が長い。それも横に。テンプレ通りのエルフだと上が尖った大きな耳が一般的だったけど、たまに横に長く尖った耳というタイプのエルフも出て来たなとエミリーさんの耳を見ながら思っていると「これが気になるか」とエミリーさんに聞かれたのでコクリと頷く。
「ふふふ、そうだ。お前が想像している通り私はエルフだ。触ってみるか?」
「え? いいの?」
「ああ、気になるのだろう。いいぞ」
「じゃあ……」
エミリーさんがいいと言うので、ならとソッと手を伸ばしたところで、不意に思い出す。種族に因っては、その種族の特徴を示す部分を触るのは『求愛』の意味があるということを。獣人族の『耳』と『シッポ』がそうであるようにエルフにとって『耳』を触るのはそういうことであってもおかしくはないよなと思い、伸ばし掛けた手を引っ込める。
「ん? どうした? 触らなくていいのか? 今なら、誰もいないから触り放題だぞ、ほれ!」
「……」
俺が手を引っ込めたものだから、エミリーさんはどうしたと聞いてくるが、その顔は俺が罠にハマるのを期待している様に口角の端が上がっている。
俺はソレを見て確信した。やっぱりこれは罠なんだと。
「ねえ、エミリーさん。一つ聞いてもいい?」
「なんだ? 歳なら非公表だぞ」
「そんなの、結構いっているのは間違いないだろうから、興味はないよ」
「ぐぬぬ……じゃあ、なんだ?」
エミリーさんがエルフだと分かる前から、その見た目からアラサーだろうなと思っていたので歳には興味がない。だから、ここでは種族特性のことを確認する。
「エルフの『求愛』ってどういう風にするの?」
「な、何を急に言い出すんだ……」
「どうしたの?」
「ど、どうもしないぞ。そ、それより、触らないでいいのか? ほらほら」
「……」
エミリーさんは俺の質問に答えることなく、その大きな耳を俺の目の前でピコピコと動かしてアピールしてくる。
思わず、手を伸ばし掛けたが、『これは罠なんだ』と自分に言い聞かせ、自分の右手を左手で抑えつけると「チッ」と聞こえてきた。これで確信した。
「ねえ、もしかしてだけどさ。耳を触るのが『求愛』なんでしょ」
「な、なんのことかな……それよりもほら、早くしないと人が来るぞ」
「……いい。怖いから」
「怖いってなんだ!」
「いや、怖すぎでしょ。なんでそんなに必死なの?」
「くっ……お前に私の気持ちが……」
「うん、分かりたくはないよ。重すぎるから」
「重いって言うなよぉ~」
そう言ってエミリーさんはテーブルに突っ伏してしまった。まあ、冒険者ギルドのギルドマスター、しかも統轄という立場になれば、寄ってくる異性もいないだろうし、ここまでの立場になれるくらいの強さを持っているのであれば、自分より弱い相手だと我慢ならないだろう。そうなると、例えエミリーさんに好意を寄せたとしても誰もが二の足を踏むだろう。
『肯定します』
だからと言って十二歳の俺にツバを着けるのも間違っていると思うんだけど、既に違う世界から来た二十六歳だと知られてしまっているし、エルフという長寿な種族だから俺が適齢期になるのもじっくり待っていられるという判断が出来たのだろう。
『肯定します』
「失礼します。……あの、これは?」
「えっと……」
ワゴンに俺達の昼食を載せて部屋に入ってきたのはスージーさんが、テーブルに突っ伏して「えぐっえぐっ」と嗚咽にも似た声を発しているエミリーさんを指差してスージーさんが俺に聞いて来たので、さっきの話を微細に話す。
「あ~またですか」
「また?」
「はい。たまに有望な冒険者を見るとこうなるんです。でも、皆は引っ掛からないですけどね」
「え? 一人くらいは引っ掛かりそうだけど」
「まあ、有名ですからね。『エミリーの耳は罠だから』って」
「あ~やっぱり」
「ええ、コータさんの言う通り、エルフの人達の耳を触るのはそういう意味合いなので注意して下さいね」
「はい、ありがとうございます」
「スージー言うなよぉ~」
「はいはい、ちゃんと顔を拭いて下さいね。見られないですよ」
「だって……」
「だってじゃなくて、お昼を持って来たんですから、ほら。最初はお食事を一緒にするところからでしょ。マスターはなんでも一足飛びにことを済ませようとするから避けられるんですよ。こういうことは水も漏らさないようにミッチリと作戦を立てて挑まないとダメですよ。ソレこそ、気付いたら手足が雁字搦めで動けないくらいにしてから美味しく戴くのがオススメです」
「え? スージー、それは経験者からの助言なのかな?」
「え? あ、違いますよ。口コミですよ。口コミですからね。あ、ほら、お昼なんでしょ。はい!」
「あ、どうも……」
「怪しい……」
スージーさんは話はここまでとでも言うようにワゴンの上から皿を手に取ると俺に渡してくる。見た目はふんわりとした草食系な感じなのに中身が蜘蛛の様な手練手管な獰猛な肉食の女性なのかな。
『肯定します』
おうふ……
「どこって、食堂でしょ?」
「私みたいな立場の者が食堂に行ってみろ。どうなると思う?」
「どうなるって……あ~そういうことか。面倒な」
「分かったか。だから、お前の分もここに用意してやるから、話の続きを聞かせてくれ」
「はいはい、分かりました。ふぅ~」
エミリーさんの言うように会社の社員食堂に突然、社長が現れたら緊張して食事どころじゃなくなるだろう。だから、エミリーさんは食堂に向かうことはしないで、ここで済ませているらしい。
「ちょっと、待ってろ」
「はい」
エミリーさんは部屋の扉を開けると、近くにいた職員の人にお昼を二人分用意するように伝えると、ソファへと戻ってくる。
そして、座る時に前に垂れてきた髪を掻き上げ耳の後ろへと回す。会った時も髪を掻き上げていて、その時に思ったんだけど耳が長い。それも横に。テンプレ通りのエルフだと上が尖った大きな耳が一般的だったけど、たまに横に長く尖った耳というタイプのエルフも出て来たなとエミリーさんの耳を見ながら思っていると「これが気になるか」とエミリーさんに聞かれたのでコクリと頷く。
「ふふふ、そうだ。お前が想像している通り私はエルフだ。触ってみるか?」
「え? いいの?」
「ああ、気になるのだろう。いいぞ」
「じゃあ……」
エミリーさんがいいと言うので、ならとソッと手を伸ばしたところで、不意に思い出す。種族に因っては、その種族の特徴を示す部分を触るのは『求愛』の意味があるということを。獣人族の『耳』と『シッポ』がそうであるようにエルフにとって『耳』を触るのはそういうことであってもおかしくはないよなと思い、伸ばし掛けた手を引っ込める。
「ん? どうした? 触らなくていいのか? 今なら、誰もいないから触り放題だぞ、ほれ!」
「……」
俺が手を引っ込めたものだから、エミリーさんはどうしたと聞いてくるが、その顔は俺が罠にハマるのを期待している様に口角の端が上がっている。
俺はソレを見て確信した。やっぱりこれは罠なんだと。
「ねえ、エミリーさん。一つ聞いてもいい?」
「なんだ? 歳なら非公表だぞ」
「そんなの、結構いっているのは間違いないだろうから、興味はないよ」
「ぐぬぬ……じゃあ、なんだ?」
エミリーさんがエルフだと分かる前から、その見た目からアラサーだろうなと思っていたので歳には興味がない。だから、ここでは種族特性のことを確認する。
「エルフの『求愛』ってどういう風にするの?」
「な、何を急に言い出すんだ……」
「どうしたの?」
「ど、どうもしないぞ。そ、それより、触らないでいいのか? ほらほら」
「……」
エミリーさんは俺の質問に答えることなく、その大きな耳を俺の目の前でピコピコと動かしてアピールしてくる。
思わず、手を伸ばし掛けたが、『これは罠なんだ』と自分に言い聞かせ、自分の右手を左手で抑えつけると「チッ」と聞こえてきた。これで確信した。
「ねえ、もしかしてだけどさ。耳を触るのが『求愛』なんでしょ」
「な、なんのことかな……それよりもほら、早くしないと人が来るぞ」
「……いい。怖いから」
「怖いってなんだ!」
「いや、怖すぎでしょ。なんでそんなに必死なの?」
「くっ……お前に私の気持ちが……」
「うん、分かりたくはないよ。重すぎるから」
「重いって言うなよぉ~」
そう言ってエミリーさんはテーブルに突っ伏してしまった。まあ、冒険者ギルドのギルドマスター、しかも統轄という立場になれば、寄ってくる異性もいないだろうし、ここまでの立場になれるくらいの強さを持っているのであれば、自分より弱い相手だと我慢ならないだろう。そうなると、例えエミリーさんに好意を寄せたとしても誰もが二の足を踏むだろう。
『肯定します』
だからと言って十二歳の俺にツバを着けるのも間違っていると思うんだけど、既に違う世界から来た二十六歳だと知られてしまっているし、エルフという長寿な種族だから俺が適齢期になるのもじっくり待っていられるという判断が出来たのだろう。
『肯定します』
「失礼します。……あの、これは?」
「えっと……」
ワゴンに俺達の昼食を載せて部屋に入ってきたのはスージーさんが、テーブルに突っ伏して「えぐっえぐっ」と嗚咽にも似た声を発しているエミリーさんを指差してスージーさんが俺に聞いて来たので、さっきの話を微細に話す。
「あ~またですか」
「また?」
「はい。たまに有望な冒険者を見るとこうなるんです。でも、皆は引っ掛からないですけどね」
「え? 一人くらいは引っ掛かりそうだけど」
「まあ、有名ですからね。『エミリーの耳は罠だから』って」
「あ~やっぱり」
「ええ、コータさんの言う通り、エルフの人達の耳を触るのはそういう意味合いなので注意して下さいね」
「はい、ありがとうございます」
「スージー言うなよぉ~」
「はいはい、ちゃんと顔を拭いて下さいね。見られないですよ」
「だって……」
「だってじゃなくて、お昼を持って来たんですから、ほら。最初はお食事を一緒にするところからでしょ。マスターはなんでも一足飛びにことを済ませようとするから避けられるんですよ。こういうことは水も漏らさないようにミッチリと作戦を立てて挑まないとダメですよ。ソレこそ、気付いたら手足が雁字搦めで動けないくらいにしてから美味しく戴くのがオススメです」
「え? スージー、それは経験者からの助言なのかな?」
「え? あ、違いますよ。口コミですよ。口コミですからね。あ、ほら、お昼なんでしょ。はい!」
「あ、どうも……」
「怪しい……」
スージーさんは話はここまでとでも言うようにワゴンの上から皿を手に取ると俺に渡してくる。見た目はふんわりとした草食系な感じなのに中身が蜘蛛の様な手練手管な獰猛な肉食の女性なのかな。
『肯定します』
おうふ……
13
お気に入りに追加
1,199
あなたにおすすめの小説
前世の記憶さん。こんにちは。
満月
ファンタジー
断罪中に前世の記憶を思い出し主人公が、ハチャメチャな魔法とスキルを活かして、人生を全力で楽しむ話。
周りはそんな主人公をあたたかく見守り、時には被害を被り···それでも皆主人公が大好きです。
主に前半は冒険をしたり、料理を作ったりと楽しく過ごしています。時折シリアスになりますが、基本的に笑える内容になっています。
恋愛は当分先に入れる予定です。
主人公は今までの時間を取り戻すかのように人生を楽しみます!もちろんこの話はハッピーエンドです!
小説になろう様にも掲載しています。
莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ
翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL
十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。
高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。
そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。
要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。
曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。
その額なんと、50億円。
あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。
だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。
だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。
転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?
夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。
気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。
落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。
彼らはこの世界の神。
キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。
ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。
「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」
転生したら死にそうな孤児だった
佐々木鴻
ファンタジー
過去に四度生まれ変わり、そして五度目の人生に目覚めた少女はある日、生まれたばかりで捨てられたの赤子と出会う。
保護しますか? の選択肢に【はい】と【YES】しかない少女はその子を引き取り妹として育て始める。
やがて美しく育ったその子は、少女と強い因縁があった。
悲劇はありません。難しい人間関係や柵はめんどく(ゲフンゲフン)ありません。
世界は、意外と優しいのです。
突然だけど、空間魔法を頼りに生き延びます
ももがぶ
ファンタジー
俺、空田広志(そらたひろし)23歳。
何故だか気が付けば、見も知らぬ世界に立っていた。
何故、そんなことが分かるかと言えば、自分の目の前には木の棒……棍棒だろうか、それを握りしめた緑色の醜悪な小人っぽい何か三体に囲まれていたからだ。
それに俺は少し前までコンビニに立ち寄っていたのだから、こんな何もない平原であるハズがない。
そして振り返ってもさっきまでいたはずのコンビニも見えないし、建物どころかアスファルトの道路も街灯も何も見えない。
見えるのは俺を取り囲む醜悪な小人三体と、遠くに森の様な木々が見えるだけだ。
「えっと、とりあえずどうにかしないと多分……死んじゃうよね。でも、どうすれば?」
にじり寄ってくる三体の何かを警戒しながら、どうにかこの場を切り抜けたいと考えるが、手元には武器になりそうな物はなく、持っているコンビニの袋の中は発泡酒三本とツナマヨと梅干しのおにぎり、後はポテサラだけだ。
「こりゃ、詰みだな」と思っていると「待てよ、ここが異世界なら……」とある期待が沸き上がる。
「何もしないよりは……」と考え「ステータス!」と呟けば、目の前に半透明のボードが現れ、そこには自分の名前と性別、年齢、HPなどが表記され、最後には『空間魔法Lv1』『次元の隙間からこぼれ落ちた者』と記載されていた。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる