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第二章 これからの生き方を求めて
第14話 一気に加速?
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「出来たわよ!」
「え?」
「何?」
「だって、まだそんなに時間は経ってないけど?」
「甘い!」
「え?」
「だってお父様への手紙なのよ。私のお父様への気持ちを綴って、後はあのクソ女に対する文句を綴るだけだもの。私にとっては簡単なことよ!」
「はぁ……」
マリアは鼻息も荒く、そんな風にナキに説明するが、ナキとしてはそんな単純でいいのかなとマリアに確認してみる。
「あのさ、ちょっといい?」
「何? 言っておくけど手紙の内容はいくらナキでも見せることは出来ないわよ」
「いや、そうじゃなくてね」
「なら、何?」
「あのさ、その手紙を誰かが途中で、すり替えるとか父親に渡さないとかは考えないのかなと思って。後は、その手紙を誰かが読んで継母に伝えるとか?」
「……」
「あれ?」
「なんでそんなこと言うの!」
「え? 僕が怒られるの?」
「違うわよ! 怒ってないわよ! でも……あ~もう! なら、どうすればいいのよ!」
「あれ? 信用出来る人がいるんじゃないの?」
「そうは言ったけど……分からないじゃない!」
「ん~それは困ったね」
「……それだけ?」
「え?」
「だから、『困った』ってそれだけなの? 何か策はないの?」
「えっと……」
「助けてくれるんでしょ?」
「あれ? 何かすり替わっている?」
「細かいことはいいから! それで、どうすればいいの?」
「ん~」
「どうするの?」
「あ!」
「何?」
「あのさ、マリアのお父さんはどこにいるの?」
「いきなり、何よ。そんなの領主邸に決まっているじゃないの」
「いや、決まっていると言われたって僕はこの世界の住人じゃないし……」
「あ! そうだったわね。ごめんなさい……」
「ま、別にいいんだけど。どこに行けばお父さんに会えるのかな?」
「そうね、お父様なら……」
マリアからどうにかマリアの父親であるゴリアテ伯爵の場所を聞いたナキは「じゃあ、あっちの方角なんだね」とマリアに確認すると「ちょっと行ってくるから」と、その場から上空に上がろうとしたところで、マリアに腕を引っ張られる。
「えっと、マリア……さん?」
「行く!」
「え?」
「だから、私も行くの! いいでしょ!」
「いや、いいでしょって言われても……」
「なんでよ! 守ってくれるんでしょ?」
「あれ? また、何か「いいから、早く!」……えっと……」
「「「……」」」
ナキがマリアをどうしたものかと考えていると、ナキの回りでは子供達が不安そうにナキとマリアを見上げていたのに気付く。
「どうしたのかな?」
「……やだ!」
「え?」
「行っちゃヤダ!」
「え?」
「ナキとマリアがいなくなるのはイヤなの!」
「はい?」
「俺達を置いて行くのかよ!」
「いや、そうじゃないけど……」
「「「嘘つき!」」」
ナキにそう言うと子供達は一斉に泣き出してしまい、ナキはどう対応していいか分からないながらも泣き続ける子供達をそっと抱きしめるが、子供達が泣き止む様子はない。
ナキはマリアに対し『君のせいなんだけど』と目を細め責める様に見ているが、マリアはそんなナキを気にする様子もなく父親に会ってどう説明しようかと考えていた。
「分かったよ。皆で行こう」
「「「……」」」
「あれ? 聞こえなかった? 皆でマリアのお父さんに会いに行こうって言ったんだけど?」
「「「ホントに!」」」
「ああ、本当だよ。マリアもいいでしょ?」
「……お父様、実は……ん~ちょっと違うかな? ここはやっぱり「マリア?」……何、忙しいんだけど?」
「いいから、こっちに来て」
「え~忙しいって言ったでしょ」
「なら、いいよ。僕達だけで行く「待って! ゴメン、行くから!」から……調子いいなぁ」
「何よ?」
「……いや」
ナキは自分の周りに子供達を集め、マリアもいることを確認すると土台となる結界を作り、皆で乗り込む。
「ちゃんと座っててね」
「「「は~い!」」」
「じゃ、行くよ」
「「「うん!」」」
「ちょっと待って! まだ、お父様への「待たない」……え? ちょっと……ぐっ」
ナキが子供達に声を掛け自分達が乗る結界をゆっくりと浮かせるとマリアはまだ父親に話す内容が纏まっていないと待ったを掛けるが、ナキはさっきの手紙があるだろうにと、そんなマリアのお願いを無視して領都の伯爵邸を目指して、一気に加速する。
『ん~一気に解決に向かうのかしら。まあ、それもアリなのでしょうね。でも、ミルラ様不在でこんなイベントが発生してもいいのでしょうか。まあ、本人が休むと言ったのだから、私が知ったことじゃないか』
『ヒドい……』
『え? ミルラ様、お休みだったんじゃ……』
『復帰します』
『はい?』
『だって、これから面白いことが起きるんでしょ。それを見逃すなんて有り得ません!』
『いや、有り得ないって言っても別にリアルタイムじゃなくても普通に見られるじゃないですか』
『何を言っているのですか!』
『へ?』
『こういうのはリアルタイムで見てこそでしょう』
『へぇそういうものなんですかね』
『ええ、そういうものです。分かったのなら、そこをどきなさい』
『はい?』
『早くその席を譲りなさいと言っているのです』
『え? でも、この椅子は……』
『私が復帰したのですから、その椅子は私の物です。分かったのなら、早くどきなさい。特等席は私の物なのですから』
『……』
三級神マリアが両頬を膨らませながら、無言で席を立てば『あ、そうそう。私が復帰したのですから、あなたも元の階級へ戻しますね』と女神ミルラは言うが、三級神マリアは意味が分からず『はい?』と聞き返せば、女神ミルラはハァ~と嘆息しながら、小さい子に説明するようにマリアに告げる。
『私は復帰します。ですから、あなたは三級神ではなく補佐となりますから』
『えぇ!』
『もう、うるさいですよ。静かにして下さい。これから面白いところなのに』
『……』
女神ミルラの言葉を聞いた瞬間にマリアの心の中にドロッとした澱の様な物が産まれた。
「え?」
「何?」
「だって、まだそんなに時間は経ってないけど?」
「甘い!」
「え?」
「だってお父様への手紙なのよ。私のお父様への気持ちを綴って、後はあのクソ女に対する文句を綴るだけだもの。私にとっては簡単なことよ!」
「はぁ……」
マリアは鼻息も荒く、そんな風にナキに説明するが、ナキとしてはそんな単純でいいのかなとマリアに確認してみる。
「あのさ、ちょっといい?」
「何? 言っておくけど手紙の内容はいくらナキでも見せることは出来ないわよ」
「いや、そうじゃなくてね」
「なら、何?」
「あのさ、その手紙を誰かが途中で、すり替えるとか父親に渡さないとかは考えないのかなと思って。後は、その手紙を誰かが読んで継母に伝えるとか?」
「……」
「あれ?」
「なんでそんなこと言うの!」
「え? 僕が怒られるの?」
「違うわよ! 怒ってないわよ! でも……あ~もう! なら、どうすればいいのよ!」
「あれ? 信用出来る人がいるんじゃないの?」
「そうは言ったけど……分からないじゃない!」
「ん~それは困ったね」
「……それだけ?」
「え?」
「だから、『困った』ってそれだけなの? 何か策はないの?」
「えっと……」
「助けてくれるんでしょ?」
「あれ? 何かすり替わっている?」
「細かいことはいいから! それで、どうすればいいの?」
「ん~」
「どうするの?」
「あ!」
「何?」
「あのさ、マリアのお父さんはどこにいるの?」
「いきなり、何よ。そんなの領主邸に決まっているじゃないの」
「いや、決まっていると言われたって僕はこの世界の住人じゃないし……」
「あ! そうだったわね。ごめんなさい……」
「ま、別にいいんだけど。どこに行けばお父さんに会えるのかな?」
「そうね、お父様なら……」
マリアからどうにかマリアの父親であるゴリアテ伯爵の場所を聞いたナキは「じゃあ、あっちの方角なんだね」とマリアに確認すると「ちょっと行ってくるから」と、その場から上空に上がろうとしたところで、マリアに腕を引っ張られる。
「えっと、マリア……さん?」
「行く!」
「え?」
「だから、私も行くの! いいでしょ!」
「いや、いいでしょって言われても……」
「なんでよ! 守ってくれるんでしょ?」
「あれ? また、何か「いいから、早く!」……えっと……」
「「「……」」」
ナキがマリアをどうしたものかと考えていると、ナキの回りでは子供達が不安そうにナキとマリアを見上げていたのに気付く。
「どうしたのかな?」
「……やだ!」
「え?」
「行っちゃヤダ!」
「え?」
「ナキとマリアがいなくなるのはイヤなの!」
「はい?」
「俺達を置いて行くのかよ!」
「いや、そうじゃないけど……」
「「「嘘つき!」」」
ナキにそう言うと子供達は一斉に泣き出してしまい、ナキはどう対応していいか分からないながらも泣き続ける子供達をそっと抱きしめるが、子供達が泣き止む様子はない。
ナキはマリアに対し『君のせいなんだけど』と目を細め責める様に見ているが、マリアはそんなナキを気にする様子もなく父親に会ってどう説明しようかと考えていた。
「分かったよ。皆で行こう」
「「「……」」」
「あれ? 聞こえなかった? 皆でマリアのお父さんに会いに行こうって言ったんだけど?」
「「「ホントに!」」」
「ああ、本当だよ。マリアもいいでしょ?」
「……お父様、実は……ん~ちょっと違うかな? ここはやっぱり「マリア?」……何、忙しいんだけど?」
「いいから、こっちに来て」
「え~忙しいって言ったでしょ」
「なら、いいよ。僕達だけで行く「待って! ゴメン、行くから!」から……調子いいなぁ」
「何よ?」
「……いや」
ナキは自分の周りに子供達を集め、マリアもいることを確認すると土台となる結界を作り、皆で乗り込む。
「ちゃんと座っててね」
「「「は~い!」」」
「じゃ、行くよ」
「「「うん!」」」
「ちょっと待って! まだ、お父様への「待たない」……え? ちょっと……ぐっ」
ナキが子供達に声を掛け自分達が乗る結界をゆっくりと浮かせるとマリアはまだ父親に話す内容が纏まっていないと待ったを掛けるが、ナキはさっきの手紙があるだろうにと、そんなマリアのお願いを無視して領都の伯爵邸を目指して、一気に加速する。
『ん~一気に解決に向かうのかしら。まあ、それもアリなのでしょうね。でも、ミルラ様不在でこんなイベントが発生してもいいのでしょうか。まあ、本人が休むと言ったのだから、私が知ったことじゃないか』
『ヒドい……』
『え? ミルラ様、お休みだったんじゃ……』
『復帰します』
『はい?』
『だって、これから面白いことが起きるんでしょ。それを見逃すなんて有り得ません!』
『いや、有り得ないって言っても別にリアルタイムじゃなくても普通に見られるじゃないですか』
『何を言っているのですか!』
『へ?』
『こういうのはリアルタイムで見てこそでしょう』
『へぇそういうものなんですかね』
『ええ、そういうものです。分かったのなら、そこをどきなさい』
『はい?』
『早くその席を譲りなさいと言っているのです』
『え? でも、この椅子は……』
『私が復帰したのですから、その椅子は私の物です。分かったのなら、早くどきなさい。特等席は私の物なのですから』
『……』
三級神マリアが両頬を膨らませながら、無言で席を立てば『あ、そうそう。私が復帰したのですから、あなたも元の階級へ戻しますね』と女神ミルラは言うが、三級神マリアは意味が分からず『はい?』と聞き返せば、女神ミルラはハァ~と嘆息しながら、小さい子に説明するようにマリアに告げる。
『私は復帰します。ですから、あなたは三級神ではなく補佐となりますから』
『えぇ!』
『もう、うるさいですよ。静かにして下さい。これから面白いところなのに』
『……』
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