21 / 56
第一章 さようなら日本、こんにちは異世界
第21話 Gは殲滅すべき
しおりを挟む
「え~と、実験としてはこんなもんかな~」
少年はゴブリンを使っての魔法の実験結果をしゃがんで地面に書込ながら纏めていく。
「先ず生き物を『複製』で増やすことは出来ない。でも、肉片と化した物なら『複製』で増やすことが出来る。それと転移魔法は使えないけど、『結界』を使っての閉じられた空間内なら転移は可能だった。でも、転移先に転移する物が収まる十分な空間がないと、その結界内に無理に出ようとすることで、グッチャグチャになる。けど、これは転移先の結界を柔らかくすることで対策出来た……っと。うん、こんなもんかな」
さっきまで行っていた実験結果をまとめ終わった少年は自分の足下の惨状を見て顔を顰める。「もう少し場所を考えるベキだったかな」と。
横穴の近くで実験を繰り返したものだから、そこら中にゴブリンの体液や肉片が散らばっている。
「ん~やっぱり変だよね。僕はどちらかと言えば、スプラッターみたいなグロは苦手だったハズなのに。どうして、今は平気なんだろう」
そう、少年が思うように今、少年の目の前には猟奇殺人の現場と言っても過言ではないような惨状だが、少年はその中心で平静を保っていられたことに今更ながら気付く。昨夜は襲われたから返り討ちにしただけの気持ちだったけど、考えるとどうしてなのかと不思議に思う。
まあ、少年がいくら考えても分かる訳がない。実を言えば、あの女神ミルラが少年の体を作る際に少しばかり自分の趣味を交え、顔を整えて、すぐに死なないようにと異世界の子供の平均値以上の体力、筋力を備えた上に何があっても平静でいられるようにと元々高かった精神耐性に加えて、グロ耐性も向上させたのだ。
この異世界で元の日本の道徳心を持ち出して死なないようにとの女神ミルラの親心であったが、このお陰でゴブリンを気にすることなく返り討ちに出来たのだ。
だが、少年がこのことを知ることはなく、いつもの様に「ま、いっか」と頭を切り替えるだけだった。
「さてと、ゴブリンがこうやって、またウロついているってことは近くに巣があるのは間違いないみたいだけど……どうやって探せばいいんだろうか。ん~あ! もしかしたら、出来るかも!」
そういって、少年はポンと手を打つと、「確かラノベでは魔力を薄く広げて感知出来る範囲を広げていたよね、じゃあ、僕は」と少年は結界を足下に薄く広げていく。
「ん~普通に広げていったら、魔力がゴリゴリ削られていく様な感触があるよ。どうしよう、これじゃそれほど広げられないよ。あ、そうだよ。何も面で展開しなくてもいいんだよ。細い線で蜘蛛の巣みたいに広げれば……うん、使う魔力量も減ったみたい。でも」
そう、少年が消費する魔力量は劇的に減らすことは出来たが、それでもまだ索敵範囲を広げるには心許ない。
「そうだよ、減るのなら増やせばいいじゃない」と、またいいことを思い付いたとばかりにほくそ笑む。
「じゃあ、モノは試しってことで。『魔素吸引』と唱えると少年は周囲から魔力の素となる魔素を防御魔法を通じて吸収すると、自分の体内に魔力が増えていくのを実感する。
「よし、これで魔力が尽きることはなくなったハズだから、もっと索敵範囲をひろげてみよう。でもな~なんだか索敵する数が多いのか、どれがゴブリンなのか分からないや。もしかしたら、虫や小動物なんかも拾っているのかな。だとしたら、索敵する対象をゴブリンの大きさくらいにすれば……もしかしたら、ビンゴ! いた! 見つけた!」
少年は索敵範囲を広げた先で数十体ほどが集まっているのを感知した。
「多分、これで間違いないと思うけど、もしかしたら……モノは試しってことで」
足下に展開した索敵の結界に対し、ゴブリンだと分かる物には色で感じられる様に調整すると、少年の頭の中に広がった索敵範囲の中に赤い光点とそれ以外の緑色の光点が浮かぶ。
ゴブリンが赤い光点として、それが青い光点を囲っている様にも見える。
「あれ、これってもしかして……もしかする?」
少年はなんだかヤバいことが起きているのではと索敵した方向を確かめる。
「あ、その前に片付けないとね」
少年は散らばった肉片や何かを結界を使い拾い集めると、そのまま結界の中に閉じ込め、焼却した後に穴を掘り、そこに埋める。
「これでよし。じゃ、次はゴブリン退治だ!」
少年はゴブリンの巣があると思われる方向を見据えると、足下に板状の結界を作ると、少年はその上に座り、自分の防御魔法を透過させてからゆっくりと上昇する。
「じゃあ、行くよ! って、どうやれば……」
結界を使い、高く上がったはいいが、平行移動する手段までは考えていなかったと、少年は座ったままでどうしたものかと考え、ふと思い付く。
「もしかしたら、行けるかも! ま、モノは試しってことで」
少年は自分の背中の位置に結界を作ると、背中とは反対の面を開け、風魔法を使用すると少年を乗せたまま結界はゆっくりと動き出す。
「向かい風がキツいんだけど……って、カウルっぽいのを作ればいいか。『結界』」
少年は自分の正面にカウル状に結界を作成すると満足そうにほくそ笑む。
少年はゴブリンを使っての魔法の実験結果をしゃがんで地面に書込ながら纏めていく。
「先ず生き物を『複製』で増やすことは出来ない。でも、肉片と化した物なら『複製』で増やすことが出来る。それと転移魔法は使えないけど、『結界』を使っての閉じられた空間内なら転移は可能だった。でも、転移先に転移する物が収まる十分な空間がないと、その結界内に無理に出ようとすることで、グッチャグチャになる。けど、これは転移先の結界を柔らかくすることで対策出来た……っと。うん、こんなもんかな」
さっきまで行っていた実験結果をまとめ終わった少年は自分の足下の惨状を見て顔を顰める。「もう少し場所を考えるベキだったかな」と。
横穴の近くで実験を繰り返したものだから、そこら中にゴブリンの体液や肉片が散らばっている。
「ん~やっぱり変だよね。僕はどちらかと言えば、スプラッターみたいなグロは苦手だったハズなのに。どうして、今は平気なんだろう」
そう、少年が思うように今、少年の目の前には猟奇殺人の現場と言っても過言ではないような惨状だが、少年はその中心で平静を保っていられたことに今更ながら気付く。昨夜は襲われたから返り討ちにしただけの気持ちだったけど、考えるとどうしてなのかと不思議に思う。
まあ、少年がいくら考えても分かる訳がない。実を言えば、あの女神ミルラが少年の体を作る際に少しばかり自分の趣味を交え、顔を整えて、すぐに死なないようにと異世界の子供の平均値以上の体力、筋力を備えた上に何があっても平静でいられるようにと元々高かった精神耐性に加えて、グロ耐性も向上させたのだ。
この異世界で元の日本の道徳心を持ち出して死なないようにとの女神ミルラの親心であったが、このお陰でゴブリンを気にすることなく返り討ちに出来たのだ。
だが、少年がこのことを知ることはなく、いつもの様に「ま、いっか」と頭を切り替えるだけだった。
「さてと、ゴブリンがこうやって、またウロついているってことは近くに巣があるのは間違いないみたいだけど……どうやって探せばいいんだろうか。ん~あ! もしかしたら、出来るかも!」
そういって、少年はポンと手を打つと、「確かラノベでは魔力を薄く広げて感知出来る範囲を広げていたよね、じゃあ、僕は」と少年は結界を足下に薄く広げていく。
「ん~普通に広げていったら、魔力がゴリゴリ削られていく様な感触があるよ。どうしよう、これじゃそれほど広げられないよ。あ、そうだよ。何も面で展開しなくてもいいんだよ。細い線で蜘蛛の巣みたいに広げれば……うん、使う魔力量も減ったみたい。でも」
そう、少年が消費する魔力量は劇的に減らすことは出来たが、それでもまだ索敵範囲を広げるには心許ない。
「そうだよ、減るのなら増やせばいいじゃない」と、またいいことを思い付いたとばかりにほくそ笑む。
「じゃあ、モノは試しってことで。『魔素吸引』と唱えると少年は周囲から魔力の素となる魔素を防御魔法を通じて吸収すると、自分の体内に魔力が増えていくのを実感する。
「よし、これで魔力が尽きることはなくなったハズだから、もっと索敵範囲をひろげてみよう。でもな~なんだか索敵する数が多いのか、どれがゴブリンなのか分からないや。もしかしたら、虫や小動物なんかも拾っているのかな。だとしたら、索敵する対象をゴブリンの大きさくらいにすれば……もしかしたら、ビンゴ! いた! 見つけた!」
少年は索敵範囲を広げた先で数十体ほどが集まっているのを感知した。
「多分、これで間違いないと思うけど、もしかしたら……モノは試しってことで」
足下に展開した索敵の結界に対し、ゴブリンだと分かる物には色で感じられる様に調整すると、少年の頭の中に広がった索敵範囲の中に赤い光点とそれ以外の緑色の光点が浮かぶ。
ゴブリンが赤い光点として、それが青い光点を囲っている様にも見える。
「あれ、これってもしかして……もしかする?」
少年はなんだかヤバいことが起きているのではと索敵した方向を確かめる。
「あ、その前に片付けないとね」
少年は散らばった肉片や何かを結界を使い拾い集めると、そのまま結界の中に閉じ込め、焼却した後に穴を掘り、そこに埋める。
「これでよし。じゃ、次はゴブリン退治だ!」
少年はゴブリンの巣があると思われる方向を見据えると、足下に板状の結界を作ると、少年はその上に座り、自分の防御魔法を透過させてからゆっくりと上昇する。
「じゃあ、行くよ! って、どうやれば……」
結界を使い、高く上がったはいいが、平行移動する手段までは考えていなかったと、少年は座ったままでどうしたものかと考え、ふと思い付く。
「もしかしたら、行けるかも! ま、モノは試しってことで」
少年は自分の背中の位置に結界を作ると、背中とは反対の面を開け、風魔法を使用すると少年を乗せたまま結界はゆっくりと動き出す。
「向かい風がキツいんだけど……って、カウルっぽいのを作ればいいか。『結界』」
少年は自分の正面にカウル状に結界を作成すると満足そうにほくそ笑む。
0
お気に入りに追加
716
あなたにおすすめの小説
拝啓、お父様お母様 勇者パーティをクビになりました。
ちくわ feat. 亜鳳
ファンタジー
弱い、使えないと勇者パーティをクビになった
16歳の少年【カン】
しかし彼は転生者であり、勇者パーティに配属される前は【無冠の帝王】とまで謳われた最強の武・剣道者だ
これで魔導まで極めているのだが
王国より勇者の尊厳とレベルが上がるまではその実力を隠せと言われ
渋々それに付き合っていた…
だが、勘違いした勇者にパーティを追い出されてしまう
この物語はそんな最強の少年【カン】が「もう知るか!王命何かくそ食らえ!!」と実力解放して好き勝手に過ごすだけのストーリーである
※タイトルは思い付かなかったので適当です
※5話【ギルド長との対談】を持って前書きを廃止致しました
以降はあとがきに変更になります
※現在執筆に集中させて頂くべく
必要最低限の感想しか返信できません、ご理解のほどよろしくお願いいたします
※現在書き溜め中、もうしばらくお待ちください
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
異世界でスキルを奪います ~技能奪取は最強のチート~
星天
ファンタジー
幼馴染を庇って死んでしまった翔。でも、それは神様のミスだった!
創造神という女の子から交渉を受ける。そして、二つの【特殊技能】を貰って、異世界に飛び立つ。
『創り出す力』と『奪う力』を持って、異世界で技能を奪って、どんどん強くなっていく
はたして、翔は異世界でうまくやっていけるのだろうか!!!
異世界転生は、0歳からがいいよね
八時
ファンタジー
転生小説好きの少年が神様のおっちょこちょいで異世界転生してしまった。
神様からのギフト(チート能力)で無双します。
初めてなので誤字があったらすいません。
自由気ままに投稿していきます。
成長チートと全能神
ハーフ
ファンタジー
居眠り運転の車から20人の命を救った主人公,神代弘樹は実は全能神と魂が一緒だった。人々の命を救った彼は全能神の弟の全智神に成長チートをもらって伯爵の3男として転生する。成長チートと努力と知識と加護で最速で進化し無双する。
戦い、商業、政治、全てで彼は無双する!!
____________________________
質問、誤字脱字など感想で教えてくださると嬉しいです。
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。
けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。
日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。
あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの?
ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。
感想などお待ちしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる