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第一章 さようなら日本、こんにちは異世界
第9話 魔力枯渇の恐怖
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「え~とつまりは後は自分でどうにかしろと……」
女神通信の続きを読んでいた少年は女神ミルラが書いた内容にちょっとだけイラッとしていた。そこにはこう書かれていた。
『通貨は一応、鞄の中にいくらか気持ち程度を用意し入れておきましたが、通貨単位や日本での価値に対していくらなのかは自分で調べてください。それと、不遇の三年間をやり直してもらおうと思い、体の方はそちらの世界の十二歳の平均値としています。また、黒髪黒眼はどうしても目立ってしまうのでいっそ金髪金眼にしてしまおうかと思いましたが、それもどうかと同僚からの一言もあり、明るい茶髪に翠色の眼にしました』
ここまで女神通信を読んだがまだ少年が知りたいと渇望している魔法についてはまだ一言も触れられていない。
「まさか、忘れたってことはないよな」
少年は自分の顔がどういじられたのか確認するよりも魔法はどうなったとそればかりを考えていたのだ。
「魔法……魔法はどこに……あ! これかな。なになに……」
『ここまで読んでもまだ魔法のことは教えないのかと相当焦れているかと思います。ですが、そんな君が先に魔法のことを知ってしまうと、この手紙を読むのを途中で止め、魔法の方へと進んでしまうことでしょう』
「うん、しっかり読まれているね」
異世界に……まだ異世界とは信じられないが、異世界に来たのならば魔法に憧れる気持ちは隠せないのだからと少年は逸る気持ちを抑えながら女神通信の続きに目を通す。
『魔法には生活魔法と固有魔法の二つがあります。生活魔法は既にご存知かと思いますが、一応書いておきますのでちゃんと目を通してください。生活魔法には「水」「灯り」「灯火」「清掃」があります。読みが英語風なのはそういうものだと思って納得してください。言語スキルがそういう風にしているものと。そして、そういうことを気にしていたら、この先のことが説明しづらくなりますからなるべく流してくださいね』
「ん~まあ、確かにギルドランクとかアルファベット表記だから不思議に思っていたけど、言語スキルがそう解釈しているのなら、しょうがないか。でも、生活魔法があるのはありがたいね。でも、まだ肝心の異世界特典が書かれていないけど」
少年は異世界特典もだけど、魔力というものがどういうものでどういう風にすれば魔法が発動するのかが書かれていないことに気が付く。
「あれ? これって書き忘れなの? それとも……『水』……なんだ何も……って、え? うわぁ!」
少年は試しにと生活魔法の『水』を唱えてみるが、見た目には何も起きていなかったが、少し経ってから右手の上にジワッと水が現れた。
「え、ショボ」
思わず口にしてしまった少年だが、それも無理はないだろう。生活魔法の『水』を唱えた結果、手の平に現れたのは一口分の水だったのだから。
だが、その生活魔法を発動した結果、体の中から何かが吸い取られる感覚があったことを少年は思い出す。
「もしかして、アレが魔力を使ったという感覚なのかな。でも使いすぎたらどうなるんだろう? その辺りのことは書かれていないのかな」
『君のことだから、早速生活魔法を試してみて「ショボ」と思ったことでしょ。でも、それは間違いですからね。もうお気付きかと思いますが、込める魔力量で生活魔法の威力も変わってきます』
「……また、読まれてる。でも、やっと魔力の説明に入って来た。ちゃんと読まないとね。魔力が枯渇して死んじゃうって設定もよくあるから」
女神通信もやっと少年が知りたがっていた魔法へと差し掛かり、少年の好奇心も爆上がりだ。
『先ず魔法の発動に必要な魔力とは各人の体の奥深くにある魔核より提供されます。そして魔核への供給は自然界に溢れる魔素を吸収することで体内で変換され魔核へと蓄積されます。まあ、君にはMPと言った方が馴染みがあるかと』
「そういうことか。なら、さっきの感覚は僕の体から『水』を使った分の魔力が消費されたってことだったんだ。でも、まだ魔力枯渇のことが書かれていないけど。ん~気になる」
とりあえず、魔力が使われること、無限ではないことが分かった少年はそれならば、その魔核はどれくらいの大きさで、どのくらいの容量になるのかが気になってくる。
でも、それを確かめる為には枯渇寸前まで使わないと分からないのが難点だ。
「ん~その為にも魔力枯渇の場合にどうなるのか知りたいよな。じゃあ、続きを読みますか」
『魔核のこと、MPが分かったところで、次に君が気になるのはMPの容量そのものでしょう。それとMPが枯渇した場合にどうなるのかが君が知りたいことでしょうね』
少年は思わず女神通信の内容に頷き先を読み進めるとやっと知りたいことに辿り着いた。
『では、ハッキリと言いましょう。魔力が枯渇したからといって死ぬことはありません。ただ、死なないのですが、動けなくなります。ええ、それはもう二日酔いのサラリーマンの如く。絶え間なく続く頭痛にさいなまれることでしょう。ですから、一度は魔力枯渇を体験しておくことをお勧めします』
「へ~なるほどね。魔力枯渇しても死ぬことはないんだ。でも、動けなくなるほどの頭痛に襲われるのは嫌だな~」
そんなことを考えながらいつかは試すしかないかと思うが、今ではないと思い直す。それに、こんな道端で動けなくなったら、それこそ誰に襲われるのか分かったものじゃないと。
「とにかく、多分もう少しで異世界特典の話になるはずだから」と少年は女神通信の続きを読む。
女神通信の続きを読んでいた少年は女神ミルラが書いた内容にちょっとだけイラッとしていた。そこにはこう書かれていた。
『通貨は一応、鞄の中にいくらか気持ち程度を用意し入れておきましたが、通貨単位や日本での価値に対していくらなのかは自分で調べてください。それと、不遇の三年間をやり直してもらおうと思い、体の方はそちらの世界の十二歳の平均値としています。また、黒髪黒眼はどうしても目立ってしまうのでいっそ金髪金眼にしてしまおうかと思いましたが、それもどうかと同僚からの一言もあり、明るい茶髪に翠色の眼にしました』
ここまで女神通信を読んだがまだ少年が知りたいと渇望している魔法についてはまだ一言も触れられていない。
「まさか、忘れたってことはないよな」
少年は自分の顔がどういじられたのか確認するよりも魔法はどうなったとそればかりを考えていたのだ。
「魔法……魔法はどこに……あ! これかな。なになに……」
『ここまで読んでもまだ魔法のことは教えないのかと相当焦れているかと思います。ですが、そんな君が先に魔法のことを知ってしまうと、この手紙を読むのを途中で止め、魔法の方へと進んでしまうことでしょう』
「うん、しっかり読まれているね」
異世界に……まだ異世界とは信じられないが、異世界に来たのならば魔法に憧れる気持ちは隠せないのだからと少年は逸る気持ちを抑えながら女神通信の続きに目を通す。
『魔法には生活魔法と固有魔法の二つがあります。生活魔法は既にご存知かと思いますが、一応書いておきますのでちゃんと目を通してください。生活魔法には「水」「灯り」「灯火」「清掃」があります。読みが英語風なのはそういうものだと思って納得してください。言語スキルがそういう風にしているものと。そして、そういうことを気にしていたら、この先のことが説明しづらくなりますからなるべく流してくださいね』
「ん~まあ、確かにギルドランクとかアルファベット表記だから不思議に思っていたけど、言語スキルがそう解釈しているのなら、しょうがないか。でも、生活魔法があるのはありがたいね。でも、まだ肝心の異世界特典が書かれていないけど」
少年は異世界特典もだけど、魔力というものがどういうものでどういう風にすれば魔法が発動するのかが書かれていないことに気が付く。
「あれ? これって書き忘れなの? それとも……『水』……なんだ何も……って、え? うわぁ!」
少年は試しにと生活魔法の『水』を唱えてみるが、見た目には何も起きていなかったが、少し経ってから右手の上にジワッと水が現れた。
「え、ショボ」
思わず口にしてしまった少年だが、それも無理はないだろう。生活魔法の『水』を唱えた結果、手の平に現れたのは一口分の水だったのだから。
だが、その生活魔法を発動した結果、体の中から何かが吸い取られる感覚があったことを少年は思い出す。
「もしかして、アレが魔力を使ったという感覚なのかな。でも使いすぎたらどうなるんだろう? その辺りのことは書かれていないのかな」
『君のことだから、早速生活魔法を試してみて「ショボ」と思ったことでしょ。でも、それは間違いですからね。もうお気付きかと思いますが、込める魔力量で生活魔法の威力も変わってきます』
「……また、読まれてる。でも、やっと魔力の説明に入って来た。ちゃんと読まないとね。魔力が枯渇して死んじゃうって設定もよくあるから」
女神通信もやっと少年が知りたがっていた魔法へと差し掛かり、少年の好奇心も爆上がりだ。
『先ず魔法の発動に必要な魔力とは各人の体の奥深くにある魔核より提供されます。そして魔核への供給は自然界に溢れる魔素を吸収することで体内で変換され魔核へと蓄積されます。まあ、君にはMPと言った方が馴染みがあるかと』
「そういうことか。なら、さっきの感覚は僕の体から『水』を使った分の魔力が消費されたってことだったんだ。でも、まだ魔力枯渇のことが書かれていないけど。ん~気になる」
とりあえず、魔力が使われること、無限ではないことが分かった少年はそれならば、その魔核はどれくらいの大きさで、どのくらいの容量になるのかが気になってくる。
でも、それを確かめる為には枯渇寸前まで使わないと分からないのが難点だ。
「ん~その為にも魔力枯渇の場合にどうなるのか知りたいよな。じゃあ、続きを読みますか」
『魔核のこと、MPが分かったところで、次に君が気になるのはMPの容量そのものでしょう。それとMPが枯渇した場合にどうなるのかが君が知りたいことでしょうね』
少年は思わず女神通信の内容に頷き先を読み進めるとやっと知りたいことに辿り着いた。
『では、ハッキリと言いましょう。魔力が枯渇したからといって死ぬことはありません。ただ、死なないのですが、動けなくなります。ええ、それはもう二日酔いのサラリーマンの如く。絶え間なく続く頭痛にさいなまれることでしょう。ですから、一度は魔力枯渇を体験しておくことをお勧めします』
「へ~なるほどね。魔力枯渇しても死ぬことはないんだ。でも、動けなくなるほどの頭痛に襲われるのは嫌だな~」
そんなことを考えながらいつかは試すしかないかと思うが、今ではないと思い直す。それに、こんな道端で動けなくなったら、それこそ誰に襲われるのか分かったものじゃないと。
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