40 / 51
第二章 大家族になりました
第二十話 やってみたのよ
しおりを挟む
メアリー達をお風呂に招待する約束をしたところで、教室の扉が開かれ教師が入ってくる。
「「「おはようございます!」」」
「おはようございます。アビー、ちょっといい?」
挨拶を済ませたアビー達が席に着くと、教師はアビーを呼ぶ。
「僕?」
「ええ、あのね。アビーが話してくれたのを他の先生達と話し合ったの。そしたらね、一度やってみようかって話になったのよ」
「え?」
「だからね、アビーが話してくれた色んなことを試してみましょう。じゃあ、皆外に行きましょう」
「「「はい!」」」
教室から出て、校庭へと皆と一緒に出る。
「じゃあ、まずは徒競走ね。でも、五十メートルは長いわね。あなた達の様な小さい子達は十メートルくらいかな」
「僕、走れるよ?」
「アビー、確かにあなたは走れると思うわ。でもね、他の子はね……」
「そうだよ。アビー、私達には無理よ」
「え~そうなの?」
「「「そうよ」」」
教師が指示して、距離を測り十メートルのコースを用意する。
「じゃあ、ちょっと走ってみましょうか。じゃあ、メアリーとユーリ」
「「はい!」」
教師がスタートラインにメアリーとユーリを並べるとゴール位置ではサンディとニーナでロープを張ってもらう。
「じゃあ、先にロープを通った方が勝ちだからね。用意はいい?」
「「はい!」」
「うん、いいわ。じゃあ、行くわよ。よ~い、ドン!」
教師が合図として掛け声と共に手を叩くとメアリーとユーリが走り出し、二十メートル先のゴールを目指す。
「やったぁ~!」
「あ~負けたぁ~」
先にゴールしたのはユーリで、体一つ分の差でメアリーがゴールする。
メアリー達の元に教師がやって来る。
「走ってみてどうかな?」
「「楽しかった!」」
「そう、普段の駆けっことは違う?」
「うん、なんかね楽しかったよ」
「楽しかったのね。じゃあ、これは採用ね。じゃあ、次は……」
教師はアビーを一瞥する。
「ねえ、アビー。このリレーってのは、駆けっこのことじゃないの?」
教師はアビーが話した競技種目の中の『リレー』と書かれた箇所を指す。
「あのね、これはね四人くらいで順番に走るの」
「順番? もうちょっと教えてくれる?」
「えっと……」
アビーはその場にしゃがんで地面に楕円形のトラックを書くと各コーナーの位置に線を引くと、教師に説明する。
「なるほど。じゃあ、例えば、この木の棒をバトンとして、数人で交代しながら走るのね」
「うん、そう」
「じゃあ、先ずはコースを用意しないとね」
そんな風にアビーの提案した内容を教師に説明しながら、皆で体験していく。中には借り物競走や大玉転がしなどの道具を必要とする競技は出来なかったが、概ね好評だった。
中でも騎馬戦はかなり盛り上がり、もう少しで怪我人が出るところだったので、教師は要再検討とメモする。
「全部ではないけど、皆楽しそうね」
「「「うん、楽しかったよ!」」」
「分かったわ。じゃあ、後は組み体操と大玉転がしに障害物競走に借り物競走ね。その辺についてはまた、アビーに確認することになるかも知れないけどいいかな?」
「うん、分かった」
「じゃあ、今日はこれまでね。またね」
「「「は~い!」」」
教師は今日はこれで終わりと宣言し、アビー達は自由になる。
アビーも帰ろうとするが、メアリー達が何かを期待している目で自分を見ていることに気付く。
「えっと、何かな?」
「あのね、新しい遊びとかないかな? と思って……ない?」
「「ないかな?」」
「え~もう飽きたの?」
「飽きた訳じゃないのよ。でも、アビーなら何か新しい遊びを知っているんじゃないかな~と思ってね」
メアリーにそう言われたアビーは何かあったかなと考えるが、すぐには思い浮かばないので、メアリー達に質問してみることにした。
「ねえ、メアリー達はどんな遊びがしたいの?」
「どんなって?」
「えっとね、例えばね。たくさんの人達で遊びたいのか二,三人で遊びたいのかなんだけど」
「う~ん、じゃあたくさんで!」
「たくさんでなら、ボールがいるけど……」
そう言ってアビーは自分の物だったボールの行方を探すが、既にボールは複数あり、どれが自分のボールなのかは分からない。
「あ~お爺ちゃん達に謝らないと……」
「ごめんね。もう、どれがアビーのボールなのか分からないよね。でも、ここにもボールはあるわよ。はい」
メアリーがボールを用意しているので、ならばとアビーはメアリー達に遊び方を説明する。
「じゃあ、遊び方を教えるね」
「「「うん!」」」
「いい? まずはボールを転がすから、それを思いっ切り蹴ってね」
「「「蹴るの?」」」
「そう、蹴るの。それでね、蹴ったら、ここへ走るの」
アビーが地面に書いて説明しているのはいわゆるキックベースだった。
「へ~守るのと攻めるのに別れてするのね」
「そう。九対九でね」
「でも、そんなに広くは遊ぶ場所は取れないよ」
「それは多分、大丈夫。メアリー達が始めれば、他の人も興味を持って見るはずだから」
「あ、そうか。じゃあ、やってみるね。ありがとう、アビー」
「うん。また、新しい遊びも考えとくね」
「分かった。楽しみにしているわ。じゃあね、バイバイ!」
「「バイバイ!」」
アビーはメアリー達と別れ、家へと向かう。
「「「おはようございます!」」」
「おはようございます。アビー、ちょっといい?」
挨拶を済ませたアビー達が席に着くと、教師はアビーを呼ぶ。
「僕?」
「ええ、あのね。アビーが話してくれたのを他の先生達と話し合ったの。そしたらね、一度やってみようかって話になったのよ」
「え?」
「だからね、アビーが話してくれた色んなことを試してみましょう。じゃあ、皆外に行きましょう」
「「「はい!」」」
教室から出て、校庭へと皆と一緒に出る。
「じゃあ、まずは徒競走ね。でも、五十メートルは長いわね。あなた達の様な小さい子達は十メートルくらいかな」
「僕、走れるよ?」
「アビー、確かにあなたは走れると思うわ。でもね、他の子はね……」
「そうだよ。アビー、私達には無理よ」
「え~そうなの?」
「「「そうよ」」」
教師が指示して、距離を測り十メートルのコースを用意する。
「じゃあ、ちょっと走ってみましょうか。じゃあ、メアリーとユーリ」
「「はい!」」
教師がスタートラインにメアリーとユーリを並べるとゴール位置ではサンディとニーナでロープを張ってもらう。
「じゃあ、先にロープを通った方が勝ちだからね。用意はいい?」
「「はい!」」
「うん、いいわ。じゃあ、行くわよ。よ~い、ドン!」
教師が合図として掛け声と共に手を叩くとメアリーとユーリが走り出し、二十メートル先のゴールを目指す。
「やったぁ~!」
「あ~負けたぁ~」
先にゴールしたのはユーリで、体一つ分の差でメアリーがゴールする。
メアリー達の元に教師がやって来る。
「走ってみてどうかな?」
「「楽しかった!」」
「そう、普段の駆けっことは違う?」
「うん、なんかね楽しかったよ」
「楽しかったのね。じゃあ、これは採用ね。じゃあ、次は……」
教師はアビーを一瞥する。
「ねえ、アビー。このリレーってのは、駆けっこのことじゃないの?」
教師はアビーが話した競技種目の中の『リレー』と書かれた箇所を指す。
「あのね、これはね四人くらいで順番に走るの」
「順番? もうちょっと教えてくれる?」
「えっと……」
アビーはその場にしゃがんで地面に楕円形のトラックを書くと各コーナーの位置に線を引くと、教師に説明する。
「なるほど。じゃあ、例えば、この木の棒をバトンとして、数人で交代しながら走るのね」
「うん、そう」
「じゃあ、先ずはコースを用意しないとね」
そんな風にアビーの提案した内容を教師に説明しながら、皆で体験していく。中には借り物競走や大玉転がしなどの道具を必要とする競技は出来なかったが、概ね好評だった。
中でも騎馬戦はかなり盛り上がり、もう少しで怪我人が出るところだったので、教師は要再検討とメモする。
「全部ではないけど、皆楽しそうね」
「「「うん、楽しかったよ!」」」
「分かったわ。じゃあ、後は組み体操と大玉転がしに障害物競走に借り物競走ね。その辺についてはまた、アビーに確認することになるかも知れないけどいいかな?」
「うん、分かった」
「じゃあ、今日はこれまでね。またね」
「「「は~い!」」」
教師は今日はこれで終わりと宣言し、アビー達は自由になる。
アビーも帰ろうとするが、メアリー達が何かを期待している目で自分を見ていることに気付く。
「えっと、何かな?」
「あのね、新しい遊びとかないかな? と思って……ない?」
「「ないかな?」」
「え~もう飽きたの?」
「飽きた訳じゃないのよ。でも、アビーなら何か新しい遊びを知っているんじゃないかな~と思ってね」
メアリーにそう言われたアビーは何かあったかなと考えるが、すぐには思い浮かばないので、メアリー達に質問してみることにした。
「ねえ、メアリー達はどんな遊びがしたいの?」
「どんなって?」
「えっとね、例えばね。たくさんの人達で遊びたいのか二,三人で遊びたいのかなんだけど」
「う~ん、じゃあたくさんで!」
「たくさんでなら、ボールがいるけど……」
そう言ってアビーは自分の物だったボールの行方を探すが、既にボールは複数あり、どれが自分のボールなのかは分からない。
「あ~お爺ちゃん達に謝らないと……」
「ごめんね。もう、どれがアビーのボールなのか分からないよね。でも、ここにもボールはあるわよ。はい」
メアリーがボールを用意しているので、ならばとアビーはメアリー達に遊び方を説明する。
「じゃあ、遊び方を教えるね」
「「「うん!」」」
「いい? まずはボールを転がすから、それを思いっ切り蹴ってね」
「「「蹴るの?」」」
「そう、蹴るの。それでね、蹴ったら、ここへ走るの」
アビーが地面に書いて説明しているのはいわゆるキックベースだった。
「へ~守るのと攻めるのに別れてするのね」
「そう。九対九でね」
「でも、そんなに広くは遊ぶ場所は取れないよ」
「それは多分、大丈夫。メアリー達が始めれば、他の人も興味を持って見るはずだから」
「あ、そうか。じゃあ、やってみるね。ありがとう、アビー」
「うん。また、新しい遊びも考えとくね」
「分かった。楽しみにしているわ。じゃあね、バイバイ!」
「「バイバイ!」」
アビーはメアリー達と別れ、家へと向かう。
0
お気に入りに追加
965
あなたにおすすめの小説
異世界に転生したら?(改)
まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。
そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。
物語はまさに、その時に起きる!
横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。
そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。
◇
5年前の作品の改稿板になります。
少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。
生暖かい目で見て下されば幸いです。
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです
ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。
女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。
前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る!
そんな変わった公爵令嬢の物語。
アルファポリスOnly
2019/4/21 完結しました。
沢山のお気に入り、本当に感謝します。
7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。
2021年9月。
ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。
10月、再び完結に戻します。
御声援御愛読ありがとうございました。
元ゲーマーのオタクが悪役令嬢? ごめん、そのゲーム全然知らない。とりま異世界ライフは普通に楽しめそうなので、設定無視して自分らしく生きます
みなみ抄花
ファンタジー
前世で死んだ自分は、どうやらやったこともないゲームの悪役令嬢に転生させられたようです。
女子力皆無の私が令嬢なんてそもそもが無理だから、設定無視して自分らしく生きますね。
勝手に転生させたどっかの神さま、ヒロインいじめとか勇者とか物語の盛り上げ役とかほんっと心底どうでも良いんで、そんなことよりチート能力もっとよこしてください。
婚約破棄騒動に巻き込まれたモブですが……
こうじ
ファンタジー
『あ、終わった……』王太子の取り巻きの1人であるシューラは人生が詰んだのを感じた。王太子と公爵令嬢の婚約破棄騒動に巻き込まれた結果、全てを失う事になってしまったシューラ、これは元貴族令息のやり直しの物語である。
出来損ない王女(5歳)が、問題児部隊の隊長に就任しました
瑠美るみ子
ファンタジー
魔法至上主義のグラスター王国にて。
レクティタは王族にも関わらず魔力が無かったため、実の父である国王から虐げられていた。
そんな中、彼女は国境の王国魔法軍第七特殊部隊の隊長に任命される。
そこは、実力はあるものの、異教徒や平民の魔法使いばかり集まった部隊で、最近巷で有名になっている集団であった。
王国魔法のみが正当な魔法と信じる国王は、国民から英雄視される第七部隊が目障りだった。そのため、褒美としてレクティタを隊長に就任させ、彼女を生贄に部隊を潰そうとした……のだが。
「隊長~勉強頑張っているか~?」
「ひひひ……差し入れのお菓子です」
「あ、クッキー!!」
「この時間にお菓子をあげると夕飯が入らなくなるからやめなさいといつも言っているでしょう! 隊長もこっそり食べない! せめて一枚だけにしないさい!」
第七部隊の面々は、国王の思惑とは反対に、レクティタと交流していきどんどん仲良くなっていく。
そして、レクティタ自身もまた、変人だが魔法使いのエリートである彼らに囲まれて、英才教育を受けていくうちに己の才能を開花していく。
ほのぼのとコメディ七割、戦闘とシリアス三割ぐらいの、第七部隊の日常物語。
*小説家になろう・カクヨム様にても掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる