僕っ娘、転生幼女は今日も元気に生きています!

ももがぶ

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第一章 転生先は……どこ?

第十七話 秘密にするのよ

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『念の為に聞くが、アビーよ。ホントに誰にも教わってはいないんだな?』
「何? 長老、僕のこと疑うの?」
『いや、そういう訳じゃないんだがな……』
そう言って長老はアビーの手元の異質な塊に目を向ける。

「これ?」
『それじゃよ……はぁ。大精霊様でも出来なかったモノを……まあ、簡単に作るとはな。ワシ、ディーネ様達になんて言えばいいんじゃ』
「えっと、謝らないとダメ?」
『そうじゃないが、ディーネ様達に報告する時には一緒にいて欲しいかな』
「なんで? 長老だけじゃダメなの?」
『アビー、お前は自分が何をしたのか分かってないのか?』
「僕? 僕はただ、魔法を使っただけだよ」
『その使った魔法が問題なのじゃ』
「どうして?」
『どうしてって言われてもな~』
長老はアビーにどうやって、自分の胸のモヤモヤを説明すればいいのかと腕を組んで考えてみても何もいい案が浮かんでこない。

『ねえ、アビー。それってどうやれば出来るの?』
「どうって、言われても……」
ポポにどうやって結界魔法を発動するのかと聞かれ、アビーは返答に困る。
なぜならば、結界魔法の切っ掛けになったのが、病室で寝ている歩にお土産と言って父が渡してくれたガチャガチャのトイカプセルなのだから。

「えっとね、まずは透明の入れ物を想像するの」
『『『透明?』』』
「透明が難しいなら、木箱でもいいんだけどね」
『あ! それなら分かる!』
「次はその木箱を薄い膜で作ってみるの。こんな風にね」
『『『出来た!』』』
『なんじゃと!』
『『『嘘じゃないよ、ほら!』』』
ポポ達が長老の目の前に四角い立方体の結界をそれぞれが誇らしげに長老に見せる。
『ホントじゃ……アビー、ワシにも教えてくれないか』
「いいよ。じゃあ、いい?」
アビーは長老に手解きすると、長老もすぐに出来たようで、嬉しそうに部屋の中を飛び回る。
『これでディーネ様にも自慢できる!』
「長老、それが本音なの?」
『え! アビー、今のは内緒で頼む』
「別にいいけど……」

『あ! そろそろ時間じゃ。では、アビー世話になった』
『あ、長老……もう』
『しょうがないよ。ポポ。早く自慢したいんでしょ』
『まったく。アビー、また明日ね』
「うん、またね」

ポポ達もアビーの部屋からいなくなると、途端に寂しくなるが時間的にはお昼の頃だなと思っていると、ジュディがアビーを呼ぶ声が聞こえる。
「アビー、お昼よ~」
「は~い」
部屋から出ると、ジュディが呼ぶ食堂へと向かう。

食堂にはすでにマークが席に着いていた。
「お父さん、今日はお休み?」
「ああ、そうだ。今日も雨だからな。明日には止むだろうけど、今日はお休みだ」
「ふ~ん、ねえ。お父さんのお父さんは?」
「ん? アビー、急にどうしたんだ?」
「この前、メアリーのおじいちゃんに会ったの。でね、メアリーに僕のおじいちゃん、おばあちゃんはいないの? って聞かれたの。ねえ、どこにいるの?」
「……」
「マーク、どうしたの?」
そこに昼食を持って来たジュディが現れ、マークが困っているのを認めるとどうしたのかと聞いてくる。
「ジュディ、とうとうこの日が来てしまったよ」
「え? どういうこと?」
「今、アビーに俺達の両親のこと。つまり、アビーにとってのおじいちゃん、おばあちゃんのことを聞かれたよ」
「そう……」
「ねえ、どうしたの?」
「ううん、アビーなんでもないの」
「なあ、アビーはおじいちゃん達に会いたいのか?」
「うん、会いたいよ。でも、会えないのなら、僕……我慢する」
「そうか……本当は会わせたくないんだけどなぁ~」
「でも、いつまでも会わせない訳にはいかないでしょ」
「そりゃ、そうだけど……」
「まあ、すぐに会わせることは出来ないんだし。どっちみちこんな雨じゃ無理でしょ」
「そうだな。アビー、ちゃんと会わせるから、心配するな」
「ホント? 僕のおじいちゃん、おばあちゃんに会えるの?」
「ああ、ホントに残念なことだけど、まだ生きている」
「なんで残念なの?」
「なんでって……まあ、会えば分かるから。さあ、そんなことより昼飯だ」
「うん!」

歩だった頃、歩にも祖父と祖母と呼べる人はいたが、歩は直接会ったことがなかった。単に歩が入退院を繰り返していたからというのもあるが、父と母のどちらの祖父母も歩が産まれた時は喜んでいたが、先天性の疾患などから、成長が見込めないこと、成人するまでの生存確率が低いことから、祖父母は歩を見限り見舞いに来ることもなく早く次を産めというだけだった。そして、どちらの祖父母もそれぞれの息子、娘ではなく相手が悪いと攻撃するばかりで、仲も険悪になってしまった。

だから、歩にとっては初めての祖父母に会えることが分かっただけでも嬉しくなり、食事の間はマークとジュディが疲れるまで祖父母について質問を繰り返したのだった。
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