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第10章「幻夢晴れて現れる、壊れた虚構」編
第534話 フロントの蘇る恐怖の記憶と、明らかになる恐怖(その3)
しおりを挟むバホン先王が、思い詰めた表情でフロントに何かを告げようとしてた。
急遽始まった、会合。
そして、緊張する面々。
皆は、円卓に座り何をバホン先王が言い出すのかを、各国の諜報員達も聞き耳を立てていた。
バホン先王
「恐らく、この話はマルダス世界では公然の秘密となっておりますが、今のブリードル帝国の皇帝一族は、都合の悪いものとなってしまうためにわざと、伝えられていないと思われる事です。
いずれ、各国の耳にも入ることなので、ここで話します。
フロント陛下が、ここ旧地球からマルダス世界に移民された時には、まだフロントバーレ諸国連合を、国家は名乗っていました。
フロント陛下が、譲位されて冷凍睡眠に入られる時に、姪御が5人おられたと言われてます。」
フロント皇女
「うむ、いましたね。
確かに、5人
いました。
跡を継ぐのは、実力主義で決めよ!
私が、起きた時に恥ずかしくない国家運営をせよと言いましたね。
ハハハハハハ…。
転生した自分も恥ずかしい事を、しておいて情けない。」
バホン先王
「実は、ここからが史実と記録が違うところなのです。
史実は、陛下が確認された通り姪御は5人!
しかし、記録は一人になっております。」
フロント皇女
「ハァ… 皇位を争ったのですね。」
バホン先王
「はい、そのように伝えられています。
生き残ったのは、三人。
一人は、前のブリードル帝国の皇帝の血筋。
一人は、偽装死亡が成功して貴族に匿われて生き延びました。
それが、私の祖先です。
一人は、子を貴族に託して、自爆攻撃をもって反撃に出ました。
裏切り者を全て、あの世に連れて行ったみたいです。
それが、ホロン国王の祖先であり、現皇帝リッパー殿のお母様の祖先でもあります。」
ホロン国王
「やはり…肖像画と見比べて、どこか似ていると思っていたんだ。
そうだったのか。
あ…まさか。」
バホン先王
「わしが言う方がいいだろう。
実は、何が争いの元になったかと言いますと…
姪御全員、精霊・妖精魔法が使えなかったのです。
それが、始まりだったと伝えられてます。
そして、それが記録改ざんの始まりでした。
皇帝となった者が、始めたことは分裂を始めたフロントバーレ諸国連合の再結集でした!
そのためには、マルダス世界移民取り決めを、全て破ったのではないかと言われています。
□まず、モンスター保護区を奸計を持って壊しました。
そのことで、モンスター達のヘイトがブリードル帝国によく向くのは、そのせいです。
□ブリザード公国に、根拠の無い服従を強要して、戦争を仕掛けボコボコに叩きのめされました。
その事で、救世主に面識がある者達から、睨まれます。
□そして、姪御で皇帝位を独り占めにしたものは、政権を維持出来なくなって、偽装死亡を目論見ました。整形手術をしてフロントと名乗って、また表舞台に出てきました。
その時の話は、姪御がどうしようもないので、姪御の子供がフロント陛下の冷凍睡眠を解いて蘇らした。そして、姪御を討ち陛下の政治を復活させる、というシナリオだったそうです。
実は、ここからしかブリードル帝国の記録が始まっていません。
つまり、ニセフロントとフロント陛下の事を、わざと混ぜてブリードル帝国の記録が始まっております。」
フロント皇女
「つまり、姪がやらかした負債がかなりありすぎるということですね。」
バホン先王
「はい。そして、フロントバーレ諸国連合は、再結成されると思われましたが、やはりニセモノはニセモノでした。
すぐにボロが出ました。
そして瓦解した諸国連合は、分裂します。
ホロン王国が、その当時まだ小さいものでしたが、産声をあげます。
その時は、今のホロン王国の祖先と私の祖先は、今のバホン王国の南にいたそうです。
そして、フロントバーレ諸国連合は、小国に分裂をしていきます。
首都にとどまり、正当後継者を名乗ったニセフロントは、大ブリードル聖帝国と改名して、恐怖政治を始めます。
その時に、旧地球から持ってきたコンピューターや貴重な物資を全て消耗したと、言われております。」
フロント皇女
「なるほどね、だからフロンの歴史の認識と、私の記憶が違うのですか。
私を語り、ロクでもない事をしたのですね。
そして、今、私が思っているよりも、恐ろしく厳しい状態だと言うことですね!」
バホン先王
「はい。恐らくブリザード公国は協力してくれません。
敵対されても、不思議ではないと思われます。
陛下、その我々は救世主と敵対するわけにはいきません。
お願いします。
対戦時、敵対されていたことは記録にありますので、わかってはいますが敵対のリスクは果てしなく大きいです。
どうか、お考えを改めてくださいませんか?」
フロント皇女
「私がヨーと、また敵対すると考えているのですね。
それは、違います。
するつもりはありません。」
バホン先王
「ですが、精霊・妖精達の言うことから、明らかに敵対の姿勢が出ています。
フロント皇女陛下は、精霊王・妖精王全てと契約された方です。
なので、精霊・妖精達の動きから、陛下も敵対するとの答えとなります。
お願いします。改めてくださいませんか。
【ブリザード公国と言っているが、外道滅殺拳国と名乗る事を、当主に禁止されためだから、臨時にブリザード公国とする。】
これが、ブリザード公国と言われる国の正式名称です。
この通り、全ての公文書、国書を書かれています。
そしてブリザード公国は、素手で戦い全ての敵を叩きのめしています。
今でも、勝てる国なんていません!
そして、その仲間が!そしてその当主が!帰って来るのです!
古来の人体改造すら、出来ない今のブリードル帝国で、どうやって敵対するのですか?
フロント皇女と、その当時の当主は、互角だったと聞いております。
しかし、向こうの当主…救世主様の今の力は図りしれないと、思われます。
決して陛下の力が下とは思いませんが、兵達の戦力は、既にフロントバーレ諸国連合の頃と比べても、遥かに下です。
勝てる要素が、ありません。
陛下!お願いします。
お考えを改めてください。」
フロント皇女
「あれは、精霊王・妖精王達が別でヨー達と対立している事です。
私も、フロントとしての記憶が蘇った時から、今のマルダスを見てましたが、精霊・妖精達が移民取り決めを、守っていないのですよ。
旧地球の方々を見ても、わかりました。
精霊・妖精達が守っていない。
私が、やらかした事と精霊・妖精達のヨーとの対立は、別件だと思っています。」
プルト(元聖カルッティ第2王女)
「取り決め?」
フロント皇女
「はい。移民時にヨーが精霊・妖精達が全員に加護をつけるのを、義務付けたのです。
つまり、例え魔法が制限されたこの地球でも、運が良くなるとか、身体が丈夫とか何かの加護が全員にあるはずなのに守られていないのです。
そして、マルダス世界でも全員が精霊・妖精魔法が使えて当たり前なのに、使えてません。
精霊・妖精達に、そのことを最近しぶとく聞きましたが、才能がとか体質がとか言って、答えませんでした。
何を、考えているのやら。
風の精霊王が、天界で逮捕されたみたいです。
こうなると、私でも精霊・妖精達の意図がわかりません。
なので、私自身がヨーと直接話す必要があるのです。
お願いします。協力してください。」
ホロン国王
「ダイハード卿、なんとかならんのか?」
シー・ド・ダイハード
「こちらは、連絡待ちですね。
そして、その間にやれる事はやらないといけないのが、今の状況ですね。」
メルード(元聖カルッティ第3王女)
「火星に行く手段なんて、このサイエンスって雑誌のバックナンバーを見ていたけど、まだ今の地球にはないみたいね。
やばくない?」
ハーノ(元聖カルッティ第1王女)
「ねえ?ラジオの電波を飛ばしたら?
だけど、聞いてくれるかな?」
王達は、うなだれるしかなかった。
その頃…
火星軌道の用達は?
AI
「またです! さっきから、地球の人工衛星とかISSとか、宇宙天文台衛星がずっと火星を撮影しています!」
フロント達からの情報を各国の諜報員が、母国に伝え、観測が始まったからである。
用!
「それとさっきからの視線は、火星の精霊か、妖精だな!
奴らが、漏らしているな!
誰に漏らして、それがどんな利益を生んだのかで、意図がわかるのだが、
どうするか?
まだ、機体になれてないからな~」
ヨッピー
「場所を変える?
だけど、ここのほうが良くない?」
AI
「またですね。
あれ?火星から、何か出てきました!」
用!
「ふーん、あれは光の精霊王の部下だな!
……………
覚えているぞ、あのカッター眉毛ヤロー!よく畑を焼きに来やがった奴らの一部だ!
捕まえて焼くか?」
ヨッピー
「何か、板を持っているね?
えーと、ここにいるのはわかっている?
出てこい?
精霊王様のお言葉を伝える。」
AI
「何か、霊波を打ってますね。」
用!
「うん?スラポの波動が、安定した?
AIさん?奴らが攻撃してきたら、撃ち返しておいて。」
スラポ
「おはよう、主。やっと会えたね。」
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
これが、フロントにはどう影響するのか?
そして、沈黙している外道諸国連合は、どうなったのか?
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