上 下
279 / 334
第5章 ついに始まった本当の戦い。

第27話 超疲労は、人を狂わせる。1

しおりを挟む
 
 う~!
 う~!
 カザトは、唸っていた。
 疲労困憊状態にレベルアップ酔いが重なり、酷い状態。
 
カザト
「う、生徒会長とブレーダー王女の気配が増えたな。」

 疲労困憊によって、嫌でも研ぎ澄まされた神経は、気配察知スキルを使わなくても、敵の気配を捕捉した。
 カザトは、起きて果実水を飲んで食事にする。
 トワイライト達と、レベルアップ酔いで倒れていたらしい。
 メイド隊と、大精霊達が動いていた。
 大精霊達に念話を繋いで、当分の間の雑務の仕事を任せる事にした。

 怪獣達の動きを空間魔法で把握する。
 レイダーは、瘴気の海に入って真っ黒だ。
 そして、トカゲは人を喰うために徘徊してやがる。
 ヒヨコは、生徒会長(勇者ゴン太)とブレーダー達を追いかけているな。
 生徒会長…逃げ足だけは速いな。

 ハァ?
 ガス国王達とあのデーモンっぽい怪獣が、玉座の間で戦闘をしている?
 他のガス貴族達も、城に籠城して内部に湧いたゴーストとかを、あまり起動していない[勇者]スキルを使って戦っている?

 そうだよな!
 自分たちで、戦えよな。
 重い身体を動かして、様子を見る。
 なんだ?
 魔導通信珠が、全土放送受信モードになっている?
 受信専用モードにして、みてみるか?

 ホビット族の大王が、放送を始めたらしい。
 早速、人類の為だとか言って怪獣討伐を俺に押し付ける演説を始めた。
 あの野郎、全く反省していないな。
 ホビット族農業組以外の、この大王に協賛した奴には関わらないで置こう。
 そう決めたカザトは、食事をしながら聞いていた。
 
ホビット大王
「ハァ?既にカザトは出陣して、怪獣を5体討伐しただと?
 残りの5体は、責任をとって討伐しろよだと!」

 な!なんと!今念話で入った大精霊からの情報だと、メイド隊がすごく仕事をしているらしい。
 既に、各国の首脳と話は終わってしまったようだ。
 俺が、今怪獣討伐をしたことで、物資と疲労困憊で動けないから、休んでいると言うことを承認させたのだという。

 更に、小国家群からボコボコに論破されるホビット大王。
 あ、少し楽になったような。
 うん、心持ちが良くなったな。
 しかし、悲鳴をあげるように邪神討伐を主張する小国の宰相もいる。
 元ニャントゥ王国と仲がよかった王国群だ。
 貴様ら、中継ぎ貿易でたらふく儲けて軍隊の装備すら買わずに、きれいなドレスとかしか買ってなかっただろうが!

 生徒会長達の思考パターンだと、というかクソな奴らの思考パターンはテンプレがあるのではないのか?と言われるほど、パターン化されている。
 本当に謎なのだが、10パターンの存在をカザトは旧友達と共に確認していた。

 まぁ、更に調査すればもっとテンプレパターンが存在するだろうが、調査していない理由はあるのだ。

 反撃しすぎると、最悪の結末を迎える。
 クソ達は、自分を正当化するために…いや、ここでは言わないで置こう。 
 経済的にも、論理的にも敗北したクソな外道達が取る最終手段の一手は、本当に面倒臭いから旧友達と話し合って、その寸前で放置する事にした。

 え?誰がその実験台になったかって?
 ある学校の担任と、権力をもったある同級生だったな。
 う~ん。その権力をもった同級生って奴は、恐らく今から考えると、ブレーダー王女達から流れてくる生徒会長(勇者ゴン太)の情報と照らし合わせると、勇者ゴン太達と似たような組織と思われるのだけど、そんなところに入っていた同級生だったな。

 さて、話を戻すと…、そのテンプレにハマってしまうのは、どうも個人だけではないらしい。
 まぁ、王政のそれも独裁体制だからハマってしまったのかは、わからないけど間違いなくクソ野郎の取るテンプレだな。

 反撃するか?
 だけどな~。
 国家自爆とか、起こるのに関わるのは嫌だよな。
 無視するか?
 それともこちらから…。
 いかん!いかん!
 駄目だって!
 暗殺者を送り込むとか、思考が奴ら側になってきてる。
 クソ、疲れているのだな。

 あ~、ご先祖様達も苦労したのだよな。
 で、外道共を処刑していったのだけど、時間が経って外道が湧いたという結果だと、ぶっ殺すという選択肢は不正解だったってことだよな。生まれ変わるという概念からすると、問題の先送りってことか…。

 あ!
 コスモさんが言っていた事は、これか!
 いくら魂の記憶をリセットしても、根性が直らないと同じことしかしない。
 それを治す苦行も管理者神の修行こ1つの項目だとか言っていたけど、辛いな。
 辛い修行だよな。

 アレ?
 という事は?
 フェイクというか、元人間の古代王女のフロンダーパは、そんな修行は1ミリどころかナノレベルでもしていないよな?!
 それどころか、ゲス放題とか突っ走る事しかしていないから、マイナス方面か?
 
 ハァ?
 って事は、いくら勇者達から経験値を搾取する[魔王ホイホイ]を成功させてレベルアップしたとしても、昇進なんて出来ないじゃないか!

 あ~、また疲労困憊になってきた。
 
 ドンドンドンドンドンドンドン!

 なんだ~?
 上の方から、何か音と振動がするな~。
 空間把握で見てみると、レ、レイダーだ!
 怪獣になったレイダーが、シェルターの上空からこちらを攻撃してきたのだ。
 瘴気を吸って真っ黒になってやがる。
 ムカッ!
 ムカッムカッムカッムカッムカッムカッムカッ!
 かなり、ムカつくな。
 なぜここを特定した?

 ん、鑑定眼で何か念波が見えるぞ。
 日頃は、見たくもないモノが見えるから、制限していたけど、見るか?!
 鑑定眼制限、全解除!
 なに?

□□□□□□
「フェイク様のお使いレイダー様!
 冒険者カザトあぶり出し作戦は、実行しています。」

レイダー
「よろしい。もっと長くラッド国王や他の国王を非難してでも、時間を稼げ!
 魔導通信で、全土放送をしろ!
 カザトは、それを見るはずだ。
 受信モードであっても、受信した所は魔力波が受信の為に少し弱くなるはずだ。
 それで、カザトがどこにいるかわかる。
 見つけ次第、我が美貌で籠絡して天下を取るぞ!
 さぁ、人民が苦しむのはカザトが傀儡にならないからだと言うことにしてしまえ!
 そして、やつを追い詰めるのだ!
 ヒャッハッハハハハハハハハ!」
□□□□□□□

 オェーーー!
 カザトは、吐いた。吐いた。吐いた。

 先程、なんとか食べたモノが全て吐き出されてしまった。
 何が好きで、あんなクソレイダーなんて抱かないといけない。
 
 オェーー!

 ムカッ!ムカッムカッムカッムカッムカッムカッムカッ!

 ムカつく奴らだ。
 強ミントの果実水でうがいをしている内に、考えというか、これからの方針の案がまとまってきた。
 そうだよな。
 レイダーは、フェイクの下僕だ。
 討伐対象だ!
 だから、討伐しよう。
 そして、早めに疫病を巻き散らかす怪獣を討伐しよう。
 そして、その後フェイク側の奴らをモンスター認定して討伐だ!

 念話で、レイダーの怪獣化によって冒険者ギルド公認の討伐対象にするように、申請してくれと大精霊達とメイド隊に通信をする。

 レイダーの事は、今申請中らしい。
 だが、旧グランド王国の国王の娘で王太子の位にいたものなのでワールドルール上、モンスター討伐し指定に各国の許可がいるのだが、小王国群が認定しないらしい。

 小国群でも、レイダーと分離してから討伐すれば良いと言う王国もあれば、レイダーは怪獣化したが、討伐禁止だとか言っている小国もある。

 つまりだな解決方法としては、反対する王国に説明して、それでも駄目だったらその国を滅ぼすしか無い、というものと、小王国群が討伐禁止するなら、邪神達も討伐禁止だよな?!と言って、全ての責任を小王国群に持ってもらう事にするしか無いと、カザトは思ったのでその事を伝える。

 冒険者ギルド側が、魔導通信の会議でいきなりその事を言い出した。
 はや!
 あ!
 小王国群が、キレだした。
 逆ギレだな。
 
 ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン
 うわ~レイダーの奴も逆ギレし始めたぞ!
 瘴気砲の乱射だな。
 
 う!
 頭が痛い!
 く、疲労困憊のせいで、頭痛がする。
 血圧が上がっているのか?
 急いで、鑑定眼でセルフスキャンするが原因は、頭の何かを抑えていモノが動き出しているらしい。
 解決方法は?
 ストレスの素を、排除。
 つまりだな、今はレイダー排除か。

 ムカッムカッムカッムカッムカッ!
 やってやる!
 どうせ、このシェルターはもう保たない。
 すぐにスタミナポーションをのみ直して、食事をする。

 そして、レイダーが原因で吐くことになってしまった食糧のなれはて(ゲロ)を空間魔法でレイダーの頭の上に転移させる。

 レイダー!
 俺の眠りを妨げた恨み!
 俺と、トワイライト達が大切に育てた食糧を駄目にした恨み!
 そして、俺を利用しようと動くムカつき!

 晴らさせてもらうぞ!

 念話で怪獣連合と戦闘に入る為に出陣すると、連絡してカザトはガス王都上空に出た。


 日頃できるだけ避けるカザトが、ついに撃って出た。
 疲労困憊から起こるムカつきによって、カザトの怒りはブーストされてしまった。
 さぁ、戦闘が始まります。
 
 
 
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。

猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。 そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。 あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは? そこで彼は思った――もっと欲しい! 欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。 神様とゲームをすることになった悠斗はその結果―― ※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

公国の後継者として有望視されていたが無能者と烙印を押され、追放されたが、とんでもない隠れスキルで成り上がっていく。公国に戻る?いやだね!

秋田ノ介
ファンタジー
 主人公のロスティは公国家の次男として生まれ、品行方正、学問や剣術が優秀で、非の打ち所がなく、後継者となることを有望視されていた。  『スキル無し』……それによりロスティは無能者としての烙印を押され、後継者どころか公国から追放されることとなった。ロスティはなんとかなけなしの金でスキルを買うのだが、ゴミスキルと呼ばれるものだった。何の役にも立たないスキルだったが、ロスティのとんでもない隠れスキルでゴミスキルが成長し、レアスキル級に大化けしてしまう。  ロスティは次々とスキルを替えては成長させ、より凄いスキルを手にしていき、徐々に成り上がっていく。一方、ロスティを追放した公国は衰退を始めた。成り上がったロスティを呼び戻そうとするが……絶対にお断りだ!!!! 小説家になろうにも掲載しています。  

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

月が導く異世界道中extra

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

処理中です...