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第4章 お姫様達と黒の宮廷魔術師と、そいつらが使役したモノ達。 第2部 復讐の邪神vs フェイクROUND1

第28話 フェイクは、先輩と元部下に締め上げられて本性を出してしまう。

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 フェイクの執務室。
 
 フェイクの部下天使達は、世にも珍しいものを見ていた。
 この世界が、フェイクの担当になってから人間時代からの部下であるセバスチャン7達以外の部下天使達は生み出されたのだが、まさか、フェイクが執務室の会議場のど真ん中に、デカイ剣山の上で正座させられて、説教されている場面なんて初めて見る光景であった。

 フェイクの顔ばっかりの玉形状から無理矢理人型に戻されての正座である。 

フロンダーパ(フェイク主人格)
「あぅう~。そんな騒動になる前から助けを呼んでいたのに、なぜ上司様も助けに来ないのですか~!」

「うるさい!フロンダーパ!貴様がしっかりと邪神を討伐しておれば、こんな事にはならなかったのだ!」

「で?運命局の奴らが動き出したぞ!どうするのだ?」
「なぜ我々特殊4課のバックレ特戦天使隊が動かねばならない!それは、貴様が人徳すら積んでいなかったのからだ!」
「この状況をひっくり返す策を立てているのだよな!」

 と、締め上げられているフェイクというか主人格のフロンダーパ。
 王妃達の人格と魂は、フロンダーパの魂を隠れ蓑にして沈黙している。

 なぜ、プライドだけが高い王妃達が出てこないのかというと、王妃達が「やっと来やがった!早く邪神共を掃除して私達を中級管理者神にしろ」なんて、ボケた事を言った途端に人間時代の部下の騎士団長達をやっていた天使の者達に、王妃の目に釘を撃ち込まれて他の王女達に丁寧に拳をめり込まされて凹にされたからだ。
 元王女達の部下達の方が、昇進していたのである。

 そして、コスモ達に見破られていたように、反天界派であり、地球壊滅派である運命局の天使達は、次々と査察とい名目で自分たちの計画を推し進める為に、介入する準備を始めていたのだ。
 そしてフロンダーパ(フェイク主人格)は先輩管理者神とか、3軒隣の異世界の同僚達からも計画の遅延の責任を押し付けられようとしていた。

 フロンダーパ(フェイク主人格)は、状況をひっくり返す事が出来ないから助けを呼んだのであって、つまらない、為にもならない説教を受ける為に救援要請の非常信号を出したのではない。

フロンダーパ(フェイク主人格)
「上司様には、報告書を上げたが緊急事態なのだ!上司様の[無限回廊]が破られたのだ!
 貴様らの、内容の無いクソな説教なんて何もなるか!
 早く、上司様に連絡をつけろ!」

「なんだと貴様!」
 なんて、人間時代の元部下の天使が言うのでフロンダーパは、自分の魂の中にいる姉妹の王女にこの元部下に焼き付けた[忠誠心の魔法印]を発動させた。

ウガー!

 暴れ出して苦しみだす元王女達の部下。
 それを見て、フロンダーパの同僚の管理者神達の罵倒が止む。
 
フロンダーパ(フェイク主人格)
「こんな非常事態に、上司様が来られないと言う事は、お前ら?さては上司様に報告していないのか?」

「ふ~。上司様というか、室長からのご命令は自分で解決させろということだ。」

フロンダーパ(フェイク主人格)
「嘘をつけ!この身体が崩壊するということが、この計画の根幹が危機に瀕するということだぞ!
 さては、私を騙していたのか?
 貴様らは、確かに私よりも神力があるが位は低いのか? 
 だから、この計画の根幹に関わる私に暴言を吐いたのか!
 なら、お仕置きだ!このクソどもめ!」

 ギャーー!

 苦しみだした元王女達の元部下が破裂した。
 しかし、肉片はゆっくりと集まって来て再生を始める。死ぬ事は許されないのだ。
 それを見て、他の天使達も黙ってしまった。

「命令は本物だ。自分で解決しろと言うことだ!貴様は室長の命令通りに、自ら邪神や魔王を倒して管理者神レベルを上げて来なかった。
 だから、不測な事態に対応出来ないのだ。
 そろそろ、管理者神試験と定期監査が始まるから、すぐにレベルを上げろ!
 だが、同僚のよしみでカンターレを懐柔することには手を貸してやる。」

 今度はフロンダーパ(フェイク主人格)が、黙るしか無かった。レベルを[魔王ホイホイ]計画で楽に上げて行こうとしても、中々上がらないのが実情である。
 こうなったら、本当に切り札を切ってやる!
 フロンダーパは、邪悪な顔になった。
 そう、その顔を見たときはその場にいた天使達の脳裏に思い出す事は、人間時代の敵国側としても、部下の近衛騎士団長としても、様々な出身の天界の職員としての天使が来ていたが、今の核爆弾を遥かに超える魔導爆弾が降って大惨事になった記憶しか無い。

 だが、今回の事を手伝えと言われても原理的にというよりも、理論的にフロンダーパの願いを叶える事は不可能なのだ。
 フロンダーパ自身の管理者神のレベルアップしか、解決策が無いのだ。

 ふと、天界の職員天使達はフェイクの部下天使がガタガタと震えていることに気が付く。
 合図を出して別室に連れていき、肉体言語で[魔王ホイホイ]なんてふざけた計画を聞き出した天使達。

「おい、フロンバーレのお姫様達よ。おれは元敵国の司令官だったが、貴様はそこまで人としてのプライドがなくなったのか?
 え?レベルアップするのがしんどいだと!
 修行がしんどいだと!
 で?勇者召喚して、魔王・邪王・邪神達の運営する、ブラックダークWebサイトで募集した魔王を呼び込んでは勇者に討伐させて、経験値を搾取して地球にボロボロの状態の勇者を投棄していたのだって?

 お前はアホか!

 経験値って奴は、数字で簡易的に表示されるけど、経験値の取り込める成分は同じその場にいる人間であっても、個人個人違うのだぞ!
 勇者たちは、自分に適合した経験値成分をモンスターを倒したときに接種できるが、それが貴様に必要な成分とは限らないのだぞ!
 だから、直接討伐しろと言われていただろうが!」

フロンダーパ(フェイク主人格)
「え?(´˙д˙`)」
 始めて聞いたって顔をするフロンダーパ(フェイク主人格)。

 それを見て、フェイクの上司の使いの天界の職員天使達は、フェイクの部下天使にこれまでの勇者に討伐させた魔物や、魔王のリストを出せと言って、調べ始めた。


 25時間後。

「フロンダーパ王女(フェイク主人格の事)よ!
 お前、ブラックダークWebサイトで騙して一流の魔王を呼び込んだつもりだが、こいつは天界リストでも最下位ランクの自称・邪神とか名乗っている、実際は魔王未満のモンスターだ!
 邪神どころか、魔王ですら無い!
 せいぜい強いモンスターの領域の魔物だ!」

「おい、嫌な予感しかしないぞ!」
「神鑑定する!」
「ハァ?管理者神レベルが0.032だと?オイ!下がっているじゃないか!」

 笑うどころか、呆れ返る天使達。
 前代未聞の事態である。
 すぐに、上司直属の部下の天界の職員天使が危険を承知で地球に向かった。
 とても、対応出来ないのだ。
 フロンダーパのこのフェイクランドに赴任したときのレベルは、管理者神レベル0.1!
 その時よりも下がり過ぎている。
 予定では、既に最低限レベル3000から5000は無いといけないのにヤバイ事になった。
 このままだと、フェイクという管理者神そのものが不正だとバレてしまう。

 しかし、一番精神的ショックを受けていたのはフロンダーパ王女(フェイク主人格)であった。

フロンダーパ(フェイク主人格)
「えへへへへへへへへへ!
わ~い!下がった!下がった!レベルが下がった~!わ~い!」

 その場にいた者達は、そんなフェイクを見て表情が凍りついた後に、フェイクに対する不満が爆発するのだが、フロンダーパは爆弾を投下する。

フロンダーパ(フェイク主人格)
「魂魄合体の被験者である私は、上司様方の天界特殊4の管理者神クラスの者達の分身が合体した邪邪墮様1号の並行管理保全核でもあるのだよね~♬
 つ・ま・り!
 私が、爆発して縫い付けたお母様である王妃や、クソ姉妹である戦争に負けた王女達の魂が分解してしまうと、上司様方の分身合体で作られた、どこかの地獄とか?異世界を乗っ取って管理者神をやっているらしい邪邪墮様1号も、連動して爆発したり、分解してしまうのだよね~♬
 わかってる~?
 誰が主人公なのか?
 わかっていないみたいだね~?
 自殺して、分からせてやろうか?
 私が不幸になると、それは貴様らの不利益になるのよ?
 わかりやすく言うと、貴様らが推し進めているあの大戦争失敗を全て自分達の英断と名誉に変えるなんて計画は、失敗することになるのよ~!
 だから、生まれ持って王女であり皇帝になる運命の私を蔑ろにすると、貴様らも破滅だそう~♬」

(꒪ꇴ꒪ ; )
 
 もう、最悪な事態しか予想できない状態であると、その場に居たものは確信したのだ。
 
 
 
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