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マンネリ化? 2

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 ミランはああ、とひとつ相槌を打つと、

「女性ファンからは、団員を数人のグループに分けて、料理対決してほしいとか、踊りながら歌を歌って欲しいとかがあったよ。あといつも同じ制服だからファッションショーやって欲しいって」

 と言った。それを聞いたフェリクスはげんなりした。
 本当にそれじゃあアイドル師団じゃないか。
 いやもうアイドル師団でいいか。平和だし。
 それが今、私たち魔法師団に求められているなら、やらなくちゃならない……よね。
 ――それでも、それでも……踊りながら歌を歌うのだけは、なんとか回避したい。歌を歌うのだけは。
 どれにするか団員全員で多数決になったら、団長特権で私の一票は三十票分ってことにしよう。

 やっぱり歌は苦手なフェリクスだった。

「女装とかどうですか? 女の人って、俺らみたいなイケメンが女装するの好きでしょ?」

 どこから仕入れた情報なのか、団員の一人がそんなことを言う。

「あ、でも団長は男装してまた女装したらもうどっちなんだよ、って感じですよね! あはははは」

「あははははじゃないっ。真面目に考えなさい。ミラン殿下、女性以外から何か提案はないのですか?」

 団員をたしなめつつ、フェリクスはミランに聞いた。ミランはつられて笑っているのを急いで引っ込め、真面目な顔を作ってこう言った。

「男性ファンは……まあアンケートの回答自体が少ないんだけど」

「月刊・魔法師団通信」は、女性向け雑誌だ。

「魔法師団同士がガチで戦うのを見たいって声がある。勝ち抜きバトルみたいなやつ」

 ミランの答えに、団員たちがおお~と言う声を上げる。

「そういえば、俺ら団員同士、ガチで戦ったことないよな」

「仕方ないさ。エルドゥ王国平和協定で、むやみに魔法を使った戦いは禁止されているんだから」

「一度戦ってみたい気もするけど……」

「無理だって。ですよね、ミラン殿下。俺達が全力で魔法出しまくったら、まわりに甚大な被害が及ぶ危険性がありますもんね」

 団員の問いに、ミランはもっともらしくうんうんと頷く。

「それはそうだよ。ガチの戦いは危険すぎる。勝ち抜きバトル……これは却下、と」

 訓練着の腰ポケットからおなじみスタイリッシュ手帳を取り出し、何やら書き込んだ。
 それを見ながら、ミラン殿下、いつもポケットに手帳持ってるんだ、とフェリクスは思った。
 ミランは手帳をしまうと、ハッとした顔をして、

「しまった、学校へ行く時間だ。問題提起だけして申し訳ないけれど、マンネリ化の件、考えておいてくれ。フェリクス団長、頼むよ」

 そう言うなり、急いで去って行った。フェリクスは団員たちを見回すと、

「こちらもそろそろ終わりにしよう。今日は昼から全員でゲリラパフォーマンスの最終調整があるから、また訓練場に集まるように。それでは、解散」

 声を張り上げた。団員たちは返事だけは元気よくして、ぞろぞろと王宮の建物に戻って行った。
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