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40年後?
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「今だ! みんな、フォーメーションで魔物を追い込むんだ!」
「はい! フェリクス団長!」
今日も魔法師団はエルドゥ王国PRのため、元気にアイドル活動をしていた。
今日は魔法師団ファンたちを集めての、王城での特別ショーだ。気合が入る。
「きゃー! かっこいいーー!! がんばってー!」
「負けるなよ、魔法師団! 俺も魔力があったら魔法師団に入りたいぜ!」
「いけ、いけー! お兄ちゃんたち、魔物をやっつけろー!」
やられ役のたった一体の魔物は、何人もの魔法師団員にぐるりと取り囲まれ「追い詰められた……でも最後の抵抗を見せるぞ」と言った迫真の演技。
予定通りにショーが進んでいることを確認したフェリクスは、広場をぐるりと囲むギャラリーたちの声援を受け、はりきって、いざ、とどめの合図を叫ぶ。
「みんな、とどめだ!! 攻撃魔法を叩き……ごほっごほっ、いたたたた……」
はりきりすぎたせいでせき込み、せきをする度に、腰痛が襲う。
「だいじょうぶですか、団長」
まわりの団員たちが、そっとフェリクスを気遣う。
「大丈夫に決まっているだろう! 心配無用だ! みんな、とどめだ、いくぞ!!」
「おう!」
フェリクスは腰の痛みをこらえながら、他の団員と共に、攻撃魔法を魔物に叩き込んだ。魔物は「うおおおおお」という悲鳴を上げ、その場にどうと倒れた。もちろん演技である。
「キャーやったわー! フェリクス様、かっこいいー!」
「さすがだよな、魔法師団団長を40年やってることはある」
「すごいよねー、フェリクスだんちょー、私のパパとママが生まれる前から団長なんだよー」
フェリクスは沸き上がる声援に答えるように、右手を軽く上げる。相変わらずのクールな対応だ。40年も続けてれば慣れたもの。
そう。40年。
気がつけばフェリクスは魔法師団団長として還暦を迎えていた――。
もちろん魔法師団としては最年長。通常30歳を過ぎると、ほとんどの者が魔法師団を「卒業」し、魔力を活かして国がバックアップする別の仕事に就いて行くが、フェリクスはそうならなかった。
魔法師団内のフェリクスの人気は衰えず、あれよあれよと時間が過ぎていき、気がつけばフェリクスは男装したまま結婚もせず、60歳になっていた。
「フェリクスさんや~、応援しとるよ~」
「これ煮物と漬物。食べとくれ」
「フェリクスさんや、あたしゃ去年じいさんが死んだんだ、いつまでも独身でいないであたしとどうだい?」
おかげで老婦人からも大人気である。今や魔法師団の人気っぷりは老若男女すべてに轟いていた。
「いたたたた……」
ショーを終えたフェリクスは、あとのことを他の団員に任せて、一人王宮に戻ってきた。腰に湿布を貼り直すためだ。歳から来る腰の痛みは、治癒魔法では治せなかった。
まさか60歳になってまで、魔法師団やってるとは思わなかったな。
そんなふうに思って、フェリクスは階段の手すりに寄り掛かりながら、一息つく。
歳よりも若く見えると言われるけれど、今や長い金髪は長い白髪となり、グローブを取れば手の甲はしわだらけだ。腰も痛むし、老眼も進んでいる。魔法師団団長に任命された二十歳のころのように動き回ることはできない。
「今日も大人気だったね、フェリシア君」
そうフェリクスに声を掛けたのは、66歳となったリステアード国王だった。
「はい! フェリクス団長!」
今日も魔法師団はエルドゥ王国PRのため、元気にアイドル活動をしていた。
今日は魔法師団ファンたちを集めての、王城での特別ショーだ。気合が入る。
「きゃー! かっこいいーー!! がんばってー!」
「負けるなよ、魔法師団! 俺も魔力があったら魔法師団に入りたいぜ!」
「いけ、いけー! お兄ちゃんたち、魔物をやっつけろー!」
やられ役のたった一体の魔物は、何人もの魔法師団員にぐるりと取り囲まれ「追い詰められた……でも最後の抵抗を見せるぞ」と言った迫真の演技。
予定通りにショーが進んでいることを確認したフェリクスは、広場をぐるりと囲むギャラリーたちの声援を受け、はりきって、いざ、とどめの合図を叫ぶ。
「みんな、とどめだ!! 攻撃魔法を叩き……ごほっごほっ、いたたたた……」
はりきりすぎたせいでせき込み、せきをする度に、腰痛が襲う。
「だいじょうぶですか、団長」
まわりの団員たちが、そっとフェリクスを気遣う。
「大丈夫に決まっているだろう! 心配無用だ! みんな、とどめだ、いくぞ!!」
「おう!」
フェリクスは腰の痛みをこらえながら、他の団員と共に、攻撃魔法を魔物に叩き込んだ。魔物は「うおおおおお」という悲鳴を上げ、その場にどうと倒れた。もちろん演技である。
「キャーやったわー! フェリクス様、かっこいいー!」
「さすがだよな、魔法師団団長を40年やってることはある」
「すごいよねー、フェリクスだんちょー、私のパパとママが生まれる前から団長なんだよー」
フェリクスは沸き上がる声援に答えるように、右手を軽く上げる。相変わらずのクールな対応だ。40年も続けてれば慣れたもの。
そう。40年。
気がつけばフェリクスは魔法師団団長として還暦を迎えていた――。
もちろん魔法師団としては最年長。通常30歳を過ぎると、ほとんどの者が魔法師団を「卒業」し、魔力を活かして国がバックアップする別の仕事に就いて行くが、フェリクスはそうならなかった。
魔法師団内のフェリクスの人気は衰えず、あれよあれよと時間が過ぎていき、気がつけばフェリクスは男装したまま結婚もせず、60歳になっていた。
「フェリクスさんや~、応援しとるよ~」
「これ煮物と漬物。食べとくれ」
「フェリクスさんや、あたしゃ去年じいさんが死んだんだ、いつまでも独身でいないであたしとどうだい?」
おかげで老婦人からも大人気である。今や魔法師団の人気っぷりは老若男女すべてに轟いていた。
「いたたたた……」
ショーを終えたフェリクスは、あとのことを他の団員に任せて、一人王宮に戻ってきた。腰に湿布を貼り直すためだ。歳から来る腰の痛みは、治癒魔法では治せなかった。
まさか60歳になってまで、魔法師団やってるとは思わなかったな。
そんなふうに思って、フェリクスは階段の手すりに寄り掛かりながら、一息つく。
歳よりも若く見えると言われるけれど、今や長い金髪は長い白髪となり、グローブを取れば手の甲はしわだらけだ。腰も痛むし、老眼も進んでいる。魔法師団団長に任命された二十歳のころのように動き回ることはできない。
「今日も大人気だったね、フェリシア君」
そうフェリクスに声を掛けたのは、66歳となったリステアード国王だった。
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