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34 ポメの会!
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荷解きを手伝ってくれた宮下は、夜ご飯を一緒に食べた後、帰っていった。
初めての新居での夜にドキドキしながら、虎太郎は寝支度を済ませて、ポメラニアンの姿になり蓮のいる寝室に突撃した。
前足で扉を叩くと、音に気がついた蓮が寝室の扉を開けた。
「あれ、お前――」
開いた扉から素早く寝室に入りこんだ虎太郎は、そのまま部屋の真ん中に置いてあるベッドへ駆けて行って飛び乗る。
そして、丸くなって寝る体勢を整えた後、片目を開けてチラリと蓮を伺った。
虎太郎の考えた作戦だ。
それぞれのベッドがあるが、虎太郎は蓮と一緒に寝たい。そのため、自分の布団は見なかったことにして、何食わぬ顔でいつも通りに蓮と一緒に寝ることにしたのだ。ポメラニアンの姿では恥ずかしくもない。きっと違和感なく行えただろうと寝たふりをしながらチラチラと蓮を確認していると、蓮が笑いながら虎太郎の頭を撫でてきた。
「寝たふりをするなら、尻尾振るのを我慢しろよ」
尻尾は自分では制御できないので仕方がない。寝たふりを続けた虎太郎は本当に寝てしまった。
「公園内にドッグランがあって、そこで『ポメの会』を行うらしいんだよ。お前行きたいか?」
「『ポメの会』ですか?」
朝食を食べ終わり、まったり過ごしていた時に蓮から話しかけられたが、虎太郎は何の話か全く分からなく、聞き返した。ソファの上で体ごと蓮のほうを向き、聞く姿勢になる。
「ポメラニアンだけが集まるイベントらしい」
「え! そんなのがあるんですね!」
「ああ、来月の第二土曜日だ」
「行きたいです!」
ドッグランに行くのも、自分以外のポメラニアンに実際に会うのも初めてだ。虎太郎の育った場所では近くに犬を飼ってる家はあったが、牧羊犬のボーダー・コリーや番犬としての柴犬しかおらず、ポメラニアンを飼っている家はなかった。ドッグランもなく、近くの広場や牧場で適当に走り回っているだけだった。
スマホのスケジュール管理アプリを開いた虎太郎は、ウキウキしながら来月の第二土曜日に予定を入力した。
とうとう待ちに待った『ポメの会』の当日。
昨夜からソワソワして部屋をむやみに走り回っていた虎太郎は、朝から準備万端だ。お気に入りの黒のスカーフをつけてもらい、ブラッシングまでしてもらったため、毛はフカフカだ。鏡で全身をチェックする。完璧な身だしなみを確認した虎太郎は蓮を呼びに寝室まで走った。
「ワン(いこうよ)」
「よし、行くか」
黒いマスクにサングラスをつけて、帽子まで被った蓮の顔はまったく見えない。今日は色んな人が集まるため、対策として蓮は顔を隠して行くことになっている。
この怪しい格好だと、他の人も話しかけて来ないだろうということで全身黒ずくめだ。
ハーネスをつけてもらった虎太郎は、蓮と一緒に歩いて公園まで向かおうとしたが、歩き出す前に蓮に抱きかかえられた。
どうしたのかと振り返って首を傾げる虎太郎に、蓮が「お前は、寄り道したがるから時間に間に合わなくなるだろ」と言い聞かせてきた。遅れたら大変だ、と虎太郎は大人しく抱き上げられたまま公園まで向かった。
初めての新居での夜にドキドキしながら、虎太郎は寝支度を済ませて、ポメラニアンの姿になり蓮のいる寝室に突撃した。
前足で扉を叩くと、音に気がついた蓮が寝室の扉を開けた。
「あれ、お前――」
開いた扉から素早く寝室に入りこんだ虎太郎は、そのまま部屋の真ん中に置いてあるベッドへ駆けて行って飛び乗る。
そして、丸くなって寝る体勢を整えた後、片目を開けてチラリと蓮を伺った。
虎太郎の考えた作戦だ。
それぞれのベッドがあるが、虎太郎は蓮と一緒に寝たい。そのため、自分の布団は見なかったことにして、何食わぬ顔でいつも通りに蓮と一緒に寝ることにしたのだ。ポメラニアンの姿では恥ずかしくもない。きっと違和感なく行えただろうと寝たふりをしながらチラチラと蓮を確認していると、蓮が笑いながら虎太郎の頭を撫でてきた。
「寝たふりをするなら、尻尾振るのを我慢しろよ」
尻尾は自分では制御できないので仕方がない。寝たふりを続けた虎太郎は本当に寝てしまった。
「公園内にドッグランがあって、そこで『ポメの会』を行うらしいんだよ。お前行きたいか?」
「『ポメの会』ですか?」
朝食を食べ終わり、まったり過ごしていた時に蓮から話しかけられたが、虎太郎は何の話か全く分からなく、聞き返した。ソファの上で体ごと蓮のほうを向き、聞く姿勢になる。
「ポメラニアンだけが集まるイベントらしい」
「え! そんなのがあるんですね!」
「ああ、来月の第二土曜日だ」
「行きたいです!」
ドッグランに行くのも、自分以外のポメラニアンに実際に会うのも初めてだ。虎太郎の育った場所では近くに犬を飼ってる家はあったが、牧羊犬のボーダー・コリーや番犬としての柴犬しかおらず、ポメラニアンを飼っている家はなかった。ドッグランもなく、近くの広場や牧場で適当に走り回っているだけだった。
スマホのスケジュール管理アプリを開いた虎太郎は、ウキウキしながら来月の第二土曜日に予定を入力した。
とうとう待ちに待った『ポメの会』の当日。
昨夜からソワソワして部屋をむやみに走り回っていた虎太郎は、朝から準備万端だ。お気に入りの黒のスカーフをつけてもらい、ブラッシングまでしてもらったため、毛はフカフカだ。鏡で全身をチェックする。完璧な身だしなみを確認した虎太郎は蓮を呼びに寝室まで走った。
「ワン(いこうよ)」
「よし、行くか」
黒いマスクにサングラスをつけて、帽子まで被った蓮の顔はまったく見えない。今日は色んな人が集まるため、対策として蓮は顔を隠して行くことになっている。
この怪しい格好だと、他の人も話しかけて来ないだろうということで全身黒ずくめだ。
ハーネスをつけてもらった虎太郎は、蓮と一緒に歩いて公園まで向かおうとしたが、歩き出す前に蓮に抱きかかえられた。
どうしたのかと振り返って首を傾げる虎太郎に、蓮が「お前は、寄り道したがるから時間に間に合わなくなるだろ」と言い聞かせてきた。遅れたら大変だ、と虎太郎は大人しく抱き上げられたまま公園まで向かった。
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