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ねことマサ2

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光の剣ー

それはかつて、女神から与えられ勇者ユキが使っていたという伝説の剣である

ユキの死後、一緒に墓地に埋葬されたのだが、どの国のいつの時代にもいる墓荒らしによる盗掘にあう

掘り出した墓荒らしは大してその価値も知らずそれをブラックマーケットに流すものだ
それなりの年月が経っていたのも大きい

それこそ、それなりの装飾品と共に埋葬されていたので一緒に売却されてしまった

それが巡り巡ってスロウの国へと渡ったのだ


「まぁ、カンザキはこう言うものに興味にゃいからにゃー。切っちゃうんだよにゃぁ・・・」


その剣はとあるいざこざでカンザキがぶつ切りにしてしまった

壊されたその剣は巡り巡って猫さんが拾い上げ、そして修復すると言って持ち帰った


「その剣、そんなにスゲェもんなのか?しかも柄しかねぇし」

マサにもその価値は分からない
そもそもこのドワーフの興味は酒くらいしかわかないのだ
それに、剣は剣だろと思う。刀身さえなく、柄だけと言われてもなんの冗談だと思う
ドワーフだけあって、マサは掘り出すだけでなく冶金術や鍛冶にも詳しい
だがその剣はまるで・・そういったものが感じられないのだ
そう、魔法で作られたかのように

「そうにゃ。幸い光核石は切れていにゃいから、切られた方の柄の作り直しだけでいいにゃ」

「ふうん・・・で、こんなトコでしか採れない鉱石でしか直せねぇっつってたな」

「にゃ。珍しい鉱石だからにゃ」

ふう、とため息をついてマサはツルハシを振り上げる

目の前にある「水」に向かって

ギィィィ・・・・ン

洞窟の中にけたたましく鳴り響く金属音

「姉ちゃん・・・コレ掘れねえぞ?」

マサは首を傾げる

液体にして金属である

「大丈夫、お前なら掘れるにゃ。よく見て掘るにゃ」

マサは仕方なく、眼を凝らした。無意識に眼球に魔力を通る
眼にはふわりと光るラインが映し出される
よく見れば鉱石のツボとも呼べるポイントは確かにあり、そこにツルハシを叩きこめば割れて掘れるだろうと分かる

しかし、そのポイントとは流れる水の様に現れては消えて

ああ、本当に液体の様だ

マサはツルハシをしまい込み、ハンマーに手を伸ばす

冶金の要領でいけばなんとかなるか

ガィン!ガィン!ガィン!

少しづつ金属は剥がれ落ちていく

それで取れたのはマサが片手で持てるだけのわずかな量

「かぁ、掘れねぇなぁこれ・・・」

硬い金属であるはずなのに、プルプルと震えて今にも零れ落ちそうだ

「十分にゃ。それだけあれば問題ないにゃ」

「一体・・なんの金属なんだこりゃ?」

「オリハルコンにゃ」

「は?・・・オリ・・・?まさか?」

「そうにゃ、液体にして鉱物そして意志ある生命とも言われる・・オリハルコンにゃ」

「・・・・・はぁ、おとぎ話のアレか・・・てことはまて、ココを守っていた奴がいるだろ!?しかもあれだ、おとぎ話によればそれは」

「にゃ・・ファヴニルかベーオウルフのドラゴンだにゃ・・」

マサは戦慄する
あの話が本当だったとすればそれは強敵どころではない
戦えば死ぬ、それが確定しているほどのドラゴン

「まぁカンザキがなんとかしてくれたみたいにゃ。今頃は店に持ち帰って肉にされているはずにゃ」

そんなとんでもないモンスターの肉を・・あの店は出していたのか?
知らずとはいえ、興味がなかったといえ、ほいほい食べていた自分を殴りたくなる

「さ、あとは帰って加工するだけにゃ。とっとと帰るにゃ。気おつけないとまだドラゴンはいるはずだからにゃ」

にこりと笑う姉にマサはなんとも言えない顔をする

「はぁ・・・まったくとんでもねぇ話だ」








猫さんー


猫の道具屋店主にして天才錬金術師

ありとあらゆる魔石を使用したマジックアイテムに通じ、新しいアイテムを作り出す。

ダイダロスと言う国ができるはるか昔
とある魔法大国があった

猫さんはその国の小さな街角で生まれ落ちた

確か、6匹姉弟だったのにゃ

乳離れがすんだ幼き日に母や姉弟とはぐれてしまいたった一匹で生き延びていく覚悟を決めた

幸運だったのはとある一家に拾われた事だったにゃ

あの頃はまだ自分が何者か知らなかったしにゃ

「サンドラルグ・フェネス・シクラニア」

そんな大層な名前を貰って、幸せに暮らした

だけれど

猫さんは死ぬ事が無かった

小さなケガはすぐに治癒するから、ケガをした事すら記憶はあまりない
骨折などのケガですら、1日もあれば治癒していた

歳を取るが、猫の肉体は若々しいままであった

それどころか、拾ってくれた家族の誰よりも長生きをしてしまった

そんな猫さんは恩あるその一家の子孫を見守っていく事にした


他にすることもなかったしにゃ・・



数世代家族を見守った。だがある日、どこかのバカがベヒモスを呼び出したのだ

そのせいで国が滅んだ

見守っていた筈の一族はあっけなく死んでしまう。絶滅だ

猫さんは

悲しみと怒りに震え

たった一匹

ベヒモスに向かって走り出す

「ふざけるんじゃにゃいにゃああああ」

倒そうなんて思って無かった

きっと、ペチって感じで殺されるとか、食べられるとかそんな事になると思っていた

そう、自分も後を追いかけて死にたかっただけだ

泣きながらだけど、せめて死ぬ前にこの爪でひっかいてやりたかったのにゃ


シャシャシャシャシャシャ!


「グルァアアアアアアアアアアァ!」


大きく吼えた断末魔はベヒモスのものだ
まさかと猫は目を見開いて自らの爪痕がベヒモスを切り裂いたと
でもありえないと混乱する

だって猫さんは、爪を剥き出し

数度引っ掻いただけなのに

空間が断裂していた

「あ、そっか、そうだったにゃ」

猫さんは思い出す

自分は何者かを



そして、幾星霜の月日がながれた

世界の時は進み、人は移り変わり

やがて新しい国や街がいくつもできた



いつしか、ダンジョンと言うものが出来て
猫は都合が良いので100層に居を構えた

たまに街に様子を見に降りてくる
またいつ、ベヒモスを呼び出すバカがいないとも限らない
そう、これはナワバリを守るためのパトロールなのだ

そんなある日ウルグインの街中で、一人の大柄なドワーフをみかけた

そのドワーフは何故か、何処か懐かしい気がした


思わず立ち止まって、そのドワーフを見ていたら


「姉ちゃん・・・?」


そうドワーフに呼ばれてまた思い出す

私を姉ちゃんと呼ぶのは誰だったか?

そうだ、妹のマサだにゃ!

思い出した、マサだにゃーー!


懐かしいにゃあなんて思って、いやこれは夢かと思っていると、事もあろうに抱き上げて股をジロジロ見ているマサ

イラッとして蹴飛ばしてしまった
妹がこんな変態だと思わなかったにゃ

「まぁ、よろしくにゃ、マサ」







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