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ミナリ見参5 ウインドーショッピングって言葉なんか違和感ない?
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「これが・・・あのダンジョンの中!?」
まるで昼間のように明るい
それはヒカリ水晶と呼ばれている希少な水晶が天井にあしらえてあるからにほかならない
大変貴重だが、ダンジョン内ではそこそこ採れる
それを光源としているためここは24時間明るい
巨大なダンジョン
その21層に構えられた街
特にこの21層は歴史も古く、人口も多い
そして外の街以上に何でも揃うと言っても過言ではない
「ほら、こっちミナリ」
モコに連れられて来たのは買取屋と言われる店だ
ココでは様々なモンスターの様々な部位を買い取って貰えるという
さらに奥の階層ではモンスターが飲み込んでいたのか、武器なども出たりするらしくそれらは高値で取引されているらしい、らしいと言うのはこの層の街にはないからだ
さらに奥の51層あたりが盛んとのことだ
「モコさん、なかなか良い値段で買い取って貰えましたね」
「最近は20層までの冒険者が少ない、だから」
「なるほど、供給が減ったからなんですね」
それでもまだ、この層に数千の単位で冒険者は存在する
だが減った理由・・、この街までの稼ぎで満足する冒険者が減ったのには理由がある
それはカイン一行の活躍だ
次々と塗り替えられる到達層に夢を思い出した冒険者は少なくない
それにカインらが持ち帰った貴重な鉱石や武器、防具は冒険者の夢を後押しするに十分な物だった
開拓されたルートは後続の冒険者の指針となりMAPが作成されて攻略ルートとして整備されていく
「そんな理由があったんですねぇ。あ、コレ美味しいですよ。そこの屋台で買ったんですけど」
「あ、ほんと美味しい。でもちょっと失敗しちゃって、今は攻略休止中なの。だから私はボランティアでガイドしてる。」
「へぇ、で、他の皆さんは何しているんですか?」
「たぶんダンジョンのどこかで鍛えなおしてると思う」
「はーなるほどぉ。てことはモコさんも有名人・・・なる!それでそのフードですか!顔を隠すためものでしたか!」
ミナリは感心したようにうんうんとうなづいた
このダンジョンはミナリにとって非常に興味深い
巨大なダンジョン
おそらくは一層一層が、日本の街一つ以上に広い
そして下に下りていけばドンドン広くなり途方も無い広さへとなっていく
だが人々はそこを生活の場としており、凶悪なモンスターへも立ち向かっていく
無論そこには有名人だっているはずだ
階層の開拓者しかり、強いモンスターを撃破した人だって
ミナリはモコとテレサに本当に色々な話を聞いた
たとえば、ダンジョンに挑む冒険者のための学校があって、そこでの成績優秀者がカインだったとか
でもモコは落ちこぼれで・・・とか
テレサの姉は国王親衛隊の隊長で
当然の様に妹のテレサはかなり期待されていたのだが、姉との比較が嫌になって冒険者になったとか
本当に色々な事を聞いた
「お待たせ二人とも。結構込んでた」
「おかえりテレサ」
「ごめんなさいテレサさん私がわがまま言ったばかりに」
「いいってこと。私もなんかノってきちゃったしさ、ミナリがもう少し先に進んでみたいって言ってくれて良かったよ」
「うん、私もこのパーティで行くの楽しい」
「モコさん・・・テレサさん・・・ありがとうございます」
ミナリは深々と頭を下げた
ちなみにテレサが行ったのは何も持たないミナリに必要なものを買い集めるためだ
お金はエリザにもらった分が結構な額だったらしく、全部揃えてくれたようだ
「ま、行こうか。二人ともまだまだ疲れてないだろ?ミナリには道すがら道具の使い方を教えてやるよ」
「ありがとうございます」
3人は和気あいあいと22層へ向かったのだった
モコとテレサはある勘違いをしていた
それはミナリの強さと才能
彼女の強さを測り違えてしまっていた
その事に気づくまで実に60時間を要した
その事に気づいたときには・・既に・・
ダンジョン81層
「あ、モコさんココから降りれそうです」
「あ。本当。」
あのあと41層にて一泊
そしてダンジョンの攻略を再開している
そこから異変が加速する
ミナリがもの凄い勢いでダンジョンの下層へ降りる為の階段、場所、落とし穴などを発見してしまうのだ
それはもはや特異な能力だと言わざるを得ない
無論、モコやテレサもそういう感覚というのはなんとなくわかる
でなければ広大なダンジョンの中で下層へと降りていけないからだ
だがミナリの察知は凄いを通り越して異常だった
その間出会うモンスターなどもほぼ1分かからず殲滅していくから、その才能が目立たなかった事もある
現在のフォーメーションは ミナリ モコ テレサの順番になっている
ミナリが敵索をして見つけるとモコに知らせる
モコはそれに応じてミナリにバフ魔法をかける
テレサはしんがりだ。
およそ50層あたりからだろうか、しんがりが必要になってきたのは
集団で襲われるのだ、モンスターも群れを成す
そして大物は単独で行動しているはずなのだが後方から雑魚とも言うべきモンスターがちょっかいをかけてきたりする
故に後方防御テレサの出番である
ちなみにテレサの武器防具も一新されている
武器はドロップアイテム
ミナリはそれを手に入れた時、グラディウスと名づけた
だがあまりの大きさのためミナリは振り回すスタイルに馴染めず、テレサに渡した
テレサの為に誂えたようなサイズだった
それは明らかに伝説級の武器だ
モコは元からこの80層あたりまできていただけはあり装備に変更は無いのだが
一番の問題はミナリである
彼女の刀は刃こぼれもないほど綺麗なままだ
相当数のモンスターを屠っているのだが
防具に関しては未だ装備していないに等しい
小手くらいのものだった
だが唯一の防具は彼女がカバンから取り出した黒いマント
それがまさかの防御力を誇っている
モンスターの吐き出す業火に猛毒、吹雪。それら全てをそのマント一つが防いでいるのだ
気になって入手先を聞いたところ、師匠のエリザという人から譲り受けたという
その3人組みはついに到達階層がー
「ここは・・・」
モコの顔が青ざめる
今居る階層それは82層
かつてカインらと訪れ、敗走した場所
カンザキの助けが無ければきっと全員は生還できなかった場所だ
その事もありカインらは自らを鍛え直しはじめた程にトラウマになっている
「ミナリ、テレサ」
「どうしました?モコさん」
「深くまで潜りすぎている。ここは危険だからもう引き返そう」
すでに転移の魔石すら全員分を手に入れているので帰るのは容易だ
モコの言葉にはっと気づいたテレサが
「モコさん・・・まさかココが・・ミナリ、まずい。あまりに簡単に進んだために進みすぎたようだ。ここにはカインさんたちですら苦戦したモンスターがでる、引き返さないか?」
カインらは敗走を公表している
あのモンスターは本当に危険だからだ
「え?そうなの?じゃぁ転移陣さがさないと」
「いや、一層戻ってからそこで探そう。そのほうが安全だ」
ミナリにはこの層を降りる階段はもうわかっているから、その付近に転送陣がある可能性が高いと思っていた
さっきからなんか感覚が鋭いのよね・・すごい違和感を感じる場所にいくとそこが全て下層への場所
だったりするし・・・
「あ!だめ!モコさんテレサさん、こっちへ」
ミナリは気づく、些細な変化を
階段だけではないその身に迫る脅威すら気づくのだ
キシャァ
遠く小さく鳴く声
そこに居たのは全身を黒くおよそ5mはある巨大なモンスター
赤い目がその毒々しさを物語る
「これは・・さっき倒したオーガキングとか足元にも及ばない感じ?」
オーガキング。オーガを30は従えていたモンスターだ
それと比較してもなお、あの一匹から感じる気配は尋常ではない
ズシ・・ズシ・・ズシ・・
重い足音が三人に迫る
決心した様にモコが二人を押しのけバジリスクの前に出る
「私が囮になる!だから二人は逃げて!」
「モコさん!!」
「今度は私が守る番。あの日カンザキさんに助けてもらった命だもの、惜しんでいたら罰が当たっちゃう」
モコは二人の前に立ちにこりと笑う
ついに出来た友人、気の合うパーティだった
それを守りたい。あの日のカインの気持ちがわかった気がした
ゾクリとミナリは・・モコの言葉に痺れる
ーカンザキー?
「ウィンドガード・・ライトフィールド・・」
モコは呪文を・・バフを重ねがけをしている
急ピッチで唱えるがカチカチと歯は震え、焦ってなかなか発動しない
「ねえ、モコさんそのカンザキさんって?」
ミナリは目を伏せ、静かに聴いた
でなければ心臓のはやる音がバジリスクに伝わりそうだから
「前に話した、焼肉屋の店長。うまく逃げれたら寄ってみて」
言い残してーモコは走りだす、バジリスクへ向かって
その大きな影のトカゲは餌が自分で食われにきたと言わんばかりの顔をして口を空けた
モコが絶対絶命に陥る寸前、ミナリが動く
「テレサさん、ちょっと本気出してきます」
そう言うとミナリはモコを追いかけ走り出す
「ちょ!モコさん!ミナリ!!・・・・・ってちょっと本気を出してくる・・・?」
テレサは瞬間、気づく
ミナリが今までそのちょっとの本気ですらなかったのだろうと
そして期待する
「ミナリ!頼む!」
テレサはできる限りの声で叫んだ!
モコはその声に驚いて振り向いたときー
風が駆け抜けた
その黒いマントを羽織った一人の女性ーミナリがモコを追い抜きバジリスクの前に立つ
その強固な黒い肌はいかなる武器や魔法を弾いたかも知れないが
「いきますー抜刀術、十尖(じゅっせん)ー雨音ー」
ジャキィィィン
ミナリがその刀を抜く
抜刀術として突(つく)その速度は先ほどまでの剣
抜刀術一閃(いっせん)の比ではない
あまりに早いその突きは摩擦により雷を、イカヅチをまとってバジリスクにたどり着く
ガァァァァン!
雷鳴が鳴り響くそしてバジリスクを切り刻んだ
巻き起こった爆風はそのバジリスクの向こう側にいたほかの数匹のバジリスクをあぶりだす
ミナリはそのまま今のバジリスクが倒れるよりも速くその数匹の前に立つ
バラバラにいる三体のバジリスクの前に同時に立つ
声に振り向いたモコが再び前を向くとそこには
三人のミナリが同時に三体のバジリスクを切り刻んでいるところだった
「え?」
「ふう、こんなもんか」
キンッと刀を鞘に収めるミナリがそこにいたのだ
ア然とするモコとテレサ
ミナリは他にバジリスクが居ない事を確認するとモコの傍まで帰ってきて一言言った
「モコさん、案内がいないと私いけそうにないんですよ、その焼肉屋さん」
ミナリはそう言ってにっこりと、モコに微笑んだ
まるで昼間のように明るい
それはヒカリ水晶と呼ばれている希少な水晶が天井にあしらえてあるからにほかならない
大変貴重だが、ダンジョン内ではそこそこ採れる
それを光源としているためここは24時間明るい
巨大なダンジョン
その21層に構えられた街
特にこの21層は歴史も古く、人口も多い
そして外の街以上に何でも揃うと言っても過言ではない
「ほら、こっちミナリ」
モコに連れられて来たのは買取屋と言われる店だ
ココでは様々なモンスターの様々な部位を買い取って貰えるという
さらに奥の階層ではモンスターが飲み込んでいたのか、武器なども出たりするらしくそれらは高値で取引されているらしい、らしいと言うのはこの層の街にはないからだ
さらに奥の51層あたりが盛んとのことだ
「モコさん、なかなか良い値段で買い取って貰えましたね」
「最近は20層までの冒険者が少ない、だから」
「なるほど、供給が減ったからなんですね」
それでもまだ、この層に数千の単位で冒険者は存在する
だが減った理由・・、この街までの稼ぎで満足する冒険者が減ったのには理由がある
それはカイン一行の活躍だ
次々と塗り替えられる到達層に夢を思い出した冒険者は少なくない
それにカインらが持ち帰った貴重な鉱石や武器、防具は冒険者の夢を後押しするに十分な物だった
開拓されたルートは後続の冒険者の指針となりMAPが作成されて攻略ルートとして整備されていく
「そんな理由があったんですねぇ。あ、コレ美味しいですよ。そこの屋台で買ったんですけど」
「あ、ほんと美味しい。でもちょっと失敗しちゃって、今は攻略休止中なの。だから私はボランティアでガイドしてる。」
「へぇ、で、他の皆さんは何しているんですか?」
「たぶんダンジョンのどこかで鍛えなおしてると思う」
「はーなるほどぉ。てことはモコさんも有名人・・・なる!それでそのフードですか!顔を隠すためものでしたか!」
ミナリは感心したようにうんうんとうなづいた
このダンジョンはミナリにとって非常に興味深い
巨大なダンジョン
おそらくは一層一層が、日本の街一つ以上に広い
そして下に下りていけばドンドン広くなり途方も無い広さへとなっていく
だが人々はそこを生活の場としており、凶悪なモンスターへも立ち向かっていく
無論そこには有名人だっているはずだ
階層の開拓者しかり、強いモンスターを撃破した人だって
ミナリはモコとテレサに本当に色々な話を聞いた
たとえば、ダンジョンに挑む冒険者のための学校があって、そこでの成績優秀者がカインだったとか
でもモコは落ちこぼれで・・・とか
テレサの姉は国王親衛隊の隊長で
当然の様に妹のテレサはかなり期待されていたのだが、姉との比較が嫌になって冒険者になったとか
本当に色々な事を聞いた
「お待たせ二人とも。結構込んでた」
「おかえりテレサ」
「ごめんなさいテレサさん私がわがまま言ったばかりに」
「いいってこと。私もなんかノってきちゃったしさ、ミナリがもう少し先に進んでみたいって言ってくれて良かったよ」
「うん、私もこのパーティで行くの楽しい」
「モコさん・・・テレサさん・・・ありがとうございます」
ミナリは深々と頭を下げた
ちなみにテレサが行ったのは何も持たないミナリに必要なものを買い集めるためだ
お金はエリザにもらった分が結構な額だったらしく、全部揃えてくれたようだ
「ま、行こうか。二人ともまだまだ疲れてないだろ?ミナリには道すがら道具の使い方を教えてやるよ」
「ありがとうございます」
3人は和気あいあいと22層へ向かったのだった
モコとテレサはある勘違いをしていた
それはミナリの強さと才能
彼女の強さを測り違えてしまっていた
その事に気づくまで実に60時間を要した
その事に気づいたときには・・既に・・
ダンジョン81層
「あ、モコさんココから降りれそうです」
「あ。本当。」
あのあと41層にて一泊
そしてダンジョンの攻略を再開している
そこから異変が加速する
ミナリがもの凄い勢いでダンジョンの下層へ降りる為の階段、場所、落とし穴などを発見してしまうのだ
それはもはや特異な能力だと言わざるを得ない
無論、モコやテレサもそういう感覚というのはなんとなくわかる
でなければ広大なダンジョンの中で下層へと降りていけないからだ
だがミナリの察知は凄いを通り越して異常だった
その間出会うモンスターなどもほぼ1分かからず殲滅していくから、その才能が目立たなかった事もある
現在のフォーメーションは ミナリ モコ テレサの順番になっている
ミナリが敵索をして見つけるとモコに知らせる
モコはそれに応じてミナリにバフ魔法をかける
テレサはしんがりだ。
およそ50層あたりからだろうか、しんがりが必要になってきたのは
集団で襲われるのだ、モンスターも群れを成す
そして大物は単独で行動しているはずなのだが後方から雑魚とも言うべきモンスターがちょっかいをかけてきたりする
故に後方防御テレサの出番である
ちなみにテレサの武器防具も一新されている
武器はドロップアイテム
ミナリはそれを手に入れた時、グラディウスと名づけた
だがあまりの大きさのためミナリは振り回すスタイルに馴染めず、テレサに渡した
テレサの為に誂えたようなサイズだった
それは明らかに伝説級の武器だ
モコは元からこの80層あたりまできていただけはあり装備に変更は無いのだが
一番の問題はミナリである
彼女の刀は刃こぼれもないほど綺麗なままだ
相当数のモンスターを屠っているのだが
防具に関しては未だ装備していないに等しい
小手くらいのものだった
だが唯一の防具は彼女がカバンから取り出した黒いマント
それがまさかの防御力を誇っている
モンスターの吐き出す業火に猛毒、吹雪。それら全てをそのマント一つが防いでいるのだ
気になって入手先を聞いたところ、師匠のエリザという人から譲り受けたという
その3人組みはついに到達階層がー
「ここは・・・」
モコの顔が青ざめる
今居る階層それは82層
かつてカインらと訪れ、敗走した場所
カンザキの助けが無ければきっと全員は生還できなかった場所だ
その事もありカインらは自らを鍛え直しはじめた程にトラウマになっている
「ミナリ、テレサ」
「どうしました?モコさん」
「深くまで潜りすぎている。ここは危険だからもう引き返そう」
すでに転移の魔石すら全員分を手に入れているので帰るのは容易だ
モコの言葉にはっと気づいたテレサが
「モコさん・・・まさかココが・・ミナリ、まずい。あまりに簡単に進んだために進みすぎたようだ。ここにはカインさんたちですら苦戦したモンスターがでる、引き返さないか?」
カインらは敗走を公表している
あのモンスターは本当に危険だからだ
「え?そうなの?じゃぁ転移陣さがさないと」
「いや、一層戻ってからそこで探そう。そのほうが安全だ」
ミナリにはこの層を降りる階段はもうわかっているから、その付近に転送陣がある可能性が高いと思っていた
さっきからなんか感覚が鋭いのよね・・すごい違和感を感じる場所にいくとそこが全て下層への場所
だったりするし・・・
「あ!だめ!モコさんテレサさん、こっちへ」
ミナリは気づく、些細な変化を
階段だけではないその身に迫る脅威すら気づくのだ
キシャァ
遠く小さく鳴く声
そこに居たのは全身を黒くおよそ5mはある巨大なモンスター
赤い目がその毒々しさを物語る
「これは・・さっき倒したオーガキングとか足元にも及ばない感じ?」
オーガキング。オーガを30は従えていたモンスターだ
それと比較してもなお、あの一匹から感じる気配は尋常ではない
ズシ・・ズシ・・ズシ・・
重い足音が三人に迫る
決心した様にモコが二人を押しのけバジリスクの前に出る
「私が囮になる!だから二人は逃げて!」
「モコさん!!」
「今度は私が守る番。あの日カンザキさんに助けてもらった命だもの、惜しんでいたら罰が当たっちゃう」
モコは二人の前に立ちにこりと笑う
ついに出来た友人、気の合うパーティだった
それを守りたい。あの日のカインの気持ちがわかった気がした
ゾクリとミナリは・・モコの言葉に痺れる
ーカンザキー?
「ウィンドガード・・ライトフィールド・・」
モコは呪文を・・バフを重ねがけをしている
急ピッチで唱えるがカチカチと歯は震え、焦ってなかなか発動しない
「ねえ、モコさんそのカンザキさんって?」
ミナリは目を伏せ、静かに聴いた
でなければ心臓のはやる音がバジリスクに伝わりそうだから
「前に話した、焼肉屋の店長。うまく逃げれたら寄ってみて」
言い残してーモコは走りだす、バジリスクへ向かって
その大きな影のトカゲは餌が自分で食われにきたと言わんばかりの顔をして口を空けた
モコが絶対絶命に陥る寸前、ミナリが動く
「テレサさん、ちょっと本気出してきます」
そう言うとミナリはモコを追いかけ走り出す
「ちょ!モコさん!ミナリ!!・・・・・ってちょっと本気を出してくる・・・?」
テレサは瞬間、気づく
ミナリが今までそのちょっとの本気ですらなかったのだろうと
そして期待する
「ミナリ!頼む!」
テレサはできる限りの声で叫んだ!
モコはその声に驚いて振り向いたときー
風が駆け抜けた
その黒いマントを羽織った一人の女性ーミナリがモコを追い抜きバジリスクの前に立つ
その強固な黒い肌はいかなる武器や魔法を弾いたかも知れないが
「いきますー抜刀術、十尖(じゅっせん)ー雨音ー」
ジャキィィィン
ミナリがその刀を抜く
抜刀術として突(つく)その速度は先ほどまでの剣
抜刀術一閃(いっせん)の比ではない
あまりに早いその突きは摩擦により雷を、イカヅチをまとってバジリスクにたどり着く
ガァァァァン!
雷鳴が鳴り響くそしてバジリスクを切り刻んだ
巻き起こった爆風はそのバジリスクの向こう側にいたほかの数匹のバジリスクをあぶりだす
ミナリはそのまま今のバジリスクが倒れるよりも速くその数匹の前に立つ
バラバラにいる三体のバジリスクの前に同時に立つ
声に振り向いたモコが再び前を向くとそこには
三人のミナリが同時に三体のバジリスクを切り刻んでいるところだった
「え?」
「ふう、こんなもんか」
キンッと刀を鞘に収めるミナリがそこにいたのだ
ア然とするモコとテレサ
ミナリは他にバジリスクが居ない事を確認するとモコの傍まで帰ってきて一言言った
「モコさん、案内がいないと私いけそうにないんですよ、その焼肉屋さん」
ミナリはそう言ってにっこりと、モコに微笑んだ
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小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
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お知らせ
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注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
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