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黄泉帰り
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シラユリの亡骸は、偶然か必然かとある島に流れ着いていた。貫かれた心臓には大穴が空き、最早蘇生は不可能な状態だ。数日が経過し、どこから分からないが妖気が辺りに満ち始める。
妖獣の中には動物や人間の死体を媒介にして生まれる種が存在する。傷付いた心臓を治すかのように胸に妖気が集まりだす。しかし、内に眠る龍白龍の覇気により妖獣化は抑制される。それどころか、覇気と妖気が混じり合い傷を修復していく。そう、覇たる龍の王は神が決めた死という理すら捻じ伏せるのである。それ故、シラユリの魂は未だ此処に繋ぎ止められている。次第に龍殺しに負わされた傷が覇気と妖気により修復されて行き、傷など元から無かったかのように修復される。
徐々に心臓マッサージするかのようにして、少しずつ鼓動させていく。失われた血液を補うかのように、覇気と妖気が血管を巡り失われていた身体機能が少しずつ蘇る。
(目覚めよ、我が龍姫)
白鹿の声により、繋ぎ留め置かれたシラユリの魂が肉体に戻り生命として機能が整う。
「ゲホッゲホッ、カハッ、はぁはぁーーー」
何処か懐かしい山小屋を思わせる屋内、それも寝台の上で彼女は目覚めたのだ。最後に覚えてる記憶は、コシに斬られ海に落とされた記憶だ。
「あら、本当に目覚めたの ? 賭けはワタシの負けね、白鹿 ?」
声の方向に目線を向けると、30後半くらいの美しい黒髪の女性が居た。整った顔立ちに、男勝りの気概が感じられる。
「おはよう、身体の調子はどうかしらシラユリちゃん ?」
自身の名前を呼ばれたコトに警戒し、寝台から飛び起きようとするが白龍に制止させられる。
(落ち着け我が龍姫、彼奴は敵ではない)
「そうそう、ワタシは気さくで優しいお姉さんよ~」
「ちょっと待って、なんで白龍と会話出来てるの ? それに、なんで私の名前をーーー」
「とりあえず、お茶淹れるわね」
寝台に横たわったまま、淹れて貰ったお茶を貰う。口当りが優しく、内からポカポカしてくる。
「さてと、ワタシの名前はメモリアス。そうね、アイツやバラカン、マリアンナとは昔なじみよ」
「おじさんのーーー」
「ええ、三英傑って世間では言われてるけど本当は4人居たのよ。まぁ、色々あってワタシの話しは隠されてるけどね」
「おじさん達の仲間ってのは分かったけど、なんで白龍と話せてるの ? それにどうして、アナタだけ英検と呼ばれてないの ?」
彼女はおもむろに両手を出すと、片方に闘気をもう一方には蒼気の塊を作り出す。そして2つの気を混ぜ合わせ、紫色の気つまりは妖気を創り出したのである。さらに、その妖気と自然の気を混ぜ合わせると驚愕の変化現れたのだ。
生成された気は、本来龍族しか持たない覇気に近しいモノだったのだ。
「覇気といえども、この世界にある有限の性質のモノなのは変わらないわ。微量しか作れないけど、コレを通して白龍と会話してるってわけ。ワタシが育った場所では仙術って呼ばれてたわね。旅してた頃は、仙術のメモリアスなんて呼ばれてたわね。そんな、ワタシから見てもシラユリちゃんに起こった変化は興味深いけどね」
手渡された手鏡で自分を写すと、タレ目だった目は釣り上がり、栗毛色の髪の毛は白色と紫色のメッシュが入っているかのようになっていたのだ。後にこの変化が私の身体にとんでもないコトを引き起こすことはまだ知らないーーー。
妖獣の中には動物や人間の死体を媒介にして生まれる種が存在する。傷付いた心臓を治すかのように胸に妖気が集まりだす。しかし、内に眠る龍白龍の覇気により妖獣化は抑制される。それどころか、覇気と妖気が混じり合い傷を修復していく。そう、覇たる龍の王は神が決めた死という理すら捻じ伏せるのである。それ故、シラユリの魂は未だ此処に繋ぎ止められている。次第に龍殺しに負わされた傷が覇気と妖気により修復されて行き、傷など元から無かったかのように修復される。
徐々に心臓マッサージするかのようにして、少しずつ鼓動させていく。失われた血液を補うかのように、覇気と妖気が血管を巡り失われていた身体機能が少しずつ蘇る。
(目覚めよ、我が龍姫)
白鹿の声により、繋ぎ留め置かれたシラユリの魂が肉体に戻り生命として機能が整う。
「ゲホッゲホッ、カハッ、はぁはぁーーー」
何処か懐かしい山小屋を思わせる屋内、それも寝台の上で彼女は目覚めたのだ。最後に覚えてる記憶は、コシに斬られ海に落とされた記憶だ。
「あら、本当に目覚めたの ? 賭けはワタシの負けね、白鹿 ?」
声の方向に目線を向けると、30後半くらいの美しい黒髪の女性が居た。整った顔立ちに、男勝りの気概が感じられる。
「おはよう、身体の調子はどうかしらシラユリちゃん ?」
自身の名前を呼ばれたコトに警戒し、寝台から飛び起きようとするが白龍に制止させられる。
(落ち着け我が龍姫、彼奴は敵ではない)
「そうそう、ワタシは気さくで優しいお姉さんよ~」
「ちょっと待って、なんで白龍と会話出来てるの ? それに、なんで私の名前をーーー」
「とりあえず、お茶淹れるわね」
寝台に横たわったまま、淹れて貰ったお茶を貰う。口当りが優しく、内からポカポカしてくる。
「さてと、ワタシの名前はメモリアス。そうね、アイツやバラカン、マリアンナとは昔なじみよ」
「おじさんのーーー」
「ええ、三英傑って世間では言われてるけど本当は4人居たのよ。まぁ、色々あってワタシの話しは隠されてるけどね」
「おじさん達の仲間ってのは分かったけど、なんで白龍と話せてるの ? それにどうして、アナタだけ英検と呼ばれてないの ?」
彼女はおもむろに両手を出すと、片方に闘気をもう一方には蒼気の塊を作り出す。そして2つの気を混ぜ合わせ、紫色の気つまりは妖気を創り出したのである。さらに、その妖気と自然の気を混ぜ合わせると驚愕の変化現れたのだ。
生成された気は、本来龍族しか持たない覇気に近しいモノだったのだ。
「覇気といえども、この世界にある有限の性質のモノなのは変わらないわ。微量しか作れないけど、コレを通して白龍と会話してるってわけ。ワタシが育った場所では仙術って呼ばれてたわね。旅してた頃は、仙術のメモリアスなんて呼ばれてたわね。そんな、ワタシから見てもシラユリちゃんに起こった変化は興味深いけどね」
手渡された手鏡で自分を写すと、タレ目だった目は釣り上がり、栗毛色の髪の毛は白色と紫色のメッシュが入っているかのようになっていたのだ。後にこの変化が私の身体にとんでもないコトを引き起こすことはまだ知らないーーー。
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