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白龍姫と龍殺し
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雷雨が降りしきるなか、私は覇龍化しコシと対峙する。臨戦態勢をとろうと、覇龍化すると異変に見舞われる。
視界がボヤけ、酒に酔ったかのように身体がフラフラとするのだ。霞む視界を擦りながら、なんとか立ち留まる。
「よお~やく効いてきたみたいだね。龍涎香と笹の葉入りの食事が」
「何をーーー ?」
「気が付かなかった? 屋敷の中のお香と料理の違和感。まぁ、人間には無毒だけどね。龍を殺す程の効果はないけど、酔いが廻った程度には効くはずだから」
対峙して臨戦態勢を取ろうと覇気を錬ろうとするが、頭がぼぉーとしている為か気が上手く錬れず霧散してしまう。対してコシは闘気を纏い、長刀には蒼気を纏わせている。桃糸を籠手替わりに巻き、今現在送り込めるだけの覇気を纏う。
そこから激しい打ち合いが始まるが、ほぼコチラは防戦一方だ。コシの一撃は一発一発が重く、防いではいるもののどんどん身を削られていく。連撃をなんとか退避し、呼吸を整える為間合いを無理矢理空ける。
(我が龍姫。すまぬ、笹の葉と香のせいで、声が届かぬでいた。用心しろ、此奴は今まで闘ってきた中では別格なるぞ)
コシと闘ってみて分かったけど、白龍の言う通り強い。その根底にあるのは、必ず龍を殺すという純粋な殺意だ。
今まで何とか踏み留まっていたが、やはり削られた影響か片膝をついてしまう。
「まったく、ホントに嫌になる。ここまで状態異常を掛けて殺しきれないなんて、龍姫ってのはやっぱりバケモノだ」
長刀を構え直し、蒼気を刀身だけでなく次第に身体にまで纏っていく。その蒼気は尋常ではなく蒼く、まるで陽炎の如く向う側が揺らめいて見える。無論、人間の身体に耐えられる筈もなく、ところどころから鮮血が流れ出る。
「コシっ ?!」
「見せてあげるよ、タダの人間に出来る極地の技を。東の龍殺しにおける秘伝、纏《《蒼》》 !!」
まさに、相討ち覚悟の諸刃の剣ともいえる技。さらに、この技の名前にはもう一つあるという。それは、相対した者のみがその姿を捉えるとされる。
「青鬼ーーー」
かなり距離を開けていたのに、一瞬で刀の間合いに持っていかれた。普通の人間、如何に龍殺しであってもソレは変わらない。なのに、余りにも速すぎる。しかし、その謎はコシの足下を見て答えが分かった。本来、人間の身体は無理が効かないよう痛みという制御装置が作動する。しかし、コシが使うこの技はソレを外し人間が出せる限界以上の力を引き出しているのだ。
間合いを詰められての斬撃に、白覇に蒼気を混ぜたモノで対処する。しかし、蒼気の練りが毒により甘くなっており簡単に壊される。同時に後ろに後退しながら、なんとか白龍牙を繰り出す。しかし、ソレも同様に蒼気を載せた長刀で斬り伏せられる。
「ゲホッゲホッ、はぁホントに厄介。ゴホっ、ボクの身体もそろそろ限界みたいだね」
外からは分からないが、おそらくコシの内蔵も相当な負傷を負っているのだろう。咳払いと共に吐血が混じっている。生命の限界が近いのか、コシの蒼気がより大きくなる。
再び間合いを詰められるが、先程より速さが遅く好機とばかりに白龍牙をコシの頭目掛け繰り出す。完全に捉えたと思ったが、まるで霞でも相手にしているかのように手応えがない。
「えっ ?」
ドスッという音と共に、左胸に激しい痛みが走る。恐る恐るソチラに目線を送ると、私の左胸を長刀が貫いていた。次第に呼吸がしにくくなり、おまけにどんどん体温が下がって行くのを感じる。心臓が貫かれている為、血液が上手く循環していないのだろう。龍姫でなければ即死出来ていただろうが、幾分頑丈に出来ている為ソレは叶わず長く苦しむ事になる。
「纏蒼、秘術 龍殺陽炎」
さらに追撃と言わんばかりに、コシから蹴りが飛んでくる。そのまま吸い込まれるかのように、荒れ狂う海へと投げ出される。より一層強まる雷雨の中、最期に見たコシの顔はどこか哀しそうに見えた。
数分後、私の心臓は完全に停止したーーー。
視界がボヤけ、酒に酔ったかのように身体がフラフラとするのだ。霞む視界を擦りながら、なんとか立ち留まる。
「よお~やく効いてきたみたいだね。龍涎香と笹の葉入りの食事が」
「何をーーー ?」
「気が付かなかった? 屋敷の中のお香と料理の違和感。まぁ、人間には無毒だけどね。龍を殺す程の効果はないけど、酔いが廻った程度には効くはずだから」
対峙して臨戦態勢を取ろうと覇気を錬ろうとするが、頭がぼぉーとしている為か気が上手く錬れず霧散してしまう。対してコシは闘気を纏い、長刀には蒼気を纏わせている。桃糸を籠手替わりに巻き、今現在送り込めるだけの覇気を纏う。
そこから激しい打ち合いが始まるが、ほぼコチラは防戦一方だ。コシの一撃は一発一発が重く、防いではいるもののどんどん身を削られていく。連撃をなんとか退避し、呼吸を整える為間合いを無理矢理空ける。
(我が龍姫。すまぬ、笹の葉と香のせいで、声が届かぬでいた。用心しろ、此奴は今まで闘ってきた中では別格なるぞ)
コシと闘ってみて分かったけど、白龍の言う通り強い。その根底にあるのは、必ず龍を殺すという純粋な殺意だ。
今まで何とか踏み留まっていたが、やはり削られた影響か片膝をついてしまう。
「まったく、ホントに嫌になる。ここまで状態異常を掛けて殺しきれないなんて、龍姫ってのはやっぱりバケモノだ」
長刀を構え直し、蒼気を刀身だけでなく次第に身体にまで纏っていく。その蒼気は尋常ではなく蒼く、まるで陽炎の如く向う側が揺らめいて見える。無論、人間の身体に耐えられる筈もなく、ところどころから鮮血が流れ出る。
「コシっ ?!」
「見せてあげるよ、タダの人間に出来る極地の技を。東の龍殺しにおける秘伝、纏《《蒼》》 !!」
まさに、相討ち覚悟の諸刃の剣ともいえる技。さらに、この技の名前にはもう一つあるという。それは、相対した者のみがその姿を捉えるとされる。
「青鬼ーーー」
かなり距離を開けていたのに、一瞬で刀の間合いに持っていかれた。普通の人間、如何に龍殺しであってもソレは変わらない。なのに、余りにも速すぎる。しかし、その謎はコシの足下を見て答えが分かった。本来、人間の身体は無理が効かないよう痛みという制御装置が作動する。しかし、コシが使うこの技はソレを外し人間が出せる限界以上の力を引き出しているのだ。
間合いを詰められての斬撃に、白覇に蒼気を混ぜたモノで対処する。しかし、蒼気の練りが毒により甘くなっており簡単に壊される。同時に後ろに後退しながら、なんとか白龍牙を繰り出す。しかし、ソレも同様に蒼気を載せた長刀で斬り伏せられる。
「ゲホッゲホッ、はぁホントに厄介。ゴホっ、ボクの身体もそろそろ限界みたいだね」
外からは分からないが、おそらくコシの内蔵も相当な負傷を負っているのだろう。咳払いと共に吐血が混じっている。生命の限界が近いのか、コシの蒼気がより大きくなる。
再び間合いを詰められるが、先程より速さが遅く好機とばかりに白龍牙をコシの頭目掛け繰り出す。完全に捉えたと思ったが、まるで霞でも相手にしているかのように手応えがない。
「えっ ?」
ドスッという音と共に、左胸に激しい痛みが走る。恐る恐るソチラに目線を送ると、私の左胸を長刀が貫いていた。次第に呼吸がしにくくなり、おまけにどんどん体温が下がって行くのを感じる。心臓が貫かれている為、血液が上手く循環していないのだろう。龍姫でなければ即死出来ていただろうが、幾分頑丈に出来ている為ソレは叶わず長く苦しむ事になる。
「纏蒼、秘術 龍殺陽炎」
さらに追撃と言わんばかりに、コシから蹴りが飛んでくる。そのまま吸い込まれるかのように、荒れ狂う海へと投げ出される。より一層強まる雷雨の中、最期に見たコシの顔はどこか哀しそうに見えた。
数分後、私の心臓は完全に停止したーーー。
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