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無意識に伸びた手
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初授業はとても大変だった。
普通科の生徒対象に行ったが、内容は散々な結果となってしまった。
顔合わせって事もあり簡単な薬を作ろうかと思っていたのだが、自己紹介で殆ど終わってしまいなかなか思うように進まなかった。
「先生は何歳ですか?」
「彼女いますか?」
「媚薬作れますか?」
「惚れ薬作れますか?」
「薬は儲かりますか?」
質問攻めに合いそれに答えるだけで授業が終わってしまいルカはため息をついた。
薬草の事を聞いてくれたのは嬉しかったが、上手く進行出来なかったのが悔しい。
自分より若い生徒達はとても元気だった。ルカは学校というものに通った事はなかった。孤児院に勉強を教えに来るボランティアの人達が来て授業を行っていたが、それと雰囲気とは全く違うものだった。
オリバーの授業も何度も手伝っていたが、彼みたくスムーズに行かない。
ルカは生徒に合った授業の進行をしなくてはいけないのだと考え、練り直す事にした。
質問される前にこちらから質問し流れを戻す。
主導権を取られないように、飽きられない授業をするためには学園内の事をもっと知らないといけないかもしれない。
色々と考えているうちに教室は暗闇に包まれていた。
「そろそろ明日の準備して帰らないと」
ルカは教室の扉を閉める。ルカが与えられた教室は普通科校舎の一階の奥まった所にあった。
授業の頻度は少ないため人通りは殆どなかったが、薬草の調合などやるのにはうってつけの場所だった。しかし人気のない夕方の校舎は人気がなく少し怖いと感じてしまった。
急いで鍵を職員室に返すと声をかけられた。
「ルカ先生!」
振り替えるとオリバーの授業で見かけた生徒が駆け寄ってきた。
「えっと……」
「テオです。オリバー先生の授業の時に傷薬を貰った」
「ごめん。テオ、ちゃんと覚えているよ。傷の具合はどう?」
「あの薬とても良かったです。今度ルカ先生の薬学授業を受けようと思ってます」
ニコッと笑うテオの笑顔はとても眩しかった。キラキラしていて背後に薔薇などが合いそうな程の笑顔は美しかった。
「あ、ありがとう」
「先生今から帰りですか?」
「うん。明日の準備とかしてたら遅くなってしまって」
「先生は偉いですね」
偉いですねと言われたことが嬉しく、口元がニヤニヤしそうになるのを必死で堪える。
「テオは今か帰りなの?」
「はい。どうしても発動しない魔術があってジェームズ先生に見てもらっていたんです」
自分より年下の生徒が勉学や剣術など頑張ろうとしている姿を見て感心した。エリートだからと偉ぶる事をせず問題にぶつかったらそれに立ち向かう姿はとても素敵に見えた。
孤児院にいた時も必死に勉強を頑張る子達を見ていたので懐かしくなった。
「そっか、偉いな」
「あの……ルカ先生?」
無意識にテオの頭を撫でていた、孤児院の子供達の事を思い出していたせいか、伸ばしていた手を急いで引っ込める。
「ごめん。妹の事を思い出してしまって」
「いや大丈夫ですよ」
「すまない。嫌な思いしたよな頭を撫でられるなんて」
申し訳なく頭を下げるがテオはクスクスとずっと笑っていた。この国は18歳で成人と見なされる。
この学園には13歳~19歳の生徒がいる。大人に分類される生徒に頭を撫でる行為はかなり失礼だったと後悔した。
「大丈夫ですよ少し驚きましたが、嬉しかったので」
その後から、テオに何度か声をかけられた。
教科書でわからない事や、薬草の効果についてわからない事があると質問された。
彼はとても勉強熱心で答えた事に対して新たに疑問が出ると
教室まで聞きに来ていた。
「先生この草はどんな効果が?」
「それは草だと毒消しに、花は毒になる」
同じ草花で効果が違うのが不思議なのか図鑑をまじまじと眺めていた。それが小さな子供みたいでとても微笑ましく口許が緩む。
「何がおかしいんですか?」
「え、いや悪いなんでもないんだ」
「何でもないなら笑わないですよ普通」
口をぷくっと膨らませるテオを見ていると、妹を思い出すした。
最近忙しく、手紙を書いていなかったのを思いだし今日は妹に手紙を書くことにした。
普通科の生徒対象に行ったが、内容は散々な結果となってしまった。
顔合わせって事もあり簡単な薬を作ろうかと思っていたのだが、自己紹介で殆ど終わってしまいなかなか思うように進まなかった。
「先生は何歳ですか?」
「彼女いますか?」
「媚薬作れますか?」
「惚れ薬作れますか?」
「薬は儲かりますか?」
質問攻めに合いそれに答えるだけで授業が終わってしまいルカはため息をついた。
薬草の事を聞いてくれたのは嬉しかったが、上手く進行出来なかったのが悔しい。
自分より若い生徒達はとても元気だった。ルカは学校というものに通った事はなかった。孤児院に勉強を教えに来るボランティアの人達が来て授業を行っていたが、それと雰囲気とは全く違うものだった。
オリバーの授業も何度も手伝っていたが、彼みたくスムーズに行かない。
ルカは生徒に合った授業の進行をしなくてはいけないのだと考え、練り直す事にした。
質問される前にこちらから質問し流れを戻す。
主導権を取られないように、飽きられない授業をするためには学園内の事をもっと知らないといけないかもしれない。
色々と考えているうちに教室は暗闇に包まれていた。
「そろそろ明日の準備して帰らないと」
ルカは教室の扉を閉める。ルカが与えられた教室は普通科校舎の一階の奥まった所にあった。
授業の頻度は少ないため人通りは殆どなかったが、薬草の調合などやるのにはうってつけの場所だった。しかし人気のない夕方の校舎は人気がなく少し怖いと感じてしまった。
急いで鍵を職員室に返すと声をかけられた。
「ルカ先生!」
振り替えるとオリバーの授業で見かけた生徒が駆け寄ってきた。
「えっと……」
「テオです。オリバー先生の授業の時に傷薬を貰った」
「ごめん。テオ、ちゃんと覚えているよ。傷の具合はどう?」
「あの薬とても良かったです。今度ルカ先生の薬学授業を受けようと思ってます」
ニコッと笑うテオの笑顔はとても眩しかった。キラキラしていて背後に薔薇などが合いそうな程の笑顔は美しかった。
「あ、ありがとう」
「先生今から帰りですか?」
「うん。明日の準備とかしてたら遅くなってしまって」
「先生は偉いですね」
偉いですねと言われたことが嬉しく、口元がニヤニヤしそうになるのを必死で堪える。
「テオは今か帰りなの?」
「はい。どうしても発動しない魔術があってジェームズ先生に見てもらっていたんです」
自分より年下の生徒が勉学や剣術など頑張ろうとしている姿を見て感心した。エリートだからと偉ぶる事をせず問題にぶつかったらそれに立ち向かう姿はとても素敵に見えた。
孤児院にいた時も必死に勉強を頑張る子達を見ていたので懐かしくなった。
「そっか、偉いな」
「あの……ルカ先生?」
無意識にテオの頭を撫でていた、孤児院の子供達の事を思い出していたせいか、伸ばしていた手を急いで引っ込める。
「ごめん。妹の事を思い出してしまって」
「いや大丈夫ですよ」
「すまない。嫌な思いしたよな頭を撫でられるなんて」
申し訳なく頭を下げるがテオはクスクスとずっと笑っていた。この国は18歳で成人と見なされる。
この学園には13歳~19歳の生徒がいる。大人に分類される生徒に頭を撫でる行為はかなり失礼だったと後悔した。
「大丈夫ですよ少し驚きましたが、嬉しかったので」
その後から、テオに何度か声をかけられた。
教科書でわからない事や、薬草の効果についてわからない事があると質問された。
彼はとても勉強熱心で答えた事に対して新たに疑問が出ると
教室まで聞きに来ていた。
「先生この草はどんな効果が?」
「それは草だと毒消しに、花は毒になる」
同じ草花で効果が違うのが不思議なのか図鑑をまじまじと眺めていた。それが小さな子供みたいでとても微笑ましく口許が緩む。
「何がおかしいんですか?」
「え、いや悪いなんでもないんだ」
「何でもないなら笑わないですよ普通」
口をぷくっと膨らませるテオを見ていると、妹を思い出すした。
最近忙しく、手紙を書いていなかったのを思いだし今日は妹に手紙を書くことにした。
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