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ポッコチーヌ様のお世話係
面接②
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「あの子は手のかかる子供だった。ガルシア家の洗脳教育にも中々染まらなくって、お父様は手を焼いていた。私までとばっちりを受けるんだからたまったものではなかったわ。大人しく言うことを聞いてガルシア家を継げば良かったのよ。そうすれば……たいした労力も要らなかったのに」
ゲルダは話が読めずに首を傾げる。カトリーヌは何に労力を注ぐつもりだったのだろうか。
「何のためにあの男の言いなりになったふりをして王妃になったのか」
「殿下には王妃になられた目的があるのですか?」
そして、あの男とは誰のことなのだろう。
カトリーヌはゲルダに視線を戻すと、品定めするようにじっくりと見た。そして、ふぅ、と諦めたように息を吐く。
「ガルシア家の失墜。それが私の目的よ」
ゲルダは目を瞬き、うへぇ、と間抜けな声を上げた。カトリーヌはそれを聞き、眉を顰める。
「お下品ね」
「すいません。平民なので」
「まあ、良いわ。お前は間抜けだけど正直そう。それに、マクシミリアンに忠誠を誓っている。信用できるとみなして打ち明けるわ。ただし、他言無用よ」
「それを聞くことで私に何か利益はありますか?無いのなら聞きたくないのですが」
ゲルダは内心うんざりとしていた。
どいつもこいつも何故重要な話を打ち明けるのだろう。聞いてしまえばもう知らなかったことにはできないじゃないか。
ゲルダはお節介な自分の性格を恨む。
「無礼な子ね。……少なくともマクシミリアンにとっては重要なことよ。お前、弟を守りたいんでしょう?」
「ならば、聞くだけ聞きます」
「私だってあの子は出来ることなら巻き込みたくなかったの。特に愛情は無いけれど何の恨みもないもの。当初の予定では、無傷とはいかないだろうけど陛下に話して温情を頂くつもりだったわ」
愛情はない、と、さらりと言ってのけたカトリーヌに、ゲルダは警戒する。やはり、この姉はマクシミリアンとは違う。この先話が通じるのか甚だ疑問である。
「私はガルシア家が嫌い。というか現当主が大嫌い。恨んでいるの。だから、あいつを葬り去りたい。その為に王妃になったと言っても過言ではないわ」
「殿下もガルシア家の教育に違和感を感じていらしたのですか?」
「くだらない教えだわ。それでも逆らえば容赦なく痛い目にあわされる。私は弟と違って要領が良かったの。それだけよ。マクシミリアンがそれを学んだのはずっと後。不器用な子。見た目だけは良かったから捨てられなかったけど、それも幸いだったのかどうか」
「庇ってさしあげなかったのですか」
カトリーヌはギロリとゲルダを睨む。ゲルダはその迫力に口を噤んだ。
「私にはそんな余裕などなかった。王妃になるまではあの男に疑われる訳にはいかなかったのよ。その代わりマクシミリアンの騎士団入りを勧めたのは私よ。団内に住み着く申請が出された時も陛下に口添えしたわ。充分でしょう」
「多少の罪悪感はあったと」
「うるさいわね」
ツンと顔を反らし、口をへの字にするカトリーヌを見て、ゲルダは思わず微笑む。
「何がおかしいの?無礼な……」
「いいえ、お可愛らしいところは団長によく似ておいでだと。やはり姉弟なのですね」
カトリーヌは唇を噛み、更にゲルダを睨んだ。
「お前と話していると調子が狂う。……ちょっと陛下に似てるわ」
「へぇ、国王陛下に?それは光栄です」
気を取り直すように深く呼吸をすると、カトリーヌは再び語り始めた。
「とにかく、私は近いうちにガルシア侯爵家の悪事を公にして侯爵を断罪するつもりなの。陛下のご判断にお任せするけれど、ガルシア家は良くて降格、悪くて取り潰しになるでしょうね」
「殿下は?生家がそのような事になっては王妃としての適性を問われませんか?」
フッと笑みを漏らし、カトリーヌは目を伏せた。
「覚悟の上よ。己の目的を果たすためだけに王妃になり、その地位を利用するのだもの。国母に相応しくないと判断されれば甘んじる。陛下を……この国を穢すことは本意でないわ」
僅かに弱まる声を聞き、ゲルダは推測する。恐らくカトリーヌは国王を好いているのだろう。きっと、それは彼女にとって予想外の事で、唯一の迷い。
「それほどの犠牲を払ってまでも、お父上を懲らしめたいのですか?何故そこまで……確かに良くない人物ではあるようですが、国に貢献していらっしゃることは事実でしょう」
カトリーヌは再び窓に顔を向ける。そして、彼女が父を恨むに至った悲しい過去を語った。
ゲルダは話が読めずに首を傾げる。カトリーヌは何に労力を注ぐつもりだったのだろうか。
「何のためにあの男の言いなりになったふりをして王妃になったのか」
「殿下には王妃になられた目的があるのですか?」
そして、あの男とは誰のことなのだろう。
カトリーヌはゲルダに視線を戻すと、品定めするようにじっくりと見た。そして、ふぅ、と諦めたように息を吐く。
「ガルシア家の失墜。それが私の目的よ」
ゲルダは目を瞬き、うへぇ、と間抜けな声を上げた。カトリーヌはそれを聞き、眉を顰める。
「お下品ね」
「すいません。平民なので」
「まあ、良いわ。お前は間抜けだけど正直そう。それに、マクシミリアンに忠誠を誓っている。信用できるとみなして打ち明けるわ。ただし、他言無用よ」
「それを聞くことで私に何か利益はありますか?無いのなら聞きたくないのですが」
ゲルダは内心うんざりとしていた。
どいつもこいつも何故重要な話を打ち明けるのだろう。聞いてしまえばもう知らなかったことにはできないじゃないか。
ゲルダはお節介な自分の性格を恨む。
「無礼な子ね。……少なくともマクシミリアンにとっては重要なことよ。お前、弟を守りたいんでしょう?」
「ならば、聞くだけ聞きます」
「私だってあの子は出来ることなら巻き込みたくなかったの。特に愛情は無いけれど何の恨みもないもの。当初の予定では、無傷とはいかないだろうけど陛下に話して温情を頂くつもりだったわ」
愛情はない、と、さらりと言ってのけたカトリーヌに、ゲルダは警戒する。やはり、この姉はマクシミリアンとは違う。この先話が通じるのか甚だ疑問である。
「私はガルシア家が嫌い。というか現当主が大嫌い。恨んでいるの。だから、あいつを葬り去りたい。その為に王妃になったと言っても過言ではないわ」
「殿下もガルシア家の教育に違和感を感じていらしたのですか?」
「くだらない教えだわ。それでも逆らえば容赦なく痛い目にあわされる。私は弟と違って要領が良かったの。それだけよ。マクシミリアンがそれを学んだのはずっと後。不器用な子。見た目だけは良かったから捨てられなかったけど、それも幸いだったのかどうか」
「庇ってさしあげなかったのですか」
カトリーヌはギロリとゲルダを睨む。ゲルダはその迫力に口を噤んだ。
「私にはそんな余裕などなかった。王妃になるまではあの男に疑われる訳にはいかなかったのよ。その代わりマクシミリアンの騎士団入りを勧めたのは私よ。団内に住み着く申請が出された時も陛下に口添えしたわ。充分でしょう」
「多少の罪悪感はあったと」
「うるさいわね」
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「何がおかしいの?無礼な……」
「いいえ、お可愛らしいところは団長によく似ておいでだと。やはり姉弟なのですね」
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「へぇ、国王陛下に?それは光栄です」
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「とにかく、私は近いうちにガルシア侯爵家の悪事を公にして侯爵を断罪するつもりなの。陛下のご判断にお任せするけれど、ガルシア家は良くて降格、悪くて取り潰しになるでしょうね」
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「それほどの犠牲を払ってまでも、お父上を懲らしめたいのですか?何故そこまで……確かに良くない人物ではあるようですが、国に貢献していらっしゃることは事実でしょう」
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