2 / 4
2.英雄
しおりを挟む
突然の侵略に押された我が王国も状況を把握するにつれて立て直し、死の国へ反抗を開始した。
地の利を生かした効果的な奇襲攻撃、奴らの占領政策の拙さ、そして僭越ながらボクの活躍もあって現在戦線はこちらに有利となっている。
いまのボクは、個人としては異常な強さだ。
ボクなら、ボクを相手にしたくない。
疲れを知らず100人に囲まれても息一つ切らさず戦える。
筋力も見た目を完全に裏切っていて、剣が持つなら相手を鎧ごと粉砕できる。
多少の怪我ならみるみる回復するし、衝撃にも強い。
鎧兜に身を包みひたすら戦場を血の海に染めるバーサーカーとして恐れられた。
ボク自身としては別に狂って戦っているわけではないので不本意な呼ばれ方だと思う。
個人で殺せる数はたかがしれているとは言え、確かに殺傷数が桁違いに多いのは認める。
士気に与える影響も大きいだろう。
味方もそれをよくわかっていて、ボクを味方への戦意高揚と敵に対する厭戦に利用するようになった。
まず、真っ赤に塗り上げた専用の鎧が用意された。
少数ながらも部隊を与えられた。
隊旗は真っ赤な生地にオレンジ色でアルシアの紋章が刻まれている。
誰が見ても一目でわかる、バカみたいに目立つ旗だ。
皆殺しにされたアルシアを忘れるな、と言ったところだろう。
ボクはこの旗を直視できない。
与えられた部下たちも同じような境遇の者が多かった。
敵への執拗かつ徹底的な破壊は恐怖を産む。
降伏者も皆殺しにした。
戦闘後には生存者を念入りに探し、殺してまわった。
この戦争で家族や仲間を失った者たちは容赦なかった。
ボクだけじゃなかった。
彼らをみてボクは安堵した。
ボクだけじゃない。
そうだ。
無慈悲でいい。人間性など捨ててしまえ。
残虐でいい。社会性など不要だ。
戦い、殺し、奪う。
もちろんこんな戦い方をすれば消耗率も高い。しかしボクの部隊への志願者が途絶えることはなかった。それだけ奴らも残虐だったのだ。
シの国が侵攻時期に選んだ冬。奇襲にはよかったが、その後は牙をむかれた形になった。
アルシアを瞬時に陥落させ、さらに深く王都へ向けて電撃戦。こちらが自体を把握できないうちに奥深くまで侵攻、あわよくば王都陥落さえ狙っていたのだろうか。
だが侵攻速度を優先するあまり攻略した街や村を破壊しすぎた。
兵站は伸びにのび、ボクらの急襲にシの国は苦戦を強いられた。ゲリラ戦となれば地の利があるこちらが有利に決まっている。
電撃戦のショックから立ち直った国軍は徐々に戦線を押し戻し、春先を迎える頃には要所であるシバルス城塞を奪い返した。
そして、ついにアルシア奪還戦が始まる。
ボクの記憶だとアルシアの街は死んでいる。井戸を殺され、焼き払われたからだ。
この数ヶ月で新たな井戸を掘削できるとは思えないし、あの火の勢いなら街としての機能は壊滅だろう。
今までのシの国のやり方からみて、捕虜もおるまい。
…いないでくれ。
真実を知るものは皆殺しにあっていてくれ。
戦争初期の悲劇の地。
抵抗する間もなく大軍をもって攻め滅ぼされたアルシア。
奴らの執拗な破壊と殺戮はシの国の残忍さを煽るために大げさに伝えられていた。
アルシアはその姿を大きく変えていた。
あんなに立派だった城門は崩れ落ち、修復もされず街中が覗いて見える。
その街並みもほぼ数ヶ月前のまま放置されているようだ。
生活感が感じられず、おそらく住人は虐殺されたものと思われる。
さも無念そうに斥候が報告をあげた。
「心中穏やかでなかろう。お察しする」
ボクがアルシアの出生であることは広く知られている。
斥候の報告を黙って聞くボクを気使ってくれる上官や同僚たち。
「お気持ちに感謝する。
城壁は機能していないこと。
こちらの士気は高く、あちらは敗戦続きで疲弊している。
時間を与えることは利敵行為でありましょう。
白昼堂々と正面突破を計る、と見せかけてはいかがでしょうか」
アルシアでのボクの痕跡を消し去り、後顧の憂いを断つ。
派手に音楽をかき鳴らし、行軍が始まる。
抵抗もなく進軍が続く。城門目前のところでついに反撃が開始され矢が射掛けられた。
そもそも城門、城壁が機能していないので効果的な防衛攻撃行動が取れないが、数だけはたいしたものだ。
このバカみたいな正面突破作戦の影で、ボクの部隊が奇襲を掛ける。
街の地形を詳しく知るボクを起用したのは正しい。
そしてもし生存者がいれば口封じもできるのでボクにとっても都合がいい。
このアルシア攻略戦には、ボクの命運が掛かっている。
手加減はない。
例の鎧は目立ちすぎるので今回は姿を隠しやすい軽装。
久しぶりの単独行動だ。
部下は合図あるまで動かない。
焼け落ちたとは言え懐かしい街並みに心が揺れ動く。
慎重に見張りを殺し中心部へと近づく。
予定通り騒々しい本隊に手を取られ他方面は手薄。
街に人気はない。斥候の報告通りだった。
焼け落ちずに残っている行政館が本陣とみた。
敵の主力部隊は先立って撤退していたようで、本陣と言ってもお粗末なものだ。
時間稼ぎの捨て駒かと思えば哀れにも思える。
これでは正面から打って出られたらひとたまりもあるまい。
作戦通り撤収し報告してもいいが…
まさかのこともある。捕虜がいないか確認しなければならない。
行政館に忍び込む。
見張りも正面軍が気になって仕方ない様子で警戒心がお留守だ。
音もなく殺し、館内へ潜入する。
館内の人気も少ない。
ほとんどの部屋が空で使用されていた形跡もないが、念入りに一部屋づつしらみつぶしに調べていく。
そしてボクは見つけてしまった。
忘れられない顔を、ふたつ。
ひとりは殺したくてたまらない顔。
ひとりは愛おしくてたまらない顔。
「くそう、なんでオレがこんな貧乏くじみたいなしんがりをやらされるんだよ…クソがっ!」
先遣隊にいたあの男が吠え、罵って彼女に手を上げていた。
彼女はもうこんな日常に慣れきってしまったのか抵抗すらしない。
されるがままだ。
怒りでカッとなり、気づいたときには男の首が床に落ちていた。
もったいないことをした。
聞き出したいこともあったし、ボクの受けた屈辱を存分に味あわせてから殺したかった。
突然のできごとに自体の把握が追いついていなかった彼女だったが、突然の死と血の海をみて顔が恐怖でひきつる。
「もう…大丈…」
安心させようと声を掛けたが、潜入用に念入りに顔を隠したままだったことを思い出した。
慌てて素顔を晒そうとしたが不要だった。
「なっ…まさか、その声は…」
…部屋を出て、館に火を放った。
斬って。
斬って斬って斬って。
動くものがいなくなるまで刃を奮った。
なぜだろう、力加減がうまくできない。
ボクの力に負けて剣が砕けるように折れる。
新しい剣を拾い上げて再び振るう。
やがて館全体に炎が燃え移り、狼煙のように轟々と燃え盛った。
異変を察し部下が街へと侵入してきた。
残存部隊の本陣は壊滅。司令官も始末した。
部下に残敵掃討を命じる。
捕虜に扮したスパイの可能性を考慮し、万が一捕虜を発見しても同様に抹殺。
本隊突入前に終えるように厳命する。
部下に持ってこさせた忌まわしい真っ赤な鎧に身を包み、部隊旗を掲げさせてゆっくりと正門へ凱旋する。
これでいい。
ボクの過去を知るものは必要ない。
さようならアルシア。
行政館から延焼し、焼け残っていた中心街も炎に包まれていく。
懐かしいパン屋。よく朝から並んだっけ。
街路樹のあるカフェ。初デートはあそこだった。
打ち上げは決まって角の酒場。カウンター横のテーブルがぼくらの指定席だった。
あの時、あの部屋、あの瞬間。
見上げる彼女の憎悪に満ちた瞳に、ボクの心は耐えられなかった。
もういらない。
すべて灰になるがいい。
みんな消えてしまえ。
燃えろ。
燃えろ。
燃えろ。
地の利を生かした効果的な奇襲攻撃、奴らの占領政策の拙さ、そして僭越ながらボクの活躍もあって現在戦線はこちらに有利となっている。
いまのボクは、個人としては異常な強さだ。
ボクなら、ボクを相手にしたくない。
疲れを知らず100人に囲まれても息一つ切らさず戦える。
筋力も見た目を完全に裏切っていて、剣が持つなら相手を鎧ごと粉砕できる。
多少の怪我ならみるみる回復するし、衝撃にも強い。
鎧兜に身を包みひたすら戦場を血の海に染めるバーサーカーとして恐れられた。
ボク自身としては別に狂って戦っているわけではないので不本意な呼ばれ方だと思う。
個人で殺せる数はたかがしれているとは言え、確かに殺傷数が桁違いに多いのは認める。
士気に与える影響も大きいだろう。
味方もそれをよくわかっていて、ボクを味方への戦意高揚と敵に対する厭戦に利用するようになった。
まず、真っ赤に塗り上げた専用の鎧が用意された。
少数ながらも部隊を与えられた。
隊旗は真っ赤な生地にオレンジ色でアルシアの紋章が刻まれている。
誰が見ても一目でわかる、バカみたいに目立つ旗だ。
皆殺しにされたアルシアを忘れるな、と言ったところだろう。
ボクはこの旗を直視できない。
与えられた部下たちも同じような境遇の者が多かった。
敵への執拗かつ徹底的な破壊は恐怖を産む。
降伏者も皆殺しにした。
戦闘後には生存者を念入りに探し、殺してまわった。
この戦争で家族や仲間を失った者たちは容赦なかった。
ボクだけじゃなかった。
彼らをみてボクは安堵した。
ボクだけじゃない。
そうだ。
無慈悲でいい。人間性など捨ててしまえ。
残虐でいい。社会性など不要だ。
戦い、殺し、奪う。
もちろんこんな戦い方をすれば消耗率も高い。しかしボクの部隊への志願者が途絶えることはなかった。それだけ奴らも残虐だったのだ。
シの国が侵攻時期に選んだ冬。奇襲にはよかったが、その後は牙をむかれた形になった。
アルシアを瞬時に陥落させ、さらに深く王都へ向けて電撃戦。こちらが自体を把握できないうちに奥深くまで侵攻、あわよくば王都陥落さえ狙っていたのだろうか。
だが侵攻速度を優先するあまり攻略した街や村を破壊しすぎた。
兵站は伸びにのび、ボクらの急襲にシの国は苦戦を強いられた。ゲリラ戦となれば地の利があるこちらが有利に決まっている。
電撃戦のショックから立ち直った国軍は徐々に戦線を押し戻し、春先を迎える頃には要所であるシバルス城塞を奪い返した。
そして、ついにアルシア奪還戦が始まる。
ボクの記憶だとアルシアの街は死んでいる。井戸を殺され、焼き払われたからだ。
この数ヶ月で新たな井戸を掘削できるとは思えないし、あの火の勢いなら街としての機能は壊滅だろう。
今までのシの国のやり方からみて、捕虜もおるまい。
…いないでくれ。
真実を知るものは皆殺しにあっていてくれ。
戦争初期の悲劇の地。
抵抗する間もなく大軍をもって攻め滅ぼされたアルシア。
奴らの執拗な破壊と殺戮はシの国の残忍さを煽るために大げさに伝えられていた。
アルシアはその姿を大きく変えていた。
あんなに立派だった城門は崩れ落ち、修復もされず街中が覗いて見える。
その街並みもほぼ数ヶ月前のまま放置されているようだ。
生活感が感じられず、おそらく住人は虐殺されたものと思われる。
さも無念そうに斥候が報告をあげた。
「心中穏やかでなかろう。お察しする」
ボクがアルシアの出生であることは広く知られている。
斥候の報告を黙って聞くボクを気使ってくれる上官や同僚たち。
「お気持ちに感謝する。
城壁は機能していないこと。
こちらの士気は高く、あちらは敗戦続きで疲弊している。
時間を与えることは利敵行為でありましょう。
白昼堂々と正面突破を計る、と見せかけてはいかがでしょうか」
アルシアでのボクの痕跡を消し去り、後顧の憂いを断つ。
派手に音楽をかき鳴らし、行軍が始まる。
抵抗もなく進軍が続く。城門目前のところでついに反撃が開始され矢が射掛けられた。
そもそも城門、城壁が機能していないので効果的な防衛攻撃行動が取れないが、数だけはたいしたものだ。
このバカみたいな正面突破作戦の影で、ボクの部隊が奇襲を掛ける。
街の地形を詳しく知るボクを起用したのは正しい。
そしてもし生存者がいれば口封じもできるのでボクにとっても都合がいい。
このアルシア攻略戦には、ボクの命運が掛かっている。
手加減はない。
例の鎧は目立ちすぎるので今回は姿を隠しやすい軽装。
久しぶりの単独行動だ。
部下は合図あるまで動かない。
焼け落ちたとは言え懐かしい街並みに心が揺れ動く。
慎重に見張りを殺し中心部へと近づく。
予定通り騒々しい本隊に手を取られ他方面は手薄。
街に人気はない。斥候の報告通りだった。
焼け落ちずに残っている行政館が本陣とみた。
敵の主力部隊は先立って撤退していたようで、本陣と言ってもお粗末なものだ。
時間稼ぎの捨て駒かと思えば哀れにも思える。
これでは正面から打って出られたらひとたまりもあるまい。
作戦通り撤収し報告してもいいが…
まさかのこともある。捕虜がいないか確認しなければならない。
行政館に忍び込む。
見張りも正面軍が気になって仕方ない様子で警戒心がお留守だ。
音もなく殺し、館内へ潜入する。
館内の人気も少ない。
ほとんどの部屋が空で使用されていた形跡もないが、念入りに一部屋づつしらみつぶしに調べていく。
そしてボクは見つけてしまった。
忘れられない顔を、ふたつ。
ひとりは殺したくてたまらない顔。
ひとりは愛おしくてたまらない顔。
「くそう、なんでオレがこんな貧乏くじみたいなしんがりをやらされるんだよ…クソがっ!」
先遣隊にいたあの男が吠え、罵って彼女に手を上げていた。
彼女はもうこんな日常に慣れきってしまったのか抵抗すらしない。
されるがままだ。
怒りでカッとなり、気づいたときには男の首が床に落ちていた。
もったいないことをした。
聞き出したいこともあったし、ボクの受けた屈辱を存分に味あわせてから殺したかった。
突然のできごとに自体の把握が追いついていなかった彼女だったが、突然の死と血の海をみて顔が恐怖でひきつる。
「もう…大丈…」
安心させようと声を掛けたが、潜入用に念入りに顔を隠したままだったことを思い出した。
慌てて素顔を晒そうとしたが不要だった。
「なっ…まさか、その声は…」
…部屋を出て、館に火を放った。
斬って。
斬って斬って斬って。
動くものがいなくなるまで刃を奮った。
なぜだろう、力加減がうまくできない。
ボクの力に負けて剣が砕けるように折れる。
新しい剣を拾い上げて再び振るう。
やがて館全体に炎が燃え移り、狼煙のように轟々と燃え盛った。
異変を察し部下が街へと侵入してきた。
残存部隊の本陣は壊滅。司令官も始末した。
部下に残敵掃討を命じる。
捕虜に扮したスパイの可能性を考慮し、万が一捕虜を発見しても同様に抹殺。
本隊突入前に終えるように厳命する。
部下に持ってこさせた忌まわしい真っ赤な鎧に身を包み、部隊旗を掲げさせてゆっくりと正門へ凱旋する。
これでいい。
ボクの過去を知るものは必要ない。
さようならアルシア。
行政館から延焼し、焼け残っていた中心街も炎に包まれていく。
懐かしいパン屋。よく朝から並んだっけ。
街路樹のあるカフェ。初デートはあそこだった。
打ち上げは決まって角の酒場。カウンター横のテーブルがぼくらの指定席だった。
あの時、あの部屋、あの瞬間。
見上げる彼女の憎悪に満ちた瞳に、ボクの心は耐えられなかった。
もういらない。
すべて灰になるがいい。
みんな消えてしまえ。
燃えろ。
燃えろ。
燃えろ。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
パーティーから追放され婚約者を寝取られ家から勘当、の三拍子揃った元貴族は、いずれ竜をも倒す大英雄へ ~もはやマイナスからの成り上がり英雄譚~
一条おかゆ
ファンタジー
貴族の青年、イオは冒険者パーティーの中衛。
彼はレベルの低さゆえにパーティーを追放され、さらに婚約者を寝取られ、家からも追放されてしまう。
全てを失って悲しみに打ちひしがれるイオだったが、騎士学校時代の同級生、ベガに拾われる。
「──イオを勧誘しにきたんだ」
ベガと二人で新たなパーティーを組んだイオ。
ダンジョンへと向かい、そこで自身の本当の才能──『対人能力』に気が付いた。
そして心機一転。
「前よりも強いパーティーを作って、前よりも良い婚約者を貰って、前よりも格の高い家の者となる」
今までの全てを見返すことを目標に、彼は成り上がることを決意する。
これは、そんな英雄譚。
月が導く異世界道中extra
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
妹を見捨てた私 ~魅了の力を持っていた可愛い妹は愛されていたのでしょうか?~
紗綺
ファンタジー
何故妹ばかり愛されるの?
その答えは私の10歳の誕生日に判明した。
誕生日パーティで私の婚約者候補の一人が妹に魅了されてしまったことでわかった妹の能力。
『魅了の力』
無自覚のその力で周囲の人間を魅了していた。
お父様お母様が妹を溺愛していたのも魅了の力に一因があったと。
魅了の力を制御できない妹は魔法省の管理下に置かれることが決まり、私は祖母の実家に引き取られることになった。
新しい家族はとても優しく、私は妹と比べられることのない穏やかな日々を得ていた。
―――妹のことを忘れて。
私が嫁いだ頃、妹の噂が流れてきた。
魅了の力を制御できるようになり、制限つきだが自由を得た。
しかし実家は没落し、頼る者もなく娼婦になったと。
なぜこれまであの子へ連絡ひとつしなかったのかと、後悔と罪悪感が私を襲う。
それでもこの安寧を捨てられない私はただ祈るしかできない。
どうかあの子が救われますようにと。
悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~
こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。
それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。
かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。
果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!?
※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
ステータスブレイク〜レベル1でも勇者と真実の旅へ〜
緑川 つきあかり
ファンタジー
その世界には周期的に魔王が誕生する。
大賢者と謳われし英雄にして最も憐れな愚者が存在した、古から遍く人々に畏怖されし理不尽の怪物。
それは夥しい数の魔物が跳梁跋扈する世界の中心地に、古城と共に忽然と出現し、世界全土に甚大な魔力災害を齎したとされている。
そんな異世界に不幸で不可解な召喚をされてから、生徒達の勇者選定を皮切りに激動の数年間を終え、最東端で辺境の村で息を潜めて平穏を享受していた青年、国枝京介ことレグルス・アイオライトは、相も変わらず農作業をしていたのだが、突然、10代目勇者を名乗る謎の来訪者を迎えることとなった。
突如、姿を消した謎の先代勇者の過去と現在が交差し、次第に嘘と真実が明らかになるにつれて、暗雲が立ち込めていった勇者たち。
遂に互いの錆びかけた刃に火花を散らし、満身創痍の二人の間に、再び、望まぬ襲来者の影が静かに忍び寄っていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる