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第一鉱石 ミスリル
(5)鉱石研究部
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色とりどりの鉱石が埋め込まれた豪華な扉の前で、俺とアルマは足を止めた。その圧迫感たっぷりの扉を、カティアは迷いなくバーンと開け放つ。
「アイゼン部長!面白い話、持ってきましたよー!」
元気いっぱいの声が部屋中に響き渡った。
奥にいた女性がゆっくりと振り返る。その動き一つ一つが冷静で隙がない。まず目に飛び込んできたのは、氷のように冷たい灰色の瞳だった。その視線には、こちらの価値を一瞬で測り、切り捨てるような冷徹さが宿っていて、俺は反射的に背筋を伸ばした。
彼女の深い青みがかった黒髪はきっちりと三つ編みにまとめられていて、乱れ一つない整った髪型が、彼女の几帳面な性格を物語っているようだった。スレンダーな体型だが、北国の厳しい環境で鍛えられてきたのだろう、腕や肩にはしっかりとした筋肉の影が見える。その体つきからして、この人はただの研究者じゃないと直感する。
彼女がまとっているローブには、帯や袖口に金属の装飾が施されていて、研究部の部長であることを象徴しているようだ。そのローブは彼女の威厳を引き立て、俺たちを圧倒する何かを感じさせる。
「面白い話だと?」
アイゼン部長が低く冷たい声を放つ。その声には、相手を見定めるような力が込められていて、一言で部屋全体の空気を引き締めた。
「ええ、そうですよ!」
カティアは元気よく答えながら部屋の奥へと歩み寄るが、アイゼン部長の表情は微動だにしない。まるで氷の彫像みたいだ。
「外部の者に、我々の研究成果を簡単に分けるつもりはない。」
冷たい一言で空気がさらに重くなる。
「分かってますって!でも今回は魔法学院との共同研究の話なんです!」
カティアが力強く言い返す。
「魔法学院だと…?」
アイゼン部長が椅子に腰を下ろす。その動作には冷静さが滲み出ているが、目の奥に微かな興味が見えた。
「話してみろ。その『面白い話』とやらを。」
彼女の声にはわずかな好奇心が混じっていたが、まだ完全には納得していない。
俺は心の中で息を整えた。適当な言葉を使えば、一瞬で信頼を失う相手だ。カティアの勢いだけでなく、俺たちの説得力が試される瞬間だ――。
「アイゼン部長!面白い話、持ってきましたよー!」
元気いっぱいの声が部屋中に響き渡った。
奥にいた女性がゆっくりと振り返る。その動き一つ一つが冷静で隙がない。まず目に飛び込んできたのは、氷のように冷たい灰色の瞳だった。その視線には、こちらの価値を一瞬で測り、切り捨てるような冷徹さが宿っていて、俺は反射的に背筋を伸ばした。
彼女の深い青みがかった黒髪はきっちりと三つ編みにまとめられていて、乱れ一つない整った髪型が、彼女の几帳面な性格を物語っているようだった。スレンダーな体型だが、北国の厳しい環境で鍛えられてきたのだろう、腕や肩にはしっかりとした筋肉の影が見える。その体つきからして、この人はただの研究者じゃないと直感する。
彼女がまとっているローブには、帯や袖口に金属の装飾が施されていて、研究部の部長であることを象徴しているようだ。そのローブは彼女の威厳を引き立て、俺たちを圧倒する何かを感じさせる。
「面白い話だと?」
アイゼン部長が低く冷たい声を放つ。その声には、相手を見定めるような力が込められていて、一言で部屋全体の空気を引き締めた。
「ええ、そうですよ!」
カティアは元気よく答えながら部屋の奥へと歩み寄るが、アイゼン部長の表情は微動だにしない。まるで氷の彫像みたいだ。
「外部の者に、我々の研究成果を簡単に分けるつもりはない。」
冷たい一言で空気がさらに重くなる。
「分かってますって!でも今回は魔法学院との共同研究の話なんです!」
カティアが力強く言い返す。
「魔法学院だと…?」
アイゼン部長が椅子に腰を下ろす。その動作には冷静さが滲み出ているが、目の奥に微かな興味が見えた。
「話してみろ。その『面白い話』とやらを。」
彼女の声にはわずかな好奇心が混じっていたが、まだ完全には納得していない。
俺は心の中で息を整えた。適当な言葉を使えば、一瞬で信頼を失う相手だ。カティアの勢いだけでなく、俺たちの説得力が試される瞬間だ――。
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