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前世
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「はぁ...あんたってどうしてこんな事も満足にできないのかしら?お隣の百合ちゃんは常に満点で優秀だってのに...こんな子が私の子なんて恥ずかしわっ!」
『ごめんなさい』
頑張らなきゃ...またお母さんに怒られちゃった...。
「はぁ?ごめんなさい?違うでしょ
申し訳ございませんっでしょ?ふざけてんのあんた!誰のおかげで学校に通えてると思ってるのよ!親を敬いなさいよ!」
正座して、頭を下げてると、お母さんの足が私の頭を蹴ってきた。
ドタッと横に倒れたけど、すぐにまた正座し直して改めて謝罪する。
『はい...申し訳ございません』
「ちっ...こんどこんな点とったら容赦しないから...ほらさっさと飯作りな!私は腹減ってんの!」
『はいっ』
良かった今日はいつもより叩いたりされなかった。
私は急いで夕御飯の準備を始める。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
私は、美波ここ17歳。
県で一番学力の高い高校に通っている。
それもこれもお母さんのプライドが高いからだ。
私のお母さんは、元々キャバ嬢だったらしい。たまたま客として来ていた私のお父さんに一目惚れして、一夜を共にした際に私ができたらしい。でも、お父さんには既に家庭があって、奥さんと、2人の子どもがいる。だから、別れることはできない。それを聞いたお母さんは、お父さんに、私を認知だけはしてもらおうと、私を学力の高い学校に入れようとしていた。私は、勉強は好きだけど、お母さんが家事を全くしないし、働かないからバイトをしながら家事もしていると、勉強している暇がなくて、いつもテストでお母さんの納得いく点数を得られない。点数が悪かったり、その日のお母さんの機嫌によって暴力を振るわれたりする。
私がもっと頑張れば、お母さんも暴力振るわなくなるかも...。
でも、最近は学校でイジメられて、教科書とか破られたり落書きされたりするから、余計勉強ができなくて困る。
どうしよう...また明日もテストがあるのに....。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「みーなーみさーんちょっと来てくれない?」
いつもの先輩たちだ...
どうしよう
「ちょっと...来ないなんてふざけた事してるとさぁ.....あんたの出生の秘密...バラしちゃうかもよぉ?」
その言葉で、クラスの人たちがザワザワとし始める。
「美波さんって母子家庭だよね...」
「そうそう...お父さんいないんだって、可哀想だね」
ヒソヒソ
クラスの人達は、私が母子家庭だということは知っているけど、出生のことは知らない。
お父さんの奥さんの子どももこの学校に通っているから、秘密になってるけど、どうして先輩たちが知ってるの?
皆んなに知られたら、お母さんに怒られちゃうっ
『やっやめてください』
「ふはっ...ブスが必死こいててウケるんだけどっ!」
「ほらこいよっ!」
そのまま私の周りを先輩に囲まれて、着いたのは屋上だった。普段鍵が閉まっているはずの屋上が、開いていることに疑問を持つ余裕もなかった。
「ねぇ...あんたさぁどうして私たちがあんたの出生のこと知ってると思う?」
『へっ?』
「うわぁ...へっ?だってぇキッモ可愛子ぶったって意味ねぇし......それにさぁ、その髪マジないわー...あっそうだ私たちが綺麗に切ってあげよっか!」
「いいねー!麻美確かカッター持ってたよね?」
「うんちょっとまってね...はいっ」
嘘...やだ.....やだよ
「あははっヤダーそんなに震えちゃってぇ...そんなに怖いんでちゅかー?
みんな押さえて!」
逃げようと思った時にはもう遅かった。
私の手足を先輩たちに固定され、抵抗すらできなかった。
『やだっ!やめて!来ないで!』
「うっさいなーちょっとは黙れよっ!」
『うっゲホッゲホッ』
「わぉさすが怜!黒帯なだけはあるねぇ!」
「何よそれ酷い奈々」
「さぁて美波さんも黙ったことだしぃ、始めるわよ!」
「言っとくけど、私たちを恨まないでねぇ?あんたのことを可愛がってもいいって言ってくれたのは、あんたの異母兄なんだから!」
異母兄?
確かお父さんの奥さんの子どもが私の3つ上と1つ上
一度もあったことがないけど、お兄さんたちに邪魔だと思われてたんだ...。
「やぁね急に大人しくなったわ
そんなにびっくりしたかしら?」
呆然とする私に、カチカチと、カッターを出し入れしながら先輩が迫ってくる。
ザクッ
「あーあ切れちゃった...でもこのままだとちょっとバランスが悪いわねぇ...ふふっここも切っちゃいましょう!」
「綺羅センスいい!私も切りたい!」
「しょうがないわね」
「やった!じゃあ遠慮なく...」
ハラハラ落ちていく私の髪の毛
大切にしてたわけじゃないけど、悲しくて、つい涙がこぼれてしまう。
「うっわ泣いてるよこいつマジウケるんだけど」
「まぁこんなもんでいいんじゃない
また明日もよろしくね?美波さん」
私の腰まであった髪の毛は触れてみるとガタガタで顎ぐらいの長さになっていた。
私って本当にダメだな。
お母さんに、絶対に髪は切るなって言われていたのに...。
また怒られちゃう。
いらない存在の私を生かしてくれてるのに。
『どうして生きてるんだろ...』
ふらりと立ち上がり、脆くなったフェンスに寄りかかる。
そして
『もう死にたいな』
ギシッ
フェンスが壊れ私の体はどんどん下に落ちていく。
落ちていくのに、抵抗なんてなかった。
あぁ死ねるんだ。
これで私は、何も怖がらなくていい世界に行けるんだ。
ここは落ちていく中でゆっくりと瞳を閉じ、微笑んだ。
『ごめんなさい』
頑張らなきゃ...またお母さんに怒られちゃった...。
「はぁ?ごめんなさい?違うでしょ
申し訳ございませんっでしょ?ふざけてんのあんた!誰のおかげで学校に通えてると思ってるのよ!親を敬いなさいよ!」
正座して、頭を下げてると、お母さんの足が私の頭を蹴ってきた。
ドタッと横に倒れたけど、すぐにまた正座し直して改めて謝罪する。
『はい...申し訳ございません』
「ちっ...こんどこんな点とったら容赦しないから...ほらさっさと飯作りな!私は腹減ってんの!」
『はいっ』
良かった今日はいつもより叩いたりされなかった。
私は急いで夕御飯の準備を始める。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
私は、美波ここ17歳。
県で一番学力の高い高校に通っている。
それもこれもお母さんのプライドが高いからだ。
私のお母さんは、元々キャバ嬢だったらしい。たまたま客として来ていた私のお父さんに一目惚れして、一夜を共にした際に私ができたらしい。でも、お父さんには既に家庭があって、奥さんと、2人の子どもがいる。だから、別れることはできない。それを聞いたお母さんは、お父さんに、私を認知だけはしてもらおうと、私を学力の高い学校に入れようとしていた。私は、勉強は好きだけど、お母さんが家事を全くしないし、働かないからバイトをしながら家事もしていると、勉強している暇がなくて、いつもテストでお母さんの納得いく点数を得られない。点数が悪かったり、その日のお母さんの機嫌によって暴力を振るわれたりする。
私がもっと頑張れば、お母さんも暴力振るわなくなるかも...。
でも、最近は学校でイジメられて、教科書とか破られたり落書きされたりするから、余計勉強ができなくて困る。
どうしよう...また明日もテストがあるのに....。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「みーなーみさーんちょっと来てくれない?」
いつもの先輩たちだ...
どうしよう
「ちょっと...来ないなんてふざけた事してるとさぁ.....あんたの出生の秘密...バラしちゃうかもよぉ?」
その言葉で、クラスの人たちがザワザワとし始める。
「美波さんって母子家庭だよね...」
「そうそう...お父さんいないんだって、可哀想だね」
ヒソヒソ
クラスの人達は、私が母子家庭だということは知っているけど、出生のことは知らない。
お父さんの奥さんの子どももこの学校に通っているから、秘密になってるけど、どうして先輩たちが知ってるの?
皆んなに知られたら、お母さんに怒られちゃうっ
『やっやめてください』
「ふはっ...ブスが必死こいててウケるんだけどっ!」
「ほらこいよっ!」
そのまま私の周りを先輩に囲まれて、着いたのは屋上だった。普段鍵が閉まっているはずの屋上が、開いていることに疑問を持つ余裕もなかった。
「ねぇ...あんたさぁどうして私たちがあんたの出生のこと知ってると思う?」
『へっ?』
「うわぁ...へっ?だってぇキッモ可愛子ぶったって意味ねぇし......それにさぁ、その髪マジないわー...あっそうだ私たちが綺麗に切ってあげよっか!」
「いいねー!麻美確かカッター持ってたよね?」
「うんちょっとまってね...はいっ」
嘘...やだ.....やだよ
「あははっヤダーそんなに震えちゃってぇ...そんなに怖いんでちゅかー?
みんな押さえて!」
逃げようと思った時にはもう遅かった。
私の手足を先輩たちに固定され、抵抗すらできなかった。
『やだっ!やめて!来ないで!』
「うっさいなーちょっとは黙れよっ!」
『うっゲホッゲホッ』
「わぉさすが怜!黒帯なだけはあるねぇ!」
「何よそれ酷い奈々」
「さぁて美波さんも黙ったことだしぃ、始めるわよ!」
「言っとくけど、私たちを恨まないでねぇ?あんたのことを可愛がってもいいって言ってくれたのは、あんたの異母兄なんだから!」
異母兄?
確かお父さんの奥さんの子どもが私の3つ上と1つ上
一度もあったことがないけど、お兄さんたちに邪魔だと思われてたんだ...。
「やぁね急に大人しくなったわ
そんなにびっくりしたかしら?」
呆然とする私に、カチカチと、カッターを出し入れしながら先輩が迫ってくる。
ザクッ
「あーあ切れちゃった...でもこのままだとちょっとバランスが悪いわねぇ...ふふっここも切っちゃいましょう!」
「綺羅センスいい!私も切りたい!」
「しょうがないわね」
「やった!じゃあ遠慮なく...」
ハラハラ落ちていく私の髪の毛
大切にしてたわけじゃないけど、悲しくて、つい涙がこぼれてしまう。
「うっわ泣いてるよこいつマジウケるんだけど」
「まぁこんなもんでいいんじゃない
また明日もよろしくね?美波さん」
私の腰まであった髪の毛は触れてみるとガタガタで顎ぐらいの長さになっていた。
私って本当にダメだな。
お母さんに、絶対に髪は切るなって言われていたのに...。
また怒られちゃう。
いらない存在の私を生かしてくれてるのに。
『どうして生きてるんだろ...』
ふらりと立ち上がり、脆くなったフェンスに寄りかかる。
そして
『もう死にたいな』
ギシッ
フェンスが壊れ私の体はどんどん下に落ちていく。
落ちていくのに、抵抗なんてなかった。
あぁ死ねるんだ。
これで私は、何も怖がらなくていい世界に行けるんだ。
ここは落ちていく中でゆっくりと瞳を閉じ、微笑んだ。
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