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女神の正体⑥

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「あなただけは絶対に許せません。あなたが殺した聖獣はわたくしを導くはずでした。なのにあなたに殺された。あなたに分かりますか?親代わりになるはずたった聖獣が無惨に殺された時のわたくしの気持ちが。あの時からあなただけは絶対に殺すと決めておりました。」

「…結構武闘派なんですね、女神って。」

 亜月がライヤードに言うと、苦笑しながら「そうだね」と答えてくれた。

「まぁ、そもそも聖獣と女神は1セットみたいなものだ。唯一無二の存在を殺されたんだから、ミィの怒りは生半可なものじゃない。」

「モルガーンさん。」

 黙ってミィを見守っていたモルガーンが亜月たちに近寄って来る。

「ライヤード、そろそろこの場を離れた方がいい。これからは反女神と女神の闘いになる。この場所に留まってたら死ぬぞ。」

「そうだねぇ。確かにそろそろ退散した方がいいかなぁとは思ってた。じゃあ本当に城に帰ろうか。」

「あ…、でも、あの2人は。」

 亜月は膝をついてブツブツと小声で何かを呟き続けている御門とサキラを指差す。ライヤードは非常に嫌そうな顔で首を横に振った。

「えー。あんな奴ら置いて行っていいでしょ?亜月に酷いことした奴らじゃん。僕、亜月が殺されかけたことまだ許してないんだよね。それに、亜月もあいつらのこと臭いって言ってたでしょ?臭い奴らなんて城に入れたくないから置いていこうよ。」

「いや、もう臭くないので…。」

「えーーーー!」

 ライヤードが大声を出す。
 御門とサキラから感じていた醜悪な臭いは綺麗さっぱり消えていた。恐らく反女神の力が宿っていたためにあんな臭いになってしまっていたのだろう。
 彼らのことを許した訳ではない。けれどここに置いていって死んでしまっても目覚めが悪い。

「連れて行こう、ライヤード。」

「うぅ、亜月がそう言うなら。」

 2人のやりとりを見てモルガーンがケラケラと笑う。

「早速尻に敷かれてるんじゃねーか?魔王様が情けないねぇ。」

「お前だって女神の尻に敷かれてるだろ?」

「ミィの尻に敷かれるなら本望だな。」

「惚気やめろ!」

 ギャアギャアと言い合っている2人を置いて、亜月は御門とサキラに近づく。

「…ここは危ないから逃げましょう。立てる?」

「お前…。」

 亜月は御門に向かって手を差し伸べる。最初呆然と固まっていた御門だったが、恐る恐る手を亜月に向かって伸ばしてきた。






「っ!そんな女を信じられる訳がないでしょう!!!」


「あうっ!」


 もう少しで御門の手が触れようとした時。サキラが放った魔法が亜月の体を貫く。その衝撃で亜月の体が地面に倒れた。


「アヅキ様!」

 ミィが反女神から目を逸らす。

「女神様!聖女サキラが悪を打ち滅ぼしました!どうか私に加護を!そして私は英雄として御門とともにこの国を治めるのです!!!!」


「あっは!ありがとぉー!おかけで女神に隙ができたわぁ!」


「ぎぃやあっ!!!」

 上機嫌な反女神はサキラに近づく。にっこり笑う反女神につられてサキラも笑った。

 そしてサキラの両腕は反女神によって引きちぎられた。
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