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目覚め①
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「ん…。」
眩しさを感じて手で目元を塞ぐ。そして、自分が生きていることを理解した。
「あ…れ?」
ゆっくりと目を開き、胸元を見てみると、そこは真っ白な包帯でぐるぐる巻きにされていた。
「ここ…どこ?」
周りをゆっくりと見回すと、先程いた部屋よりもずっと豪華な部屋にいることに気付く。
眠っているのは人が5人は寝られそうなほど大きなベッド。ふかふかの枕に真っ白で肌触りの良いシーツ。私も真っ白なローブのようなものに着替えさせられていた。
部屋は全体的的に黒が多く使われている。壁紙も黒で、所々にガス灯のようなゴシック調の明かりが灯されている。窓際には大きなテーブルと椅子が置いてある。どうやらそこで執務的なことをしているようで、羽ペンやらインクがテーブルの上に転がり、椅子の足元には大量の羊皮紙が散らばっていた。
壁の一画は全て本棚になっており、高級そうな布張りの本が並べられている。
ベッドから這い出て床に足をつける。高級そうな赤いカーペットが敷かれた床はクッションが効いていて歩きやすかった。
ゆっくりと歩いて窓際まで行き、外を眺めてみる。
「わぁ…綺麗…。」
そこはとんでもなく巨大な城だった。元の世界風に言うと洋風で、尖った屋根の塔が何棟も並んでいる。この部屋が一番高いところにあるようで、城を上から眺めることができた。随分下には広い庭園が見える。塔と塔を外廊下のような道で繋いでいて、その道をたくさんの人が行き来している。それに羽を広げて飛んでいる人たちもあちこちにいた。
そして何より綺麗だったのは、夜空に浮かぶ真っ青な月。城を優しく包み込むようなその光を浴びると、胸の痛みが引いていくような気がするのだ。
「本当に綺麗…。」
もっと近くで見たい。そう思って窓を開けようと手を伸ばす。
「こら、何をしているんだ?」
私より随分と大きい手が、私の両手を後ろから包み込んだ。
「え…?」
「この部屋はとても高いところにある。窓なんか開けたら危ないだろう?…それとも下に落ちて死にたかった?」
思ってもいないことを言われて驚く。私は急いで首を横に振った。
「ち、違います!ただ月をもっと近くで見たくて!!」
「ん?月?なんであんなものを…。」
「あんなものって…。とっても綺麗です。優しい光…。私の世界の月は金色なんですけど、私はこの世界の月の方が好きだなぁ。」
「ははっ!そうか!青い月が好きなんて言う人間はこの世界では君ぐらいなんだろうな!」
「きゃっ!」
後ろから強く抱きしめられたかと思うと、そのまま持ち上げられてベッドに逆戻りしてしてしまった。
「ちょ!何を!」
「無事でよかった。目を覚まさないんじゃないかとずっと心配していたんだよ、僕は。」
仰向けに降ろされた私の顔を、とんでもなく整った顔が覗き込んでくる。
今までずっと御門君が世界で一番カッコいいと思っていた。彼こそが完璧なんだと。
でも上には上がいる。
とんでもないイケメンだった。白いウェーブがかかった髪は肩まであり、片方を耳にかけている。凛々しい眉に、高い鼻。薄い唇から覗く犬歯に褐色の肌。
そして何よりも美しい青い瞳。
「目が覚めて良かった。僕の奥さん。」
「…へ?」
キラキラと輝く瞳が嬉しげに細められていた。
眩しさを感じて手で目元を塞ぐ。そして、自分が生きていることを理解した。
「あ…れ?」
ゆっくりと目を開き、胸元を見てみると、そこは真っ白な包帯でぐるぐる巻きにされていた。
「ここ…どこ?」
周りをゆっくりと見回すと、先程いた部屋よりもずっと豪華な部屋にいることに気付く。
眠っているのは人が5人は寝られそうなほど大きなベッド。ふかふかの枕に真っ白で肌触りの良いシーツ。私も真っ白なローブのようなものに着替えさせられていた。
部屋は全体的的に黒が多く使われている。壁紙も黒で、所々にガス灯のようなゴシック調の明かりが灯されている。窓際には大きなテーブルと椅子が置いてある。どうやらそこで執務的なことをしているようで、羽ペンやらインクがテーブルの上に転がり、椅子の足元には大量の羊皮紙が散らばっていた。
壁の一画は全て本棚になっており、高級そうな布張りの本が並べられている。
ベッドから這い出て床に足をつける。高級そうな赤いカーペットが敷かれた床はクッションが効いていて歩きやすかった。
ゆっくりと歩いて窓際まで行き、外を眺めてみる。
「わぁ…綺麗…。」
そこはとんでもなく巨大な城だった。元の世界風に言うと洋風で、尖った屋根の塔が何棟も並んでいる。この部屋が一番高いところにあるようで、城を上から眺めることができた。随分下には広い庭園が見える。塔と塔を外廊下のような道で繋いでいて、その道をたくさんの人が行き来している。それに羽を広げて飛んでいる人たちもあちこちにいた。
そして何より綺麗だったのは、夜空に浮かぶ真っ青な月。城を優しく包み込むようなその光を浴びると、胸の痛みが引いていくような気がするのだ。
「本当に綺麗…。」
もっと近くで見たい。そう思って窓を開けようと手を伸ばす。
「こら、何をしているんだ?」
私より随分と大きい手が、私の両手を後ろから包み込んだ。
「え…?」
「この部屋はとても高いところにある。窓なんか開けたら危ないだろう?…それとも下に落ちて死にたかった?」
思ってもいないことを言われて驚く。私は急いで首を横に振った。
「ち、違います!ただ月をもっと近くで見たくて!!」
「ん?月?なんであんなものを…。」
「あんなものって…。とっても綺麗です。優しい光…。私の世界の月は金色なんですけど、私はこの世界の月の方が好きだなぁ。」
「ははっ!そうか!青い月が好きなんて言う人間はこの世界では君ぐらいなんだろうな!」
「きゃっ!」
後ろから強く抱きしめられたかと思うと、そのまま持ち上げられてベッドに逆戻りしてしてしまった。
「ちょ!何を!」
「無事でよかった。目を覚まさないんじゃないかとずっと心配していたんだよ、僕は。」
仰向けに降ろされた私の顔を、とんでもなく整った顔が覗き込んでくる。
今までずっと御門君が世界で一番カッコいいと思っていた。彼こそが完璧なんだと。
でも上には上がいる。
とんでもないイケメンだった。白いウェーブがかかった髪は肩まであり、片方を耳にかけている。凛々しい眉に、高い鼻。薄い唇から覗く犬歯に褐色の肌。
そして何よりも美しい青い瞳。
「目が覚めて良かった。僕の奥さん。」
「…へ?」
キラキラと輝く瞳が嬉しげに細められていた。
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