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アリシア
第15話
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「アリシア、しっかり見ているんだ。」
「えぇ…。」
ミリアンネに言われるも、アリシアはすでにラシードから目を離すことができなくなっていた。
(なんて美しいのかしら。)
リィルの指摘は当たっていた。婚約者がいながらほかの男に惹かれているのは本当のことなのだ。アリシアは間違いなくギロチン台にいる男、ラシード・コネリオンに惹かれてしまっている。
けれどあの男は大罪人だ。もうほんの少しでその首が飛び、命を落とす男だ。
「ラシード・コネリオンの処刑を実行する!」
ミリアンネの声でギロチン台の上にいる処刑人が大きな斧を振りかぶる。
「あの人…死んでしまうの…?」
アリシアの小さな呟きに反応したようにラシードの視線がこちらを向いた。
ラシードは心底愛しそうにアリシアを見つめる。
「愛してるぞ、アリアネス。」
「ダメぇ!!!!!!」
漆黒の右目にヒビが入った。
「ラシード様ぁ!」
「ぐぅっ!」
アリシアがとてつもない速さでギロチン台まで駆け寄り、台に上がる。そしていまだ反応できていない処刑人の腹を蹴り飛ばして台の上から吹き飛ばした。
同時にミリアンネが苦悶の表情で膝をつく。
「ラシード様!ラシード様ぁ!」
ボロボロと涙を流しながら、アリシアはラシードの体にすがりつく。
「ごめんなさい!あなたを忘れてしまったわたくしを許してください。お願い、愛想なんか尽かさないで!」
子供のようにワンワンと泣きながら首を固定されたラシードの背中に顔を埋めて泣くアリシア、もといアリアネスを見てラシードは豪快に笑った。
「はっはっはっ!やっと思い出したか、俺の子猫ちゃんは!随分と手間がかかる猫ちゃんだなぁ、お前は。」
「ラシード様っ!」
アリアネスが顔を上げると、その目がウサギのように真っ赤になっていて、ラシードはさらに笑う。
「子猫じゃなくてウサギちゃんか?全く、厄介な魔法にかけられたな。…俺の大好きな緑の瞳を汚したんだ、あいつらは覚悟ができてるんだろうな。」
ラシードが視線をミリアンネへと向ける。女王は苦しそうに地面に血を吐いていた。
「ぐうっ!くそ、この魔法が破られるとは!そんな訳がっ!ぐうっ!!!」
「お前の生命力を注ぎ込んだ黒い瞳か。バライカにでも習ったか?趣味の悪い魔法使いやがって。俺の大事なアリアネスを一時でもこの世から存在しないものにしたのは、いくら温厚な俺でも許せないな。…セレーナ!!」
「ここにおります。」
「ぐっ!」
ミリアンネの首元にナイフが突きつけられる。
「セレーナ!」
「はい、お嬢様。」
アリアネスの喜色満面な様子に、セレーナは破顔した。
「えぇ…。」
ミリアンネに言われるも、アリシアはすでにラシードから目を離すことができなくなっていた。
(なんて美しいのかしら。)
リィルの指摘は当たっていた。婚約者がいながらほかの男に惹かれているのは本当のことなのだ。アリシアは間違いなくギロチン台にいる男、ラシード・コネリオンに惹かれてしまっている。
けれどあの男は大罪人だ。もうほんの少しでその首が飛び、命を落とす男だ。
「ラシード・コネリオンの処刑を実行する!」
ミリアンネの声でギロチン台の上にいる処刑人が大きな斧を振りかぶる。
「あの人…死んでしまうの…?」
アリシアの小さな呟きに反応したようにラシードの視線がこちらを向いた。
ラシードは心底愛しそうにアリシアを見つめる。
「愛してるぞ、アリアネス。」
「ダメぇ!!!!!!」
漆黒の右目にヒビが入った。
「ラシード様ぁ!」
「ぐぅっ!」
アリシアがとてつもない速さでギロチン台まで駆け寄り、台に上がる。そしていまだ反応できていない処刑人の腹を蹴り飛ばして台の上から吹き飛ばした。
同時にミリアンネが苦悶の表情で膝をつく。
「ラシード様!ラシード様ぁ!」
ボロボロと涙を流しながら、アリシアはラシードの体にすがりつく。
「ごめんなさい!あなたを忘れてしまったわたくしを許してください。お願い、愛想なんか尽かさないで!」
子供のようにワンワンと泣きながら首を固定されたラシードの背中に顔を埋めて泣くアリシア、もといアリアネスを見てラシードは豪快に笑った。
「はっはっはっ!やっと思い出したか、俺の子猫ちゃんは!随分と手間がかかる猫ちゃんだなぁ、お前は。」
「ラシード様っ!」
アリアネスが顔を上げると、その目がウサギのように真っ赤になっていて、ラシードはさらに笑う。
「子猫じゃなくてウサギちゃんか?全く、厄介な魔法にかけられたな。…俺の大好きな緑の瞳を汚したんだ、あいつらは覚悟ができてるんだろうな。」
ラシードが視線をミリアンネへと向ける。女王は苦しそうに地面に血を吐いていた。
「ぐうっ!くそ、この魔法が破られるとは!そんな訳がっ!ぐうっ!!!」
「お前の生命力を注ぎ込んだ黒い瞳か。バライカにでも習ったか?趣味の悪い魔法使いやがって。俺の大事なアリアネスを一時でもこの世から存在しないものにしたのは、いくら温厚な俺でも許せないな。…セレーナ!!」
「ここにおります。」
「ぐっ!」
ミリアンネの首元にナイフが突きつけられる。
「セレーナ!」
「はい、お嬢様。」
アリアネスの喜色満面な様子に、セレーナは破顔した。
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