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アリシア
第9話
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ラシードside
「ぐうっ!」
「オルドネア帝国騎士団長、ラシード・コネリオンがこんなところに1人でノコノコやってくるとはな!」
リィルに腹を蹴り上げられたラシードは苦悶の表情で体を折り曲げる。
「おどき話のように指輪をはめて甘い言葉を囁けばアリシアが目覚めるとでも思っていたのか!随分とお花畑な考えをしているじゃないか!」
「ぐっあ!」
髪の毛を掴まれて無理やり顔を上げされたライラック、もといラシードは顔を歪めるもリィルを睨みつけた。
「あいつはアリシアなんて名前じゃねーよ。俺の子猫ちゃんの名前はアリアネスだ。」
ニヤリと笑うラシードに苛立ったリィルが横っ面を叩くと椅子に縛り付けられていたラシードは汚い地面にそのまま倒れ込んだ。
「何が子猫ちゃんだ。あの女はもう俺のものなんだよ!」
暗い地下牢にリィルの声が響き渡る。
宝石商ライラックとしてこの国に潜入して半年。数多の人間の力を借りて、とんでもないスピードで有名な宝石商として名を上げたラシードは、ようやくマゴテリアの城へ入ることができた。
アリアネスがバライカたちに捕まったあの日から、ラシードたちはアリアネス奪還のために活動を始めた。
あるものは情報収集のためにマゴテリアに潜入。あるものは彼女が戻ってきた時に平和な国にしようとマゴテリアからの猛攻を何とか退け続けている。
ラシードは騎士団長として働きながらも、その役目をアルフォンソに任せることが多くなった。アルフォンソもラシードの気持ちが分かっているのか、何も言わずに騎士団長代理として仕事をこなしてくれた。
そしてアリアネスがマゴテリアに囚われてから1年後、マゴテリアへの侵入が可能になったその日に突然城から消えたのだった。
絶対にアリアネスをこの手の中に取り戻す。そう誓って死に物狂いでやってきた。そして彼女を見つけた時は今すぐにこの場から攫ってやりたかった。その体を抱きしめて顔中にキスをしてやりたかった。
けれどそれは国に戻ってからのお楽しみ。まずは彼女を取り戻さないと。
準備したのは大粒のダイヤモンドがはまった婚約指輪。自分のせいでめちゃくちゃになってしまった婚約をもう一度結び直したい。
ファニアの遠見の能力で、アリアネスが記憶を無くしていることは分かっていた。どうか自分の指輪で記憶を取り戻してほしい。いや、きっと取り戻してくれるはず。
そんなラシードの思いは敵わなかった。
「くそ!あと少しだったのに!」
ラシードが悪態をつくと、リィルが高笑いを始めた。
「ぐうっ!」
「オルドネア帝国騎士団長、ラシード・コネリオンがこんなところに1人でノコノコやってくるとはな!」
リィルに腹を蹴り上げられたラシードは苦悶の表情で体を折り曲げる。
「おどき話のように指輪をはめて甘い言葉を囁けばアリシアが目覚めるとでも思っていたのか!随分とお花畑な考えをしているじゃないか!」
「ぐっあ!」
髪の毛を掴まれて無理やり顔を上げされたライラック、もといラシードは顔を歪めるもリィルを睨みつけた。
「あいつはアリシアなんて名前じゃねーよ。俺の子猫ちゃんの名前はアリアネスだ。」
ニヤリと笑うラシードに苛立ったリィルが横っ面を叩くと椅子に縛り付けられていたラシードは汚い地面にそのまま倒れ込んだ。
「何が子猫ちゃんだ。あの女はもう俺のものなんだよ!」
暗い地下牢にリィルの声が響き渡る。
宝石商ライラックとしてこの国に潜入して半年。数多の人間の力を借りて、とんでもないスピードで有名な宝石商として名を上げたラシードは、ようやくマゴテリアの城へ入ることができた。
アリアネスがバライカたちに捕まったあの日から、ラシードたちはアリアネス奪還のために活動を始めた。
あるものは情報収集のためにマゴテリアに潜入。あるものは彼女が戻ってきた時に平和な国にしようとマゴテリアからの猛攻を何とか退け続けている。
ラシードは騎士団長として働きながらも、その役目をアルフォンソに任せることが多くなった。アルフォンソもラシードの気持ちが分かっているのか、何も言わずに騎士団長代理として仕事をこなしてくれた。
そしてアリアネスがマゴテリアに囚われてから1年後、マゴテリアへの侵入が可能になったその日に突然城から消えたのだった。
絶対にアリアネスをこの手の中に取り戻す。そう誓って死に物狂いでやってきた。そして彼女を見つけた時は今すぐにこの場から攫ってやりたかった。その体を抱きしめて顔中にキスをしてやりたかった。
けれどそれは国に戻ってからのお楽しみ。まずは彼女を取り戻さないと。
準備したのは大粒のダイヤモンドがはまった婚約指輪。自分のせいでめちゃくちゃになってしまった婚約をもう一度結び直したい。
ファニアの遠見の能力で、アリアネスが記憶を無くしていることは分かっていた。どうか自分の指輪で記憶を取り戻してほしい。いや、きっと取り戻してくれるはず。
そんなラシードの思いは敵わなかった。
「くそ!あと少しだったのに!」
ラシードが悪態をつくと、リィルが高笑いを始めた。
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