上 下
51 / 144
第2章 世界の異変が大変編

色々謎だ…

しおりを挟む
「だけど俺は家族の中で運動が得意だったから荷物運びとかを任されてたんだ」

その時を思い出すようにカイルさんは天井を見て目を細める…もしかしてその時に筋力増加のスキルを得たのかね?

そんなことを考えているとカイルさんは天井から視線を俺に向けてでもね…と続ける

「最初はそれで良かったんだけど商人としてどんどん成長していく兄弟に俺は置いていかれていく感覚を覚えたんだ」

うんうん…わかりますよその気持ち!俺も弟がいるけども色々負けてますもん!勉強も運動も…見た目も…性格も……あれ?俺本当に兄なのかね…?
兄より優れた弟なんて存在しないんじゃなかったの?なら俺の弟はなんなの?

「だから俺は自分の力不足を許せなくてね…家を飛び出して冒険者になったんだ」


まさかの家出か!もし家出だったら家族はカイルさんが冒険者やってることも知らないんじゃないの?俺も弟に何度も嫉妬したけど家出まではしなかったな…まぁ家出したら弟に負けた感じになるから嫌だったわけなんだけどね…

「じゃあカイルさんが冒険者になってるって家族は知らないんですか?」

俺がそう聞くとカイルさんは首を横に振る

「冒険者になると言って飛び出したんだ」

それに手紙を時々書いて送っているしねとカイルさんは言った

じゃあ少なくともカイルさんが生きてることは家族は知ってるってことか…それでも冒険者って危険な仕事だし家族は心配だと思うんだけどな…
え?お前が言うなって?気にすんな!冒険者は俺の憧れだったんだよ!

「家族はカイルさんの事心配してないんですか?」

俺の言葉にカイルさんは考える様子を見せると口を開いた

「手紙も出してるし危険な仕事や場所は避けてるからね…そこまで心配はしていないんじゃないかな」

そ…そうなの?なんかカイルさんの家族って冷たいというか無関心というか…そういうのが普通なのかね?寂しくない?

「きっと心配してると思いますよ」

「そうだと思うかい?」

やっぱり家族は心配すると思うよ…俺だって家族の事を…いや…あんまり心配してないな…家族の方は俺の事を心配してるかもしれないけど…

「…ユウト君も心配してくれるかい?」

俺が心配事からは無縁な程優秀な家族を思い出しているとカイルさんがこちらを見ながら言ってくる…なぜ俺に聞くの…
まぁでも

「心配ですよ…俺にとって大事な人ですから」

カイルさんはこの世界に来て初めて会った人で今まで色々お世話になってるし…やっぱり1番関わりが深いから俺の中で重要な位置にいるんだよね

この世界での家族みたいなもんかね…いや…金を貸してもらったりアレしちゃったりしてるし家族ではないか…

「だ…大事な…ひ…人って…」

カイルさんは顔を真っ赤にさせながら視線をあっちこっちに泳がせてボソボソ言っている

「だ…大丈夫ですか?」

急に顔を赤くしたけどどうしたのだろう…何言ってるか聞こえないし…

「で…でも俺は君に何もしてあげれてないんだよ?しかも守るとか言っておきながら君を危険な目に…だから俺にはそんな資格無いんじゃないかな…」

カイルさんが珍しくネガティブだ…
ていうか何の話?さっきまでの会話からなぜそうなったの?俺ついていけてないよ…

うーん…つまり俺を守れなかったから一緒にいる資格なんて無いよと言いたいのかね…?

「俺はカイルさんと会えたからここまで来れたんです…だからそんな事言わないでくださいよ」

「ユウト君…!」

「ぐえっ」

カイルさんが泣きそうな顔でいきなり抱きついてきた

ちょっ!潰れる!苦しい!せっかく良いこと言ったのに台無し!そしてさっきからカイルさん情緒不安定!

「ありがとう…!嬉しいよユウト君!」

「ぐぅぇ…」

ああ…意識が…

「あ!ごめんねユウト君!」

はっ!俺は一体…

どこかに飛んでいきそうになった意識を戻しているとカイルさんからの視線を感じる
そっちを見るとカイルさんと目が合う

「ユウト君…」

…え?なんで顔が近付いてくるんですか?そしてなぜ目をつぶっているんですか?

「ちょ…」

俺は反射的にカイルさんを押し返す…キスしないよ!?ていうかなぜキスを迫るの!わけわからん!!

「あ…ごめんね…そうだよね…」

カイルさんは少し残念そうな顔をして言う…いやいや…そりゃそうでしょ!いくらイケメンでもいくらカイルさんでも男とキスは嬉しくないよ!?

「いきなりはやっぱりダメだよね」

…ん?いやいや…いきなりもなにもキスはダメですよ?しませんよ?

「…ユウト君」

「は…はい」

またキスか!?
そう思ったが違うようだ

「ユウト…って呼んでもいいかい?」

俺の事もカイルって呼んでいいからさと言っているカイルさんに俺は混乱する

さ…さっきからわけがわからないんですけども…一体カイルさんはどうしたの?何か変な物でも食べたのかね?治癒魔法でなんとかなる?

「…い…いいですよ」

まぁカイルさんとならそう呼び合うのも良いかなと思い言った…まだ混乱はしているけども

「よかった…それともっと言葉とかを崩してくれると嬉しいな」

すぐじゃなくていいからと言われても俺年下だし…だから無意識に堅い言い方になってしまう…

「今は難しいですけど…わ…わかりました」

「ありがとう!」

うぅ…そんなにニコニコして言わないで!

でもいつかカイルさんに友達と接するような会話が出来ればいいなと思った…

・・・


そのあと会話に満足したらしいカイルさんは座りながら眠ってしまった…眠ろうとする時に俺の膝をじっ…と見ていたのはどうしてでしょうね…
貸しませんよ?


外を見るとまだ雨が降っていてこの雨は長引くな…とどこかで思う

そしてそんな雨を見ながら俺は考えていた事を賢者先生に質問する

…ねぇ賢者先生

《はい》

この世界は一体なんなの?

少し考える時間があったから考えてみたけどこの世界の事を俺はよく知らない…

そもそも魔法とかのスキルがあるのもそうだけど魔素や魔力っていうのもわからない…あとレベルアップの時に頭に響く声は一体誰なの?

考えれば考えるほど元の世界との違いが多くある事がわかる…そりゃ別の世界なんだから当たり前だけどもさ…

…この世界では魔法やスキルなんかがあるのは常識なんだろうけどやっぱりそういうのが無い世界からやってきた(無理矢理)俺としては疑問が浮かぶのも当然だ

さて…賢者先生の答えは…

《検索中です》

…検索…?

《…検索終了…》

お…おう…それで結果は…

《レベルアップやスキル獲得時の声は【神の声】と呼ばれています》

そうなのね…神の声か…もしかしてトイレの神様の声なのかね?…いや…他にも神様はいるか…




……え?

あ…あの賢者先生…他の質問は…

《他の3つの質問は秘匿されているようです》

…え?秘匿?

それってつまり隠してるってことだよね?どういうこと?隠す理由があるってことかね?というか賢者先生はどこからそんな情報を…検索中っていってたし

《元のスキル【鑑定】の世界の情報開示の能力が進化したことにより世界の情報の検索が可能になりました》

そ…そうなんだ…なんか凄い…

でも秘匿ってことは検索出来なかったってことだよね?賢者先生でも開示されない情報ってなんなの…


せっかくこの世界のことがわかると思ったのに謎が謎を呼ぶことになってしまった…









しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

主人公の兄になったなんて知らない

さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を レインは知らない自分が神に愛されている事を 表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346

勇者の股間触ったらエライことになった

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
勇者さんが町にやってきた。 町の人は道の両脇で壁を作って、通り過ぎる勇者さんに手を振っていた。 オレは何となく勇者さんの股間を触ってみたんだけど、なんかヤバイことになっちゃったみたい。

童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった

なる
BL
主人公の高梨優(男)は18歳で高校卒業後、小さな建設会社に就職した。しかし、そこはおじさんばかりの職場だった。 ストレスや性欲が溜まったおじさん達は、優にエッチな視線を浴びせ…

白雪王子と容赦のない七人ショタ!

ミクリ21
BL
男の白雪姫の魔改造した話です。

気付いたら囲われていたという話

空兎
BL
文武両道、才色兼備な俺の兄は意地悪だ。小さい頃から色んな物を取られたし最近だと好きな女の子まで取られるようになった。おかげで俺はぼっちですよ、ちくしょう。だけども俺は諦めないからな!俺のこと好きになってくれる可愛い女の子見つけて絶対に幸せになってやる! ※無自覚囲い込み系兄×恋に恋する弟の話です。

継母から虐待されて死ぬ兄弟の兄に転生したから継母退治するぜ!

ミクリ21 (新)
BL
継母から虐待されて死ぬ兄弟の兄に転生したダンテ(8)。 弟のセディ(6)と生存のために、正体が悪い魔女の継母退治をする。 後にBLに発展します。

兄たちが弟を可愛がりすぎです~こんなに大きくなりました~

クロユキ
BL
ベルスタ王国に第五王子として転生した坂田春人は第五ウィル王子として城での生活をしていた。 いつものようにメイドのマリアに足のマッサージをして貰い、いつものように寝たはずなのに……目が覚めたら大きく成っていた。 本編の兄たちのお話しが違いますが、短編集として読んで下さい。 誤字に脱字が多い作品ですが、読んで貰えたら嬉しいです。

処理中です...