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第2章 世界の異変が大変編

その名もみんなで湖に行って調べて即帰還作戦!

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 会議が終わったので、レイトさんと一緒にテントから出て別のテントへ向かう。
 レイトさんによると、今回の作戦に参加する人がそのテントに集まっているらしい。
 向かいながらの間に、横目で勝手にレイトさんを鑑定する。
 ……え?まぁ犯罪ではないでしょ、きっと。

 《レイト・シャールズ

 年齢27

 職業 ハビリオン魔法第三部隊副隊長

 レベル29

 状態 健康

 固有スキル

 魔力眼マジックアイ

 パッシブスキル

 アルマデア語
 古代スラク語
 魔力感知
 気配感知
 魔力操作
 術式補正
 痛覚軽減
 精神安定
 状態異常耐性

 アクティブスキル

 火魔法レベル2
 水魔法レベル5
 気流魔法レベル3
 土魔法レベル5
 空間魔法


 称号

 血を受け継ぎし者

 称号からの追加補正
 非童貞&処女》


 ……は?
 え……なんですか?これ?
 鑑定さんちゃんと見たの?
 この人俺より強くね?見たところ知らないスキルもあるし。

 固有スキルも称号もあるってこの人チートやん。
 しかも固有スキルがなんかすごい名前なんだけど……。
 魔力眼?魔眼じゃないの?うずかないやつなの?
 そして称号!なんだその勇者みたいな称号は!
 俺の称号は尻とかなのに!この差はなんなんだ!

 《スキル 詳細

 固有スキル

 魔力眼
 スキル効果
 その目で捉えた者の魔力量や魔素量を見ることが出来る。
 しかしスキルによって見ることが出来なかったり誤魔化されることもある。

 称号 詳細

 血を受け継ぎし者
 獲得条件 特定の血統を受け継ぐ
 称号獲得による効果
 魔力眼習得
 特定の能力に補正がかかる》

 チートや……。

 え?この人勇者とかじゃないよね?
 カールもそうだけど、この人達なんなの?強すぎない?
 俺の存在ってなんなの?エキストラですか?
 いや!俺は成り上がりパターンなんだ!これから強くなるのだ!きっと!

 俺が色々考えていると、いつの間にやらテントについていたようで、レイトさんと一緒に入っていく。
 テントの中では十数人の冒険者と兵士が並んだ椅子に座っていた。

 その中にはカイルさんや、馬車で一緒だったファイさんジェスさん達もいるので彼らも参加するのだろう。
 まぁカイルさんはそうだと思いましたよええ。
 カールだけ仲間外れだ!げっへっへ!

 テントの中の彼らは、俺達が入ってきたのに気付くと立ち上がり近寄ってきた。

「昨日は助かった!ありがとう!」

 そういって俺に頭を下げる兵士は、中度の怪我を負っていたところを俺に助けられたらしい。
 正直治療した人をほとんど覚えてないのでちょっと反応に困ったが、一応どういたしましてと言って誤魔化した。

「ユウト君!昨日は大丈夫だったかい?疲れただろ?」

 カイルさん心配してくれてありがとう。
 カイルさんもブラック企業には気を付けてね。

 大丈夫と言ったが、過保護な彼はまだ心配な顔をしていた……もう!大丈夫だって!
 それから何人かにお礼を言われたが、そのほとんどが軽度や中度の怪我をしていて、俺が助けた者みたいだ。
 それでその恩返しとして、今回の作戦に志願したらしい。

 それ以外の人たちは、自分達の知り合いや友人が俺に助けて貰ったらしく、まだ動けなかったり力不足で俺の調査作戦に参加出来ないと嘆く彼らの代わりに参加するようだ。
 なんかすごい照れるじゃねーか!やめい!

 ちなみに重度の怪我人達は、傷自体は治ったが体力などが戻ってないようでまだ戦える状態じゃないらしく今回の作戦には不参加のよう。

 ここにいるのは俺を含めて十五人ほどで、まず初めに自己紹介をしていった。

 ・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・・・・


 正直名前を覚えるのは無理だったから聞き流していたけど、作戦はちゃんと聞いてましたよ?
 というか名前なんて鑑定さんがいるから関係ないのだ!
 これもチートたる所以だよな。うん。

 作戦といっても会議室で聞いたのとそんなに変わらないけど、初めて聞くことといえば移動中の役割の事だ。

 まず前衛としてカイルさんを含めた五人。
 そしてその後ろに俺と結界を張るレイトさんで、それぞれの横に前後二人ずつ。
 ちなみに俺の横の一人はファイさんだ。
 最後に後衛としてジェスさんを含めた五人。
 残りは警戒要員として周りに分散。

 これが俺達のパーティーの編成らしい。
 なんか俺守られすぎじゃね?何も出来なくね?
 しかもみんな、俺よりも背が高いからきっと周りすらも見えなくなるんだろうね。
 お前らは壁か!

「それでここから重要な事なんですけど……作戦実行時は準備をしたらすぐです」

 まったく周りが壁だと俺はどうすれ……え?なんですって?今から?もう?

「もう行くんですか!?」

 レイトさんは俺の言葉に頷いた。
 話によると昨日俺達が来るまで戦闘が続いていたらしいが、昨日までになんとか一時的に魔物を退けることが出来ているらしく今がチャンスらしい。
 えーまだ朝ご飯食べてなくない?俺倒れるよ?

 聞いたところみんな準備が出来ているらしく、あとはレイトさんと俺だけみたいだ。
 今回の作戦用に装備があるみたいで、それを貸してもらって着る。
 おお……!まさに魔法使いのローブって感じだ。
 黒いローブであればまさに、邪眼が!とか言いそうになる見た目だけど残念ながら白いローブでした。

 レイトさんから聞くと魔素などの影響を抑える術式がかかっているみたいだ…そんなに魔素濃度が濃いのかね?

 着替え終わったのでみんなでテントを出る。
 すると待ってましたとばかりにたくさんの人に囲まれた。

 俺達が出てきたことに気付くと歓声があがる。
 え!?なんなの!?

「ユウト様ー!!」

「天使様ー!!」

「うおぉぉぉぉぉぉ!」

「気を付けてください!!」

「俺達も後から行きます!」

 などという声が至るところから聞こえてくるが全く意味がわからない。
 特に二番目聞こえた声!天使ってなんじゃそりゃ!
 俺は空から降ってこないよ!?親方呼ばないで!

 そう思っていると、その疑問が顔に出ていたのか、カイルさんが俺に教えてくれた。

「あれほどの怪我が治った事は彼らにとって奇跡のようなものなんだよ。だからユウト君は彼らにとって天使様のような存在なんだろうね」

 そういうものなの?怪我治すと天使になるの?そんな簡単になっちゃっていいの?

 ニコニコとそう言っているカイルさんを引っ張りながらさっさと離れることにする。
 これ以上いると騒ぎが大きくなりそうだ…。
 俺達が最初に来た時とは違う門へ向かうと門の前にクロードさんがいた。

 レイトさんがクロードさんに話しかけて戻ってくる。

「さっそく行きましょうか」

 レイトさんがそう言いながら目をつぶり集中を始める。
 その間にクロードさんが近付いて来た。

「お前達気を付けて行ってくるんだ。大人数での移動は敵に見つかりやすいから、少数で動くことを許可したが安全とは言い切れない。だからいつでも助けを呼んでくれ」

 そう言いながら俺に赤い石のようなものを渡してくる。
 これは簡易型の通信用魔石らしく、魔力を通すことでクロードさんの持っている魔石に連絡がいくみたい。
 おお!便利じゃん!と思っていたらこれ、電話のように話が出来る訳ではなくただ相手に何かがあったことを伝えるためのものらしい。
 簡易型だし仕方ないのかな?でも簡易型ってことは話が出来る魔石もあるのかね?

「必ず原因を見つけてきますね!」

 俺はクロードさんの言葉に頷きながら返事をした。

 クロードさんが俺の言葉に頷いて離れていく。と同時に何か薄い膜のようなものに俺達が覆われたのがわかった。
 ん?と思っているとレイトさんが、

「結界を張り終わりました。それでは行きましょう」

 と言った。

 おお?これが結界ってやつなのか?立方体みたいなものとかを想像してた俺としてはちょっと残念。 
 まぁこれは魔素を抑えるものだし防御系の結界はまた違うものなのかね?いつか見てみたいな!

 そんなことを思いながら俺はカイルさん達と門を抜けて湖へ向かう。


 いざ!!



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