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第2章 世界の異変が大変編

始まりは突然に…

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「……新しい朝が来た」

 皆さんおはようございます。
 八日目の朝を迎えました。
 いやー朝日が眩しいですね、はい。

 昨日は風に乗せる回復魔法上手くいかなかったな。
 風魔法を覚えたら出来るのか?うーんわからん。

 というか明日には討伐に行くために馬車に乗らなくてはならないので修行は今日までになる。

 というわけで俺は、頑張るぞ!と言いながら食事をするために1階へ行った。
 1階へ行くと爽やかヤテ君と会ったので挨拶した。
 ていうか爽やかヤテ君っていつ休んでんの?
 いつも会うんだけど……。

 ギルドの中は昨日よりは落ち着いているみたいだ。
 まぁそりゃ昨日は回復魔法撃ってないからね!
 そんなことを思いながら食堂で朝食を食べる。
 ……うん、いつかこの料理の材料について調べよう。
 美味しいから問題無いんだけどね?
 ほら、食材が何かわからないのは怖いからさ。

 食事が終わった俺は昨日と同じく回復魔法を試そうと部屋へ戻る。
 明日までにいくつか回復魔法を登録することが今日の目的だ!
 がんばるでー!

 登録した後の魔法は、いくらでも新しいのに更新出来るので気軽に試そう。
 グフフ……また冒険者には実験台になってもらいましょうか!

 さっそくウイルス回復魔法を登録しようとした……が、これは使うと場所がバレそうな気がするので今日はやめる。
 なので今日は、状態回復魔法と怪我の魔法を魔力が無くなるまで登録したい!
 この世界って魔力ポーションとか無いのかね?

 俺は隠密を使ったあと怪我の回復魔法を構築する。
 最初は打撲なんかを回復させたい……ということで元の世界の知識を総動員する。
 ……えっと、確か打撲って強い衝撃とかで皮膚とか筋肉の細胞が壊れてしまうことで起こるんだったっけ?
 うーん保健の授業をもっと聞いておけば……。

 打撲って冷やすんだっけ?……って、回復魔法なんだから冷やす必要無いわ!
 えっと患部の細胞?組織?を治すイメージで……あとは、内出血を止めるために血管を繋ぎ合わせて、内出血した分は体が勝手に吸収するだろうから……うむうむ、こんな感じかね……よし!これで効果は完成だな!

 そのあと色々調整してやっとこさ魔法が完成した。
 戦場でこんなことやってたら遅すぎるよね……。
 だからこそ今頑張らなければ!
 俺は右手を再び銃の形にして窓の近くに行き、道行く人に鑑定をかける。
 すると丁度打撲をした冒険者が仲間に支えられながら歩いてきた。
 ま、まさにご都合主義……神様か誰か見てるんじゃないの?

 俺は人差し指を冒険者に向けるとバンッと小声で言った。
 指先から放たれた淡い光の玉はビュンッとまっすぐ進み冒険者に当たった。
 冒険者はピクッとして周りをキョロキョロして仲間に話しかけている。

 ぶー!!くっくっくっ!あっはっはっ!!ひぃ面白!!ってあれ?デジャブ……?

 俺は冒険者から打撲の状態異常が無くなったのを確認すると今度は自分に向かって撃ってみた。
 ちなみにおかしくなったわけじゃないよ?

 俺の予想通り淡い光の玉は俺に当たって消えた。
 実験は成功したみたいだ。

 なんの実験かって?
 それは回復魔法を自分に向けて撃ったら魔力が回復するのか?というものだ!そしてそれは見事成功した!
 イエーイ!これはすごい発見では?これで登録しまくれる!

 ……と思ったのだが、世の中そんなに甘く無く、回復魔法を使う度に少しずつ魔力が消費されてました。
 まぁそれでも十分なんだけどね……。

 まぁでも副作用の効果も考えなくていいし、これはいいな!
 というわけで繰り返し自分に向かって撃つ事を再開。
 そして少しの後、頭にいつもの声が響いた。

《一定数の魔法の発動を確認しました。
 【打撲治癒】を獲得しました。
 なおこの魔法は【癒しの弾丸】に組み込まれます》

 おお!数回やってやっと獲得したよ。
 というか癒しの弾丸に組み込まれるのか……魔力消費とか増えてないでしょうね?
 試しに癒しの弾丸を使ってみると怪我の回復か打撲の回復か意識的に変えられる事がわかった。
 おお便利ですな!これはやっぱりチートですね!うんうん!

 よしよしこの調子で次だ!
 次は捻挫だ!捻挫に関しては俺はよく知っている!
 なぜなら元の世界の友達の1人が運動部に入っていて、その時によく捻挫とか怪我とかしてて愚痴られてたから強制的に覚えさせられたのだ!
 ……今はその愚痴に感謝しよう。

 で、確か捻挫は靭帯とかの部位が損傷したりして起こるんだったかな?
 損傷なら傷と同じように細胞が治していくイメージで……炎症とかも抑えられるように……うむうむ、よし!これでいいだろう!グフフ!腕がなるぜ!

--乱射中--


《一定数の魔法の発動を確認しました。
 【捻挫治癒】を獲得しました。
 なおこの魔法は【癒しの弾丸】に組み込まれます》

 よし!次だ次!

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

 結果、魔力が尽きました。
 うう……ベッドの上から動けなくなってしまった。
 いや本当のことを言えば動けるんだけど、気力?みたいなのが無くなったみたいで、動く気持ちが無くなったんだよ……。

 だが俺の魔力と気力の犠牲のお陰で、癒しの弾丸に色んな権能が増えたのだ!
 えー効果としてはこうなっております。

----------
癒しの弾丸
【小傷】【打撲】【捻挫】【骨折】【火傷】【凍傷】【毒】【気絶】

----------

 ええ!すばらしい!この短時間でここまで出来るなんて……俺やれば出来る子!きゃーステキー!
 はぁはぁはぁ……つ、疲れた。
 これは運動部の友人に感謝しなければ。
 あれ?友人怪我しすぎじゃね…?

 なんて事を考えながら、俺は一種の満足感と疑問と共にベッドに横になっていた。
 だがそんな平穏はすぐに終わる。

 突然ドタドタと廊下の向こうで音がしたかと思うと、ドアが叩かれてカイルさんが入ってきた。
 ああ、なんか短い期間だったけど懐かしさが……ってなんかあったの?

 カイルさんは俺が横になっているベッドの近くまでやってきて口を開いた。

「ユウト君大変だよ!さっき湖の討伐隊から連絡があってね。魔物の群れが予想よりも多かったみたいで、今すぐ救援を要請されているんだ!」


 ……ナンダッテ?


「え……今からですか?」

「そうなんだよ。集団討伐用に馬車があるんだけど、それももう用意されていて、今からみんな乗りに行くんだ」

 ……展開が早すぎないかい?

「わ、わかりました」

 俺はゆっくりとベッドから起きようとするが、気力が無いせいでフラフラしてしまう。
 それを見たカイルさんが腕を取ってくれて心配するような顔で見てくる。

「どうしたんだい?どこか気分が悪いのかい?ユウト君、やっぱり君は休んでた方が」

「だ、大丈夫です!行きます!」

 俺は何とか立ち上がり、カイルさんのあとを付いていく。
 どうせ部屋には何も無いし、持ち物は特殊空間に入れっぱなしだから気にしない。

 1階に降りるとギルド全体がピリピリしていて、冒険者達が装備を整えたり仲間と話し合ったりしている。
 見る限り、この場にいる冒険者達はみんな討伐に行くようだ。

「ユウト君……」

 そんなことを思っていると名前を呼ばれたので顔を向けると、爽やかヤテ君がこちらを心配そうに見ていた。

「ヤテさん」

 俺がそう言うと爽やかヤテ君が近付いてきて、ギュッと抱き締めてくる。
 おおぅ、苦しい……。

「きっと帰ってきてください」

「わかりました」

 ぎゅーぎゅー締め付けてくる爽やかヤテ君と挨拶を交わしているとカイルさんから声がかかる。

「ユウト君、行こう」

 振り向くと少し不機嫌になったカイルさんがいた。
 え?なに?別れの挨拶が俺だけだったから自分にも言って欲しいのかね?
 でも抱きつかれるよ?苦しいよ?

 俺は寂しそうにする爽やかヤテ君から離れてカイルさんとギルドを出た。
 出れば空が紅く染まっているのがわかる。
 ありゃ?もしかして魔法に集中しすぎて昼食逃した?
 お腹もつかな。

 俺はそんなことを思いつつカイルさんと歩き始めたのだった。




――――――――――――――――――――――――――――――

アオネコさんです。

この小説を読んでいただきありがとうございます。

皆さんからの感想をもらう度に、そしてお気に入り件数が増える度に、とても嬉しい気持ちになります!

これからも【こんな異世界望んでません!】を応援よろしくお願いします!

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