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第1章 異世界来ちゃった編

武器屋と神秘のナイフ

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 カイルさんと1階に降りると、爽やかヤテ君…ではなく別の人がいたので、きっと受付仕事は朝までだったのだろうな。

 俺達はそのままギルドの扉を出た。
 昨日は気付かなかったけど、この町はそこまで広くは無さそう。
 だが大きな賑わいを見せていて、そこらじゅうからお店の宣伝の声や話し声などが聞こえてくる。
 ちらっと門の方を見る…カールはいなかった。

 カイルさんがそのまま門とは反対…つまり町の中心に歩き出したので俺も付いていく。

「武器や装備なんかはギルドが貸してくれたりするんだが、装備はともかく武器はちゃんとしたのを選ばないといざって時に戦えないからな」

 貸すというのは、冒険者が今まで使っていた装備を買い換えた時にギルドに寄付したり、先輩冒険者として後輩への寄付としてギルドへ贈ったりするらしい。

 ギルドはそれらを無料で若い冒険者に貸したりすることで冒険者の金銭的負担を減らしているようだ。
 なるほどなるほど。

 俺の場合、武器はカイルさんが買ってくれる、というかお金を貸してくれるみたいで、服などはギルドから借りる形になるみたいだ。
 本当に何もかもすみません……。

 武器屋はギルドからそこまで遠くなく、数分歩いた所だった。
 まぁ武器屋とか防具屋とかはギルドから近い方が冒険者も来やすいし、これは当たり前なのかな?

 武器屋はあった、というか古い家に武器屋の看板付けただけじゃと思わなくもないが、お店と家が兼用なら仕方ないな。

 中に入ると入口の方に樽が置いてあり、そこに剣がたくさん入っている。
 これはきっと投げ売りってやつだろう。
 中央付近には長いテーブルがいくつかあり、その上に剣やナイフや弓などの武器が多く並べてあった。

 壁を見てみると斧や杖なんかも飾ってあって……これ倒れてきたら危ないんじゃ、大丈夫だろうな?

「いらっしゃい」

 お店のカウンターの奥からおっさんが出てきた。
 どうやら店主らしい。

「好きなものを選ぶといいよ」

 カイルさんがそう言ってくるけど、そんな事言われても何が何やら……。
 斧とか使えるとは思えないな……ナイフなんかが良いかな?軽そうだし。
 剣?俺が使えるわけないやん。

 あ、そういえば鑑定さんってスキルがあるんだった。
 また忘れてましたごめんなさい!鑑定さんお仕事お願いします!
 俺はテーブルに置いてある1本のナイフに鑑定を使った。

《鉄のナイフ

生息地 全国の武器屋

備考 何の変哲もないただのナイフ
ちなみにこのお店では銀貨2枚

称号からの追加補正
無し》


 うん、ただのナイフなのね。
 あとナイフ生息してないから生きてないから。
 それとこのお店で銀貨2枚ってなんで知ってるんだ。
 そして高いのかわからんよ、まぁ安いのかもしれないけど。

 そんな感じで俺はしばらくお店を物色した。
 一応他の武器も鑑定してみたが、最低でも銀貨4枚からで、弓とかだと矢も含めたりして他の武器より高くなってしまうものもあった。

 悩みながらお店の中を見ていると、あるナイフが目に止まった。
 そのナイフは他のナイフと一緒に箱の中に入っていたが、他とは違い少し青みがかっていて綺麗だった。
 気になった俺はゆっくりとそのナイフを手に持ち鑑定する。

《神秘のナイフ
 
鑑定不能

解放率 現在0%》


 ……なぬ?鑑定不能?
 今までそんなことは無かったが、鑑定さんに鑑定出来ないものがあるとは……。
 そりゃ鑑定を妨害するスキルなんかを使えば出来るんだろうけど、これただのナイフよ?どういうこと?

 しかも解放率?なんじゃそりゃ?100%になったらなんなの?大魔王とか解放されちゃうの?怖い!

「決まったかい?」

 俺がナイフを見ていると横からカイルさん覗いてきて聞いてきた。

「あの…これ…」

「ん?そんなナイフでいいのかい?」

 カイルさんがそう言ってくるが、このナイフは普通じゃないし、もしかしたら何か重要なものかもしれない……。

 そう異世界定番の伝説の武器的なものなのかも。
 鑑定さんが鑑定出来ない時点でその可能性が大なのだ、これは買うしかない!
 もし大魔王が解放されてもその時はその時だ!わはは!

「これお願いします」

 俺はカイルさんと一緒にカウンターまで行きナイフを置く。
 するとナイフを見た店主が困惑気味に口を開いた。

「坊や、こんなこと言っちゃあなんだが、こんなナイフやめとけ?こんなボロボロのナイフじゃスグに壊れちまうぞ」

「やっぱりそうだよユウト君」

「へ?」

 この店主とカイルさんは何を言っとるのか。
 ボロボロなナイフなわけがない、こんな綺麗な青みがかったナイフは見たことないぞ。

 ……もしかして2人にはボロボロに見えるのか?
 俺にだけこのナイフの真の姿が見えてるとか?
 いやその逆に本当はボロボロって線も…
 いやいや!少なくとも神秘のナイフって鑑定さんが言ってるし大丈夫だろう……きっと。

「いいんです!これでお願いします」

「お…そ、そうか…うーんならこれは銅貨30枚でいいぞ、こんなボロボロなのじゃまともに売れないしな」

 店主はそう言って笑った。

 うーむこれは得したのか?それとも危ない武器を貰ってしまったのか?仕方ないあとで考えるか……。

 カイルさんがお金を払い俺達は店を出た。

「本当にそれでよかったのかい?他にも買えばよかったのに」

「いいえ、これがよかったんです。ありがとうございました」

 俺はカイルさんにお礼を言った。
 それから俺達はギルドへ戻ることにした。
 もしかしたら書庫にこのナイフに関する本があるかもしれないと思ったからだ。

 カイルさんはこの後依頼だそうで、ギルドの1階でお昼を食べてから別れた。
 ナイフは一応特殊空間に入れておこう。
 鞘とかも無いと不便だな。

・・・

 結果を言うと神秘のナイフに関する本は無かった。

 どれだけ調べても出てこないので、このギルドの書庫に無いのかも。
 しかしたらもっと大きな町……王都とかにあるだろう図書館みたいな所だったらヒントがあるのかも。
 まぁそれもわからないけど。

 だけど1つわかったのが、武器や防具の中には魔装というものがあるらしい。
 魔装は武器や防具に魔法を付与させることにより、ファンタジーで言うところの炎の剣や魔法の鎧的なものを作ることが出来るらしい。

 でもその中で強力過ぎて普通の人では扱えないものもあったらしい。
 それが伝説の武器だったり神器とかって言われるものみたいだ。

 そういう武器には封印と呼ばれる力が付与されて力を制限されるらしいが、もしかしたらこの神秘のナイフもそういう類のものなんじゃないかと思った。

 あれ?そしたら解放したら使えなくなるんじゃね?……まぁいいか。
 というかどう解放したらいいの?
 残念ながらその答えは本には載っていなかった……ちくしょう。

 本を読んでいたらいつの間にか日が暮れていたみたいで、俺は本を棚に戻し食堂で夕食をとった。
 また変な名前の料理だった。
 ラバロの炒め物ってなんだ……普通に美味しかったけども。
 変な動物だったら嫌だな。

 俺はそのあと明日の依頼に備えて、2階の自分の部屋へ戻りベッドに入って寝た。
 ちなみに着替えはギルドから借りてるよ!不潔じゃないよ!

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・



《……神秘のナイフの自動鑑定を開始…

…鑑定不能

鑑定を可能にするには解放が条件と判断しました…神秘のナイフを解放します…

…解放不能

純潔のスキルを併用…高度な呪術の痕跡を感知…無効化を実行します…

…無効化不能

結果…現在の能力では解放不能と判断しました…

…神秘のナイフの解放には能力の進化が不可欠と判断しましたそれにより進化を開始…

…進化不能

進化には情報及びスキルが不足と判断…

…今後の課題として認知…》





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