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第3章 魔導帝国ハビリオン編

治癒魔法さん!それがあなたの全力なのかっ!

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「なにか助ける方法は無いんですか?」

一応助ける方法が別にあるかもしれないし聞いてみる…

もし俺が助けられるなら助けたい…本のこともあるけどやっぱり見殺しになんて出来ないよ

「……方法だけなら無くはない」

ハティオさんがそう言っていくつかの紙の束を出てきた…きっと色々な方法を探したんだろう

俺は紙の束の1つを手に取って読んでみる…

…うん…全然わからん…

いや読めるんだよ?でも理解できないわ…専門用語のオンパレードで全くわからない…

まぁでもこういう時に賢者先生だ!説明カモン!

《これは魔道具を使った…》


賢者先生によると心臓と同じ働きをする魔道具を体に埋め込むという方法らしい…これならもし本当の心臓が動かなくなっても生きられるみたいだ…動力は本人の魔力らしく問題は無いらしい

これ良い方法じゃないの?人工心臓みたいなやつでしょ?もしかしてこの魔道具がめちゃくちゃ値段が高いとか?

ハティオさんにこの魔道具の事を聞いてみると問題があることがわかった

「……本人の魔力がほとんど魔道具に使われてしまい魔力を扱うような能力を使えなくなる…それに魔力を打ち消したりするような力を受ければ…それまでだ」

…おふ…ダメだった…もし使うとしても延命治療的な事になるだけってことだ…

他の方法も延命だったりパル君の年齢的な問題もあったりしてほとんど不可能みたいだ…

ハティオさんが紙の束を見ている間に俺は賢者先生に聞く…治癒魔法でパル君を助けられる?

賢者先生の応えはいかに…

《不可能です》



……ぅえ?

俺は驚いて挙動不審になってしまっているだろう…

え?まって?不可能?どういうこと?もしかしてもう手遅れってこと!?治癒魔法じゃ治せないところまできちゃったってこと!?

《いいえ》

じゃあどういうこと!?もしかして治癒魔法より上位の能力じゃないと治せないのかな…


《回復系統の能力は治す…つまり“元に戻す”という能力なのです
なので生まれつき心臓が悪い者に対して回復能力を使っても元の“機能が低い心臓”にしかならないのです》


…なん…だと…!?チートな治癒魔法にそんな欠点があったなんて…!!ぐふぅっ!

心のどこかで俺の治癒魔法ならなんだって治せるぜ!と安心していたからショックがでかい…!!ぎゃぁぁ!ごめんよパル君!!俺のチートは君を治せないっ!!

じゃあじゃあどうすればいいの!このまま見殺しになんて出来ないって!

「方法はじゃあ無い…んですか…?」

俺はショックで声が小さくなってしまった…ここにある方法でも俺の力でもダメならどうすりゃいいの…

ハティオさんは顔を上げて俺を見てきた

「……どちらとも可能性の話だが…パルを助けられる方法が2つほどある…」

「え!?」

俺はバッとハティオさんを見る…このままパル君を助けないなんて勇者(仮)としてありえない!2つ方法があるなら1つぐらい…!

ハティオさんから言われた方法は難易度がとても高いものだった…おふ…なにそれ…

まず1つ目は東の国【神聖国ホルディット】にいる教皇…つまりそこの国のトップの人が奇跡の術を使えるらしくその力なら健康な心臓にすることも可能かもしれないと…あちゃー…

その国ってめっちゃイメージ悪いとこでしょ?そこのトップって…つまり極悪人じゃね?そんな人の力を借りたら後でなにを要求されるかわかったもんじゃないよね…

そしてもう1つの方法は…

「……スキルには【原初能力オリジンスキル】と呼ばれるものがあるらしい…そのスキルの力ならもしかしたら…」

そこまで言ってハティオさんは沈黙する…この2つの方法がどれだけ難易度が高いか理解しているんだろう…というか原初能力?なにそれ凄そう

その後しばらく話をしていたが雨が止んだので寮に戻ることにした

「あ…パル君の様子を見てもいいですか?」

「……ああ構わない」

ハティオさんが馬車を呼んでいる間にパル君のベッドに近付く…パル君は少し眉間にシワを寄せながら眠っている…もしかしたら苦しいのかもしれない…

俺はパル君の胸に手を置いて治癒魔法を使う

「【治癒の光ヒール】」

ポワッと胸の当たりが淡く光り少し息が落ち着いたように見える…俺はそれを見てホッとしながら時々パル君の様子を見に来ようかなと考えるのだった

・・・

「ありがとうございました」

「……いやいいんだ…話を聞いてくれてこちらこそ感謝する…また来てくれ」

「はいっ!」

ハティオさんの家の前で俺はハティオさんにお礼を言う…ハティオさんは最初一緒に寮まで送ると言ってくれたけどパル君をあまり1人にするのは危険だし…ということでここで別れることになった

御者の人に寮まで…と伝えてから馬車に乗り込む…馬車がゆっくりと走り出してハティオさんと家がどんどん小さくなっていく…俺はハティオさんに手を振りながらパル君が助かるようにと願った


すでに日が落ちていて街は魔導石の明かりに照らされている…人通りも少なくなっており窓から見える景色は落ち着いた色合いを見せていた

俺は馬車の中でこれからの事について考える…やりたい事はたくさんあるし…やらなきゃいけない事もたくさんある…今俺ができること…

そういえばあんまり見てなかったけどまずはステータスでも確認してみるか…賢者先生お願いします!

《クロイシ・ユウト

年齢16

職業 Dランク冒険者&ハビリオン学院生

レベル10

状態 健康

特殊スキル

賢者
無量空間
純潔マリア
魔眼

パッシブスキル

基本的言語
身体機能補正
気配感知
魔力感知
危険察知
魔力操作
再生
物理攻撃耐性(new)
闇属性攻撃激減
痛覚軽減


アクティブスキル

威圧
隠密
消音(new)
意思疎通
魔手マジックハンド
火炎魔法レベル4(new)(一部制限)
水流魔法レベル8(new)(一部制限)
気流魔法レベル3(new)(一部制限)
岩石魔法レベル4(new)(一部制限)
氷魔法レベル1(new)(一部制限)
雷魔法レベル1(new)(一部制限)
光魔法(一部制限)
治癒魔法(一部制限)
暗黒魔法(一部制限)
空間魔法(new)(一部制限)

称号

異世界から来た者
尻丸出しで旅した者
トイレの神様に愛された者
魔物から愛される者
救いを与える者
世界の深淵に触れる者

称号からの追加補正
童貞&処女》


おおっ!結構強くなってきてるね!…ん?なんか知らないスキルまでゲットしてる?物理攻撃耐性と氷魔法と雷魔法…これいつ獲得したんだろう?

《レッサーベヒモスとの戦いで条件を満たしたことにより獲得しました》

ほうほう…なるほど…前にもあったけどスキルを獲得するには条件ってのも必要になってくるんだよね…これは研究の必要がありますぜ

そんな事を考えていると馬車が止まった…学院に着いたようだ

俺は馬車を降りて御者の人にお礼をする…そして門番に学院証を見せてから寮へと向かう


寮の食堂は賑わっていたがなんとか席に座れたので夕食を食べる…メニューは何かの卵を使った料理…説明されてもわからないからね…

まぁでも食べてみると元の世界で食べてた卵料理の味に似ているので食べ…

「ユウトッ!」

「ぐふっ!」

ぐっ!やばいっ!食べ物が喉に詰まった!!誰だ俺を殺そうとするのはっ!

「無事だったんだねっ!よかった…っ!」


今は無事じゃないっ…って…

あ…フェ…フェル…君…



俺の拷問はまだ続くらしい…







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