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元ワケあり令嬢と騎士
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これまでのアビンス家の仕送りとハースの手助けとユーリスの資金で、施設をつくる。そのことが実現した。
ハースは一切お金はいらないと言っていたけれどユーリスはどうしてもと受け渡したのだ。
私もアビンス家に了承を得て渡した。どちらも気持ちを込めたいからこその行動だったのだろう。
私は私を拾ってくれたアビンス家に対する感謝を。ユーリスもそうであるようだけど、それ以外に自分の意志を形にしたいようだった。
孤児院の場所は私たちの家の隣。
草原で土地も広くて周りには住居がない。広々と育てるにはいい所だと提案したのだ。
買い物に行くにはすごく遠いというわけでもないから。
キルト家からは給与という形式でお金が送られてくる。それもこの孤児院で育った子はキルト家になんらかの形で遣えることになるから。もし別の道を歩みたいというのならそうさせるべきだとハースは言っていた。
つまり最終的には自由にしていいらしい。
キルト家に得があるのか。今現在としてはないとしか思えないけど、見返りというものはいつか必ずやってくるものだ。
私の役目は家事と一般知識などの勉強を。騎士のため勉強や訓練はユーリスがやってくれる。
子供がどこからやって来るのか。探せばいくらだっているという事実が悲しい。
アビンス家も協力してくれる、いや協力させてくれな体制だからちょっとした大きな規模になるのは目に見えていた。
私たち二人だけでそれらを支えるのは難だ。ましては初めての体験。
一人、協力者が入った。
政治や経済のことに関しては強力だろう。
「子供というのはいいな」
なぜ彼がと思った、最初は。
理解して受け入れるのに時間がかかった。
メルヒルの兄、エレノが快く迎え入れてあげてほしいと言っていたのはこのことかと察したからには拒絶などできなかった。
ユーリスが子供たちと遊んでいるーー太刀打ちをしている姿を見ている横顔は笑っているがどこか悲しそう。
唐突に頭を撫でてみる。
髪の毛細くてさらさらだ。
びっくりして瞳孔を開く目と目があって手を引っ込めた。
「……なんだ?」
「ルナの母と父がよくルナにやっていたわ」
孤児院の子供たちには、ルナの母が接していたようにやってきている。真似しなければどうすればいいかわからない。
「悲しんでいるとき、褒めるとき、慈しむとき、それをされるとルナはいつも嬉しそうに笑っていた」
「お前はよくわからないな」
微かに笑うと同じようにメルヒルも笑う。
羨ましいんだなってわかった。私も改めて考えると、ルナを羨ましい気持ちで見ていたときが何度かあったから。
ハースは一切お金はいらないと言っていたけれどユーリスはどうしてもと受け渡したのだ。
私もアビンス家に了承を得て渡した。どちらも気持ちを込めたいからこその行動だったのだろう。
私は私を拾ってくれたアビンス家に対する感謝を。ユーリスもそうであるようだけど、それ以外に自分の意志を形にしたいようだった。
孤児院の場所は私たちの家の隣。
草原で土地も広くて周りには住居がない。広々と育てるにはいい所だと提案したのだ。
買い物に行くにはすごく遠いというわけでもないから。
キルト家からは給与という形式でお金が送られてくる。それもこの孤児院で育った子はキルト家になんらかの形で遣えることになるから。もし別の道を歩みたいというのならそうさせるべきだとハースは言っていた。
つまり最終的には自由にしていいらしい。
キルト家に得があるのか。今現在としてはないとしか思えないけど、見返りというものはいつか必ずやってくるものだ。
私の役目は家事と一般知識などの勉強を。騎士のため勉強や訓練はユーリスがやってくれる。
子供がどこからやって来るのか。探せばいくらだっているという事実が悲しい。
アビンス家も協力してくれる、いや協力させてくれな体制だからちょっとした大きな規模になるのは目に見えていた。
私たち二人だけでそれらを支えるのは難だ。ましては初めての体験。
一人、協力者が入った。
政治や経済のことに関しては強力だろう。
「子供というのはいいな」
なぜ彼がと思った、最初は。
理解して受け入れるのに時間がかかった。
メルヒルの兄、エレノが快く迎え入れてあげてほしいと言っていたのはこのことかと察したからには拒絶などできなかった。
ユーリスが子供たちと遊んでいるーー太刀打ちをしている姿を見ている横顔は笑っているがどこか悲しそう。
唐突に頭を撫でてみる。
髪の毛細くてさらさらだ。
びっくりして瞳孔を開く目と目があって手を引っ込めた。
「……なんだ?」
「ルナの母と父がよくルナにやっていたわ」
孤児院の子供たちには、ルナの母が接していたようにやってきている。真似しなければどうすればいいかわからない。
「悲しんでいるとき、褒めるとき、慈しむとき、それをされるとルナはいつも嬉しそうに笑っていた」
「お前はよくわからないな」
微かに笑うと同じようにメルヒルも笑う。
羨ましいんだなってわかった。私も改めて考えると、ルナを羨ましい気持ちで見ていたときが何度かあったから。
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