海賊船◇囚われた姫〜拾われた身捨て姫の忘却〜

 あの自由な空へ飛びたい


 フォルテ家の一人娘、ユリウスはお城の暮らしに飽き飽きしていた。
 そしてついに城から抜け出し、知らぬ間に意識をなくしていた。気づいたときに目の前には三人の男。
 話していると一人の男、トーマはユリウスを助けたという。崖から飛び降りたユリウスを。
 思い出してみるとユリウスは言った。空へ飛べると思った、と。
 そんな答えを馬鹿にする男がいた。ゼクスという男だ。ユリウスは一番この男に苦手意識を持った。


 城へ戻りたくないというユリウスをゼクスは船から降ろそうとするが、そこへ兵に追われている仲間の一員イヴァンがやってくる。
 仕方なくも出航さなければならなくなった船にユリウスはまだ乗っていた。


 船の乗客はユリウスを合わせて7名となった。トーマ、ゼクス、イヴァン、ゼクス、ナギ……そして、レイという医療担当。一番無口である。


 海賊船にもかかわらず、船長と呼べる者がいない。そのわりにはみんなまとまっている。
 そんなクルーたちの傍で暮らす、ユリウスの非日常
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