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「……セナ……王」
涙声だと思ったら涙が溢れてきていた。
言ってはいけないと黙ろうとしていたのにそうはさせてくれなくて。まるで尋問のようにされて。せめられているようで悲しくなった。
「な、に……?」
「セナ王……! に言われたの、バレたら殺すぞって今のように」
呆然としたしたようなランスは胸ぐらを掴んでいた手を離す。
「だから、だからバレないようにって。心苦しかったけどそうするしかなかったの……! こんなこと言っても信じてくれないかもだけど、どうせ殺されるのなら本当のこと言って死にたい」
「死にたいなんて言わないで」
コーラス殿下の切実すぎる言葉にごめんなさいと謝りたくなるが、どうせころされるに違いないのだ。死にたい死にたくない思うも、ころされることに変わりはない。
「そうだよ。女の子が死にたいなんて、俺けっこう傷つく」
「でも、どうせ殺され……」
「セナのやつ殺すか?」
ランスの目がいってる。
「殺されるのはセナ王っぽいね」
コーラス殿下に同感してくれたユリクはなぜか嬉しそうに笑んだ。だが納得いかない。自国の王を殺すなんて冗談で言ってはいけないものだろう。それも本気だとしたらなおさらだめだ。
「待って。なんでそうなるの」
「お前はやつに脅されてたんだろ? ただそれだけなんだろ?」
セナ王、ただの"やつ"になってる。
「そう、だけど。騙してたことに変わりはない」
「お前は黙ってただけだ。よく考えてみれば、お前に男かと聞いたことはない。お前も自分が男だって言ったことねえだろ」
言えないから、言ったことはない。
鎧を着るのは男だけだから、勇者という存在も男のはずだから、ランスたちは言わずともカノンのことを男として疑いもしなかった。
「ランスは私を許してくれるの?」
「許すもなにも、そんなんじゃ恨めねーだろ」
女ということを隠そうとはしていたが、男だぞというアピールはしてこなかった。ただ自然体に鎧を着たまま行動してきた。
「ありがとう、ランス……。ありがとう……!」
「別にっ……ーー!」
顔を少し赤くさせるランスにとても安堵する。先程までずっと本当に人を殺しそうな顔をしていたから、一気にそれが緩んだようで気も緩む。敵がいなくなった気がした。
「ともかく、悪いのはセナ王として、どうする?」
コーラス殿下とカノン他五人がいる中、スウェンは初めて口を開いた。スウェンだけがカノンは女だと知っていた。カノンの名前も知っていた。だけどここでは皆と同じよう知らなかったことにしているのだろう。
セナ王に五人は、カノンが女だと知ったということを伝えた。
愕然としたようなセナ王が鎧を着ていないカノンを目にしてかっと見開く。そのことにカノンは怯むが、横から自然とユリクが前に立った。
それと同時にセナ王に立ちはだかったランスが「あいつが女でも勇者として守るし、勇者として頼りにする」だからーーと言葉に詰まる。その先に言うことはまだ決まっていなかったのだろう。
「今まで通り、彼女の側にいます」
ランスに続けたクラウディオのいつもの声音。
それでもセナ王は納得しない。彼らを見渡して「勇者が女で幻滅していないのか」と問う。
「逆に勇者が女の子の方が守ろうって燃えるじゃん」
ユリクの冗談めいた発言にカノンは、この国を守ろうと思わないとだめなんじゃ……と思うが、それにセナ王は呆れつつも呑み込んでくれた。
涙声だと思ったら涙が溢れてきていた。
言ってはいけないと黙ろうとしていたのにそうはさせてくれなくて。まるで尋問のようにされて。せめられているようで悲しくなった。
「な、に……?」
「セナ王……! に言われたの、バレたら殺すぞって今のように」
呆然としたしたようなランスは胸ぐらを掴んでいた手を離す。
「だから、だからバレないようにって。心苦しかったけどそうするしかなかったの……! こんなこと言っても信じてくれないかもだけど、どうせ殺されるのなら本当のこと言って死にたい」
「死にたいなんて言わないで」
コーラス殿下の切実すぎる言葉にごめんなさいと謝りたくなるが、どうせころされるに違いないのだ。死にたい死にたくない思うも、ころされることに変わりはない。
「そうだよ。女の子が死にたいなんて、俺けっこう傷つく」
「でも、どうせ殺され……」
「セナのやつ殺すか?」
ランスの目がいってる。
「殺されるのはセナ王っぽいね」
コーラス殿下に同感してくれたユリクはなぜか嬉しそうに笑んだ。だが納得いかない。自国の王を殺すなんて冗談で言ってはいけないものだろう。それも本気だとしたらなおさらだめだ。
「待って。なんでそうなるの」
「お前はやつに脅されてたんだろ? ただそれだけなんだろ?」
セナ王、ただの"やつ"になってる。
「そう、だけど。騙してたことに変わりはない」
「お前は黙ってただけだ。よく考えてみれば、お前に男かと聞いたことはない。お前も自分が男だって言ったことねえだろ」
言えないから、言ったことはない。
鎧を着るのは男だけだから、勇者という存在も男のはずだから、ランスたちは言わずともカノンのことを男として疑いもしなかった。
「ランスは私を許してくれるの?」
「許すもなにも、そんなんじゃ恨めねーだろ」
女ということを隠そうとはしていたが、男だぞというアピールはしてこなかった。ただ自然体に鎧を着たまま行動してきた。
「ありがとう、ランス……。ありがとう……!」
「別にっ……ーー!」
顔を少し赤くさせるランスにとても安堵する。先程までずっと本当に人を殺しそうな顔をしていたから、一気にそれが緩んだようで気も緩む。敵がいなくなった気がした。
「ともかく、悪いのはセナ王として、どうする?」
コーラス殿下とカノン他五人がいる中、スウェンは初めて口を開いた。スウェンだけがカノンは女だと知っていた。カノンの名前も知っていた。だけどここでは皆と同じよう知らなかったことにしているのだろう。
セナ王に五人は、カノンが女だと知ったということを伝えた。
愕然としたようなセナ王が鎧を着ていないカノンを目にしてかっと見開く。そのことにカノンは怯むが、横から自然とユリクが前に立った。
それと同時にセナ王に立ちはだかったランスが「あいつが女でも勇者として守るし、勇者として頼りにする」だからーーと言葉に詰まる。その先に言うことはまだ決まっていなかったのだろう。
「今まで通り、彼女の側にいます」
ランスに続けたクラウディオのいつもの声音。
それでもセナ王は納得しない。彼らを見渡して「勇者が女で幻滅していないのか」と問う。
「逆に勇者が女の子の方が守ろうって燃えるじゃん」
ユリクの冗談めいた発言にカノンは、この国を守ろうと思わないとだめなんじゃ……と思うが、それにセナ王は呆れつつも呑み込んでくれた。
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