31 / 35
30
しおりを挟む
切に願うリーンさんを拒めなかった。
彼女を否定してでも止めるべきはずだった。
人一人の命だ。それが失われるかもしれない。とても大事な愛するひとだ。何ものにも変えられない。大事な存在だ。
それなのにセナ王はそれを止めることはリーンさんを否定することのように感じられできなかったらしい。本当に馬鹿なことをしたと悔やんだが、自分とリーンさんにそっくりな赤ん坊の笑っている顔をみて、自分は私達のかけがえのない奇跡をないものにしようとしていたことに気づいたという。
そしてセナ王の実の息子が誰なのかと言うと。
「本人に打ち明けるんですよね。それ少し待ってくれませんか?」
なぜだという顔。
それはそうだ大事な話をさえぎろうとしているのだから。この時を待っていたということも言っていたような気がする。
「スウェンはまだ体調が万全ではありません。だから完治するまでの間は黙っていてくれませんか?」
「……わかった」
本当にびっくりしたものだ。
あのスウェンが彼の息子なのだから。
「もし、スウェンの父親っていう存在が現れたらどう思う?」
「突飛な質問だな、また」
「いいから。答えてほしいんだけど」
「別にどうも思わない」
「え?」
「顔も何も覚えていない存在が目の前に来てもそうだろう。言われなきゃわからない」
「そうじゃなくて、その、だから!ㅤ君の父親です初めましてって挨拶されたらどう?」
「びっくりくらいする」
「それだけ?」
何を求めてるんだこいつっていう顔やめてほしい。
わたしとしてはそのことを聞いた後のことを心配して来たのに。
スウェンの怪我は悪化はしてはいないけどまだベットに安静に寝かせられている。それでもわたしが来たときには座って話ができる状態だ。
「嫌だな、とか嬉しいなとか、そういった感情というか」
「そうだな。人としていいやつなら嬉しいんじゃないか?」
「そうじゃなかったら?」
「知りたくなかったって思う。これでいいか?」
食い気味に聞くわたしに仕方なく答えているという感じだがそれが本音なのか。諦めるしかないと思う。スウェンが事実を聞いた後の心理状態を。
「わかった。知りたいよ、どんな人でも。たとえ悪人でも知りたいって思っていたときがあったな」
「そ、そっか!」
わたしは酷い顔をしていたのだと思う。わたしを見てこれじゃいけなかったのかと思考して言い直したのを知っている。それでもわたしは少し安堵した。
父親の存在なんてどうでもいいような雰囲気だったから。恨んでいるとか、素敵な人だったらとか一切望んでいなかった。
彼女を否定してでも止めるべきはずだった。
人一人の命だ。それが失われるかもしれない。とても大事な愛するひとだ。何ものにも変えられない。大事な存在だ。
それなのにセナ王はそれを止めることはリーンさんを否定することのように感じられできなかったらしい。本当に馬鹿なことをしたと悔やんだが、自分とリーンさんにそっくりな赤ん坊の笑っている顔をみて、自分は私達のかけがえのない奇跡をないものにしようとしていたことに気づいたという。
そしてセナ王の実の息子が誰なのかと言うと。
「本人に打ち明けるんですよね。それ少し待ってくれませんか?」
なぜだという顔。
それはそうだ大事な話をさえぎろうとしているのだから。この時を待っていたということも言っていたような気がする。
「スウェンはまだ体調が万全ではありません。だから完治するまでの間は黙っていてくれませんか?」
「……わかった」
本当にびっくりしたものだ。
あのスウェンが彼の息子なのだから。
「もし、スウェンの父親っていう存在が現れたらどう思う?」
「突飛な質問だな、また」
「いいから。答えてほしいんだけど」
「別にどうも思わない」
「え?」
「顔も何も覚えていない存在が目の前に来てもそうだろう。言われなきゃわからない」
「そうじゃなくて、その、だから!ㅤ君の父親です初めましてって挨拶されたらどう?」
「びっくりくらいする」
「それだけ?」
何を求めてるんだこいつっていう顔やめてほしい。
わたしとしてはそのことを聞いた後のことを心配して来たのに。
スウェンの怪我は悪化はしてはいないけどまだベットに安静に寝かせられている。それでもわたしが来たときには座って話ができる状態だ。
「嫌だな、とか嬉しいなとか、そういった感情というか」
「そうだな。人としていいやつなら嬉しいんじゃないか?」
「そうじゃなかったら?」
「知りたくなかったって思う。これでいいか?」
食い気味に聞くわたしに仕方なく答えているという感じだがそれが本音なのか。諦めるしかないと思う。スウェンが事実を聞いた後の心理状態を。
「わかった。知りたいよ、どんな人でも。たとえ悪人でも知りたいって思っていたときがあったな」
「そ、そっか!」
わたしは酷い顔をしていたのだと思う。わたしを見てこれじゃいけなかったのかと思考して言い直したのを知っている。それでもわたしは少し安堵した。
父親の存在なんてどうでもいいような雰囲気だったから。恨んでいるとか、素敵な人だったらとか一切望んでいなかった。
0
お気に入りに追加
160
あなたにおすすめの小説
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
【完結】ペンギンの着ぐるみ姿で召喚されたら、可愛いもの好きな氷の王子様に溺愛されてます。
櫻野くるみ
恋愛
笠原由美は、総務部で働くごく普通の会社員だった。
ある日、会社のゆるキャラ、ペンギンのペンタンの着ぐるみが納品され、たまたま小柄な由美が試着したタイミングで棚が倒れ、下敷きになってしまう。
気付けば豪華な広間。
着飾る人々の中、ペンタンの着ぐるみ姿の由美。
どうやら、ペンギンの着ぐるみを着たまま、異世界に召喚されてしまったらしい。
え?この状況って、シュール過ぎない?
戸惑う由美だが、更に自分が王子の結婚相手として召喚されたことを知る。
現れた王子はイケメンだったが、冷たい雰囲気で、氷の王子様と呼ばれているらしい。
そんな怖そうな人の相手なんて無理!と思う由美だったが、王子はペンタンを着ている由美を見るなりメロメロになり!?
実は可愛いものに目がない王子様に溺愛されてしまうお話です。
完結しました。
転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
美醜逆転世界でお姫様は超絶美形な従者に目を付ける
朝比奈
恋愛
ある世界に『ティーラン』と言う、まだ、歴史の浅い小さな王国がありました。『ティーラン王国』には、王子様とお姫様がいました。
お姫様の名前はアリス・ラメ・ティーラン
絶世の美女を母に持つ、母親にの美しいお姫様でした。彼女は小国の姫でありながら多くの国の王子様や貴族様から求婚を受けていました。けれども、彼女は20歳になった今、婚約者もいない。浮いた話一つ無い、お姫様でした。
「ねぇ、ルイ。 私と駆け落ちしましょう?」
「えっ!? ええぇぇえええ!!!」
この話はそんなお姫様と従者である─ ルイ・ブリースの恋のお話。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる