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セナ王がそんなことをするはずがないのに。
そう思っていたからこそ恨み、こんなことをしてきたのだろう。
全て勘違い、してきたことは無意味。ただの逆恨み。
「お前とリーンとの子を奪われると予知できていたのだろう?なぜ守らなかった」
「お前のもとにやるべきかと思った」
落ち着いた声音のコーラス皇帝は少しは反省しているのだろうか。後悔しているにはちがいない。
「なぜ実の息子をやろうと?」
「お前は人質が欲しかったのだろう。私がお前に危害を加えたときに盾にしようと」
「最初はそう思っていた。そう思っていたはずなんだがな」
「メヒストが戦争を止めに行ったのを力づくで止めなかったのは、それが原因だったか。実の息子のように愛を注いだのだな」
「お前の方はどうなんだ」
「コーラスには悪いが、私の方は養子として育てたよ。いつか実の親の話をしようと、そしてリーンのことも」
「セナの方が全うしたものなんだろうな」
これまでのことはなんとか理解できたけど、まさかなって感じで両隣を見た。みんな無表情だけど何人かは確信ついた顔をしていて。その何人かの中にはメヒストも含まれる。
「それで、私の実の息子というのか、それはどいつだ」
「ここにはいない。戦争中に負傷した。負傷しただけだ。安静にしている」
私の実の息子? 戦争中に負傷?
「部屋を借りていいか」
「悪いことをしないなら好きにしろ」
「メヒスト、もう全て理解してしまったかもしれないが話がある」
さっきからおかしい。
ぐにゃぐにゃな内容だ。
コーラス皇帝の招きにメヒストは難なく受け入れた。
いやちょっとまって。
コーラス皇帝の息子はメヒストのはずだ……よね?
セナ王にも息子がいたようで、養子として育てたって。でもそれは実の息子ではなくてコーラス皇帝とリーンさんの子供で。
実の息子のようにということは、コーラス皇帝の育てた子供は実の息子ではないということになるわけで。メヒストは……。これからどんな話を聞くんだろう。
「私もあいつと話をせねばな」
「あいつって誰ですか?」
セナ王が言うにはメヒストはセナ王の実の息子らしい。つまりセナ王とリーンさんとの間に身ごもった子供。だからメヒストは少し先の相手の攻撃がわかるのだと。
コーラス皇帝との子供を身ごもり帰ってきたリーンさんとセナ王の間にすぐ子供ができたらしい。一人目を産んだときにはすでにリーンさんの体は弱りはて、二人目を産むことをセナ王は止めた。しかしリーンさんは流産を選ばなかった。あなたとの子を産ませてほしいと。
そう思っていたからこそ恨み、こんなことをしてきたのだろう。
全て勘違い、してきたことは無意味。ただの逆恨み。
「お前とリーンとの子を奪われると予知できていたのだろう?なぜ守らなかった」
「お前のもとにやるべきかと思った」
落ち着いた声音のコーラス皇帝は少しは反省しているのだろうか。後悔しているにはちがいない。
「なぜ実の息子をやろうと?」
「お前は人質が欲しかったのだろう。私がお前に危害を加えたときに盾にしようと」
「最初はそう思っていた。そう思っていたはずなんだがな」
「メヒストが戦争を止めに行ったのを力づくで止めなかったのは、それが原因だったか。実の息子のように愛を注いだのだな」
「お前の方はどうなんだ」
「コーラスには悪いが、私の方は養子として育てたよ。いつか実の親の話をしようと、そしてリーンのことも」
「セナの方が全うしたものなんだろうな」
これまでのことはなんとか理解できたけど、まさかなって感じで両隣を見た。みんな無表情だけど何人かは確信ついた顔をしていて。その何人かの中にはメヒストも含まれる。
「それで、私の実の息子というのか、それはどいつだ」
「ここにはいない。戦争中に負傷した。負傷しただけだ。安静にしている」
私の実の息子? 戦争中に負傷?
「部屋を借りていいか」
「悪いことをしないなら好きにしろ」
「メヒスト、もう全て理解してしまったかもしれないが話がある」
さっきからおかしい。
ぐにゃぐにゃな内容だ。
コーラス皇帝の招きにメヒストは難なく受け入れた。
いやちょっとまって。
コーラス皇帝の息子はメヒストのはずだ……よね?
セナ王にも息子がいたようで、養子として育てたって。でもそれは実の息子ではなくてコーラス皇帝とリーンさんの子供で。
実の息子のようにということは、コーラス皇帝の育てた子供は実の息子ではないということになるわけで。メヒストは……。これからどんな話を聞くんだろう。
「私もあいつと話をせねばな」
「あいつって誰ですか?」
セナ王が言うにはメヒストはセナ王の実の息子らしい。つまりセナ王とリーンさんとの間に身ごもった子供。だからメヒストは少し先の相手の攻撃がわかるのだと。
コーラス皇帝との子供を身ごもり帰ってきたリーンさんとセナ王の間にすぐ子供ができたらしい。一人目を産んだときにはすでにリーンさんの体は弱りはて、二人目を産むことをセナ王は止めた。しかしリーンさんは流産を選ばなかった。あなたとの子を産ませてほしいと。
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