私のバラ色ではない人生

野村にれ

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母娘の再会8

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「迎えに来たくても、立場があるから来られないのでしょう?苦しんでいるんじゃない?心配だわ」

 またも頬に手を当てて、少女のような仕草をしているが、エミアンローズも発言も相まって、腹が立って来ていた。

「そんな風に解釈していたのですか、すごい想像力ですね」
「エミアンには言わないのかもしれないけど、リベルは私を愛しているの」
「はあ…お父様はお母様を選んだことを、今となっては後悔していますよ」
「そんなはずないわ!いくらエミアンでも言っていいことと、悪いことがあるわ!」

 後悔しているなんてあり得ない、どうしてエミアンローズがそんなことを言うのか、留学したことで悪い影響を受けたのではないかと感じていた。

「私は事実を言っています」
「事実じゃないわ」
「そうですか、ならばお父様が迎えに来るのを、あの汚い家で、一生待っていればいいのではありませんか?」
「どうしてそんなことを言うの!ママが可哀想だと思わないの?」
「自業自得ではありませんか」

 ララシャはこんな意地悪なことを言う子ではなかった。私が離れたことで、こんな風になってしまったのだと、ショックだった。

「エミアン、どうしちゃったの?エミアンはそんなことを言う子じゃなかったわ」
「お母様が面倒だから言わなかっただけです」
「…え?」
「お母様は都合のいいことしか、聞かないじゃないですか」
「そんなことないわ、ママはいつもエミアンのことを考えて、聞いていたわ」
「そうですか…」

 指摘しても認めようとしないところも、似ているのだから、何を言っても無駄だと感じる。いつも相手はこんな気持ちだったのかと、エミアンローズは感じていた。

「そうよ!だから一緒に暮らしましょう」
「だから、無理だと言ったでしょう?私にそんな権限も、力もないわ」
「そんなことないわ、エミアンがリベルに言って、リベルが話をすればいいのよ。ね?そうしましょう!皆で一緒に暮らした方がいいじゃない」

 話を聞かない相手というのはこんなに疲れるのか、同じことを言っている自覚がないのか。ソアリスの言うララシャと特技とも言いたくない、自分の意見が通るまで、話し続けるという技である。

「叶うはずないでしょう?お父様は王弟なんですよ」
「王宮では暮らせなくても、ねえ、別のところで暮らせばいいじゃない」

 どうして離縁した妻の面倒をわざわざ看なければならないのか、お母様はニコニコしており、おかしなことを言っている感覚もないのだろう。

 叶うはずだと信じていいることも、恐ろしい。

「ピデム王国に泥を塗った人間が、暮らせるはずがないでしょう?」
「あれはエミアンのためじゃない!どうして分かってくれないのよ…エミアン、どうしてそんな風になってしまったの?」
「どうせ、私が王太子妃になれば、自慢が出来るとでも思っただけでしょう?今となっては、よくもあんなことが言えたものですよ」

 ララシャのしたことが改めて、恥ずかしいでは済まされない話ではあるが、エミアンローズの感覚としては恥ずかしいと言う言葉がピッタリだと思っていた。

「幸せになって欲しかったのよ」
「ミフル殿下を望まれているのに、幸せになれるはずがないじゃないですか」
「そんなことないわ、エミアンなら、ママに似ているのだから、愛さずにはいられないはずよ」

 本気で言っているお母様に、エミアンローズは吐き気すらした。

「ミフル殿下を見たことがないのですか?あんなに美しい方はなかなかいませんよ?」
「でも、エミアンは私に似ているのだから」
「似ていて太っているという意味ですか?」
「何を言うの!太ってないどいないわ!まさか、ソアリスに言われたの?あの子はおかしいのよ」
「太っていますよ、お腹に肉が重なってのっているではありませんか」

 ソアリスが凝視していた腹の肉を、奇しくもエミアンローズがララシャの三段腹を指さして、指摘した瞬間であった。


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本日もお読みいただきありがとうございます。

本日は、17時にもう1話投稿させていただきます。

どうぞよろしくお願いいたします。
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