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畜生1
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ルルエの妊娠と共に、三年生になっているミフルが学園を卒業し、エスザール王国に嫁ぐ時も刻一刻と迫っていた。
子どもが7人もいて、国外に嫁ぐのはミフルが初となる。
次期王太子殿下の結婚式ということもあり、随分前から準備は始まっている。卒業後、一ヶ月するとエスザール王国に行ってしまうことになる。
とは言っても、列車もあるので半日も掛からず生き来は出来る。だが、王族同士であるために、おいそれと行き来は出来ないのも現実ではある。
アンセムは日に日に、ミフル~っと嘆いている。そこへ丁度、書類の確認にやって来たソアリスは、あっさと言い放った。
「国王を辞めればいいじゃない、そうしたら会いに行けるわよ?」
言い出したのはソアリスである。皆、驚きはするが初めてのことではないために、大騒ぎとはならない。節目節目にそろそろいいんじゃないかと匂わせている。
ユリウスの結婚の際、マイノスの結婚の際、ルルエの出産後、エクシアーヌの出産後、自信がケイトを産んだ後など、今なら可能なのではないか?イケるんじゃないかというタイミングで、ぶち込んでくるスタイルである。
「さすがに…まだな…」
クロンデール王国は退位が早いとはいえ、アンセムですら三十六歳で、ユリウスはまだ二十五歳である。
「畜生っっっ!」
ソアリスは毎回、心の底から悔しがっている。王妃の言う言葉ではないのだが、サボりたい、遊んで暮らしたい、とは言っても怠惰な生活をする質ではない。
「ユリウスにせめてケイトが結婚するまではと言われているからな」
「えええ!せめて、カイルスではなく…?」
ソアリスは絶望的な顔をしており、アンセムはユリウスにそう言われて、それもそうだなと思ったことを申し訳ない気持ちになった。
「王女として嫁がせた方がいいでしょうと言われてな…」
「国王の妹でいいじゃない…ルルエの方が王妃に相応しいわ…さすがに今すぐとは言わないけど、ああ…あの子が…結婚って…何年後よ…どうにか後、五年くらいで結婚しないかしら…」
「さすがに無理だろう…」
「そもそも、ケイト、私に似て…結婚出来るのかしら…」
不穏な言葉を残して、肩を落としながら、ソアリスは出て行った。
「王妃陛下は、ご自身が向いていないと思っていらっしゃいますが、周りはそうは思っていませんよ」
オーランがアンセムに向けて告げた。
「分かっている…あの口の悪さが、なぜか人を惹きつけるんだよな」
「はい…裏表がないという表現が正しいかは分かりませんが、嘘のない方です。味方にすれば、あれほど心強い方はおりません」
裏を返せば、敵にはしたくないということもある。
「我が妻も尊敬しております」
「私の妻もです」
二人も妻帯者であり、ソアリスは派閥など持っていないが、王太子妃、王妃という立場を振りかざすことにためらいがない分、ガンガン突撃して行ってしまう。
「オーランの妻も、助けられたと言っておったものな」
「はい、茶会の席で、従妹が妻に突っかかりまして、『大人しく茶も飲めないのなら、子どものおままごとの茶会に混ぜて貰え』とおっしゃったそうです」
「おおぅ」
間違いなく言いそうではあるが、なかなかの衝撃である。
「妻は地味だと言われることが多くて、それで馬鹿にされることが多いと話したそうです。すると、何が悪い?清潔にして、見ていて不愉快でないこと、それだけで十分ではないか。派手だったら偉いのか?とおっしゃったそうで」
「ソアリスなら言うだろうな」
「王妃陛下は、派手な方であるのに何だか、スッと受け入れられそうです」
もう少し派手というよりは、目立つようにした方がいいのかと思っていたが、目の前の飾らないソアリスを見て、ありのままを受け入れることが出来た。
子どもが7人もいて、国外に嫁ぐのはミフルが初となる。
次期王太子殿下の結婚式ということもあり、随分前から準備は始まっている。卒業後、一ヶ月するとエスザール王国に行ってしまうことになる。
とは言っても、列車もあるので半日も掛からず生き来は出来る。だが、王族同士であるために、おいそれと行き来は出来ないのも現実ではある。
アンセムは日に日に、ミフル~っと嘆いている。そこへ丁度、書類の確認にやって来たソアリスは、あっさと言い放った。
「国王を辞めればいいじゃない、そうしたら会いに行けるわよ?」
言い出したのはソアリスである。皆、驚きはするが初めてのことではないために、大騒ぎとはならない。節目節目にそろそろいいんじゃないかと匂わせている。
ユリウスの結婚の際、マイノスの結婚の際、ルルエの出産後、エクシアーヌの出産後、自信がケイトを産んだ後など、今なら可能なのではないか?イケるんじゃないかというタイミングで、ぶち込んでくるスタイルである。
「さすがに…まだな…」
クロンデール王国は退位が早いとはいえ、アンセムですら三十六歳で、ユリウスはまだ二十五歳である。
「畜生っっっ!」
ソアリスは毎回、心の底から悔しがっている。王妃の言う言葉ではないのだが、サボりたい、遊んで暮らしたい、とは言っても怠惰な生活をする質ではない。
「ユリウスにせめてケイトが結婚するまではと言われているからな」
「えええ!せめて、カイルスではなく…?」
ソアリスは絶望的な顔をしており、アンセムはユリウスにそう言われて、それもそうだなと思ったことを申し訳ない気持ちになった。
「王女として嫁がせた方がいいでしょうと言われてな…」
「国王の妹でいいじゃない…ルルエの方が王妃に相応しいわ…さすがに今すぐとは言わないけど、ああ…あの子が…結婚って…何年後よ…どうにか後、五年くらいで結婚しないかしら…」
「さすがに無理だろう…」
「そもそも、ケイト、私に似て…結婚出来るのかしら…」
不穏な言葉を残して、肩を落としながら、ソアリスは出て行った。
「王妃陛下は、ご自身が向いていないと思っていらっしゃいますが、周りはそうは思っていませんよ」
オーランがアンセムに向けて告げた。
「分かっている…あの口の悪さが、なぜか人を惹きつけるんだよな」
「はい…裏表がないという表現が正しいかは分かりませんが、嘘のない方です。味方にすれば、あれほど心強い方はおりません」
裏を返せば、敵にはしたくないということもある。
「我が妻も尊敬しております」
「私の妻もです」
二人も妻帯者であり、ソアリスは派閥など持っていないが、王太子妃、王妃という立場を振りかざすことにためらいがない分、ガンガン突撃して行ってしまう。
「オーランの妻も、助けられたと言っておったものな」
「はい、茶会の席で、従妹が妻に突っかかりまして、『大人しく茶も飲めないのなら、子どものおままごとの茶会に混ぜて貰え』とおっしゃったそうです」
「おおぅ」
間違いなく言いそうではあるが、なかなかの衝撃である。
「妻は地味だと言われることが多くて、それで馬鹿にされることが多いと話したそうです。すると、何が悪い?清潔にして、見ていて不愉快でないこと、それだけで十分ではないか。派手だったら偉いのか?とおっしゃったそうで」
「ソアリスなら言うだろうな」
「王妃陛下は、派手な方であるのに何だか、スッと受け入れられそうです」
もう少し派手というよりは、目立つようにした方がいいのかと思っていたが、目の前の飾らないソアリスを見て、ありのままを受け入れることが出来た。
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