私のバラ色ではない人生

野村にれ

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祖母と孫1

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 一方、ソアリスお祖母様は、一緒に遊んでくれるので、孫にも好かれている。

「ミオス、エマリー!」
「おばあしゃま」「おばぁちゃま」

 マイペースなケイトとは違って、ミオスとエマリーは一緒にいることが多い。

「今日も元気で、愛らしいわね」
「はい!」「あい!」

 ルルエは公務も多いので、エクシアーヌが面倒を看ることも多く、かと言ってケイトのように振り回すようなことはないので、穏やかである。

「エクシアーヌもごきげんよう」
「ごきげんよう」
「ここは穏やかね~」
「ケイト殿下に何か?」

 最近、ソアリスが憂いの顔をすると言えば、ケイトである。お供のご褒美の夕食もおやつも、腹がはち切れるのではないかと心配するほど食べたのである。

「朝食が少なかったのではないかと言い出して、大変だったのよ」
「え?」
「パンがね、ふわふわだったの。だから、食べた気がしないとかなんとか。だからおかわりもしたのよ?ふわふわで美味しかったじゃないって、喧嘩よ…はあ…」

 料理長が最近、開発に力を入れていた一品だったのに、文句を言うのかと言えば、そうではなく、もっと食べたいと言い、食べ過ぎだと、喧嘩になったのだ。

「え?」
「え?しか出ないわよね、気にしないで。娘に疲れて、孫と遊びに来たのだから!さあ、ミオス、エマリー遊ぶわよ!」
「はい!」「あい!」

 エクシアーヌも最初は驚いたが、三人が遊んでいるのは、カイルスともやっていた抱きつき、体当たりである。初めて見た時は、ルルエも一緒にいたのだが、カイルス殿下とよくやっていたわと懐かしそうに微笑まれてしまった。

『ですが、こういったことは普通、祖母がやることなのでしょうか』

 エクシアーヌは父親や男兄弟がやることではないだろうかと思ったが、ましてや祖母がやることとは思えなかった。

『まあ、当時の私と同じことを考えるのね』
『そうですか?』
『ええ、私も母にやって貰ったこともなければ、父にもして貰ったこともなかったものですからね、両親に聞いてみたのです。そうしたら、妃殿下は体力がおありになるから、特別な遊びだと言われましたの』
『まあ…確かに、私の父は出来るでしょうけど、母は無理でしょうね』

 母もか弱い質ではないが、さすがにソアリスほど体力はない。そして、王家でこのような遊びをしているところは見たことがない。

『そうでしょう?でもね、お義母様にも、さすがに男の子は大きくなると敵わないから、今だけの特権なのと言われましたの。ですから、特別な遊びなのです』
『分かりました』

 納得はしたが、マイノスにも話をした。

『普通ではないことは分かっているが、私も兄も妹たちも全員した遊びなんだ』
『そ、そうなのですね』
『ああ、幼い頃は何の疑いも持っていなかったが、さすがにミフル辺りで気付いてね。ルルエ様に見られた時にエクルと兄上は不味いと思ったらしいけど…エクシアーヌも、そうなるよね』
『驚きはしましたが、ルルエ様の話に納得もしました。お義母様は女の子の遊びは難しいそうですものね』
『ああ、刺繍や絵を描いたり、絵本を読んだりは難しくてね…絵本は父上が読んでくれたよ』

 ソアリスは刺繍も絵も壊滅的で、すぐに寝てしまうために、絵本は読めない。アンセムが時折、読んでくれていた。

 おかげでエクシアーヌもすっかり受け入れており、子どもたちはキャッキャッと笑いながら、ソアリスに投げられている。柔らかい絨毯の上なので、問題はない。

 ソアリスも孫二人には、優しめで、ふわふわのむちむちを堪能している。

「孫は可愛いって本当だわ~」

 そう言いながら、二人が飽きるまで遊び続けた。

「今日はこてんと寝てしまうわね」
「さようでございますね」

 ソアリスに遊んでもらった日は、ミオスとエマリーはよく眠るので、エクシアーヌは有難いとすら思うようになっていった。
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