250 / 278
報告2
しおりを挟む
「実はこちらからも考えて欲しいことがあるのだけど、よろしいかしら?」
「はい!」
「はい、何でしょうか」
「ミソラ夫人にね、ルルエの侍女になって貰えないかと思って」
ミソラもリークスも、驚いた後で、ピカピカと瞳を輝かせた。
「光栄でございます」
「良かったな、ミソラ」
リークスもミソラを見つめて、微笑んでいる。
「ええ!王妃陛下、是非とも、お受けしたく思います」
「考えてからでいいのよ、あと家のこと、お子さんのことを優先でいいから、あとは…シェリー・トリラスも付いて貰うことになっているから」
「トリラス様が、それは心強いです。是非とも、お願いします」
令嬢として、夫人として、これ以上ないほどの名誉である。ミソラもシェリーのマナーの授業のことは聞いており、尊敬していた。
「ルルエは、あのように穏やかですからね。侍女は頼りになる、年上の夫人がいいということになりましてね」
穏やかさとは無縁のソアリスとは違うので、年齢だけで判断するわけではないが、年上の方がルルエも頼りやすく、しっかりした夫人が良いのではないかと抜擢されたのが、シェリーとミソラであった。
二人も年齢はわずかに違い、ルルエよりも少し年上である。
ちなみにソアリスの侍女が、全員年下なのは、年上が間違って偉そうにでもして、喧嘩になることを恐れたのと、姉にイメージが悪いこと。そして、万が一の際はソアリスに、縋りついてでも止めることが出来そうな者が抜擢されている。
「あと一人、二人くらいは追々増やして、ローテーションにすればいいと思っておりますの」
「本当に嬉しいです」
「そう?考えなくてもいいの?私は渋られたら、オードエル公爵家、フレイク侯爵家としても、妖精ミーチュアの愚行を払拭が出来るでしょう?って言おうと思っていたのに、要らなかったわね」
皆は断ることはないと思っていたが、ソアリスは優秀だからと言って、無理矢理に就けることはしたくなかったが、良い人材というのもなかなかいないので、快く受けては貰いたい複雑な思いだった。
「貢献が出来ることも嬉しく思います」
このような形で、ミソラはルルエの侍女となったのである。ルルエの侍女もソアリスと同じように、交互に出勤したり、二人で出勤したりという体制になっている。
ルルエの執務室はソアリスのように『ふざけやがって!シワシワババア!』『頭おかしいのか!マルハゲオヤジ!』などという言葉が飛び交うことはないので、とても穏やかだそうだ。
そして、ララシャの夜会でのことを聞いたソアリスは、呆れるよりも、案の定という気持ちであった。
「お父様は災難でしたわね」
「去ろうとしたそうですが、勝手に話し始めたそうです」
「肥え太った中年がオペラでも、歌っていると思った方がいいわ」
グフっと言いながら、ミソラはララシャがオペラを歌っていたと想像をしてしまい、美しい顔の下唇を出して、耐えている。
「腹の立つ顔も、だらしのない身体も、こいつはオペラを歌っているから、こんな顔をして、肥え太っているのだとも思えばいいのよ!声はあのような強請るような声ではなく、好みのオペラ歌手の方にしてね」
ミソラは今度は鼻の下を伸ばして、まだ必死に耐えており、声が出せない。
「ちょっと?美しい顔が酷い顔になっているわよ」
「ししし、失礼しました!的確な表現過ぎて…グフっ」
ミソラはサリエストに似て美しい顔をしているが、ソアリスの悪口から出るブラックさが大好きなのだが、耐えられないほど、とても弱いのである。
最初は緊張していて出てなかったが、侍女になって接する機会が多くなって、耐えられなくなった。だが辛辣な言葉を聞きたいがために、果敢にやって来る。
「父に伝えて置きます」
「ええ、関わらないのが一番の安寧だけど、対処法だと教えてあげて」
「はい!」
「また何かあったら、教えて頂戴」
「はい、勿論でございます」
「はい!」
「はい、何でしょうか」
「ミソラ夫人にね、ルルエの侍女になって貰えないかと思って」
ミソラもリークスも、驚いた後で、ピカピカと瞳を輝かせた。
「光栄でございます」
「良かったな、ミソラ」
リークスもミソラを見つめて、微笑んでいる。
「ええ!王妃陛下、是非とも、お受けしたく思います」
「考えてからでいいのよ、あと家のこと、お子さんのことを優先でいいから、あとは…シェリー・トリラスも付いて貰うことになっているから」
「トリラス様が、それは心強いです。是非とも、お願いします」
令嬢として、夫人として、これ以上ないほどの名誉である。ミソラもシェリーのマナーの授業のことは聞いており、尊敬していた。
「ルルエは、あのように穏やかですからね。侍女は頼りになる、年上の夫人がいいということになりましてね」
穏やかさとは無縁のソアリスとは違うので、年齢だけで判断するわけではないが、年上の方がルルエも頼りやすく、しっかりした夫人が良いのではないかと抜擢されたのが、シェリーとミソラであった。
二人も年齢はわずかに違い、ルルエよりも少し年上である。
ちなみにソアリスの侍女が、全員年下なのは、年上が間違って偉そうにでもして、喧嘩になることを恐れたのと、姉にイメージが悪いこと。そして、万が一の際はソアリスに、縋りついてでも止めることが出来そうな者が抜擢されている。
「あと一人、二人くらいは追々増やして、ローテーションにすればいいと思っておりますの」
「本当に嬉しいです」
「そう?考えなくてもいいの?私は渋られたら、オードエル公爵家、フレイク侯爵家としても、妖精ミーチュアの愚行を払拭が出来るでしょう?って言おうと思っていたのに、要らなかったわね」
皆は断ることはないと思っていたが、ソアリスは優秀だからと言って、無理矢理に就けることはしたくなかったが、良い人材というのもなかなかいないので、快く受けては貰いたい複雑な思いだった。
「貢献が出来ることも嬉しく思います」
このような形で、ミソラはルルエの侍女となったのである。ルルエの侍女もソアリスと同じように、交互に出勤したり、二人で出勤したりという体制になっている。
ルルエの執務室はソアリスのように『ふざけやがって!シワシワババア!』『頭おかしいのか!マルハゲオヤジ!』などという言葉が飛び交うことはないので、とても穏やかだそうだ。
そして、ララシャの夜会でのことを聞いたソアリスは、呆れるよりも、案の定という気持ちであった。
「お父様は災難でしたわね」
「去ろうとしたそうですが、勝手に話し始めたそうです」
「肥え太った中年がオペラでも、歌っていると思った方がいいわ」
グフっと言いながら、ミソラはララシャがオペラを歌っていたと想像をしてしまい、美しい顔の下唇を出して、耐えている。
「腹の立つ顔も、だらしのない身体も、こいつはオペラを歌っているから、こんな顔をして、肥え太っているのだとも思えばいいのよ!声はあのような強請るような声ではなく、好みのオペラ歌手の方にしてね」
ミソラは今度は鼻の下を伸ばして、まだ必死に耐えており、声が出せない。
「ちょっと?美しい顔が酷い顔になっているわよ」
「ししし、失礼しました!的確な表現過ぎて…グフっ」
ミソラはサリエストに似て美しい顔をしているが、ソアリスの悪口から出るブラックさが大好きなのだが、耐えられないほど、とても弱いのである。
最初は緊張していて出てなかったが、侍女になって接する機会が多くなって、耐えられなくなった。だが辛辣な言葉を聞きたいがために、果敢にやって来る。
「父に伝えて置きます」
「ええ、関わらないのが一番の安寧だけど、対処法だと教えてあげて」
「はい!」
「また何かあったら、教えて頂戴」
「はい、勿論でございます」
3,232
お気に入りに追加
7,213
あなたにおすすめの小説
謝罪のあと
基本二度寝
恋愛
王太子の婚約破棄騒動は、男爵令嬢の魅了魔法の発覚で終わりを告げた。
王族は揃いも揃って魅了魔法に操られていた。
公にできる話ではない。
下手をすれば、国が乗っ取られていたかもしれない。
男爵令嬢が執着したのが、王族の地位でも、金でもなく王太子個人だったからまだよかった。
愚かな王太子の姿を目の当たりにしていた自国の貴族には、口外せぬように箝口令を敷いた。
他国には、魅了にかかった事実は知られていない。
大きな被害はなかった。
いや、大きな被害を受けた令嬢はいた。
王太子の元婚約者だった、公爵令嬢だ。
ある辺境伯の後悔
だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。
父親似だが目元が妻によく似た長女と
目元は自分譲りだが母親似の長男。
愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。
愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。
【完結】「父に毒殺され母の葬儀までタイムリープしたので、親戚の集まる前で父にやり返してやった」
まほりろ
恋愛
十八歳の私は異母妹に婚約者を奪われ、父と継母に毒殺された。
気がついたら十歳まで時間が巻き戻っていて、母の葬儀の最中だった。
私に毒を飲ませた父と継母が、虫の息の私の耳元で得意げに母を毒殺した経緯を話していたことを思い出した。
母の葬儀が終われば私は屋敷に幽閉され、外部との連絡手段を失ってしまう。
父を断罪できるチャンスは今しかない。
「お父様は悪くないの!
お父様は愛する人と一緒になりたかっただけなの!
だからお父様はお母様に毒をもったの!
お願いお父様を捕まえないで!」
私は声の限りに叫んでいた。
心の奥にほんの少し芽生えた父への殺意とともに。
※他サイトにも投稿しています。
※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
※「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
※タイトル変更しました。
旧タイトル「父に殺されタイムリープしたので『お父様は悪くないの!お父様は愛する人と一緒になりたくてお母様の食事に毒をもっただけなの!』と叫んでみた」
【完結】番を監禁して早5年、愚かな獣王はようやく運命を知る
紺
恋愛
獣人国の王バレインは明日の婚儀に胸踊らせていた。相手は長年愛し合った美しい獣人の恋人、信頼する家臣たちに祝われながらある女の存在を思い出す。
父が他国より勝手に連れてきた自称"番(つがい)"である少女。
5年間、古びた離れに監禁していた彼女に最後の別れでも伝えようと出向くと、そこには誰よりも美しく成長した番が待ち構えていた。
基本ざまぁ対象目線。ほんのり恋愛。
【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる