私のバラ色ではない人生

野村にれ

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報告2

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「実はこちらからも考えて欲しいことがあるのだけど、よろしいかしら?」
「はい!」
「はい、何でしょうか」
「ミソラ夫人にね、ルルエの侍女になって貰えないかと思って」

 ミソラもリークスも、驚いた後で、ピカピカと瞳を輝かせた。

「光栄でございます」
「良かったな、ミソラ」

 リークスもミソラを見つめて、微笑んでいる。

「ええ!王妃陛下、是非とも、お受けしたく思います」
「考えてからでいいのよ、あと家のこと、お子さんのことを優先でいいから、あとは…シェリー・トリラスも付いて貰うことになっているから」
「トリラス様が、それは心強いです。是非とも、お願いします」

 令嬢として、夫人として、これ以上ないほどの名誉である。ミソラもシェリーのマナーの授業のことは聞いており、尊敬していた。

「ルルエは、あのように穏やかですからね。侍女は頼りになる、年上の夫人がいいということになりましてね」

 穏やかさとは無縁のソアリスとは違うので、年齢だけで判断するわけではないが、年上の方がルルエも頼りやすく、しっかりした夫人が良いのではないかと抜擢されたのが、シェリーとミソラであった。

 二人も年齢はわずかに違い、ルルエよりも少し年上である。

 ちなみにソアリスの侍女が、全員年下なのは、年上が間違って偉そうにでもして、喧嘩になることを恐れたのと、姉にイメージが悪いこと。そして、万が一の際はソアリスに、縋りついてでも止めることが出来そうな者が抜擢されている。

「あと一人、二人くらいは追々増やして、ローテーションにすればいいと思っておりますの」
「本当に嬉しいです」
「そう?考えなくてもいいの?私は渋られたら、オードエル公爵家、フレイク侯爵家としても、妖精ミーチュアの愚行を払拭が出来るでしょう?って言おうと思っていたのに、要らなかったわね」

 皆は断ることはないと思っていたが、ソアリスは優秀だからと言って、無理矢理に就けることはしたくなかったが、良い人材というのもなかなかいないので、快く受けては貰いたい複雑な思いだった。

「貢献が出来ることも嬉しく思います」

 このような形で、ミソラはルルエの侍女となったのである。ルルエの侍女もソアリスと同じように、交互に出勤したり、二人で出勤したりという体制になっている。

 ルルエの執務室はソアリスのように『ふざけやがって!シワシワババア!』『頭おかしいのか!マルハゲオヤジ!』などという言葉が飛び交うことはないので、とても穏やかだそうだ。

 そして、ララシャの夜会でのことを聞いたソアリスは、呆れるよりも、案の定という気持ちであった。

「お父様は災難でしたわね」
「去ろうとしたそうですが、勝手に話し始めたそうです」
「肥え太った中年がオペラでも、歌っていると思った方がいいわ」

 グフっと言いながら、ミソラはララシャがオペラを歌っていたと想像をしてしまい、美しい顔の下唇を出して、耐えている。

「腹の立つ顔も、だらしのない身体も、こいつはオペラを歌っているから、こんな顔をして、肥え太っているのだとも思えばいいのよ!声はあのような強請るような声ではなく、好みのオペラ歌手の方にしてね」

 ミソラは今度は鼻の下を伸ばして、まだ必死に耐えており、声が出せない。

「ちょっと?美しい顔が酷い顔になっているわよ」
「ししし、失礼しました!的確な表現過ぎて…グフっ」

 ミソラはサリエストに似て美しい顔をしているが、ソアリスの悪口から出るブラックさが大好きなのだが、耐えられないほど、とても弱いのである。

 最初は緊張していて出てなかったが、侍女になって接する機会が多くなって、耐えられなくなった。だが辛辣な言葉を聞きたいがために、果敢にやって来る。

「父に伝えて置きます」
「ええ、関わらないのが一番の安寧だけど、対処法だと教えてあげて」
「はい!」
「また何かあったら、教えて頂戴」
「はい、勿論でございます」
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