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似たもの母娘2
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スチュアートはソアリス好みの体付きではないが、幼い頃から話し方も佇まいも、17歳とは思えない落ち着きに、ソアリスは面白いと思っている。
「落ち着きをケイトに分けて欲しいわ」
「ある意味、ケイト殿下は落ち着いてはいらっしゃいますよ」
「あれは偉そうなだけじゃない?今日もふんぞり返っていたでしょう?」
今日もケイトは、ふんぞり返って、おやつを食べたのに所望していた。
「叔母上から、大変肝が据わって、立派な王女殿下だと伺っております。王妃陛下によく似てらっしゃるとも」
「そうなの。大変だけど、いずれ遊んでやってくれる?」
「っはい、光栄でございます」
そうしてスチュアートとは離れて、4人は再び話していたのだが、ソアリスが視線の先にスチュアートを捉えた。
「ポーリア、スチュアートに陰湿夫人の娘が絡んでいるわ」
「え?またですか」
ポーリアもスチュアートの方を見ると、メオリールに険しい顔を浮かべている。
「また?」
「スチュアートから、あの後も話し掛けられたと聞いております」
ソアリスは考えを巡らせて、こくこくと頷いた。
「叔母パワーを借りてもいいかしら?」
「どういうことでしょうか?」
「アッファファ陰湿夫人に、おまじないのことも聞いていないのでしょう?」
「はい、まだ聞いておりません」
「ソアリス様、ポーリア様、部屋を用意しましょうか」
キャロラインは、生家であるため部屋を用意するのも容易である。
「そうね、お願い出来る?」
「はい」
「アプダード侯爵は、話したくもないだろうから、叔母パワーと口の悪い王妃のタッグで潰しましょう。食後の運動よ」
キャロラインは兄に部屋を借りたいと言いに行き、すぐさま用意してくれることになった。
そして、キャロラインはバート伯爵夫妻を連行し、メディナはアプダード侯爵に話を通し、ポーリアはソアリスと、スチュアートのところに向かった。
「スチュアート、場所を変えましょう」
「え?」
ソアリスがにっこりと微笑み、スチュアートは状況を察した。さすがのメオリールも、王妃陛下の登場に静かに頭を下げた。
スチュアートとメオリールを連れて、部屋に着くと既にバート伯爵夫妻は揃っており、素早く立ち上がって、深く頭を下げた。
「王妃陛下、ラーバ伯爵夫人、大変申し訳ございません」
「申し訳ございません」
メオリールは許しは得た上で、話をしていただけなのに、どうして連れて来られたのかと、把握が出来ていなかった。
ソアリスはポーリアとスチュアートを挟んで座り、メオリールはバート伯爵の隣に座り、6人は向かい合った。メディナとキャロラインは後ろで見守っている。
「この前、言いましたわよね。ご令嬢は理解が出来ておりませんの?」
「いえ、話をしたのですが、メオリール!理解していなかったのか!」
バート伯爵は、メオリールを怒鳴りつけた。
「お父様、違うの!スチュアート様には了承をいただいたの」
「はい?私はそのようなものはしておりません」
「でも、母が関わってこなければいいと、言ってくれたではありませんか」
「はあ…それがどうして、君と関わらければならないんだ?」
「ですから、私は母とは違いますと、理解してくれたではありませんか」
ポーリアもソアリスも、スチュアート本人から言われた方がいいだろうと、口を挟むことはしなかった。
「理解などした覚えはない。私は君に何度も名前を勝手に呼ぶな、話し掛けるなと、注意しただろう?」
バート伯爵は信じられない目で、メオリールを見た。ファシリアは自身も覚えがあったので、下を向くしかなかった。
「ですが、母のことがあったからで」
「私は君を注意したんだ、それも理解が出来ないのか?」
「…あ…え…でも」
スチュアートの言っていることは何一つ間違っていない。
「おそらく、デラウェース伯爵家の血筋にこういった者が一定数、現れるんじゃないかしら?」
「落ち着きをケイトに分けて欲しいわ」
「ある意味、ケイト殿下は落ち着いてはいらっしゃいますよ」
「あれは偉そうなだけじゃない?今日もふんぞり返っていたでしょう?」
今日もケイトは、ふんぞり返って、おやつを食べたのに所望していた。
「叔母上から、大変肝が据わって、立派な王女殿下だと伺っております。王妃陛下によく似てらっしゃるとも」
「そうなの。大変だけど、いずれ遊んでやってくれる?」
「っはい、光栄でございます」
そうしてスチュアートとは離れて、4人は再び話していたのだが、ソアリスが視線の先にスチュアートを捉えた。
「ポーリア、スチュアートに陰湿夫人の娘が絡んでいるわ」
「え?またですか」
ポーリアもスチュアートの方を見ると、メオリールに険しい顔を浮かべている。
「また?」
「スチュアートから、あの後も話し掛けられたと聞いております」
ソアリスは考えを巡らせて、こくこくと頷いた。
「叔母パワーを借りてもいいかしら?」
「どういうことでしょうか?」
「アッファファ陰湿夫人に、おまじないのことも聞いていないのでしょう?」
「はい、まだ聞いておりません」
「ソアリス様、ポーリア様、部屋を用意しましょうか」
キャロラインは、生家であるため部屋を用意するのも容易である。
「そうね、お願い出来る?」
「はい」
「アプダード侯爵は、話したくもないだろうから、叔母パワーと口の悪い王妃のタッグで潰しましょう。食後の運動よ」
キャロラインは兄に部屋を借りたいと言いに行き、すぐさま用意してくれることになった。
そして、キャロラインはバート伯爵夫妻を連行し、メディナはアプダード侯爵に話を通し、ポーリアはソアリスと、スチュアートのところに向かった。
「スチュアート、場所を変えましょう」
「え?」
ソアリスがにっこりと微笑み、スチュアートは状況を察した。さすがのメオリールも、王妃陛下の登場に静かに頭を下げた。
スチュアートとメオリールを連れて、部屋に着くと既にバート伯爵夫妻は揃っており、素早く立ち上がって、深く頭を下げた。
「王妃陛下、ラーバ伯爵夫人、大変申し訳ございません」
「申し訳ございません」
メオリールは許しは得た上で、話をしていただけなのに、どうして連れて来られたのかと、把握が出来ていなかった。
ソアリスはポーリアとスチュアートを挟んで座り、メオリールはバート伯爵の隣に座り、6人は向かい合った。メディナとキャロラインは後ろで見守っている。
「この前、言いましたわよね。ご令嬢は理解が出来ておりませんの?」
「いえ、話をしたのですが、メオリール!理解していなかったのか!」
バート伯爵は、メオリールを怒鳴りつけた。
「お父様、違うの!スチュアート様には了承をいただいたの」
「はい?私はそのようなものはしておりません」
「でも、母が関わってこなければいいと、言ってくれたではありませんか」
「はあ…それがどうして、君と関わらければならないんだ?」
「ですから、私は母とは違いますと、理解してくれたではありませんか」
ポーリアもソアリスも、スチュアート本人から言われた方がいいだろうと、口を挟むことはしなかった。
「理解などした覚えはない。私は君に何度も名前を勝手に呼ぶな、話し掛けるなと、注意しただろう?」
バート伯爵は信じられない目で、メオリールを見た。ファシリアは自身も覚えがあったので、下を向くしかなかった。
「ですが、母のことがあったからで」
「私は君を注意したんだ、それも理解が出来ないのか?」
「…あ…え…でも」
スチュアートの言っていることは何一つ間違っていない。
「おそらく、デラウェース伯爵家の血筋にこういった者が一定数、現れるんじゃないかしら?」
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