195 / 382
未婚者のパーティー1
しおりを挟む
ミリンティーは誘われることもなく、全員参加の王家の夜会に出席していたくらいで、久し振りのパーティーであったために、緊張していた。
誰か疎遠にはなってしまっているが、同級生はいないかと探していたが、未婚限定であるために年下、爵位の下の者たちばかりであった。
ゆえに、噂されても当然であった。
「あの方って…」
「おそらくオイエン侯爵令嬢ですわね…今日の中で、一番爵位の高い方にはなるでしょうね」
「年齢もではなくて?」
「いいえ、年齢はマーチス子爵令嬢がいらっしゃいますから」
ファビラミア・マーチス子爵令嬢は、現在25歳である。
「そうでしたわね、でもあの方は…」
「まあ、そうですわね」
花盛りというべき令嬢たちに、ミリンティーもまだ21歳、世代が違うだけで一気に老け込んだ気持ちになるはずなのだが、自分の置かれている立場に今まで気付いていない鈍感力を発揮していた。
ある意味、そういったところはローティーに似ているのだろう。
ミリンティーのことは世代の違いで、詳しくは知られていない。だが、そうなって来ると、どうして侯爵令嬢に婚約者がいないのか、見た目が問題になって来る。
本日もドレスなので、肉付きの良さがまじまじと分かる。
パーティーでは噂のファビラミア・マーチスが、なるべく爵位の高い令息、見た目のいい令息にだけ声を掛けて、擦り寄っていた。
ファビラミアは、豊かな胸に大きな尻に、女性らしい身体付きではあったが、令嬢としては下品な姿と相まって、安っぽい存在となっていた。
まともに結婚したい令息は、相手にしたくない。
なぜ25歳になっても結婚していないのかは、本人は体が弱くてと言っているが、婚約者はいなかったが、結婚前に不特定多数の男性と関係を持ち、身持ちが悪く、婚約者も出来なかったというのは理由である。
関係を持った相手は結局、婚約してくれる者はおらず、平民もおり、行き遅れてしまったのだ。
それでもいいと思っていたが、親に25歳までしか養わないと言われて、愛人でもいいので、普通のパーティーにも愛人希望で参加し、未婚者のパーティーにも参加するようになっている。
ミリンティーは、軽食を取る女性に見覚えがあった。
「確か、オット伯爵令嬢…」
同じクラスではなかったが、同じ学年の令嬢だった。知り合いのいない中で、そんな繋がりですらミリンティーは、ホッとしていた。話したこともなかったが、気付けば声を掛けていた。
「オット伯爵令嬢よね?」
「…オイエン侯爵令嬢、ご無沙汰しております」
リーリア・オット伯爵令嬢は頭を下げた。
「あなたが参加しているとは思わなかったわ」
「いえ、私は付き添いでして」
「付き添い?」
「はい、義妹の付き添いで参加しています」
ミリンティーは付き添いなど聞いていなかった、だったら誰か一緒に来てくれれば良かったのにと思ったが、親が付いてきているような者はいない。
概ね、リーリアのように姉や兄などが付き添っているのである。
「そうでしたの…ご結婚されているのね」
「はい、エルムート伯爵家に嫁いでおります」
偶然ではあったが、エルムート伯爵の嫡男の妻が、リーリアであった。現在はリーリア・エルムートである。
「そう…」
言われてみれば、結婚したはずの令息はあまりいないが、同級生ではない令嬢ではあったが、壁際の方に何人か見掛けた。離縁されたのかと、心の中で笑っていたが、違ったのか。
「赤い組紐を付けている方は、付き添いの方です」
最初に説明があったのだが、ミリンティーは聞いてはいなかった。リーリアは予防線として、知らせて置くことにした。
「そうなのね、あの声を掛けて回っているのは、どなたなの?」
ミリンティーも、ファビラミアの行動が目に付いていた。
「あの方はファビラミア・マーチスです」
「子爵家の…あれはどうなの?マナーがなっていないんじゃなくて?」
「…え」
それは一番、ミリンティーが言う権利のない言葉であった。
誰か疎遠にはなってしまっているが、同級生はいないかと探していたが、未婚限定であるために年下、爵位の下の者たちばかりであった。
ゆえに、噂されても当然であった。
「あの方って…」
「おそらくオイエン侯爵令嬢ですわね…今日の中で、一番爵位の高い方にはなるでしょうね」
「年齢もではなくて?」
「いいえ、年齢はマーチス子爵令嬢がいらっしゃいますから」
ファビラミア・マーチス子爵令嬢は、現在25歳である。
「そうでしたわね、でもあの方は…」
「まあ、そうですわね」
花盛りというべき令嬢たちに、ミリンティーもまだ21歳、世代が違うだけで一気に老け込んだ気持ちになるはずなのだが、自分の置かれている立場に今まで気付いていない鈍感力を発揮していた。
ある意味、そういったところはローティーに似ているのだろう。
ミリンティーのことは世代の違いで、詳しくは知られていない。だが、そうなって来ると、どうして侯爵令嬢に婚約者がいないのか、見た目が問題になって来る。
本日もドレスなので、肉付きの良さがまじまじと分かる。
パーティーでは噂のファビラミア・マーチスが、なるべく爵位の高い令息、見た目のいい令息にだけ声を掛けて、擦り寄っていた。
ファビラミアは、豊かな胸に大きな尻に、女性らしい身体付きではあったが、令嬢としては下品な姿と相まって、安っぽい存在となっていた。
まともに結婚したい令息は、相手にしたくない。
なぜ25歳になっても結婚していないのかは、本人は体が弱くてと言っているが、婚約者はいなかったが、結婚前に不特定多数の男性と関係を持ち、身持ちが悪く、婚約者も出来なかったというのは理由である。
関係を持った相手は結局、婚約してくれる者はおらず、平民もおり、行き遅れてしまったのだ。
それでもいいと思っていたが、親に25歳までしか養わないと言われて、愛人でもいいので、普通のパーティーにも愛人希望で参加し、未婚者のパーティーにも参加するようになっている。
ミリンティーは、軽食を取る女性に見覚えがあった。
「確か、オット伯爵令嬢…」
同じクラスではなかったが、同じ学年の令嬢だった。知り合いのいない中で、そんな繋がりですらミリンティーは、ホッとしていた。話したこともなかったが、気付けば声を掛けていた。
「オット伯爵令嬢よね?」
「…オイエン侯爵令嬢、ご無沙汰しております」
リーリア・オット伯爵令嬢は頭を下げた。
「あなたが参加しているとは思わなかったわ」
「いえ、私は付き添いでして」
「付き添い?」
「はい、義妹の付き添いで参加しています」
ミリンティーは付き添いなど聞いていなかった、だったら誰か一緒に来てくれれば良かったのにと思ったが、親が付いてきているような者はいない。
概ね、リーリアのように姉や兄などが付き添っているのである。
「そうでしたの…ご結婚されているのね」
「はい、エルムート伯爵家に嫁いでおります」
偶然ではあったが、エルムート伯爵の嫡男の妻が、リーリアであった。現在はリーリア・エルムートである。
「そう…」
言われてみれば、結婚したはずの令息はあまりいないが、同級生ではない令嬢ではあったが、壁際の方に何人か見掛けた。離縁されたのかと、心の中で笑っていたが、違ったのか。
「赤い組紐を付けている方は、付き添いの方です」
最初に説明があったのだが、ミリンティーは聞いてはいなかった。リーリアは予防線として、知らせて置くことにした。
「そうなのね、あの声を掛けて回っているのは、どなたなの?」
ミリンティーも、ファビラミアの行動が目に付いていた。
「あの方はファビラミア・マーチスです」
「子爵家の…あれはどうなの?マナーがなっていないんじゃなくて?」
「…え」
それは一番、ミリンティーが言う権利のない言葉であった。
3,424
お気に入りに追加
8,260
あなたにおすすめの小説
酒の席での戯言ですのよ。
ぽんぽこ狸
恋愛
成人前の令嬢であるリディアは、婚約者であるオーウェンの部屋から聞こえてくる自分の悪口にただ耳を澄ませていた。
何度もやめてほしいと言っていて、両親にも訴えているのに彼らは総じて酒の席での戯言だから流せばいいと口にする。
そんな彼らに、リディアは成人を迎えた日の晩餐会で、仕返しをするのだった。
誰にも言えないあなたへ
天海月
恋愛
子爵令嬢のクリスティーナは心に決めた思い人がいたが、彼が平民だという理由で結ばれることを諦め、彼女の事を見初めたという騎士で伯爵のマリオンと婚姻を結ぶ。
マリオンは家格も高いうえに、優しく美しい男であったが、常に他人と一線を引き、妻であるクリスティーナにさえ、どこか壁があるようだった。
年齢が離れている彼にとって自分は子供にしか見えないのかもしれない、と落ち込む彼女だったが・・・マリオンには誰にも言えない秘密があって・・・。
婚約者に愛する人が出来たので、身を引く事にしました
Blue
恋愛
幼い頃から家族ぐるみで仲が良かったサーラとトンマーゾ。彼が学園に通うようになってしばらくして、彼から告白されて婚約者になった。サーラも彼を好きだと自覚してからは、穏やかに付き合いを続けていたのだが、そんな幸せは壊れてしまう事になる。
【完結】護衛騎士と令嬢の恋物語は美しい・・・傍から見ている分には
月白ヤトヒコ
恋愛
没落寸前の伯爵令嬢が、成金商人に金で買われるように望まぬ婚約させられ、悲嘆に暮れていたとき、商人が雇った護衛騎士と許されない恋に落ちた。
令嬢は屋敷のみんなに応援され、ある日恋する護衛騎士がさる高位貴族の息子だと判明した。
愛で結ばれた令嬢と護衛騎士は、商人に婚約を解消してほしいと告げ――――
婚約は解消となった。
物語のような展開。されど、物語のようにめでたしめでたしとはならなかった話。
視点は、成金の商人視点。
設定はふわっと。
殿下へ。貴方が連れてきた相談女はどう考えても◯◯からの◯◯ですが、私は邪魔な悪女のようなので黙っておきますね
日々埋没。
恋愛
「ロゼッタが余に泣きながらすべてを告白したぞ、貴様に酷いイジメを受けていたとな! 聞くに耐えない悪行とはまさしくああいうことを言うのだろうな!」
公爵令嬢カムシールは隣国の男爵令嬢ロゼッタによる虚偽のイジメ被害証言のせいで、婚約者のルブランテ王太子から強い口調で婚約破棄を告げられる。
「どうぞご自由に。私なら殿下にも王太子妃の地位にも未練はございませんので」
しかし愛のない政略結婚だったためカムシールは二つ返事で了承し、晴れてルブランテをロゼッタに押し付けることに成功する。
「――ああそうそう、殿下が入れ込んでいるそちらの彼女って明らかに〇〇からの〇〇ですよ? まあ独り言ですが」
真実に気がついていながらもあえてカムシールが黙っていたことで、ルブランテはやがて愚かな男にふさわしい憐れな最期を迎えることになり……。
※こちらの作品は改稿作であり、元となった作品はアルファポリス様並びに他所のサイトにて別のペンネームで公開しています。
私の手からこぼれ落ちるもの
アズやっこ
恋愛
5歳の時、お父様が亡くなった。
優しくて私やお母様を愛してくれたお父様。私達は仲の良い家族だった。
でもそれは偽りだった。
お父様の書斎にあった手記を見た時、お父様の優しさも愛も、それはただの罪滅ぼしだった。
お父様が亡くなり侯爵家は叔父様に奪われた。侯爵家を追い出されたお母様は心を病んだ。
心を病んだお母様を助けたのは私ではなかった。
私の手からこぼれていくもの、そして最後は私もこぼれていく。
こぼれた私を救ってくれる人はいるのかしら…
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 作者独自の設定です。
❈ ざまぁはありません。
お姉様。ずっと隠していたことをお伝えしますね ~私は不幸ではなく幸せですよ~
柚木ゆず
恋愛
今日は私が、ラファオール伯爵家に嫁ぐ日。ついにハーオット子爵邸を出られる時が訪れましたので、これまで隠していたことをお伝えします。
お姉様たちは私を苦しめるために、私が苦手にしていたクロード様と政略結婚をさせましたよね?
ですがそれは大きな間違いで、私はずっとクロード様のことが――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる